No.91798

伝説となった天の御使い

yoitiさん

少し更新が遅れました!!!!すいません。

2009-08-27 01:01:27 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:10916   閲覧ユーザー数:7057

第4話 覇王襲来

 

新たな誓いをしてから、袁術軍が攻めてきて俺達はそれほど苦労しなかった。それは孫策が俺達と戦っている間に、武装蜂起し、本城を奪われてしまったらしい。

人の領土を奪おうとして、自分の領土を奪われたなんて、皮肉なもんだ。

ざまぁみろ・・・・・・とも思うけど、そうとばかりはいっていられない。

 

 

袁術の領土を孫策が奪ったということは、隣国に英雄が率いる強国が出現したってことでもある。しかし、俺はそれを何となくわかっていた。あの人を魅了する男がいて、そして、関羽こと、愛紗がいれば苦ではないだろう。それでなくても小覇王と呼ばれる孫策がいるのだから。

 

 

まあ、それでも俺達は今は戦いの傷を癒していこうと考えていたら北方に放っていた細作の一人が、緊急事態を携えて城に戻ってきた。緊急事態の内容はまずは公孫賛こと白蓮が袁昭に敗れ、桃香の所に保護を求めてきたことだ。

 

 

そして、その一カ月後その袁紹が曹操に敗れ滅亡した。

俺達が袁術と戦っている間に、大陸の北方では曹操と袁紹の一大会戦が行われていたらしい。

 

 

世に言う官度の戦いって奴だろう。それはそれで驚いたのが袁紹の保護。

 

 

曹操との戦いに敗れ、文醜と顔慮ってお供と共に俺達の国に隠れていたのを鈴々が見つけた。

 

 

曹操に突き出そうという話も出たんだけど、今は戦力確保と言うことでなんとか俺達が保護した。

 

・・・・・・少し後悔していたと思ったがある出来事があり、袁紹は俺に従うようになった。まあ、それは、また別な話である。

それにブツブツと文句を言いながらだったけれど、白蓮も袁紹たちを受け入れることに賛成してくれた。・・・・・・・・やっぱ良い人だよ、白蓮は。

 

 

と気がつけば、それなりの戦力を手に入れた俺達は、大陸の中ではなかなかの勢力にのし上がった。

 

のし上がったと言っても、北方の六割を版図に入れた曹操や、急激に勢力を拡大した孫策たちに比べるとまだまだである。

 

 

それでも軍備を整え、資金も増やし、今は余裕を持てるようになった。それと、詠は袁紹が仲間になったことで軍師へと戻ったが、月は侍女のままでいいと言うことで詠もまた時々は戻るらしい。

 

 

そうやって、自分の国は守れるようになったが、・・・・・・激動する歴史は、ささやかな平和な時間さえ許してはくれなかった。

 

 

ある日・・・・国境を守っていた兵士の一人が、傷ついた身体と共に駆けこんできたのである。

 

 

 

 

 

兵士A「も、申し上げます!北方の国境に突如、大軍団が出現!間所を突破し、我が国に雪崩こんできております!」

 

 

桃「ええっ!?大軍団って一体どこのっ!?」

 

 

一「桃香、それは愚問だよ。北方には最早勢力は一つしかない」

 

 

桃香「あっ、そっか」

 

 

華「ぬぅ・・・・・・。北方を平定し、治安を維持している曹操の手腕は認めるが、何故更なる戦いを望むのだ」

 

 

朱「覇王として大陸を統一し、己の理想を現実のものとするためでしょ。」

 

 

雛「あの人が本腰を入れて動き出せば、大陸は再び戦乱の渦に巻き込まれます・・・・」

 

 

鈴「だけど攻めてきている以上、戦うしかないのだ」

 

 

詠「そうね、鈴々の言う通りね。・・・・・で、敵の兵数は分かっているの?」

 

 

兵A「はっ、それが・・・・・・」

 

 

華「どうかしたのか・」

 

 

兵A「・・・・・・・はい。敵の兵力はおよそ五十万ほどかと」

 

 

桃「ご、五十万っ!?」

 

 

兵A「はい。地平線を埋め尽くすほどの人の波が、あっと言う間に間所を覆い尽くし、まるで蝗の群れのように瞬く間に間所を破壊しつくしてしまったのです」

 

 

朱「わが軍の規模は約三万。義勇兵を募るなどをすればなんとか五万人には届きますけど・・・・」

 

 

詠「・・・・・・勝負にならないわよ、これは」

 

 

雛「敵よりも多くの兵を準備するのが、兵法の基本ですからね・・・・・・」

 

 

華「しかし、我が国の住民を守るためにも、曹操軍を止めなければ・・・・・・!」

 

 

