No.918687

恋姫無双 白き才姫に仕えし道化

アリアさん

みなさんのおかげで7話目です!

支援、コメント、読んでくださった皆さんに感謝です!

2017-08-15 23:48:15 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:1807   閲覧ユーザー数:1600

北郷一刀視点

 

俺と星はあの後宿に戻った。宿に行くと程昱さんや郭嘉さんが恐ろしい顔で待っていた。理由も分からなかったが怖かったので取り敢えず平謝りしておいた。訳を聞くと俺の帰りが遅いので夕食も食べずに待ったくれていたらしいのだが、星が我慢できずに酒を飲み出したそうだ。仕方なく外で少しだけ飲むのならと許可を出したそうだなのだが、一向に帰ってこないので様子を見に行くとそこに星がいない。驚いた2人は町中を今の今まで探しまわってたそうだ。・・・本当にすみませんでした!

 

その後謝り続けなんとか許してもらえた。ただし条件として明日の朝食を奢ることになった。俺の生活費がどんどん減っていく!まぁそれで許してもらえるなら安いものか。

 

その後俺は明日もバイトがあるので寝ようとしたのだが、俺が星と真名を読んでいる事に気付き話を振ってきた。

 

「そういえば一刀殿は星から真名を受け取ったのですね。」

 

「あ、はい。ついさっき受け取りました。」

 

ベットに寝ていた体を起こし向かい合う。

 

「おやおやお兄さん手が早いですね〜。このまま風と稟ちゃんも美味しく食べられてしまうんですかね〜。」

 

「そ、そんな訳ないじゃないですか!」

 

いきなり何を言ってるんだ!程昱さんは。星に同意を求めようと顔を向けると、星がニヤっと笑ってきた。わ〜嫌な予感しかしない。

 

「ええ、一刀が無理矢理私を押し倒してきて"真名を教えろ"と迫ってきたのです!」

 

「星!?」

 

星が体をクネクネさせながら言った。まずい!星が俺をからかい始めた。なんとかしなくては!

 

「おお〜お兄さん、大胆ですね〜。」

 

「ほ、本当に違いますから!」

 

流れがまずい、変えなければ。

 

「か、郭嘉さんは信じてもらえますよね!?」

 

真面目な郭嘉さんなら信じてくれるはず!さぁ郭嘉さん!この2人に言ってやって下さい!

 

「・・・」

 

うん?

 

「郭嘉さん?」

 

「・・・ぶ、ぶはぁ!」

 

「郭嘉さん!?大丈夫ですか郭嘉さーん!」

 

「おぉ〜!稟ちゃんがお兄さんの魔の手にかかってしまったみたいですね〜。」

 

「流石一刀。恐ろしく手が早いですな。」

 

「ふざけてないで早く医者を呼んできて下さい!」

 

早くしないと郭嘉さんが!

 

「お客様もう少し静かに・・」

 

「「「あっ」」」

 

「ふ、ふがぁ」

 

 

コケコッコー!

 

「・・・朝か。」

 

結局寝れなかった。あの後宿の人が部屋を見て大激怒。その後説教かと思ったが稟さんの様子を見て医者に連れて行くことになった。なったのはいいが、その後俺だけ部屋の掃除をすることになった。血のついた床を拭いたり、血のついた壁を掃除したりした。なんだか時間が経つにつれ殺人現場の掃除をしてるように思え気分が駄々下がり、朝を迎えた。

 

「・・・着替えてバイト行こ。」

 

于ちゃんに選んでもらったこの服は血で汚れてしまったので、しょうがなくフランチェスカの制服を着ることにした。目立つからやなんだよな〜この服。

 

着替えも終わりバイトに行こうとするとドアの向こうから声がした。

 

「か、一刀殿、起きてられますか。」

 

郭嘉さんだ。なんだろうか?

 

「はい起きてますけど、どうかしましたか?」

 

「はい、昨日の件を謝罪しにきました。」

 

ああ成る程。

 

「昨日の件は郭嘉さんのせいではありませんよ。むしろ残り2人が悪いですから。」

 

「しかし、一刀殿は寝ずに掃除をしたと聞いています。その責任は元を辿れば、鼻血を出し倒れた私のせいです。だから謝罪させて下さい、本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!」

 

扉の向こうから郭嘉さんが謝ってきた。う〜んどうしたものか、本当に気にしてないんだけどな。

 

とりあえず扉を開けてみる。そこには頭を下げたままの郭嘉さんがいた。

 

「郭嘉さん、本当に気にしてないですから頭を上げてください。」

 

「ですが、一刀殿にはもう何回もご迷惑を。」

 

「それこそ勘違いですよ。だって俺にとっては役得ですから。」

 

「役得ですか?一体何が?」

 

「それはですね。」

 

腰を落とし目線を合わせて頭を撫でる。

 

「こんな可愛い子の看病できたりとかですよ。」

 

正直掃除は大変だけど、郭嘉さんの為なら苦じゃないしな

 

そのまま頭を撫で続けていると郭嘉さんがプルプルし始めた。やばっ、調子乗りすぎたかな?

 

「・・・ぶ、ぶはぁーー!」

 

「うぉ!」

 

今までに見た事の無いような量の鼻血が出てる!このままじゃ郭嘉さんが死んでしまうぞ!

