No.930105

ポケモンDPt 時空神風伝 43

フウイさん

ポケモン赤を、殿堂入りできたらいいなぁ…USMまでに。

2017-11-15 14:49:59 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:515   閲覧ユーザー数:515

反転世界の王、ギラティナ

 

必死にアカギを追いかけるクウヤ達だったが、その果てとも呼ぶべき場所でついに彼を追いつめた。

 

「追いついたぞ、アカギ・・・!」

 

そして、彼の背後にはこの反転世界の主がいた。

白金色の頭部と黒い顔についた赤い瞳はアカギを厳しくにらみつけている。

 

「ギラティナ・・・!」

「・・・」

 

クウヤの声に気づき、ギラティナはクウヤをみる。

ギラティナが自分をみたことに気づいたクウヤは、自らギラティナに歩み寄っていく。

危ない、と自分を止めようとするシロナやジンダイに対して大丈夫だといって、アカギの横を通り過ぎて、クウヤはギラティナの前に立った。

そのあとで、アカギは彼らから離れていったが、クウヤはそれを知りながらもギラティナと向かい合う。

 

「ギラティナ、おれはクウヤ・・・ポケモントレーナーだ」

「・・・」

「おれは、アカギを止めるためにきたんだ。

ディアルガのこともパルキアのことも、そしてギラティナのことも変なことに使おうとか、傷つけようとも思ってない。

お前が世界を守ろうとする気持ちは分かる、おれだって同じ気持ちだよ。

だけど、このままお前にあいつのことを任せてたら、きっとなにも解決しないっておれは思うんだ」

 

クウヤの目は、ずっとギラティナの目を見ていた。

 

「だからおねがいだ、あいつのこと、おれに任せてくれないか!?」

「ギシャアアアァァァーーーッ!」

「わぁ!」

 

クウヤの言葉を了承することはない、というかのようにギラティナは叫んだ。

そのとき発生した衝撃波によってクウヤはとばされそうになる。

 

「クウヤ!」

 

すぐにジンダイがクウヤを捕まえて助けたために、クウヤは反転世界の空間に落ちることはなかった。

だがその瞬間、クウヤのポケットからなにかが落ちた。

 

「あ、やべ!」

 

ポケットから落ちてきたそれをクウヤはギリギリでキャッチした。

クウヤの手にあったのは翠色の鱗のようなものだった。

 

「クウヤ、それは?」

「シンオウを旅立つ前にさ、レックウザにあって、そのとき手に入れたんだ!

きっとレックウザのものだと思うから、ずっと大事にとっておいたんだよ!」

「・・・そうか・・・お前も・・・」

「?」

 

ジンダイの言葉にクウヤは疑問を持ったが、すぐにギラティナの鳴き声がしてそっちを向く。

 

「・・・」

「ギラティナ?」

 

赤い目は、またクウヤをみていた。

だがその目はさきほどと比べて、穏やかなものがあった。

ギラティナのその様子に疑問を抱いていると、ジンダイ

 

「ギラティナは、アカギをどうするかはお前に任せるって言ってるぞ」

「えっ!」

「レックウザがお前を選んだ証をみて、お前のことを信用したようだ。

だからお前は胸をはって、アカギと直接決着をつけろ」

「ジンダイのおっちゃん・・・」

 

ジンダイは力強く、クウヤにほほえみかけてそういった。

 

「大丈夫よ、クウヤくん」

「シロナさん」

「私も彼も、そしてギラティナも・・・なによりも君のポケモン達が君を信じている。

その信じる気持ちが、君の力になるって私たちは自分たちも信じるわ。

だから君は自分でいったとおり、君とポケモン達で、アカギをとめて」

 

シロナはクウヤがどんな少年なのかを、理解している。

だからここは自分より、彼に向かってもらった方がアカギも罪を認めるのかもしれないと思った。

 

「わかった・・・おれ、アカギと戦って、そして罪を認めさせて償わせるよ!」

 

ジンダイとシロナ。

二人の言葉を受けてクウヤはアカギの元へ向かった。

 

「アカギ!」

 

さっきの場所より少し離れた場所。

そこで二人はそろった。

 

「ギラティナはいいのか」

「いいよ・・・おれの目的は、ギラティナじゃないから」

 

クウヤは今度は、アカギと向かい合った。

 

「おれの目的は・・・アカギ、お前を止めることなんだ。

ずっとそれを言ってきたんだから、おれは今・・・その言葉どおりのことをしたい」

「・・・そのために、なにをするというのだ」

「決まってるだろ!」

 

そういってクウヤは、アカギにモンスターボールを突きつける。

 

「ここはやっぱりこれだ、ポケモンバトル!」

 

 

「・・・では決めようではないか、私の描く世界と今の世界、どっちの方が正しいのか・・・。

私と君、ここで戦って」

「おう、いいぜ! そのかわり・・・おれは絶対に負けないな!」

 

クウヤはにっと笑って、リーンを出した。

アカギは表情を変えず、ギャラドスをだす。

 