陀「確かにそうだが、でもまともにぶつかっても勝ち目はないんだ。何か考えないと」

 

 

鈴「五万人で五十万に勝てる方法なんて、考えたって見つからないのだ」

 

 

陀「そりゃそうなんだが・・・・・・・だからって、諦めたらそこでお終いだろ?」

 

 

朱「その通りです。何か策を考えないと」

 

 

雛「策・・・・・・策・・・・・策・・・・・・策・・・・・・・」

 

 

桃「うーん・・・・・」

 

 

華「五十万の相手とまともに戦えるはずはありません。しかし、せめて一太刀浴びせ、我らの信念を見せるべきかと」

 

 

詠「華雄、あんたね~。今の時点で捨て身になってどうするの。まだ、そのように思い詰めるには早いわ」

 

 

華「しかし!五十万対五万という戦力差がある以上、捨て身になるしか方法は無いではないか!」

 

 

詠「捨て身になるのは最後の最後よ。勝敗も決していないのに今の段階で、勝つ方法を探すことに注ぐのよ。・・・・・・」

 

 

華「勝つ方法などと・・・・・・・・そんなもの、どこに存在している?私達にできることは、決死の覚悟で曹操に一太刀浴びせるか、国を捨てて逃げるぐらいしか方法は」

 

 

一「なら、逃げるか!」

 

 

華「なっ!?一、一刀様っ!?」

 

 

一「今の俺たちには曹操と戦う力は無いし。それなら逃げるっていうのも一つの手だと思うけど?」

 

 

華「そんな・・・・・!我々が逃げだせば、この国の人達はどうやって自分の身を守れば良いんですか!」

 

 

一「どうやってって、曹操が守ってくれると思うが」

 

 

詠「一体、あんたは何を考えてるのよ。」

 

 

一「何って・・・・これだけ圧倒的の差じゃな~、勝ち目なんて無いし、勝ち目の無い戦いに兵のみんなや住民たちを巻き込めないよ」

 

 

白「・・・・・だから逃げるのか?」

 

 

一「うん。悔しいが・・・・・勝ち目のない無謀な戦いに住民達を巻き込みたくない・・・・・勝ち目があるのなら、一緒に戦いたいとは思うけど」

 

 

詠「あんた、戦えば人民にも犠牲が出る・・・・それを考慮したからなの?」

 

 

一「・・・・・・戦って勝てるのなら、俺は俺達のやり方が正しんだって信じて、戦うことだって信じて、戦うことだってできる。・・・・・・・・でも、今回は無理だ。」

 

 

朱「軍備も諜報も、全て曹操さんの後塵を拝していますからね・・・・」

 

 

雛「これだけ先手先手を打たれていたら、五分の戦いに持っていくこともできません」

 

 

一「なら、逃げるが勝ちだな!兵のみんなを引き上げておけば、曹操が村や町に住んでいる人達に乱暴することは無いと思うし」

 

 

白「曹操軍の軍律の厳しさは有名だからなぁ~~」

 

 

朱「恐らくご主人様の仰る通りになるかと。」

 

 

桃「それらをふくめて、逃げる作戦、か・・・・・・」

 

 

華「本当に・・・・・・それで良いのでしょうか?あんなにも一刀様が頑張ってきて町を発展させてきたのに・・・・」

 

 

一「その気持ちはよく分かるけど、今、俺達がこの国にいることこそ、この国の人たちにとって迷惑になる可能性が出てきたんだ。」

 

 

一「だったら、無理に戦うよりも、再起を図るためにも逃げるっていうの、良い案だと思うが」

 

 

華「再起を図るための退場、ですか」

 

 

一「そういうこと」

 

 

でも、北には曹操、南には孫策が居て、再起を図る場所なんてあるのかなぁ?」

 

 

一「それは・・・・・・朱里。何か良い案はある?」

 

 

朱「そうですね・・・・・・ならば南西に向かうがよろしいかと」

 

 

桃「南西っていうと・・・・・・荊州とかの方?」

 

 

朱「はい。荊州より更に西に、蜀と言われる地方があります。そこには劉焉さんと仰る方が治めていたのですが、つい先頃、継承問題がこじれて、内戦勃発の兆候が見られるようになりました。」

 

 

雛「その隙をついて入蜀するのがよろしいかと。」

 

 

桃「うーん・・・・・でも、なんだか気が進まないな・・・・」

 

 

雛「しかし、内戦が起これば血で血を洗う凄惨な戦いになるでしょう。その隙をついて本城を制圧すれば、結果的に流れる血は少なくて済みます」

 

 

朱「それに太守の劉慞さんの評判、あまり良いものではありませんから」

 

 

桃「・・・・ん。状況が状況だもん。そんな贅沢を言ってる場合じゃないし」

 

