No.932803

~少年が望んだ世界と力~

第六十話 リンディさんからのお詫び

2017-12-10 13:47:58 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2289   閲覧ユーザー数:2235

前書き

 

ARX-7 アーバレスト「お待たせしました!更新出来ました!」

 

 

 

午前9時55分 東富士演習場

静岡県と山梨県を跨る山、富士山東麓にある本州で最大の陸上自衛隊の演習場である「東富士演習場」。

天気は快晴、その演習場の上空を2機の戦闘機が飛行している。

2機の戦闘機はアメリカで開発されアメリカ空軍、海軍、海兵隊の3軍で運用、日本の航空自衛隊等でも運用された世界的にもベストセラーの戦闘機「F-4 ファントムⅡ」と呼ばれる機体。

2機のファントムには日本の国籍であることを記す日の丸がついている。

今飛行しているファントムはアメリカ空軍で使用されていた「F-4E」から対地攻撃能力と空中給油能力を除去、スランブル発進時の加速力を重視した某重工業でノックダウン生産、ライセンス生産し国産とした航空自衛隊仕様の「F-4EJ」に機体寿命延長及び能力向上を目的として改修された「F-4EJ改」だ。

1機のファントムが前を飛び、その後ろからもう1機のファントムがその後ろからついてきている。

いや、正確には前のファントムが逃げ、後ろのファントムはそれを追いかけている。

前のファントムが上に上昇していくと後方のファントムも続いて上昇していく。

 

「どうです!付いて来れますか二佐ぁ!」

 

前を飛んでいるファントムには健悟が搭乗しており、後方のファントムのパイロットの二等空佐を軽く挑発し、機体を傾けて後方のファントムを振り切ろうとする。

しかし後方のファントムは振り切られることなく、健悟の動きについていき、依然と追いかけてきている。

 

「流石二佐だな。簡単には振り切れないな」

 

後方のファントムのパイロットの腕に健悟は素直に関心する。

健悟は上昇や降下、旋回を繰り返して逃げ回りながらバックミラーで後方のファントムの動きを警戒しつつ、チャンスを待つ。

 

「ここだ!」

 

操縦桿を左に倒して、機体を左に横転させる。

健悟のファントムが左にバレルロールを行い、もう1機のファントムの背後を取る。

 

「後ろに憑かれた!右にブレイク!」

 

健悟に背後を取られるとファントムの後部座席のコ・パイロットが指示を出し、パイロットは機体を右に旋回、健悟もその後を追う。

ファントムの背後を取ったまま追尾し、ミサイルを撃つ為にロックオンしようとする。

 

(これで・・・)

 

あと少しでロックオン出来た時、前にいたファントムが右に横転した。

 

「何!?」

 

目の前を飛んでいたファントムを見失い、慌てて後ろを確認すると相手のファントムは先程健悟自身が行ったバレルロールを行い、健悟の後ろに回り込んだ。

 

「おらぁ!ケツ取ったぞー!」

 

「くっ!まだまだぁ!!」

 

さっきと攻守が逆転し、再び健悟が追われる。

 

「くぅぅ!」

 

後方のファントムを振り切ろうと機体を上下左右に振り、エンジンの出力を上げて逃げ回るが健悟はファントムを振り切れない。

同時に強力なGが健悟に掛かる。

 

ピーピーピー

 

逃げ回ったがついに後方のファントムにミサイルをロックオンされ警報が鳴り響き、撃墜判定を受けた。

 

「おっしゃー!」

 

「あ~、くっそ!」

 

無線越しから喜んでいる後方のファントムのパイロットの声を聞きながら健悟は悔しさを口出す。

 

「へへ、俺らの勝ちだな」

 

「参りました。お見事でした、神子田二佐」

 

後方のファントムが健悟の右側に並び飛行し、今回相手をしてくれたファントムのパイロット、「GEAT 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり」の登場人物である航空自衛隊のベテランパイロット「神子田 瑛 二等空佐」が声を掛けると健悟は直ぐに返事を返す。

 

「そうだろ?はっはっは!」

 

「でも、君も大したものだ。他の機体の訓練を受けながらファントムの訓練も受けて、短期間で俺達とここまで張り合えるんだからな」

 

「そういってもらえて光栄ですよ。また訓練のお相手をお願いします」

 

「おう!いつでも相手してやるぜ」

 

「ああ。楽しみにしてる」

 

勝利して鼻高々と笑う神子田二佐に対して後部座席にいるメインパイロットの神子田二佐と同じ「GEAT 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり」の登場人物である航空自衛隊のベテランのコ・パイロット「久里浜 純 二等空佐」が健悟の操縦技術を褒める。