「ギャラドス、アクアテール」

「リーン、リフレクター!」

 

ギャラドスのアクアテールをリフレクターで受け止め、さらにシャドーボールで攻撃する。

その一撃に耐えたギャラドスは再びアクアテールで攻撃するがリフレクターに再び阻まれた。

そこでかみくだく攻撃にでて相性で攻撃しリーンに大きなダメージを浴びせたがリーンはそれに耐えサイコキネシスでギャラドスを吹っ飛ばし、追撃で10まんボルトを浴びせてギャラドスを戦闘不能にする。

 

「交代だ、ゆけクロバット!」

「おれも交代するぜ、いけ、トーム!」

 

アカギはギャラドスをさげ、今度はクロバットを出した。

それにあわせてクウヤはトームをだす。

 

「・・・」

 

アカギはクウヤにたいして抱いたのは、彼だから抱くであろう、一種の嫌悪感。

心を邪魔と思い完璧な存在になるためにそれを捨てて目的のため今まで行動してきた自分。

その心のままにいき不完全な存在とも思えるのに決してぶれずにありのままでいる少年。

そんな少年は、今まで自分と対立し、自分より上であることを示してきた。

そして今も、彼は心のままに表情を変え言葉をだし、自分を圧倒している。

何故なのだ、とアカギが考えている間にも、クロバットのエアスラッシュを貫いたトームのほうでんが、クロバットを戦闘不能にした。

 

「ドンカラス」

「最後、いくんだヒーコ!」

 

アカギの最後のポケモンはドンカラス、対するクウヤはここまで何度も苦楽をともにしてきたパートナー、ゴウカザルのヒーコ。

 

「ドンカラス、あくのはどう」

「かわしてマッハパンチ!」

 

あくのはどうをかわしたヒーコはマッハパンチをヒットさせる。

そのままかえんほうしゃを放つヒーコだが、それはあくのはどうで相殺され、そのままシャドーボールとエアカッターの連続攻撃を受けてしまう。

 

「大丈夫か、ヒーコ!」

「ゴォウ!」

 

ヒーコは大丈夫だといわんばかりに鳴き声をあげ、頭の炎の火力を増した。

その頭の炎をみたクウヤはにっと白い歯を見せて笑う。

 

「そうか・・・お前も、この勝負負けたくねぇんだな!

おれも、お前と同じ気持ちだ・・・それがわかって、おれは嬉しいぜ!」

「ゴォォウ!」

 

クウヤとヒーコは、その顔に笑みを浮かべる。

それがまた、アカギの中のいらだちを膨らませる。

 

「ねじ伏せろドンカラス、ゴッドバード」

 

主人の指示に従ってドンカラスは力をため、そして金色のオーラをまといながらヒーコにつっこんでいった。

 

「いけ、フレアドライブ!」

 

クウヤはヒーコに、強力な炎の力を身にまとった突進攻撃の技を指示すると、ヒーコはそれにあわせて炎とともにドンカラスにつっこむ。

ゴッドバードとフレアドライブ。

二つの強力な技同士の衝突によって、そこにエネルギーが爆発しあう。

 

「いけぇーーーっ!」

 

クウヤが叫ぶと火力は増し、ヒーコの炎がドンカラスをつつみこむ。

やがて、それは大爆発を起こした。

 

「・・・!?」

 

大爆発が収まった後、二人が目撃したのは着地した2ひきのポケモン。

ヒーコはたち、ドンカラスは地に倒れていた。

 

「・・・ば、かな・・・」

「やったぜ!」

 

クウヤはアカギとの勝負に、勝利したのだ。

 

 

一方、勝負に負けたアカギはぶつぶつとつぶやく。

 

「何故・・・何故・・・私は負けた・・・君は何故・・・今私の前にたっている」

「カンタンだよ」

 

クウヤはヒーコと一度向かい合って笑ってから、アカギをみた。

 

「おれはおれを信じてくれてる・・・だからおれは自分も信じたんだ。

だからおれは、自分の心に正直に言こうって決めて、ここまできた。

それだけだよ」

「そんな・・・くだらんものに・・・」

「なにっ?」

 

クウヤの主張を否定し、アカギは自分がずっと思っていることを語り出した。

 

「きみのいう信頼も絆も・・・いずれはなくなってしまうものだ。

それをどれほど強く思っていたとしても、いなくなれば無とかわる。

その瞬間に、悲しみや怒り、憎しみが生まれそれを繰り返す。

だから私は心を捨てた、だから誰にも心を持たせないようにした」

「・・・なんだよ・・・それ・・・」

 

アカギの言葉に対しクウヤは身を震わせる。

 

「なんなんだよ、いずれはなくなってしまうものだから心を捨てたって・・・!

そんなもん、辛いことや苦しいこと、悲しいことが怖くて逃げてるだけじゃねーか!」

「・・・なに・・・?」

 

クウヤの発言にアカギは眉間にしわを寄せた。

 

「お前は世界から逃げてないみたいなこと言ってたけど・・・もうその考えを持っちゃった時点で、お前はもう逃げてたんだよ・・・世界から!