 

桃「身勝手かもしれないけど・・・・劉慞さんのところに押しかけちゃおうか」

 

 

一「よし。じゃあ方針は決まった。すぐに全土に伝令を出して、兵の引き上げを開始しよう」

 

 

華「御意」

 

 

一「各所に詰めている警備兵たちは本城に集合。その際、詰め所や関所に備蓄している食糧や資金などは、住民に分け与えておくように命令しておいて」

 

 

朱「村人たちに施すのですか!?」

 

 

それもあるけど、関所とかに備蓄したままだったら、曹操に接収されちゃうだろう?でも住民に配っておけば、それを徴収されることも無いかなって」

 

 

雛「あ・・・・・スゴイです。そんな所にまで気が回るなんて」

 

 

一「朱里と雛里に色々と鍛えられてるからね。・・・・・あと兵達の帰還を待ってここを出ようか」

 

 

桃「それまでに長老さん達にも事情を説明しておかないとね。」

 

 

一「そうだな。それは桃香と朱里に任せるよ。華雄と華陀は兵をまとめておいて。雛里と詠は俺と一緒に書類をまとめて持ち出せるようにしようか」

 

 

雛「御意です」

 

 

一「あと、白蓮には麗羽達に全て伝えておいて」

 

 

白「うっそ、・・・・マジか?前に比べたらマシか。」

 

 

一「じゃあ、みんなよろしく」

 

 

 

 

 

 

曹操軍

春「華淋様。全軍徐州に入り終えました。あとは道々の関所を落とし、城に向かうだけです。」

 

 

華「御苦労様。・・・・・・それにしても劉備軍の動き、あまりにも鈍重ね。」

 

 

春「我らの動きが素早いだけではないのですか」

 

 

凛「それは無いでしょう。今回の行軍は通常の作戦行動の範囲内です」

 

 

秋「先行部隊をだして、偵察しますか?」

 

 

華「そうね。春蘭。秋蘭と季衣を連れて、先行して城に向かいなさい。」

 

 

春「はっ!」

 

 

秋「道々の拠点の排除は、華琳様にお任せてしてよろしいですか?」

 

 

華「当然よ。後事は私達に任せ、あなたたちは劉備軍の動向を探ることに専念しなさい」

 

 

秋「御意、・・・・・季衣」

 

 

季「は~~~~い。」

 

 

秋「半刻で出る。部隊を纏めておいてくれ」

 

 

季「は~~~~い。」

 

 

春「本隊と遭遇したのなら距離を置いて追尾しなさい。・・・・・・支隊ならば粉砕すればよい。」

 

 

春「御意、・・・・・しかし、関羽がいない劉備軍とはなんとも腑抜けだな。私がひねりつぶしてくれる。」

 

 

華「では、全員行動を開始しなさい。」

 

 

全「御意」

 

 

 

 

劉備軍

朱「桃香さまー!ご主人様―!」

 

 

桃「朱里ちゃん、お帰りー!後方の様子、どうだったー?」

 

 

朱「国境の拠点を落として以降、曹操さんの軍は破竹の勢いで進軍してますね」

 

 

一「さすがというか何というか・・・・・。敵軍の進路はどうなってるの?」

 

 

朱「東方から城に向かう一隊と、西方から城に向かう一隊。そして、そのまま南下している曹操さんの本隊。あとは・・・・・・・」

 

 

華「後は?」

 

 

朱「先行し、私達の動きの偵知を目的とした部隊がほかの部隊と連携を取りつつ動いています。」

 

 

陀「偵察を目的とする一隊?・・・・・ということは、奴らはまだ我らの動きに気付いていないということか」

 

 

朱「まだ気付いていないとは思いますが、バレるのは時間の問題だと思います」

 

 

華「先行している部隊がいるのならば、それも当然か・・・・・・」

 

 

白「後退して先行してくる部隊を叩くか?」

 

 

桃「それはダメだよ。折角素早く引越しすることに決めたのに、意味が無くなっちゃう。」

 

 

一「桃香の言う通りだな。・・・・・・俺達に出来ることは、とにかく全力で逃げるってことだろう」

 

 

雛「今の段階ではそれしか方法は無いかと・・・・・」

 

 

華「うーむ・・・・・しかし」

言いながら、華雄が後方に視線を向ける。

 

 

華「兵と輜重隊だけでも動きが鈍重になるのに、これほどまでに民達がついて来ているのですから・・・・・・」

 

 

詠「これ以上は、速度は上げられないわよ。」

 

 