 

「郭嘉さん返事をして下さい!郭嘉さん!郭嘉さーん!」

 

「ふがっ。」

 

こうして俺はもう一度掃除をすることになった。

 

 

「やばい!バイトに遅刻する!」

 

俺はあの後部屋を掃除し、倒れてしまった郭嘉さんを程昱さんに任せてきた。本当は看病してあげたいけど、バイトが入ってしまっていたので無理だった。ごめんなさい郭嘉さん。

 

時間的に余裕もないので全速力で走っていると、

 

「きゃー!」

 

何だ!?女性の悲鳴ぽかったけど。

 

あっちの方に人だかりが出来ている。あそこに行ったら確実に遅刻するが・・・ええぃ!迷うな!困っている人がいたら助けるのが当たり前だろ!

 

そうして俺は人だかりに向かって行った。

 

人だかりに着き、中を見てみると

 

「おい!金と食い物早くもってこい!じゃねーとこいつの顔、一生人前で歩けないようにするぞ!」

 

男たちが一人の女の子を人質にし、剣を振り回して食料と金を要求していた。

 

「なっ!」

 

マジかよ、こんな真っ昼間に人質とって金品と食料の要求だと!?この町の警備隊は何してんだよ!

 

人質になった女の子が心配で様子を見てみると

 

「う、于ちゃんじゃないか!」

 

なんで于ちゃんが捕まってるんだよ!初めて会った時に気がついたけど武術をやっているはずだ。さすがに星程では無いにしてもあの程度の奴らなら撃退できるはずなのに!

 

疑問に思っているとその理由がわかった。

 

「おら!もっとこっち来い!」

 

そういい于ちゃんの髪をグッと引っ張った。

 

「痛い!離せなの!」

 

「おら、暴れるんじゃねーぞ!このガキどうなってもいいのか?」

 

そういうと男の一人が小さい5歳くらいの女の子を連れてきた。

 

「うぅ〜卑怯なの!」

 

「俺たちは盗賊だからな!卑怯って言葉は褒め言葉なんだよ!」

 

・・・成る程、理由が分かった。于ちゃんは脅されていたのか。確かにそんな理由がなければ于ちゃんがあんな奴らに捕まっている訳がないからな。

 

さてと、どうするか。そんな事を考えていると

 

「お前ら沙和を離せ!」

 

誰かが大声でそう言った。一体誰だ?

 

その声の主を見てみる。白い髪で鎧をつけている女の子がいた。あれってこの前見た于ちゃんの旅仲間じゃないか。確かに旅をしているだけあってかなり強そうだが、

 

「ああ〜!?テメーこの状況がわからねーのか!そこから一歩でも動いたらこの2人を殺すぞ!」

 

「くっ!」

 

人質がいない状況ならあの子の圧勝だろうが今は状況が悪い。

 

「凪ちゃん!沙和の事はいいから女の子を助けてあげてなの!」

 

「駄目だ!」

 

「でも凪ちゃん!」

 

「うるせぇーな!おとなしく黙ってろ!」

 

「きゃ!」

 

于ちゃんが髪の毛を引っ張られ引き倒された。

 

「っ!貴様!!」

 

于ちゃんの友達が激昂し、男に向かっていったが

 

「おっと、動くんじゃねーぞ。お友達の顔が無残なことになるぞ。」

 

「っ!クソ!」

 

男が手に持っていた剣を于ちゃんに突きつけたため、止まるしかなかった。

 

「ほらほら、お友達の命が惜しかったらその物騒な武器と鎧を脱ぎな。」

 

「・・・くっ!」

 

于ちゃんの友達は言う通りに武器と鎧を脱いだ。

 

「ははは!これはいいな!見ろよ、お前のお友達は俺の言いなりだぞ!」

 

「凪ちゃん、ごめんなさいなの!」

 

于ちゃんは今にも泣きそうな顔をしている。

 

「気にするな沙和。お前のせいじゃない、私がもっと強ければこんなことにはならなかったんだ。」

 

于ちゃんと友達が話していると

 

「おいおい、何無視してんだよ?さて次はその服を脱いでもらおうか。」

 

「なっ!」

 

「どうした?お友達がどうなってもいいのか?」

 

「ッ!クッ!」

 

于ちゃんの友達が服に手をかけた。

 

「凪ちゃん!ごめんなさい!ごめんなさいなの!」

 

とうとう于ちゃんは泣いてしまった。

 

・・・プチッ。

 

俺は気付くと盗賊たちに方に歩いていた。

 

凪視点

 

「ッ!クッ!」

 

沙和の為だ。ここは言う通りにするしかない。

 

自分の服に手をかける。

 

「凪ちゃん!ごめんなさい!ごめんなさいなの!」

 

沙和泣かないでくれ、この程度の事でお前が助かるなら安いものだ。

 

そう思いながらも手が震える。

 

早くしろ私!早くしないと沙和が!

 

覚悟を決めたその時、

 

「すみません、一体何があったのでしょうか?」

 

場違いな男の声が聞こえた。声の主を見ると白く光り輝く服を着た細い男がいた。何者だ?

 

クソ!この状況でなんで入ってきた!