久里浜二佐が言うように健悟はファントムだけでなく数多くの軍用機の訓練を受けている。

にも関わらず短期間でベテランの2人に実力はほぼ追いついている。

常識外れのスピードだ。

褒めてもらった久里浜二佐にお礼をいい、今後も2人に訓練の相手を頼むと2人は快く承諾する。

 

「では二佐、本日はこれで失礼します」

 

「お?今日は着陸訓練はしないのか?」

 

「この後用事がありまして、時間も少々押しているので今日はここで切り上げます」

 

「そうか。了解だ。なら俺達は帰投するぜ」

 

「はい。ありがとうございました」

 

「演習終了!RTB!」

 

普段は着陸の訓練も行うはずの健悟がここで引き上げることを告げると神子田二佐達が敬礼をしてくれると健悟も敬礼をして返し、二佐達のファントムは右に機体を傾け、旋回して離れていく。

 

「マスター、あと20分程で約束のお時間ですよ」

 

「おっとそうだったな。ちょっと急ぐか。シュミレーション終了」

 

アポロンに時間が迫っていることを教えられ、健悟がシュミレーション終了と告げると周囲の風景が変わる。

先程まで見えていた東富士演習場や大空は消え、白い空間になった。

実は健悟は実際にファントムに乗って演習をしていたのではなく、シュミレーターを使ってのだ。

その為、神子田二佐達と演習をすることが出来た。

このシュミレーターはコンテナのような形の中にコックピットがある。

コックピットは前後左右上下に動くだけでなく全方位、360度回転することも出来る。

振動や空気圧、加速時や減速時に掛かるG、その全てが忠実に再現されるため、シュミレーターでありながら実機を飛ばさなくとも実機と何ら変わりのない訓練が行える。

コックピットの電子機器、ペダル、操縦桿の配置等、全てオリジナルと変わりない。

今回のファントムだけでなく他の戦闘機やヘリ、輸送機、爆撃機、民間機等の航空機のコックピットは全て個別にあり、全てオリジナルと変わりはなく、アップグレード前後も揃えてある。

航空機だけでなく戦車等の陸戦兵器や軍艦用、そしてMS等のシュミレーターまでも用意されている。

シュミレーターを終えるとコックピットのキャノピーが上がり、コックピットに乗り降りする為のラダーが掛けられる。

健悟は酸素マスクを外し、コックピットから出てラダーを降りる。

降りてすぐにヘルメットを脱ぐとシャワーと着替えの為にシュミレーターを後にする。

 

 

野田家 リビング

 

『この大江戸で悪事を働くつぁ、ふてぇ野郎だ!』

 

「神妙にお縄を頂戴しろぉい!」

 

「勇太郎、静かに観てくれ」

 

簡単にシャワーと着替えを終えてリビングに向かうとリビングではエイミィさんとクロノ、リンディ提督、がソファーに座り、そして以前の戦闘の後、全ての調整を終えて基本的には地下の施設にいるが偶に上に上がってくる勇太郎が立ち上がってテレビを観ているとクロノが勇太郎を注意していた。

テレビの内容は時代劇、リンディ提督が好きでよく観ている。

時代劇好きな勇太郎とはよく時代劇の話で盛り上がっている。

フェイトとアルフの姿が見えないが、恐らく散歩だろう。

 

「すいません、お待たせしました」

 

「ううん。いいのよ」

 

俺が声を掛けるとソファーに座っていたリンディ提督が俺の方を向いていつもの笑顔で答えてくれて、立ち上がる。

今回の用事と言うのは俺とリンディ提督の2人だけで買い物に出かけることだ。

 

「それじゃあ3人とも、留守番お願いするわね」

 

「はい、いってらっしゃい」

 

「おう、任せとけい」

 

「・・・はい」

 

リンディ提督がエイミィさんとクロノに留守番を頼むと笑顔で返事を返すエイミィさんと勇太郎に対してクロノは不機嫌気味な返事、且つ俺をジト目で見ている。

まあ理由は一つしかない。

俺がリンディ提督と出かけるからだろう。

 

「健悟君、行きましょう」

 

「あ、はい!」

 

リンディ提督に声を掛けられて、棚の上に置いてある車のキーを取り、玄関に向かう。

 

野田家 第3ガレージ前

靴を履いて外に出て、車を出す為にガレージのシャッターを開く。

ガレージを開くとそこには以前GトレーラーMK-IIのベース車両と一緒に購入した通常の乗用車、クロスオーバーSUVで車種は「ホンダ・CR-V 2代目RD7型」だ。

この車を購入した理由はこのデザインが好きだから。

 

「シートベルトはいいですか?」

 

「ええ」

 

「では、いきますね」

 