一「そうだなぁ。・・・・・・・」

嘆息混じりに呟きながら、俺は華雄の視線の先を追った。

そこに居るのは、家財道具を抱え、俺達と運命を共にする覚悟を決めた人たちの姿があった。その全員が、自分たちの主人として曹操では無く、桃香のことを選んだ人たちだ。

今までの暮らしを捨て、桃香を慕い、ついていくことを宣言した人たち。

そういった人たちの信頼こそ、俺達のとって最大の幸せであり、財産なんだ。

 

 

一「・・・・・・・・この人たちを守ることが、今の俺達には最重要なことだろう。・・・・・・だからこそ、追いかけてくる曹操軍を防がないと」

 

 

華「部隊を二つに分けましょう。先導し、先行して益州の城を落とす部隊。それと共に、後方にて曹操軍の攻撃を防ぐ部隊を用意しましょう」

 

 

陀「それしか方法は無いか。・・・・・・後方の部隊に三万。前方に二万を割り振り、残りを民たちの護衛に廻す、というのでいいか?」

 

 

朱「問題はないかと。では先鋒に華雄さんを。護衛部隊は猪々子さんが指揮をとってください。恋さんと詠さんは桃香様の護衛をお願いします。あと、殿ですがー」

 

 

一「殿は俺が受け持つよ」

 

 

桃「ご主人様っ!?そんなこと、させられないよ。」

 

 

華「そうです!そんな危険な役目は我らに任せて」

 

 

一「嫌、ダメだ。今度こそ俺がみんなを守ると決めただろ。みんな知ってるだろう。俺が何のために今までやってきたかを。だから任せてくれ!!!!!!!」

 

 

鈴「いやだ!!!お兄ちゃんまでいなくなったら鈴々いやなのだ!!!!」

 

 

桃「もう、嫌だよ。誰かがいなくなるなんて、私もう・・・・・・・」

 

 

一「桃香・・・・・・・・・・・」

 

 

一「心配しないで、俺は必ず帰るから。きっと、曹操をとめて帰ってくるよ。だから、桃香、君は民を引っ張るんだ。君にしかできないだろう!!!俺はそんな君の剣となり、盾となることを決めたんだよ。俺が帰ってくるまでに益州をしっかり治めるんだ。」

 

 

桃「ご主人様・・・・・・・・」

 

 

陀「一刀の言う通りだ。俺達は一刀が帰ってきたら全てを治めていよう。それは、君の仁徳にかかっているんだから。」

 

 

一「そういうこと、鈴々もわかってくれるな。聖天の誓いを思い出せ。俺はどんなことが起こっても必ず帰る。」

 

 

鈴「・・・・・・・うん、わかったのだ。絶対帰ってくるのだ」

 

 

桃「ご主人様、信じてるからね!きっと、帰ってきてよ!!」

 

 

桃香には桃香の役目

みんなにはみんなの役目、

そして、俺にも俺の役目。

 

 

胸奥から湧き上がる緊張が、氷のような冷たさと共に血管を駆け巡る。

 

 

知らぬうちに鼓動が早まり、眉間の奥にもう一つの心臓が出来たのかと錯覚するほど、神経が張り詰めていくのが分かる。そんな自分を律しようと四苦八苦しながら、俺は北郷隊のみんなと共に後方へと移った――

 

 

 

 

 

 

曹操軍、

 

秋「おかしいな・・・・・・・」

 

 

春「ん?何がだ?秋蘭」

 

 

秋「本隊よりもかなり先行しているのに、劉備軍の姿が全く見えない」

 

 

春「我らにまだ気づいていないのか。それとも恐れをなして震えているのか。どちらかではないのか?」

 

 

秋「そこまで劉備が無能な輩とは思えんな。・・・・・仮に劉備が無能であったとしても、周囲のものも無能というのはあり得ん」

 

 

春「ふむ・・・・・劉備の周囲には張飛や天の御遣いがいるか」

 

 

秋「それに、最近ではいろいろと部下が増えたらしいからな。それなりに気をつけなければいけないか」

 

 

秋「まあ油断しないでいよう。・・・・・・季衣、前方に放った斥候はまだ戻らないのか?」

 

 

季「まだっぽいですね。ボク、先行して見てきましょうか?」

 

 

秋「・・・・・嫌、やめておこう。ただでさえ少数で突出しているんだ。策にハメられば全滅する。・・・・・・慎重かつ迅速に部隊を動かそう」

 

 

季「りょーかいでーす」

 

 

春「では、いくか!」

 

 

 

 

劉備軍

 

一「まだ来なそうだな。それよりも、我が北郷隊無理をさせてすまない」

 

 

兵A「そんなことはありません。きっと、一刀様が守ってくれるとしんじていますから。今の一刀様の強さは天下無双です。」

 

 

兵B「そうです。私達はあの時、あなた様へと忠誠誓い、すべてをあなた様に捧げたのです。」

 