 

私が考え込んでいると、

 

「か、一刀さん!?なんでこんなところにいるのなの!?」

 

どうやら沙和の知り合いらしい。

 

「あ、于ちゃん!昨日ぶりですね!」

 

「は、早く逃げてなの!こいつら盗賊だから逃げないと殺されちゃうなの!」

 

「はは、于ちゃんは優しいですね。」

 

優しい笑顔で沙和に語りかけていた。すると一人の盗賊が

 

「おいおい、この状況で何いちゃついていや!」

 

「黙れ。」

 

ッ!なんだいきなり男の表情が変わった。先ほどの優しい笑みとは対照的な氷のような冷たく鋭い目つきをしている。

 

「ヒィ!」

 

話しかけた男も先ほどまでの態度が嘘のように怯えている。

 

「一刀さん?」

 

沙和が不安げに聞いた。するとまたあの優しい笑みに戻り

 

「大丈夫ですよ于ちゃん。すぐ終わりますから。」

 

沙和に優しく言った。そして盗賊たちに一歩踏み出した。

 

「お、おい!それ以上近づいたらこの女を、ガハッ!」

 

なっ!今何が起こった!?確か沙和の友が一歩踏み出し盗賊が脅した。そこまではわかったがその後何が起こった?気がついたら沙和の髪を掴んでいたあの男が倒れた。一体何をしたんだ!?

 

「て、テメー!い、い、今何しやがった!?」

 

盗賊たちも分からなかったようで私と同じ疑問をした。

 

「・・・説明する必要ある?近づいて殴った。それだけだけど?」

 

「嘘つくんじゃね!あの距離を一瞬で詰められるか!さてはお前妖術使いだな!?」

 

そうだそうだと、他の盗賊たちも頷いている。確かに妖術なら説明がつくが本当にそうだろうか?

 

「残念外れ。正解は!」

 

「ゴハァ!」

 

次の瞬間、小さい女の子を捕まえていた男を殴り飛ばしていた。

 

「一歩で近づいているから速く移動できてるからでした。」

 

「や、やっぱり妖術使いだ!」

 

「・・・めんどくさいから訂正はしないよ。」

 

・・・すごい!一瞬だが移動しているのが見えた。彼は本当に一歩で移動しているようだ。・・・しかしどうやって?少なくとも私が知らない武術のようだが。

 

そんな事を考えていると盗賊たちに動きがあった、

 

「い、一斉かかれ!どんな化け物でも人数で押しつぶせば大丈夫だ!」

 

ウオォー!と声を上げながら、一斉に彼に襲いかかった。

 

「危ない!」

 

彼が強くてもこの人数では不利だ!そう思い加勢に入ろうとした瞬間、

 

「10人くらいか、30人に比べればどうって事ないなら。」

 

彼がそう呟き、姿勢を低くした。何をする気だ?

 

そう思った瞬間、彼の姿が一瞬消えまた現れた。

 

今のはなんだったんだ?そう思った時、

 

バタバタバタ!

 

盗賊たちが次々倒れていく。

 

なっ!あの一瞬でこの人数を倒したと言うのか!

 

あまりのことに驚いていると彼が沙和達の所へ向かっていた。

 

そして私は、その後ろ姿と服装を見てある事を思い出した。

 

「天の御使い。」

 

彼がそうなのだろうか。

 

 

北郷一刀視点

 

ふぅ〜、上手くいってよかった。全く最近多人数との勝負が多いな。武器もないのにやめてほしいよ。さてとと。

 

気持ちを入れ替え、于ちゃん達の所へ向かった。

 

「二人とも怪我はありませんでしたか?」

 

「う、うん。」

 

「だ、大丈夫なの。」

 

「そうですか!本当に良かったです!」

 

そう言った後、2人の頭を撫でた。

 

「うぅ〜恥ずかしいなの。」

 

女の子はくすぐったそうに撫でられているが、于ちゃんは恥ずかしいそうに俯いている。だかやめないぞ!本当に心配したんだからねこのぐらいは受けてもらわないと!そう思い撫で続けているとある事に気がついた。

 

「え〜と、于ちゃん。言いにくいんですが服が少し破けてますよ。胸元のところ。」

 

「え!・・・わぁ!本当なの!」

 

服は胸元から腹にかけて裂けていた。多分押し倒された時に破けたのだろう。

 

「うぅ〜どうしようなの。」

 

そう言い自分の胸を抱きしめるようにして服を抑えていた。確かにこのまま歩くのは恥ずかしいかもな。・・・よし!

 

「于ちゃん、よかったらこの服を使って下さい。」

 

そう言い制服の上着を差し出した。

 

「え!でも悪いなの。」

 

「構いませんよ。俺はこの近くの食事処で働いてますので、食事のついでにでも来てください。」

 

「わかったなの。ありがとう一刀さん!」

 

「どういたしまして。」

 

さてと次は女の子をお母さんのところに連れてかないと。そう思っていると1人の女性が近づいてきた。

 

「あ、お母さんだ!」

 

女の子が指を差しながら言った。どうやら大丈夫なようだな。じゃあ俺は行きますかね。

 

そう思いお店に向かって歩き出そうとした時

 

「お待ち下さい!」

 

誰かに声をかけられた。誰だ?