車に乗り込み、シートベルトを締めてリンディ提督に確認を取ってからエンジンを掛けて車を走らせた。

今回、何故俺がリンディ提督と2人だけで出かけることになったのか説明しよう。

 

回想

野田家 リビング

戦闘が終わって帰宅した俺達はすぐにリンディ提督から軽く事情を尋ねる。

その説明を聞き終えて、俺は仁王立ちで立っている。

そしてそんな俺の前でリンディ提督が正座をしている。

否、正座させた。

何故なら俺はリンディ提督に対して怒っているからだ。

 

「な、なぁ健悟」

 

「黙ってろクロノ。リンディ提督」

 

「はい」

 

クロノが話掛けてきたが俺はいつもよりも声のトーンを落として黙るように言い返し、リンディ提督の名前を呼ぶとリンディ提督は少し肩をビクッとさせて返事をする。

 

「以前、貴女は高町とユーノに言っていましたよね?指示や命令を守るのは個人のみならず集団を守るためのルールだと。勝手な判断や行動が貴方達でだけでなく周囲の人達をも巻き込むしれないとゆうことだと?」

 

「はい・・・」

 

「それを最高責任者である貴女が破っていては元も子もないでしょう」

 

「はい。・・・その通りです・・・」

 

「あの守護騎士達、闇の書との関わりは先程の説明でよく分かりました。しかし、だからといってみんなに事前に相談もなく、あのような単独行動をされては困ります!あの時偶々街で買い物をしていて近くに俺がいて、遅れてはですが高町とフェイト、ユーノ、アルフも応援に来てくれたお陰であちらを退けることは出来ました。しかし、俺達が来なかった貴女は今頃魔力を奪われ、高町とアルフと同じ、ベットで寝ていたでしょう。それに守護騎士だけでなく、SDガンダム達もいたんですよ?どうやって彼らの相手をするつもりだったんですか?たった一人で」

 

「それは・・・」

 

「まさかとは思いますが敵の増援も考えず、最初にいたシグナムという騎士と1対1で戦えると思っていたんじゃないでしょうね?」

 

「そんなことは・・・」

 

俺が怒っている理由はリンディ提督が無断でシグナム達と戦ったこと。

それもプレシア事件の時、なのはやユーノに対して勝手な行動を取るなと言った張本人で今回の現場の最高責任者が破った。

更に言えば守護騎士だけでなくキャプテン達もいるのに1人で対処しようとしていた。

俺の質問に対して自身をなくしていくかのように返事が段々と小さくなっていってる。

あまりの無謀で危険な行動に流石の俺も腹がたった。

 

「今回の貴女の行動は軽率すぎます!」

 

リンディ提督の行動に声を強めに出すと僅かにリンディ提督は肩をビクッとさせ、リンディ提督を見ているから見えないが後ろで誰かが唾をゴクッと飲み込んだ音が聞こえた。

 

「貴女にもしものことがあれば家族であるクロノ、部下のエイミィさんやアースラのスタッフ、高町、ユーノ、フェイト、アルフが心配します。無論俺もです」

 

ここにいる皆が、俺がリンディ提督を心配していると言って、リンディ提督に近づき目の前で膝立つ。

そして両手をリンディ提督の両肩に置く。

 

「だから、もう無茶な行動は慎んでください。お願いします」

 

「ええ、ごめんなさい」

 

「はい。でも本当に無事でよかったです」

 

もう無茶をしないようにお願いするとリンディ提督は謝る。

謝ったリンディ提督に頷き、最後に俺が思っている素直な気持ちを言ってリンディ提督と一緒に立ち上がる。

 

回想終了

その後、迷惑を掛けたから皆にお詫びをしたとリンディ提督が言い出し、女性陣は後日女子会をすることになり、俺とクロノとユーノの男性陣は必要ないと言って断ったんだがどうしてお詫びをさせてほしいということで今回はその為に買い物に行くことになった。

今日は俺だけだが、無論クロノとユーノも後日買い物に行くようだ。

現在のこの世界の物語の流れの状況を整理する。

まず、話を聞く限り原作通り過去の闇の書事件にはグレアム提督達も関わり、リンディ提督の旦那さんでクロノの父親である「クライド・ハラオウン提督」の乗る次元艦を闇の書共々沈めた。

ここまでは俺の知っている範囲だ。

だが、その場にリンディ提督も乗艦し、目の前でクライドさんを亡くしたというのは俺の記憶にない出来事だ。

つまりこの世界は一部は異なっているが基本的にはテレビ放送されたA`sの物語ということになる。

もしかしたら俺がこっちの世界に来た間に俺の本来の世界ではA`sの劇場版が公開され、それがこの世界に影響を与えたってことなんだろうか?