 

兵全「一刀様と、共に!!!いつまでもついていきます!!!!」

 

 

一「そうか、お前たちはきっと、俺が守って見せる!!!!!!!だから、お前たちは人民を守って見せろ!!!!!」

 

 

兵全「御意!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

曹操軍

 

華「ふむ・・・・・そういうことか」

 

 

桂「と言いますと?」

 

 

華「拠点には兵がほとんどおらず、備蓄されているはずの物資が一切無い。・・・・・桂花。春蘭に早馬を出しなさい。すぐに城へむかえ、とね」

 

 

桂「城にですか?」

 

 

華「敵は本城での決戦を望んでいるようよ。春蘭をすぐに城に向かわせ、敵情を確認するように伝えておきなさい」

 

 

桂「はっ!」

 

 

華「・・・・兵を本城に纏めて決戦を行う、か。本当にそれで勝てると思っているのならば、劉備。あなたには英雄たる資格は無いわね・・・・・」

 

 

春「本城にむかえ?どういうことだそれは?」

 

 

兵A「はっ。曹操様のお考えでは、劉備は拠点の兵士を引きあげて本城に集め、決戦を行うつもりだと・・・・・」

 

 

秋「・・・・・・なるほど。殆どの拠点で兵士が居なかったのには、そういう訳があったか」

 

 

兵A「急ぎ、本城へと向かい、敵情を偵知せよ、というのが曹操様のご命令です」

 

 

秋「了解した。すぐに本城に向かう。現地で落ち合いましょうと伝えてくれ。」

 

 

兵A「はっ!では!」

 

 

 

 

 

 

劉備軍「後方に放っている斥候からの定期連絡です!敵影未だ無し!繰り返します!敵影未だ無し!」

 

 

一「御苦労さま」

 

 

一「まだもう少しは時間があるか。・・・・・前の方は今、どの辺りまで行ったのかなぁ」

 

 

兵A「益州に到着するのはまだ先だと思います」

 

 

一「だろうなぁ・・・・・。ふう~、早く到着しないかな」

 

 

兵A「無茶ですな。」

 

 

一「う・・・・悪い。でも何だかもどかしくてね。」

 

 

一「逃げるって・・・・こんなにも疲れるもんだったんだなぁ・・・・・・」

 

 

兵B「今から疲れていたら、身がもちませんよ。一刀様、もう少し気楽にしてください」

 

 

一「・・・・・だな。どうにも考えが内へ内へと籠もっちゃって・・・・・」

 

 

兵C「気持ちは分かりますが、まだ敵がきていませんよ。疲れていたらダメですよ」

 

 

一「そうだよな。まだ後ろに来てないらしけれど、これからどうなるかなぁ・・・・」

 

 

???「・・・・敵、もうすぐ来る」

 

 

一「えっ」

 

 

恋「・・・・ご主人様」

 

 

一「恋っ!?どうしてここに?桃香を護衛してたんじゃ・・・・・?」

 

 

恋「・・・・猪々子がいるから大丈夫」

 

 

一「それはそうかもしれないけど・・・」

 

 

恋「・・・・ご主人様、守る。恋の役目」

 

 

一「恋・・・・」

 

 

一「おれが居れば大丈夫だろ?」

 

 

恋「・・・・・でも、恋がいればもっと大丈夫」

 

 

一「そうだな。じゃあ、一緒にみんなを守ろうか」

 

 

恋「・・・・・・(コクッ)」

 

 

詠「全く。あんたはいつも無茶ばかりして、もう一人ぐらい将を連れてきなさい、あんたにだって限界があるのよ。」

 

 

一「むっ。詠まで来たのか」

 

 

詠「何よ!私はあんたが心配で・・・・・・うるさい!!!!あんたは黙っていればいいのよ」

 

 

一「そうか、ありがとな。恋、詠。」

 

 

恋「・・・・・(コクッ)」

 

 

詠「・・・・・フンッ」

 

 

苦笑するものの・・・・身体の奥に沈殿していた恐怖っていう感情が、詠の登場でスーッと消えていってくれた。・・・・案外、癒し系なのかもな、こいつ、」

 

 

恋「・・・・二人でご主人様守る。みんなも守る」

 

 

一「恋が来てくれて百人力だよ。・・・・・・ありがとね」

 

 

恋「・・・・(フルフルッ)」

 

 

詠「あんた、何をやってるの!!!!こんな時までチンコ太守なんだから」

 

 

一「なにもやっていないじゃないか。」

 

 

詠「全く、油断も隙もないんだから。」

 

 

一応気分転換にはなったかな。

 

 

 

 

曹操軍

 

兵A「申し上げます!城に潜入中の工作員より緊急報告!城内に劉備軍の影無し!」

 