 

振り返ると白い髪をした女の子が立っていた。ああ、于ちゃんの友達か。

 

「どうかしましたか?」

 

「はい、自分の名は楽進と言います。沙和を助けていただいたお礼を言わせて頂きたいと思いまして。」

 

楽進か、またまた有名な武将が出てきたな。

 

「楽進さん構いませんよ。自分の好きでやった事なので気にしないで下さい。」

 

「ですが・・・」

 

「本当に気にしないで下さい。それじゃあ俺は行きますね。」

 

そう言い歩き出そうとした。すると

 

「では一つだけ質問に答えて頂けますか!?」

 

楽進さんがこう言ってきた。

 

「はい、何でしょうか?」

 

一体何だろうか?疑問に思っていると楽進さんが質問をしてきた、

 

「その光り輝く服に、この大陸では見かけない武術。・・・もしや貴方は天の御使いなのではないですか!?」

 

・・・ふむ、またその話か。一様言っておかないとな

 

「楽進さん俺の名前は北郷一刀と言います。」

 

「え、は、はい。北郷一刀殿ですか。」

 

「そうです。そして俺はそれ以上でもそれ以下でもありません。ただの北郷一刀です。きっと天の御使いは俺なんかよりも、もっと素晴らしい方ですよ。」

 

そうだ。こんな誰も守れず自分のことばっかり考えている俺なんかが、天の御使あのはずがない。きっと本物の天の御使いはもっと素晴らしい人のはずだからな。

 

楽進さんに言うことも言ったのでお店に向かおうとした。すると、ドタドタ大勢の人間の足音が聞こえた。何事だ?

 

「凪〜!沙和〜!警備隊を連れてきたで!」

 

音のする方を見ると鎧を着た人たちと一緒に見た事ある子が来た。あれ子も于ちゃんの友達かな?

 

そんな事を考えていると鎧を着た人たちに囲まれた。

 

「動くな!今から貴様らを連行する!」

 

やっと警備隊が来たようだし俺は行くか。そう思い歩き出そうとすると

 

「動くなと言っただろう!」

 

俺に槍を向けてきた。

 

「え!なんで俺!?」

 

「怪しげな服を着て盗賊たちの近くに立っている。この状況で違うと言うつもりか!」

 

ええ〜!変な勘違いされてる。誤解を解かなきゃ!そう思い話しかけようとしたその時

 

「お待ちください。その方は盗賊ではありません。」

 

楽進さんがそう言ってくれた。

 

「なんだ貴様は?」

 

「自分は、この方に助けられた者です。その方は盗賊ではなく自分たちを救ってくれた恩人ですので手荒なことはやめていただきたい。」

 

「それはまことか?」

 

「はい。全て事実です。」

 

「・・・ふむ。だがしかし」

 

どうやら悩んでいるようだ。まぁそうだよな。例え弁護の声が上がったとしても怪しい人物を捕まえるのが仕事だからな。

 

半分諦めかけていると

 

「おにいちゃんはとうぞくなんかじゃないよ!」

 

誰がそう言った。声の人物を見てみると先ほどまで人質になっていた女の子だった。

 

「お嬢ちゃん、それは本当かな?」

 

「うん!」

 

「う〜ん。こんな小さな子が嘘をつく必要もないしな。」

 

また悩み始めると、

 

「本当だ!その兄ちゃんがは盗賊じゃねーよ!」

 

「嘘だと思うなら全員に聞いてみなさいよ!」

 

そうだそうだ!とさっきまで見ているだけだった人たちも俺の弁護をしてくれた。・・・なんか嬉しいなこういうの。

 

多くの人たちが訴えたのが効いたのか。

 

「・・・まぁこの人数が全員言うなら違うのであろう。」

 

そういい鎧の人は他の人たちの指示をするために行った。

「一刀殿安心しました。どうなるのかと気が気でなくなくて・・^_^・一刀殿?」

 

「あっ、すみません。少し惚けてしまって。」

 

「まぁそうですね。盗賊に間違われてはそうなってしまっても仕方ないですよ。」

 

「あ、いや・・・そうですよね。」

 

ごめん楽進さん、本当は違うだ。本当は初めて人に庇ってもらって驚いたからなんだ。

 

 

その後楽進さんに于ちゃんのことを説明し、楽進さんもその後来ることになったので後で会う約束をし別れた。その後急いでお店に向かったが当然時間に間に合わず店長さんに怒られてしまった。その罰として今日は配膳をやらされることになった。どう考えても効率が悪いと思うのだが罰だと言うので現在1人で配膳係をしている。

 

「いらっしゃいませ!」

 

はぁ〜、疲れる。元の世界でバイトしてたから、ある程度は大丈夫だけど流石に1人はきついな。

 

そんな事を考えていると新しいお客さんが入ってきた。

 

「 いらっしゃいませ!何名さま・・・」

 

「4名よ。あら、見かけない顔ね?」

 

入り口に向かうと、そこには金髪ロールの女の子が立っていた。

 

「あ、はい。昨日からこちらで働かせていただいています。」

 

「そう。で、案内を頼めるかしら?」

 

「あ!申し訳ありません!すぐにご案内します。」

 

急いで席に案内しようとした時

 

「ん、北郷じゃないか。」

 

名前を呼ばれた。この声は・・・

 

「夏侯淵さん?」

 

「ああそうだ。昨日の今日で奇遇だな北郷。」

 

「北郷ということは秋蘭、この男が?」

 

「はい華琳さま、この男が昨日お話した北郷一刀です。」

 

「へぇ〜この男が。」

 

にやっ。

 

「ッ!」

 

ぞくっ!・・・この覇気、そして夏侯淵さんが敬語を使っている。この二つから導き出されることは

 