よくよく考えればフォーゼやウィザードのように俺の本来の世界ではまだ登場していなかった仮面ライダーが既に次元の本棚や俺の許にライダーカードとして存在している。

元の世界とこっちの世界とは時の流れが同じとは限らない。

それならこれまでの内容の違いは納得出来る。

 

「・・・」

 

「どうかしました?」

 

業況整理をしているとリンディ提督が少しそわそわしてる為、どうしたのか尋ねる。

 

「あ。えーっと。この車もトランスフォーマーか勇者の方なのかなって思って」

 

「この車はただの車ですよ。たまにはこういう普通ので走りたい時もあるので」

 

リンディ提督が落ち着きがなかったのがこの車もトランスフォーマー、あるいは勇者ロボなのかと思っていたようだが、この車は正真正銘のただの車であることを伝える。

 

「本当に車の運転出来るのね」

 

「そりゃそうですよ。でなきゃGトレーラーMK-Ⅱを改造する前のベース車両を家の地下までは運べませんからね。それに出来たほうが色々便利ですから。今日みたいに。というか引っ越しの時に運転してたと思うんですけど?」

 

「あれはコンボイさんに乗ってたからコンボイさんが自分で動いて、健悟君はカモフラージュの為に乗ってるだけだと思って」

 

「ああ、成程。あれも俺が運転してましたよ。コンボイに頼んで。リンディ提督は運転出来るんですか?」

 

「一応は持ってはいるんだけど、最近はあまりしてないわね」

 

「そうなんですか」

 

へぇ~、リンディ提督って免許持ってるんだ。

これは予想外。

 

「あ、そうそう。健悟君」

 

「はい?」

 

「今日はプライベートでお買い物に行くんだし、提督って呼んじゃ駄目よ」

 

確かに、街中を歩いててリンディ提督って呼ぶのは変に思われるな。

 

「了解しました。リンディさん」

 

「うん、よろしい♪」

 

リンディ提督の言葉に納得した俺はリンディ提督を「さん」付けで呼ぶようにするとリンディさんは嬉しそうに頷く。

 

海鳴市内 ショッピングモール 立体駐車場

車を走らせて30分、目的のショッピングモールに到着した。

 

「まずは何処から行きます?」

 

「そうねぇ。服を見に行きましょうか?」

 

「了解です」

 

ショッピングモールの立体駐車場に車を停めて降り、戸締りをしてリンディさんに何処に行くのか尋ねる。

行き先を確認してエレベーターホールに向かう。

休日の為やはり車は多いが運良くエレベーターホールの近くに停めることができた。

エレベーターを待ってる間に服が売っているフロアを調べ、程なくしてエレベーターが来て乗り込む。

目的の階にエレベーターが止まって降りると休日のせいか人がとても多かった。

人が多いと移動が大変だろうなっと思いながらもリンディさんと共にフロアの案内図で服売り場を探す。

周りを見渡すと家族連れは勿論だがカップルも多い。

俺とリンディさんも他人からみたらどちらかに見えるのだろうか?

ふとあることを思い出した。

今思えば、女の人と2人だけで買い物って初めてなんだよなぁ。

 

「?どうかしたの?」

 

「え!あ、いえ、な、なんでも!!」

 

慌てて返事をしてしまったせいで最後少しだけ声が裏返ってしまった。

恥ずかしいな。

 

「くす。もしかして緊張してるのかしら?」

 

「まぁ正直に言うとそうです。よくよく考えてみたら女性と2人だけで買い物なんて初めてなんで」

 

「あら、そうなの?意外ね?なのはさんやアリサさん、すずかさんとかと一緒にはなかったの?」

 

変な声を出したのが可笑しかったようでリンディさんは軽く笑い、緊張しているのかと尋ねてくる。

誤魔化す必要もないと思い、女の人と2人だけで買い物しているのに緊張していることを素直に言うと意外だと驚かれた。

 

「高町は家族ぐるみの旅行とかでなら出かけたことありますけど、それ以外はないですね。アリサの場合はすずかと3人で出かけることはよくありましたけど2人だけは無いです。すずかとは何度か2人で図書館に行ったりしてますけど、2人で買い物は一度もないです。2人で図書館に行っても基本的にお互い別々の本を読んでますし、たまにその本のここが面白いって互いに教え合うぐらいにしか話したりしないんで」

 

「そう。だとしたらごめんなさいね。折角最初の女性との2人だけの買い物の相手が私みたいな、おばさんが相手で」

 

「え?そんなこと全然気にしてませんよ?寧ろリンディさんでよかったと思ってますよ」

 

最初の女性との買い物の相手が自分であることを謝るリンディさんに俺は否定しつつ、寧ろよかったと返すとリンディさんはキョトンとした表情を見せる。

 