 

春「何!?それはどういうことだ!?」

 

 

兵A「いえ、しかし誰もいないのです。」

 

 

春「そんなことあるか。しっかり探せ!」

 

 

秋「待て、姉者、つまり城にはもはや劉備は居ない、と。そういうことだ。」

 

 

季「城に居ないって、逃げたってことですか。」

 

 

秋「恐らくな」

 

 

秋「・・・・姉者。一度華琳様と合流しよう。いまの状況、我らでは対応できん」

 

 

春「ふむ・・・分かった。季衣、華琳様はどこまでいらっしゃっている?」

 

 

季「ここから一里ぐらい後ろで凛ちゃんたちと合流しているらしいですよ」

 

 

秋「ならば我らも合流しよう」

 

 

華「春蘭たちが戻ってきた?何かあったのかしら」

 

 

稟「秋蘭さまの進言により部隊を後退させたようです。・・・異常事態が発生したと考えるべきでしょうね。」

 

 

華「ふむ・・・・で、秋蘭たちは」

 

 

秋「ここに」

 

 

華「あら、いつのまに。・・・・おかえりなさい、二人とも。季衣も御苦労さま」

 

 

華・・・で、報告というのは?」

 

 

秋「はっ!どうやら、劉備は城を捨て、どこかに逃亡しているようです」

 

 

華「ふむ、城の様子は」

 

 

秋「至って平穏ですが一点、気になることが、人民達の数が少なく田舎のような感じでした」

 

 

華「人が少ないか?・・・・・ふむ」

 

 

華「風、あなたはどう見る」

 

 

風「・・・・・・・・・・・・・・グウzzzz」

 

 

華「風、起きなさい」

 

 

風「・・・・おおっ」

 

 

華「起きたのかしら?ならばあなたの意見を述べなさい」

 

 

風「ふむ。・・・・劉備が逃げて、どこかに向かうか。北は我らの領土。南は孫策の領土。東は海。ならば西しかないでしょうね~」

 

 

華「西・・・・・?」

 

 

風「ふむ、益州あたりが条件に合う土地ではあるのでしょうねぇ~~~」

 

 

稟「・・・・そうか!確か益州で、内乱がおこる可能性が起こる可能性を示唆する報告があった」

 

 

風「ありましたね~。その争いの隙を突いて益州の城を一部占拠。その後、兵力と策略によって益州平定。・・・・おおー、素晴らしい未来予想図ですね」

 

 

華「なるほどね・・・・・春蘭、秋蘭」

 

 

二人「はっ!」

 

 

華「季衣と霞を連れて劉備を追いなさい。兵だけならばともかく、人民を率いているのならば、まだそう遠くへは行っていないはず」

 

 

華「追いつくと同時に足止めをしておきなさい。私達は城占拠後、すぐに後を追うわ」

 

 

春「御意、足止めといはず、撃破してしまってもいいのですか?」

 

 

華「当然よ。覇道を歩み出した今、敵となるものは全て排除しなさい。」

 

 

春「はっ!行くぞ!霞、季衣、秋蘭、」

 

 

霞「ハア~体育会系についていくのはつらいな」

 

 

秋「まあ、そういうな、さ、行くぞ」

 

 

華「手は打った。後は天のみぞしるか」

 

 

 

 

 

劉備軍

 

兵A「申し上げます!後方に砂塵を発見しました!」

 

 

一「とうとう、きたか・・・・!恋!」

 

 

恋「・・・・・・(コク)」

 

 

詠「まずは、兵を三つに分けて、一隊は私に、もう一隊が恋、もう一隊が一刀につきなさい」

 

 

一「陣を敷いて敵と対峙しながら、うまく時間を稼ぐ!俺と恋の二人で橋を使ってうまくやっている間に、詠はうまくみんなと逃げてくれ。そして、みんなが逃げ切れたら橋を切る!!!」

 

 

恋「・・・・・(コクッ)」

 

 

詠「分かったわ!」

 

 

兵全「ハッ」

 

 

 

 

 

曹操軍

 

兵「前方に劉備軍が見えました。」

 

 

春「おお、やっと、見えたか。」

 

 

秋「兵数は?」

 

 

兵「二万です。」

 

 

霞「二万か、すくないもんやな。どういうことや?」

 

 

秋「きっと、部隊を二つにわけたのだろう。」

 

 

霞「そうなんかぁ~、まあ、ワイは戦えればええよ」

 

 

秋「いや、待て、少し人民達がまじっているようだな、その人達が逃げるのを待とう」

 

 

全「おおっ!!!」

 

 

 

 

劉備軍

 

恋「・・・・・来た。後ろ。曹操の軍」

 

 

一「予想より早い・・・・・っ!詠!」

 

