No.945773

【サイバ】或る日の徳山醤油店(その3)【交流】

〆行かせてもらいます。
利恵 http://www.tinami.com/view/942223
ぴあの http://www.tinami.com/view/753933
なずな http://www.tinami.com/view/753776

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2018-03-20 01:44:28 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:869   閲覧ユーザー数:836

「おや、かわいいお客さんだねえ。おつかいかい?」

 利恵(としえ)は目を細めた。

「すみません。お醤油ください」

「くださいでちゅわ」

 店先で手をつないで利恵を待っていたのは、幼いキツネの少女と、白ネコの少女だった。十久川(とくがわ)なずなと羽志葉(はしば)ぴあのである。

「はい、どうぞ。重いから気をつけてね」

 利恵は、醤油の一升瓶を、なずなとぴあのにゆっくりと渡した。

「んーしょ!」

「重たいけどがんばるでちゅわー!」

 自分の上半身ほどもある一升瓶を抱え、よたよたとした足取りながらも、二人の少女は家路についた。それを微笑みながら見送る利恵。

 なずなとぴあのの姿が見えなくなってから、利恵は誰もいないはずの空間に声をかけた。

「……さて。いるんだろ? 出て来なさいな」

 利恵の呼びかけに応えるように、空間からにじみ出るように二人の人影が現れた。三角帽をかぶったちょうちんと、茶トラ猫のぬいぐるみだ。

「(なぜ気づいた?)」

 魔法ちょうちんが問う。透視魔法を応用し、周りの人間に、自分を強制的に「透視させる」ことで、透明人間のように姿を見えなくする魔法。彼は、この魔法に絶対的な自信を持っていた。

 利恵はふっと鼻を鳴らした。

「この商売を長くやってるとね、気配でわかるんだよ」

「(醤油屋すげえ)」

 茶トラぬい先生が思わず声を上げる。

「あんたたち、あれかい? あの子たちのおつかいが心配で、隠れてついてきたってところかな?」

「(そうだ。しっかりしてるとは言っても、まだまだ子供だからな)」

 魔法ちょうちんはうなずいた。

「まあ、心配いらないんじゃないかい? ついでに言っとくと、あの子らも、あんたたちがついてきてることには気づいてたよ」

「(……あいつらにはかなわないな)」

 3人は笑いあった。

「(では失礼するよ。家に帰るまでがおつかいだ)」

 再び透明化魔法を使用し、魔法ちょうちんと茶トラぬい先生は姿を消した。

「ねえぴあのちゃん、帰ったらこのお醤油で何作るの?」

「肉じゃがつくりまちゅわ。魔法ちょうちんたんに食べさせてあげまちゅの!」

「そっか。わたしはチキンの照り焼きでも作ろうかな? 茶トラぬい先生が好きな味付けで!」

 日が傾いて、長く伸びた影を従えて、二人の少女はそれぞれの家に歩いて帰っていく。

 

 徳山醤油店。そこは美味しい醤油と、人々の笑顔が集まるお店。ぜひともご来店あれ。

 


 
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