「だってリンディさん、間違いなく若く見えますし美人だと思います。それに可愛いところもありますし。だからリンディさんと2人で買い物に来れたのは男としては逆に幸運ですよ。少なくとも俺はそう思ってます」

 

「え!?///あの・・・、えっと。あ、ありがとう///」

 

「リンディさん、顔赤いですけど大丈夫ですか?」

 

「え、ええ!な、なんでもないから。・・・きゃっ!」

 

「あ、すいません」

 

俺が思っていることを正直に話すと何故かリンディさんは顔を赤くした。

体調が悪くなったのかと思い、赤くなったリンディさんに大丈夫か尋ねると慌てながらではあるがすぐに大丈夫だと返事を返したリンディさんが歩行者とぶつかる。

 

「おっと」

 

歩行者とぶつかって俺の方に倒れてきたリンディさんを俺は抱きとめる。

 

「///!!」

 

「大丈夫ですか?」

 

「え、ええ!ごめんなさいね」

 

「いえ、これ程人が多いと仕方ないですよ。さぁ、行きましょう。またぶつかったりしないよう気を付けてくださいね」

 

「ええ」

 

俺が抱きとめるとリンディさんはまた顔を赤くした。

怪我がないか確認してぶつかった方も悪いがリンディさんにも周りに気を付けるように言う。

さて、そろそろ服屋に向かうとするか。

そう思った俺は歩き出す。

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

「どうしました?

 

「そ、その・・・手///」

 

「手?」

 

服屋に向かおうとした時、急にリンディさんに呼び止められた。

何故止められたのか分からず、顔を赤くしたリンディさんに言われて手に視線を向ける。

俺はリンディさんの手を握っていた。

そして手を握ったまま行こうとしていた。

 

「あ~、すいません。嫌でした?」

 

「ち、違うの!嫌とかじゃなくて。その、びっくりしたというか」

 

手を繋いでいることに嫌だったのかと思い尋ねるがリンディさんは驚いただけだと慌てて否定する。

 

「う~ん。しかし人が多いですしこのままの方がいいかもしれませんね。とりあえず服屋までは我慢してください」

 

「わ、分かったわ」

 

手を離そうと思ったが周囲を見てみると時間帯のせいなのか人が多い。

人の多さでまたぶつかったり離れる可能性がある為とりあえず服屋まで我慢してもらうことで同意をもらい手を繋いだ状態で向かうことになった。

因みに、すっごい緊張してる!!

まさかリンディさんの手を握るなんて思ってなかった!!

手汗とか大丈夫か俺!?

色々パニックになりながらも俺とリンディさんは服屋へと向かう。

 

 

同所 服屋

目的の服屋についてからリンディさんはすぐに俺の服を選び始めた。

リンディさんが選んでくれたのを何度も試着して気に入ったのを俺が決める。

上下合わせて3セットも選んだからそこそこ時間がかかった。

 

「健悟君。今から普段の姿になることって出来るかしら?」

 

「え?まぁ、人目のない所に行けばなれなくはないですけど。・・・・・え?まさか普段の姿の分もですか?」

 

「ええ。というか、基本的にそっちが多いし必要でしょ?」

 

目的の服を買って終了と思った時に想定外の展開発生。

ここに来た時にこの姿でいても何も言われなかった為、この姿の服のみを買うのだと思っていたらまさか通常状態の時用の服も買うとわ。

 

「でも、今こっちの姿のを買ってもらいましたし。あっちの分までは・・・」

 

「いいのよ。健悟君にはお世話になってるんでし。それに言ったでしょお詫びだって?」

 

「う~ん。分かりました」

 

正直大人用だけでなく子供用も買ってもらうのは気が引けたがお詫びをしたいと言っている以上、ここは素直に折れることにした。

 

同所 男子トイレ

 

『OLD RIDE! TWENTY!』

 

普段の姿の用の服の購入も無事に終わり、オールドライドを使う為に一先ず買った服をすぐに着て通常時の姿でトイレに移動、リンディさんに待ってもらって大人用の服を持ってトイレ内に人がいないことを確認してから個室に入る。

子供用衣類を脱ぎ、オールドライドで大人の姿になって大人用の衣類に着替える。

結局普段用の服も上下3セット買ってもらってしまった。

着替えを終えてリンディさんの所に戻ると近くのアクセサリーショップのショーケースの商品をリンディさんはジッと見ていた。

 

「お待たせしました」

 

「あ、おかえりなさい」

 

「何を見てたんですか?」

 

俺が声を掛けるとリンディさんはこちらに振り向いた。

何を見ていたのか気になってショーケースを覗いてみるとリンディさんが見ていたのはシルバーのネックレスだった。

 