 

詠「まだよ!まだ長坂橋まで距離があるわ!」

 

 

一「みんな、急いでくれ!!!!」

 

 

恋「・・・落ち着く」

 

 

恋「・・・・相手兵以外と戦いたくない、だから長坂橋までは大丈夫」

 

 

一「そっか、じゃあ、みんな落ち着いて行動してくれ。みんなは橋まではゆっくりでいい」

 

 

一「後のみんなは陣をつくるぞ」

 

 

 

 

 

曹操軍

 

霞「・・・・・んー」

 

 

霞「暇や~~~~~~」

 

 

春「え~~~~~い、少しは静かにしろ。戦場だぞ。」

 

 

霞「いいやないか、まだ動かへんのやろ。それに動くとしたらこの後の橋やろ。そこは崖の下に川があって、そこに橋がポツーンとあるところ。多分、そこで事態が動くで」

 

 

秋「ふむ・・・・迎撃にはもってこいの場所だな」

 

 

霞「そういうこと。劉備軍もそれを考えてるんやろ。ただまぁ・・・・それがわかってたかって、ウチらが奴らを急襲する訳にはいかんからな。のんびり与太話するぐらいしかないで」

 

 

春「それでも、気合はいれろ、兵達にうつる。」

 

 

 

 

劉備軍

 

一「詠!民間人の様子はどうだ!?」

 

 

詠「無事に橋を渡ったわ、距離を稼いでいるわ。」

 

 

一「よっしゃ!じゃあ、いまから俺達の初陣だ。気合入れてくぞ。」

 

 

兵全「オオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!」

 

 

一「よし、みんな旗をあげろ。恋と俺、そして詠のを上げろ!!!!!!」

 

 

 

曹操軍

 

兵「前方、劉備軍が橋の向こうで方向転換しております!!」

 

 

霞「よっしゃキターっ!奴らようやく戦う気になったで!」

 

 

秋「そのようだな。・・・・敵の旗は!」

 

 

兵「はっ、牙門旗には十文字!その横に、呂、賈です」

 

 

春「呂だとぉーっ!旗の色は何色だっ!?」

 

 

兵「色は深紅!あれは飛将軍呂布の大将旗です!」

 

 

季「呂、呂布!、確か、呂布は劉備軍に打ち取られたんじゃ!!!」

 

 

秋「見事に一杯食わされたということだろうな。・・・・北郷に呂布、そして賈駆か。」

 

 

霞「おおー。恋の奴と詠は、無事やったんや。良かったなぁ~・・・・」

 

 

春「良いわけあるか!呂布が敵に居るということは、それだけこちらの被害も増えるということだぞ!」

 

 

霞「まあそうかもしれないけど。仲良しさんやったからちょっと嬉しいねん」

 

 

秋「・・・・手心は加えるなよ、霞?」

 

 

霞「当然。仲良かったけど、それ以上に一度本気で手合わせしたかってん。・・・・くくっ腕が鳴るわい」

 

 

春「なら良い。・・・霞、秋蘭、季衣。奴らを突破してそのまま劉備の頸をあげるぞ」:

 

 

秋「ああ。・・・・行こうか、姉者」

 

 

春「全軍抜刀せよ!」

 

 

兵全「応っ!」

 

 

春「曹孟徳の覇道を邪魔する劉備軍を、我らの剣で粉砕する!各員、命を惜しむな!名を惜しめ!奴らの血でもって、曹孟徳の覇道を美しく染め上げるのだ!」

 

 

兵全「うぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!」

 

 

春「我らの力、天へと示す!全軍、突撃せよ!」

 

 

一「全軍迎え討て!!!!今ここに我が主、劉備元徳の危機だ。しかし、決して死んではいけない。聖天の誓いを思い出すんだ。俺の許可なしに死ぬことは許さない。分かったか!!!!!!!!!生きぬき、我が主のもとへと帰るぞ!!!!!!!」

 

 

兵全「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ―――――――――――――っ!」

 

 

 

一「我が名は北郷一刀!我が頸が欲しいものよ。我らはここにいるぞ!!!!!誰でもいいからかかってこい!」

 

 

魏軍兵「おい、あいつの頸さえとれば俺達きっと昇格だ。みんないくぞ!!!!」

 

 

一「きたな。みな俺の後ろに下がれ、俺がなるべく数を減らす!!!そして、そのあとは詠の指示に従え!!!!!」

 

 

魏軍兵「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

 

一「うぉぉぉぉぉ!!!!飛天御剣流、土龍閃!!!!!!!!」

土を切り裂き、岩石を弾劾を飛ばして、相手軍の兵士にぶつけた。

 

 

魏軍兵「な、なんだ、なぜいきなり岩が飛んでくる!?」

 