「・・・それでは改めて案内させていただきます、曹孟徳様。」

 

この子があの覇王曹孟徳だと言う事だ。

 

 

「あら、気づいていたの?」

 

「いえ、今わかりました。先程からの無礼をお許しください。」

 

「別に構わないわ。ここでは私も一介の客でしょうからね。」

 

「寛大な心、痛み入ります。」

 

そういうとまた数秒目線があった。その目はまるで、こちらの全てを見透かすような目だった。

 

腹の探り合いなんてあんまりした事ないんだけどな〜。

 

そんな事を考えながらお互いに目線を合わせていると

 

「ああ!あの時の兄ちゃんだ!」

 

どこかで聞いたことある声がした。この声は・・・

 

「許褚ちゃん!偶然だね!」

 

そう言い曹操の後ろにいた許褚ちゃんに挨拶をした。

 

よし、これで曹操から逃れられた。曹操の様子はどうだろうか?

 

「・・・まぁいいわ。今日は料理を食べにきたのだから無粋な真似はやめましょう。」

 

ほっ。どうやら引いてくれたみたいだな。

 

そう思い今度こそ案内しようとして横を通り過ぎようとした時、曹操が

 

「逃がさないけどね。」

 

ボソッとそう呟いた。・・・聞かなかったことにしよう。

 

そして なんとか案内することができた。

 

「え〜と、ご注文は?」

 

「私と秋蘭はいいわ。」

 

「・・・はい、わかりました。」

 

「あら、理由は聞かないのね。」

 

「大体予想はついてますので・・・」

 

そう言いちらっと許褚ちゃんを見る。大方許褚ちゃんの付き合いだろからな。

 

「でも意外ですね。王様が自分の臣下と一緒に食事を取るなんて」

 

「貴方の思う王がどの様なものかは知らないけど、臣下と食事を取ることは意思疎通をはかるうえで重要な事よ。・・・まあ気に入った子とだけどね。」

 

「へぇ〜そうなんですね。」

 

ふむ、どうやらこの世界の曹操は俺が思っている以上に臣下に優しいようだな。

 

「ねぇ〜兄ちゃん、注文してもいい?」

 

そんな事を考えていると許褚ちゃんが待ちかねたように言ってきた。

 

「ああ!ごめんよ許褚ちゃん。ご注文は?」

 

「う〜んとね、これとこれとこれとこれ!」

 

「・・・かしこまりました。少々お待ちください。」

 

お品書きのほとんどを指差していた。もう何も言うまい!

 

急ぎ厨房に伝えようとしたとき

 

「季衣、季衣なの!」

 

「あ!流琉!」

 

厨房から典韋さんが驚いた様子で出てきた。

 

「季衣!なんで今まで連絡してくれなかったの!」

 

「したじゃん!曹操様のところでお世話になってるからお城に来てって!」

 

「そんな事信じられるわけないじゃない!季衣の馬鹿!」

 

「なんだと!流琉だって連絡全然くれなかったじゃん!それじゃこっちだってわかんないよ流琉の馬鹿!」

 

「なんですって!」

 

「なんだよ!」

 

・・・なんだか空気が怪しくなってきたぞ。なんでこうなったんだ?最初は感動の再会ぽかったのに急に口論に発展して今や一触即発の状況だ。とりあえず仲裁しなくちゃ!

 

「ま、まあまあ二人とも落ち着いてぇ!?」

 

ブゥン!ドカ!

 

「痛!な、何が起こったんだ!」

 

2人の仲裁に入ろうとしたら、二人同時に俺の胸ぐら掴んで投げ飛ばしたぞ!?・・・本当に喧嘩してるのか?

 

そんな事を考えていると何処から出したのか巨大な鉄球とヨーヨーのようなものを持って店の外に出て行った。

 

「流石にまずいな。」

 

そう思い俺も2人の後を追った。

 

 

外に出ると2人がお互いに向き合っていた。

 

「季衣!今謝るなら許してあげるけど!」

 

「流琉こそ謝るなら今だよ!」

 

どちらも引く気は無いようだな。・・・やりたくなかったがしょうがない。

 

「はぁー!」

 

「やぁ!」

 

2人がお互いの武器を投げつけた。

 

「はい、2人ともそこまで!」

 

俺はそう言い2人の間に立った。

 

「「えっ!?」」

 

正直この力づくで止める方法はあまりやりたくなかった。でも頭に血がのぼっている2人を止めるにはこれが一番早いからるしかない!

 

「はぁ!」

 

そうして俺は全力で2人の武器を上から思いっきりぶん殴って地面にめり込ました。

 

ドッカン!!

 

・・・殴った手痛いし、地面も揺れるってどんな重さだよ。まぁそれはさておき言っておくことがある。

 

「2人とも!喧嘩はまだしも武器を出しちゃダメだよ!周りの人に迷惑がかかるからね分かった!?」

 

ふむ!言いたい事も言ったので後は2人の文句でも聞くか。

 

そう思い待っているが一向に罵声は飛んでこない。不思議に思い辺りを見ると皆ぽか〜んとしたていた。なんでだ?