「ネックレスですか?興味あるんですか?」

 

「そうねぇ。デザインもいいし、綺麗だから少しいいかなって思ったんだけど」

 

「買いますか?」

 

「ううん。多分私には似合わないと思うから。さ、次に行きましょうか」

 

ネックレスを見ていたリンディさんに購入するのか尋ねるが自分には似合わないと断ってしまう。

俺が戻ってきた為、次の売り場にリンディさんは歩き出す。

俺は似合うと思うんだけどなぁ。

そう思うながら俺はリンディさんの後を追いかけた。

 

同所 和食レストラン

あの後、色々買い物をしてお昼になったので食事をすることになった。

リンディさんのリクエストでこのレストランに入り、昼時だった為少し待たされてリンディさんは天ぷら御膳、俺はとんかつ御膳を選んだ。

とんかつ美味いなぁ。

 

「この後はどうしましょうか?他に見たいものってあります?」

 

「そうねぇ。本屋さんに行きたいわね。色々見みたいものがあるの」

 

「わかりました」

 

食事をしながらリンディさんにこの後まだ行きたい所がないか尋ねる。

少し考えた後、本屋に行きたいとのことで食事後の行き先は本屋に決まった。

俺も何か漫画やラノベ、雑誌を見てみよう。

 

同所 本屋

食事を終えて言っていた通り、本屋に来た俺とリンディさん。

着いてすぐに互いに別行動を取り、各々の見たい本を見て回る。

俺は最初に漫画、次にラノベ、次にホビー誌や車等の雑誌を立ち読みする。

何冊か見ている時にトイレに行きたくなった。

さっきの和食レストランで水を飲みすぎたからか?

 

「リンディさん、俺トイレ行ってきます」

 

「ええ。ならここで待ってるわね」

 

流石に黙って居なくなるのはよくないので本屋内でリンディさんを探してトイレに行くことを伝えてから一度本屋を出る。

この辺で近いトイレは確かさっき着替えの時に使ったトイレだったな。

行くか。

 

同所 男子トイレ

 

「ふぅ~。スッキリした」

 

トイレを済ましてハンカチで手を拭きながらトイレから出る。

正直ちょっと危なかった。本屋からここまでちょっと距離あたんだよなぁ。

普通もっとトイレってあるもんじゃないの?

このフロアだけか?

 

「あ」

 

トイレから出て、先程のアクセサリーショップが目に入る。

俺はアクセサリーショップのショーケースを覗き込み、もう一度リンディさんが見ていたシルバーネックレスを見ながら右手を顎に当てて考える。

 

「・・・・・ふむ」

 

2、3分程考えて結論を出すとアクセサリーショップ内へと入っていく。

 

同所 本屋

 

「リンディさん。お待たせしました」

 

「あら、おかえりなさい」

 

本屋に戻ると入口付近でリンディさんが待っていた。

手には本屋の袋が握られている。

 

「あ、本買ったんですね。どんなの買ったんですか?」

 

「お料理の本にファッション誌とか色々いいのがあったから買っちゃったわ」

 

「そうですか。まだ他に行くところ、ありますか?」

 

「うーんっと。これは買ったし、あれも買ったからぁ。・・・うん、大丈夫。そろそろ帰りましょうか」

 

「了解です」

 

気に入った本が買えたようでリンディさんは嬉しそうだ。

他に行く所がないか尋ねるがもう既に買うものは購入し終えた為買い物は終了。

帰宅するために車へと向かう。

 

車内

買い物を終えて車を走らせたが今度は時間帯的にこっちが多少混んでいる。

 

「今日はありがとうございました。大人用と子供用の両方の服を買ってもらって」

 

「ううん。気にしないで。それになんだかんだで私も自分の分を色々買っちゃったから。荷物持ちをさせてごめんなさいね」

 

「いえ、大丈夫ですよ。そんなに重くなったんで。鍛えてますから」

 

しばらく車を走らせていると信号が赤になったため停車する。

もうそろそろ渡してもいっか。

 

「あの、リンディさん」

 

「何かしら?」

 

「これ、どうぞ」

 

「え?」

 

上着の内ポケットに手を伸ばす。

そこから綺麗にラッピングされた箱を取り出してリンディさんに差し出すとリンディさんは目を丸くしていた。

 

「えっと・・・私に?」

 

「ん。その~、なんといえばいいか。お礼だってことは分かってはいるんですけど、服買ってもらったり、今日一緒に買い物が出来て、楽しかったです。あとまだ日は浅いですけど家のこと色々してもらってるんで。あと、前に風呂場で・・・。その時のお詫びをしてなかったんで。ですので感謝とお詫びを込めて」

 

「あ、あらやだ。そんないいのに!・・・でも、ありがとう」

 

