No.955320

にか薬短歌詰め合わせ2

朝凪空也さん

短歌20首、都々逸3首。
twitterタグ、
#恋は刀をなまくらにする
#彼らはそれを幸福という
をお借りしています。

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2018-06-06 14:23:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:324   閲覧ユーザー数:324

<短歌>

 

繊月に冴える魂喉元に深く斬り込む仕合い仕合せ

 

 

伝承でできたこの身の九割と九分は戦に残りは君に

 

 

仄暗く光る血塗れの刃ごと抱きしめるように寄り添うふたり

 

 

その矛盾、矜持ごと愛仕合うふたりの色はシリウスの青

 

 

その髪を彩るすみれの花飾り口付けひとつ特別を足す

 

 

この僕が幽霊切りで良かったと彼岸近くの君の手にぎる

 

 

この俺が彼岸に寄る身で良かったとはざまをたゆたうお前を繋ぐ

 

 

#恋は刀をなまくらにする

 

確かめてみようじゃねえか俺達で「恋は刀をなまくらにする」

 

君のその研ぎ澄まされた横顔に恋をしたのさ鈍らすものか

 

恋が刀をなまくらにするとしても僕がそれをさせはしないさ

 

 

#彼らはそれを幸福という

 

戦場で背を玉の緒を預け合い彼らはそれを幸福という

 

手合わせで血まみれ痣傷怪我まみれ彼らはそれを幸福という

 

 

千代八千代いつかこの身の朽ちるとき君に誇れる僕であるため

 

 

細き指伸ばして手繰る青柳絡められるはお前か俺か

 

 

愛も哀も口にせずとも相対し間合いに入ればあいだちもなし

 

 

薬指にじむ血汐で紅差して逃さないのはどちらかと笑む

 

 

君が毒ならば皿まで食らうまで相生きる今血だまりの上

 

 

背に負うるお前の咎は俺の咎行き別るとも同じ死出道

 

 

いにしえの千引きの岩のありかさえ知らぬ己に行く当ても無し

 

 

身罷りし時は違えど死出の道落ちるは同じ修羅と松風

 

 

 

<都々逸>

 

熱く小さな体の中の鋼の意志さえ抱きしめる

 

 

俺の柘榴はお前の右目俺を捕らえて離さない

 

 

天上花に願ってみても彼方の君へは届くまい

 

 

 

〈了〉


 
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