マイナスなことからひたすら逃げて、今もお前はそういうのから逃げてる・・・。

アカギ、お前はボスでも新しい世界の神様なんかでもねぇ・・・おれが知ってる中じゃ、一番の臆病者だよ!」

「黙れ!」

 

アカギはクウヤに向かって怒鳴る。

急に感情を露わにして怒鳴ってきたアカギに対しても、クウヤはひるまない。

 

「私は、臆病者などではない!

神となる指導者だ、そのために私はギンガ団を結成しここまで・・・」

「いや、おれからしたらお前はただのビビリだよ!

お前がしたきたことは、自分だけを守るためにつくったものだ!」

「クウヤくんのいってること、私は正論だと思うわね」

「あ!」

 

そこに、シロナとジンダイも合流してきた。

 

「悲しみや苦しみがあるから、人は喜びや楽しみを感じるし・・・怒りがあるから、優しさが生まれるのよ。

それを理解して初めて、心というものがどうあるべきかがわかるの」

「お前はギンガ団という組織を、自分自身を守るためだけにつくった。

誰にも干渉されない、することない、そうしていれば自分は傷つかない。

それがお前の本当の目的・・・神になると言うのはお前のその本当の目的のために作った・・・別の目的だ」

 

クウヤに続いてシロナとジンダイにもたてつづけに言葉を浴びせられたこと。

そして、自分の長年の目的が潰えたことによって、アカギは再び表情を失った。

 

「私・・・は・・・」

 

混乱するアカギを見下ろして、シロナはふぅ、と息をはく。

 

「・・・まぁ、貴方がそれを理解するのはまだまだ難しいかもしれないけど、私は私の役目を果たすわ」

 

クウヤといれかわりで、今度はシロナがアカギの前にたつ。

 

「ギンガ団の首領アカギ、貴方の身柄は警察に引き渡させていただきます」

「・・・」

 

もう自分にできることはない。

そう判断したアカギはシロナの言葉に、小さくうなずいた。

 

 

戦いが終わり、元の世界に帰ろうと思ったときだった。

ユクシー・エムリット・アグノムの3匹がクウヤの前に現れた。

 

「わ、お前達・・・そういえばいたっけ・・・」

「きゃううん!」

「きょううん!」

「きゅううん!」

「ご、ごめんって!」

 

怒る3匹にしっぽでたたかれながらも苦笑して謝るクウヤ。

3匹はしばらくしっぽで彼をたたいたので満足したように空中に浮かぶと一転に力を集中させ、光の玉を作り出した。

 

「・・・!」

 

光のたまには映像のようなものがでていた。

そこはやりのはしらで、ディアルガとパルキアがいた。

 

「ディアルガ、パルキア・・・!?」

 

だが2匹の表情は穏やかで、落ち着いている。

やがて2匹はお互いの顔を見た後で高く鳴き声をあげると、宙にふわりと浮かび上がり、それぞれ別の場所へとんでいった。

 

「赤い鎖が消えている・・・壊されたのね・・・だからあの2匹も自由の身になって、自分たちが本来いるべき場所へ帰っていったんだわ」

「もしかして、コウキ達がやったのかもな!」

 

クウヤの言葉に対しシロナはそうかもね、と言いくすりと笑う。

すると3匹はなにかを伝えたいかのように浮遊した。

 

 

「あ」

 

クウヤの前に現れたのは、反転世界の主だった。

 

「・・・ギラティナ・・・」

「・・・」

「・・・こいつは、おれ達の世界に返すよ。

大丈夫、絶対に普通の人間に戻すから心配するなよ」

「普通の人間って・・・」

「お前のこと、そして今回のこと・・・おれは絶対に忘れない。

この反転世界だって、ずっとずっと覚えてる。

レックウザのこの証のことも、それでお前がおれを信じてくれたことも、ちゃんとわかってる」

 

クウヤはギラティナの顔をみて、笑顔で言った。

 

「おれを信じてくれて、ありがとう、ギラティナ!」

「ピシャァァァァ!」

 

彼の言葉を聞いたギラティナは高い声で鳴くと、彼の前からゆらりと去っていった。

 

「ギラティナ・・・本当はとても、優しいポケモンなんだな・・・」

「・・・そうね・・・じゃあいきましょうか」

 

そういうとシロナは先に、アカギを連れて反転世界からでていった。

クウヤはしばらくギラティナの去っていった方向をみていて、ジンダイは彼のそばに歩み寄る。

 

「クウヤ」

「ん?」

「よくやったな・・・さぁ、帰るぞ」

 

ジンダイは彼の頭をなでながら、静かにほほえむ。

その手も表情も、とても優しかった。

 

「・・・うん!」

 

その優しい気持ちに触れながら、クウヤは皆とともに、反転世界をでていった。

自分のあるべき世界に、かえるため。

 

 

 

 


 
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