驚きながら尋ねてくるリンディさんに俺は頷く。

今日の服を買ってもらったことと日頃の感謝、そして以前の脱衣所での事故のお詫びの両方を込めていることを言うとリンディさんは多少困った様子だったが、すぐに笑顔になってお礼を言って箱を受け取ってくれた。

リンディさんが箱を受け取ってくれた直後に信号が青へと変わり、車を走らせる。

 

「開けてもいいかしら?」

 

「どうぞ」

 

受け取ったプレゼントをリンディさんが開けていいか尋ねてくる。

今開けるのかとも思ったが何処で開けるのはリンディさんの自由なので頷いた。

俺が頷くとリンディさんはラッピングを外し、箱を開ける。

 

「これは・・・」

 

俺がリンディさんに送ったのはリンディさんが見ていたシルバーネックレスだ。

 

「リンディさんが見てたと思う物を買ってみたんですけど。もしかして間違ってました?右隣のやつでした?」

 

「う、ううん!確かにこれを見てていいかなって思っていたけど、これそんなに安くなかったはずよ?!」

 

もしかしたら間違っているのかと不安になって聞いてみたが物は合っていたようでホッとした。

俺がホッとしている中、安い値段ではないネックレスを送られたリンディさんは驚いている。

確かにそこそこいい値段はしたな。

 

「まぁでも。貯金は大分余裕ありますし、この車やGトレーラーのベース車両に比べたらかなり安いですよ?」

 

「そ、そうかも知れないけど。あの時、私には似合わないからいいって言ったと思うのだけど」

 

「確かに言ってました。でも、これはあくまでも俺の意見というか、そんなことないって思ったんですよね」

 

「え?」

 

金銭面的にも問題ないことを伝えるがリンディさんはショッピングモールでネックレスは似合わないと言っていたはずだと言う。

勿論それは覚えていたが俺はそれを否定するとリンディさんは驚いたような声を漏らし、丁度信号が赤になって停まった為、リンディさんの方を向く。

 

「あの時似合わないと思うって言われて、リンディさんがそのネックレス付けてるとこを想像してみたんですよ。俺的にはよく似合ってるよ思いましたけど」

 

「・・・・・」

 

「例え貴女や他の誰かが似合ってないって思っていたとしても似合ってるって思う人もいると思うんです。少なくとも俺はそのネックレスを付けているリンディさんは似合ってると思ってます」

 

「あ・・・///」

 

俺が正直にネックレスを送ろうと思った理由を言うとリンディさんは小さく声を漏らし、顔を真っ赤にすると俯く。

少し待ったがリンディさんは俯いたままで、信号が青に変わったのに気づき、前を向いて運転を再開する。

 

「ですが、気に入らなかったなら俺が自分で・・・」

 

「本当に・・・」

 

「?」

 

「本当に・・・健悟君は私に似合うと思ってる?」

 

「はい。思ってます」

 

気に入らないなら俺が使う。

そう言おうとした時、送ったネックレスが本当に自分に似合っていると思っているのか尋ねてくるリンディさんに俺は力強く返事を返す。

 

「付けてるとこ、ちゃんと見てないのに?想像だけだと分からないものよ?」

 

「う・・・。う~む」

 

確かにそう言われるのは辛い。

想像してみたけど実際に身に着けたら合わないってのはあるしなぁ。

なんだか急に自身が・・・。

 

「だから、付けてみていいかしら?」

 

「え?」

 

想像だけでは本当に似合うかは分からないと指摘されて少々自身をなくして唸っているとリンディさんから付けてみていいか聞かれて、今度は俺が驚きの声を漏らして思わず首をリンディさんの方に向けたが慌てて前に戻した。

 

「そして、実際に見て感想を聞かせて欲しいの」

 

「・・・・・今っすか?」

 

「ええ。今」

 

「了解です」

 

実際にネックレスを付けて似合っているかどうかを今すぐに見て感想を聞きたいと言うリンディさんに頼まれ、車を道路脇に止める。

ギアをパーキングに入れ、サイドブレーキを掛けてリンディさんの方を見る。

車が停まるとリンディさんはネックレスを取る。

 

「・・・」

 

「どうしました?」

 

だが、リンディさんは持ったネックレスを見ながら何かを考えている。

どうしたのかと思い俺はリンディさんに声を掛けた。

 

「折角だから健悟君が付けてくれないかしら?」

 

「あー、分かりました」

 

一瞬迷ったけど断る理由はない為、付けることを承諾してリンディさんからネックレスを預かる。

ネックレスを預けるとリンディさんは俺がネックレスを付けやすくする為にポニーテールを前にやり、軽く持ち上げてくれた。

 

「っ!?」

 

髪を持つ仕草と普段はポニーテールであまり見ることのないリンディさんの項に俺は思わずドキっとしてしまった。

これが大人の女性の魅力なのだろうか。

って何を考えてるんだ俺は!?