 

「兄ちゃん凄い!」

 

疑問に思っていると許褚ちゃんがそう言った。

 

「何が?」

 

なんのことがよくわからなかったので質問してみた。

 

「何がって兄ちゃんが僕の攻撃を止めたことだよ!」

 

「・・・まぁこれでも鍛えてるからね。」

 

そこまで騒ぐ事かわからないが取り敢えず喧嘩がおさまったならいいか。そんな事を考えていると典韋さんがこちらに走ってきた。

 

「一刀さん大丈夫ですか!?」

 

「はい大丈夫ですよ典韋さん。それよりも2人とも駄目じゃないかこんなところで喧嘩しちゃ!」

「うっ、だって流琉が・・・」

 

「季衣が・・・」

 

「・・・2人とも」

 

ぽん。

 

2人の頭の上に手を置いて言った。

 

「よく考えてごらん。自分に悪いところはなかった?相手の立場に立ってよく考えてみて。」

 

俺がそう言うと2人が考えはじめ少し経って

 

「・・・あったかも。」

 

「私もあったように思います。」

 

「よし、じゃあ言うことは分かるね?」

 

そういうと2人は静かに頷き、お互いに向き合った。

「ごめんなさい流琉。ボクがちゃんと迎えに行けばよかったよ。」

「私もちゃんと手紙で知らせればよかった、ごめんね季衣。」

そして握手をした。

 

「2人ともよく言えたね。」

 

そう言って二人の頭を撫でた。よかった仲直りできて。

 

「じゃあ2人ともお店に戻ろうか。」

 

そういい店の方に振り返ると

 

「夏侯淵と夏侯惇?」

 

そこにはその2人が立っていた。

夏侯淵視点

 

季衣とあの典韋というものが外に出て行ったので私達も後を追い外に出た。それにしても

 

「あの者が季衣がいつも言っていた友だとはな、まったく奇妙な巡り合わせなものだ。」

 

そんな事を思いながら華琳様と姉者と共に外に出た。ちなみに姉者は店で北郷を見てからウンウン唸っているだけで一言も発していない。

 

外に出ると季衣と典韋がお互いに向き合い、今にも争いそうな雰囲気だった。

 

「ふふ、面白いわね。ねぇ秋蘭貴方はどちらが勝つと思う?」

 

華琳様がそうそう質問なられたのでこう答えた。

 

「そうですね・・・互角ではないかと思います。」

 

「あら、貴方もそう考えたのね。」

 

「やはり華琳様も」

 

「まぁね。季衣は我が軍の将になるほどの力を持っている。とはいえまだまだ未熟なところは多い。そしてあの典韋という子は季衣と対等の友という感じだった。つまり季衣と実力が同等である可能性が高い。以上のことから2人の実力は互角と考えられる。・・・と言ったところかしら。」

 

「はい、私もそのように考えました。」

 

「そうなると・・・あの子欲しいわね。」

 

「むっ」

 

また華琳様の悪い癖が出てしまったようだ。

 

「ふふ、どうしたのかしら秋蘭?やきもちかしら?」

 

「い、いえ決してそのようなことは・・・」

 

「私はちゃんと全員可愛がるから大丈夫よ秋蘭、もちろん貴方もね。」

 

「は、はい!ありがとうございます!」

 

「う〜ん。」

 

「ん?」

 

珍しいな姉者がこの話にのってこないとは、

 

「どうしたの春蘭?珍しく悩んでいるようだけど」

 

華琳様も妙に思ったようだが地味にひどいな。

 

「は、はい華琳様!実はあの男を何処かで見たことがあるような気がしたのでいつだったかを思い出していたんです!」

 

「ふふ、なるほどね。」

 

「姉者、覚えていないのか?昨日の夜のことを。」

 

「昨日の夜?昨日の夜・・・なにかあったか?」

 

「まぁ、覚えていなければそれでもいいぞ姉者。」

 

「む!なんか悔しいぞ。よし、絶対に思い出してやる!」

 

そう言うと姉者は頭を抱えて唸りだした。全く姉者は可愛いな〜。

 

そんな事を考えていると北郷が季衣たちの間に入ろうとしていた。何をする気だ?

 

その事を考えた瞬間2人がお互いに武器を投げつけた。危ないぞ北郷!そう叫ぼうと思ったが叫ばなかった何故なら、

 

「はい、2人ともそこまで!」

 

「「えっ!」」

 

ドッシン!

 

なっ!

 

あまりの驚きに固まってしまった。

 

季衣のあの鉄球を素手で叩き落としただと!?軌道をそらすならまだしも叩き落とすなど無理だ。それにもう一方の典韋の武器も季衣と同等の重さと破壊力があるはずだ。つまり片手で一つを叩き落としたということになる。

 

「・・・凄まじいな。」

 

なんとかその言葉を絞り出せた。辺りを見回しても見物人や店の客などもほとんど私と同じような顔をしていた。違う顔をしている二人のみ。1人は私の隣にいる華琳様だ。驚きと喜びに満ちたような顔をされてらっしゃる。まだ悪い癖が出ているようだ。2人目は姉者だが、何か閃いたような顔をしているなんだ?