余計な事を考えるのは止め、リンディさんにネックレスを付ける。

 

「出来ました」

 

「ありがとう」

 

ネックレスを付けるとリンディさんが俺の方を向く。

 

「どう・・・かしら?」

 

付けたネックレスが似合っているかどうか、尋ねてくるリンディさんに俺は素直に感想を口にする。

 

「似合ってます。凄く」

 

正直想像していたよりも似合ってる。

 

「ありがとう。嬉しいわ」

 

「気に入ってもらえました?」

 

「ええ。ありがとう健悟君。これ、大切にさせてもらうわね」

 

「はい」

 

俺が素直な感想を言うとリンディさんは笑顔でお礼を言ってくれた。

ネックレスを気に入ってくれたようで安心した。

安心したところと急にちょっと恥ずかしくなってきた為、そろそろ家に帰ろうとシートベルトを締め、ギアをドライブに、サイドブレーキを外して車を走らせる。

ちなみにこの後家に帰えるとリンディさんが家を出るときには付けてなかったネックレスを付けていることにエイミィさんが気づき、それに気づいたクロノが不機嫌気味に問い詰めてきて、フェイトは何故か拗ねていた。

そんなフェイトをアルフは苦笑いしながらなだめている。

リンディさんは右手を右の頬に当て、あらあらっと困った様子だ。

何故だ。

何故プレゼントしただけでこうなるんだ?

そんなことを想いながら俺は皆に説明をすることになったのだった。

 

 

後書き

 

ARXー7アーバレスト「いやぁ、半年ぶりに書けたわぁ」

 

健悟「段々と更新が遅くなる。悩みの種だな」

 

アポロン「ようやく更新できましたね」

 

ARXー7アーバレスト「早いもんだねぇ時間が経つのは!仕事終わって空いてる時間見つけては艦これやったりプラモ作ったり色々しつつ、この小説書いてると中々進まんねぇ」

 

健悟「多趣味すぎるんだよお前は」

 

ARXー7アーバレスト「やりたいことが多すぎるんだよね。そして気づけばもう25歳で12月で2017年ももうすぐ終わりだよ」

 

アポロン「何はともあれ頑張るしかありませんね」

 

ARXー7アーバレスト「その通り!頑張って書いていくよ!」

 

健悟「ところで最初のあのシュミレーションはなんだ?なんでGEAT?なんでファントム?」

 

ARXー7アーバレスト「愚問な質問だね?その理由は俺が好きだから!GEAT第一期のファントム2機の空中戦シーンと神子田二佐と久里浜二佐、そしてファントム自体が!艦上戦闘機で一番好きなのはF-14トムキャットだけど、ファントムのフォルムも好きなんだよ」

 

健悟「そ、そうか。しかしリンディさんとデートしてしまうとわ・・・」

 

ARXー7アーバレスト「ドキドキした?」

 

健悟「う、うるさい!」

 

アポロン「十分していました。普段よりも心拍数が高かったです」

 

健悟「余計なことを言うな!」

 

アポロン「あの時は私は空気になるよう徹しました。お二人の邪魔にならないように」

 

健悟「どうり静かだと思った。悪いな気を使わせて」

 

アポロン「いえ」

 

ARXー7アーバレスト「さて、そろそろ次回予告と行こうか!

 

健悟「切り替えはえな、おい。んで、今回はなんの次回予告を使うんだ?」

 

ARXー7アーバレスト「ごめん。考えてないから今回は普通にやるわ」

 

健悟「ここで手抜きかよ!!」

 

ARXー7アーバレスト「いやぁごめんごめん。次は頑張るから」

 

アポロン「そんなことよりもマスター、次回のタイトルを」

 

健悟「わかったわかった。えっと、次回、少年が望んだ世界と力『第六十一話 巻き込み注意!ラムダ起動!』です」

 

ARXー7アーバレスト「さぁ、出来れば本年中にもう一本行きたいけど無理な割合の方が高いから読者の皆様、先にご挨拶を!メリークリスマス!そしてよいお年を!」

 

健悟「諦めるなよ。でもその可能性が高いからな。俺達も言うか」

 

アポロン「ラージャ。メリークリスマス」

 

健悟「よいお年を!!・・・ところでこのタイトルなんだ?また誰かが何かに巻き込まれるのか?」

 

アポロン「それにラムダとはどちらのラムダなのでしょうか?」

 

ARXー7アーバレスト「それは次回まで待て!次回もお楽しみに!!」


 
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