 

「・・・思い出した。思い出したぞ!」

 

そう言い北郷の方に走って行った。

 

「お、おい!姉者!」

 

心配になり後を追った。

 

姉者に追いつくとちょうど北郷の目の前だった。

 

「夏侯淵に夏侯惇?」

 

不思議そうにしている。まぁそうなるだろう。私も今分かったようなものだからな。姉者がさっき叫んだ思い出した。この事から推測するに姉者は思い出したんだ昨日の夜のことを。

 

「貴様!名はなんという!?」

 

「ええ!?ほ、北郷一刀ですけど?」

 

「よし!北郷私と勝負しろ!」

 

「ええ!?な、何故ですか?」

 

「昨日の汚名を挽回ためだ!」

 

「・・・姉者、汚名は返上するものだ。」

 

「返上するためだ!」

 

はぁ〜全く姉者は、・・・可愛いな〜!

 

「汚名って、あんな酔った状態だったら投げられたってしょうがないですよ!」

 

まぁ確かにな。あんな酔った状態でなければあんなに簡単に姉者を投げられるわけないからな。・・・だが

 

「うるさい!いいから勝負しろ!」

 

「この人話聞いてない!?」

 

姉者が許容できるかは別だな。

 

「か、夏侯淵さん助けてください!」

 

そんな事を考えていると北郷が助けを求めてきた。普段なら姉者を止めるが北郷の実力が気になる。

 

「姉者、思いっきりやってしまって構わないぞ。」

 

「わかった!」

 

「夏侯淵さん!?」

 

北郷がとても狼狽していた。

 

「そ、曹操様止めてください!」

 

私が駄目だと分かると華琳様にお願いしていた。

 

「貴様!軽々しく華琳様の名前を呼ぶな!目線を合わせるな!同じ空気を吸うな!」

 

「すっごい理不尽なんだけどこの人!」

 

北郷が姉者に無茶な事を言われていた。・・・仲が良いのか?

 

「いいんじゃなかしら。私も貴方の実力を見てみたくなったわ。」

 

「んな!?」

 

「ふふ、北郷いよいよ逃げ場がなくなってきたぞ。」

 

「・・・はぁ〜、わかりました降参です。」

 

そういい両手を挙げていた。

 

「ほう、では今すぐ私と戦え!」

 

そういい姉者が七星牙狼を抜いた時

 

「その前に1つ確認させてください。この戦いは武人としての勝負ですか、それともただの手合わせですか?」

 

北郷がそう言ってきた。

 

「何を言うか!勿論武人としての勝負だ。」

 

姉者がそう言った。まぁ確かに戦いを挑むのなら武人としてだが、しかしなぜ北郷はそんな事を聞いたんだ?

疑問に思っていると北郷が

 

「・・・分かりました。お相手いたします。」

 

ぞくっ!

 

っ!北郷の雰囲気が変わった。

 

「・・・ほう、確かにかなりの武を持っているようだな。ならばこの夏侯惇、全力をもって相手しよう!」

姉者も北郷の雰囲気が変わったことに気がついたのか、戦場に立っているような気迫を出しながら北郷に相対した。

 

見逃してはならない。私の武人としての本能がそう言っている。

 

私だけではない。野次馬、季衣と典韋、そして華琳様ですらただ静かに2人を見ていた。

 

風の音が響く。2人はまだ動かない。永遠に続くとも思えた静けさだったが

 

「っ!はぁー!!」

 

その掛け声で静けさは終わりを迎え、今武人同士の勝負が始まる。

 

北郷一刀視点

 

「っ!はあー!!」

 

夏侯惇が声を上げこちらに剣を振り下ろしてきた。

 

慌てるな、冷静に対処しろ。

 

そう自分に言い聞かせながら夏侯惇の剣に触れ受け流す。

 

そして空いた脇腹に肘打ちを叩き込む。

 

「ちっ!」

 

肘打ちが入る瞬間、夏侯惇が受け流された剣を体を捻ることで強引に振り払ってきた。

 

「危なっ!」

 

咄嗟に後ろに飛び退いた。

 

あれを戻すとは流石だな。ならこれならどうだ。

 

夏侯惇との距離を瞬歩で一気に詰める。

 

「ッ!」

 

今度は夏侯惇が後ろに飛んだ。

 

1度様子を見るために距離を取ろうとするのはいいと思うけど

 

「その行動は不正解だよ夏侯惇。」

 

そういいおれは、もう1度瞬歩で距離を詰めた。そしてその勢いのまま夏侯惇の腹に向かって衝打をくりだす。

 

「なめるな!」

 

だが夏侯惇は俺の衝打を当たる寸前で体を捻り避けた。

 

流石未来の魏の大剣、これを避けるだなんて。

 

「貰った!」

 

そういい夏侯惇が衝打を繰り出した状態の俺に剣を薙ぎ払ってきた。

 

横に移動して避ける時間がないので俺は夏侯惇の剣が当たる前に体の力を抜き脱力状態にし、地面に伏せ攻撃を避けた。

 

「ちっ、だかその状態では何も出来まい!」

 

そういい夏侯惇が剣を振り下ろす構えに入った。確かにこの足が地面についていない状態では攻撃は出せないし、仮に出せたとしても威力は乗らない。・・・普通ならね。

 

「はぁー!!」

 

バシンッ!

 

肘を支点に駒のように回り、夏侯惇の足を蹴り払った。

 

「なにっ!」

 

夏侯惇の体勢が崩れた。今がチャンス!

 

蹴った勢いで立ち上がり剣を持っていた腕を掴み、一本背負いで地面に叩きつけた。

 

ドシンッ!

「がはっ!」

 

夏侯惇が声を上げた。かなり強めに投げたからすぐに立つのは難しいはずだ。

 

「・・・終わりですか?」

 

「っ!なめるな!」

 

そういい夏侯惇が立ち上がった。

 

「・・・すごいですね。思いっきり投げたのにすぐ立ち上がってくるなんて。」

 

「ふん!この程度痛くも痒くも無いわ!」

 

流石は夏侯惇というべきか、もうすでに剣を構えている。これは本腰を入れてやるしかないか。

 

もう1度夏侯惇に向かおうとしたその時、

 

「そこまでよ。双方ひきなさい。」

 

曹操がそんな事を言ってきた。どういうつもりだ?

 

「か、華琳様!私はまだ負けていません!」

 

「分かっているわ。でも続けていたら負けていたかもしれない、そうでしょう?」

 

「それは・・・ですが!」

 

「春蘭、貴方は誰?私の大剣であり側近でしょ。そんな貴方がこんなところで負けることなど許されないのよ。」

 

「うっ、・・・はい。」

 

「だからこそ次、闘うまでにもっと自分の力を高めて、2度とこのようなことがないようになりなさい。」

 

「はい!華琳様!もう2度とこのような失態を晒さないと誓います!」

 

「ふふ、期待してるわよ春蘭。」

 

「・・・えっと、つまりこれで終わりって事。」

 

「ええ私たちの負けよ。」

 

「えっ!決着はまだ・・・」

 

「いいえ、私たちの負けよ。あのままいっていたら春蘭は押し負けていただろうし、それに貴方本気ではなかったでしょ?」

 

曹操はそんな事を言ってきた。

 

「俺は本気で戦いましたよ?」

 

「まぁそうだとは思ったわ。意図的に手を抜いているようには見えなかったし、でも本気ではなかったのは事実よ。」

 

「・・・なぜそう言えるんですか?」

 

「眼よ。」

 

「眼?」

 

「そう眼。私は幼い頃から戦場で指揮をし、そこで命がけで戦う者達を見てきたわ。そしてそういう者たちは皆揃って眼に覚悟が宿っているものよ。今回の春蘭もそんな目をしていたわ。でも貴方は違った。どこか恐れているような眼をしていたわ。何が貴方をそうさせているのかは分からないけど、覚悟を持って戦いを挑んできているものに本気を出さないのはただの侮辱よ。」

 

「・・・すみません。」

 

「まぁ、それに関しては本気を出させる事が出来なかったはこちらの力不足でもあるからとやかく言うつもりはないわ。ただ問題なのがその手抜きを無意識にしてしまっていることよ。」

 

「それは相手を侮辱してしまうからですか?」

 

「それもあるけれど、1番はそれではいずれ死んでしまうからよ。」

 

「・・・なるほど確かにそうですね。」

 

「あら、私が言わんとしていることがわかるのかしら?」

 

「はい、それは・・・これからこの大陸が乱世に突入するという事ですね。」

 

「正解よ。今この大陸は混乱の道中にあるわ。このままいけば確実に乱世に突入するでしょう。そうなれば少しの油断が死を招く戦いが始まるわ。その時に無意識に手を抜くことの愚かさ、貴方なら分かるはずよ。」

 

・・・確かにこの時代は乱世に突入することは目に見えている。そして乱世において曹操の言う通り無意識に手加減をしている場合、とんでもない痛手となる。確かにその通りだ。でも、

 

「・・・他人の俺になんでその事を教えてくれるんですか?」

 

そう、その事を俺に教える利点がない。

 

「確かに利点はないわ。でも教えたのには理由があるわ。」

 

「理由、ですか?」

 

「そう理由。それは・・・」

 

そこで一度言葉をきり、クルッと後ろを振り向きながらこう言った。

 

「貴方に興味が湧いたからよ。」

 

「えっ!・・・あのそれはどういう・・・!」

 

そう言っている間にも曹操たちは離れて行く。

 

「もう一つ言っておくことがあるわ。」

 

すると、途中で何かを思い出したかのように曹操がピタッと止まり言ってきた。

 

「その才能を生かすのも殺すのも貴方次第。もし生かしたいのなら、自分の才能が生かせることを見つけることね。」

 

「っ!」

 

そう言うと今度こそ曹操たちは去っていった。

 

俺は曹操に言われた事を考えていた。自分の才能が生かせることか・・・。

 

そんな事考え方をしていると

 

「一刀さんどうかしましたか?」

 

典韋さんが心配そうに言ってきた。

 

「・・・なんでもありませんよ典韋さん。」

 

そう言って頭を撫でた。

 

「ああ〜!流琉だけずるい!僕も!」

 

「はいはい。」

 

そして許褚ちゃんの頭も撫でた。

 

二人の頭を撫でながらまた曹操の言葉について考えた。

 

才能か・・・本当に俺に曹操が気にするほどの才能なんてあるのかな?

 

 

元の世界では何もできなかった俺に。

 

こんにちはこんばんはアリアです!

 

更新遅れてしまって申し訳ありません。リアルが忙しくてあまり書くことができませんでした。

 

さて、今回は春蘭と戦っていただきました。魏の大剣にも勝ってしまう一刀、いや〜我ながらかなり強く書いてますね〜。やっぱりこの一刀と戦えるのはあの方だけですかね。というわけで一刀の強さをさらに色濃くする話となりました。というわけで今回はここまで、また次話出会いましょう!それでは再見!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回こそ軍に入れたい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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