 

魏軍兵「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~」

 

 

魏軍兵「逃げろ!みんな固まるな!?ガンッ!?・・・・ッ、バタ」

 

 

一「みんな、いまの隙だ。今のお前たちなら無事にいける。・・・・・それにお前たちにはこの天の御遣いがついている!!!迎撃!!!!!!!」

 

 

劉備軍「御意!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一「よし、なんとか相手の兵を退けている、それなら・・・・・・・・・詠、すべての兵を連れて撤退するんだ!」

 

 

詠「わかったわ。あなた達はどうするの!」

 

 

一「俺と恋は殿を務める!橋を使って当初の予定通りにいくぞ。

みんな、よく頑張った!!!!あとはこの天の御遣いの俺に任せろ!!!!いままでのお前たちの訓練が身を結ぶ時だ!!!!!お前らの協力は無駄にはしない。」

 

 

兵全「ぎょ、御意!全員一刀様に敬礼!!!!!!いくぞ!!!!!」

 

 

詠「わかったわ。絶対帰ってきなさいよ!!!月だって、私だって待ってるから。」

 

 

一「ああ!!!早くいけ!俺を信じろ!恋、俺と頑張ってくれ!!」

 

 

恋「・・・・・・・・ん、恋、ご主人様守る!」

 

 

 

 

一「あとは俺と恋だけだな。」

と今から死地へと向かうのになぜか気は楽に感じていた、きっと一刀は守ることにより自分の本気が出せると恋は感づいた。そして、恋はそれをみて、

 

 

恋「・・・・・・・・ご主人様、どうする?」

と自分にできることをしようと愛する人に聞いた。

 

 

一「恋は本気だしていいぞ。いつも俺と訓練してるのとは違うのでな。」

一刀は知っていた。恋が自分のことを思って、少しは手を抜いていて、一刀の攻撃をよけられなくなっていたのを。だからこそ、今は自分を守るために本気を出してほしいと思った。

 

 

恋「・・・・・本気、出して良い?」

びっくりしながらももう一度確認した。一刀が望むことをしようと決意にみちた目で

 

一「当然だ。相手は俺じゃないんだから、本気だしていいよ。」

そんな、恋を見て一刀は安心した。きっと、生き残ってくれると。

 

 

恋「・・・・・・・(コクッ)」

 

 

兵士「一刀様!伏兵の配置、終了しました!」

 

 

一「御苦労!じゃあ、あとは俺達にまかせておけ。」

 

 

兵「御意!」

 

 

一「じゃあ、恋行くぞ!!!!」

 

 

恋「・・・・(コクッ)」

 

 

 

魏軍

季衣「惇将軍、あそこ!」

 

 

春「あれは・・・・・・北郷っ!」

 

 

一「夏侯惇か、あとは夏侯淵、そして張遼かあとはわからないが、きっと、武将なんだろうと。」

なんて、運が悪いんだろうと思った。しかし、負けるわけにはいかないとそう思い冷静に答えた。

 

 

秋「ふむ、天の御遣いの北郷か」

 

 

春「北郷!!!ここで会ったが百年目勝負しろ」

 

 

秋「待て、姉者、北郷は戦えないはずだぞ。」

 

 

一「心配しなくていいぞ。戦えないわけじゃないから。かかってきな!ここは通さない。

劉備一の矛と盾、この北郷が通さぬ!!!!!!!!!!」

 

 

春「なに、お前が劉備一の矛と盾だと、戯言を~~~」

と春蘭は何を馬鹿げたことを、やはり、関羽が居なくなった劉備軍はこんなものかと呆れた。

 

 

一「ふっ、怖いのか、まあいい。四人がかりで来れば良いよ。こっちは二人で戦うから。」

と挑発しながら、内心冷や汗ものであった、しかし、みんなの顔を思い出し足の震えを止めた。

 

 

春「二人だとぉ!」

となめているのかと怒りくるいながらも、あともう少しの理性で抑えつけた。

 

 

恋「・・・・・・こんにちは」

 

 

霞「恋っ!?久しぶりやな。無事で何よりや。・・・・・でもなんであんたが劉備と一緒におるんや?」

と心底驚きながらも、内心喜びは隠せなかった。やはり生きていてくれてよかったと。

 

 

恋「霞、・・・・・・・恋ご主人様、好き。ご主人様、恋とは違う強さがある。それに、ご主人様・・・・・・・強い。霞より速い。」

と頬を赤くしながら、自分の主の良いところを強い目で言い放った。

 

 

霞「へっ?ご主人様って?そこの男か~~~、・・・・・・へーっ!恋が恋か!ええやんええやん。乙女やん!・・・・それで劉備と一緒におるんかー。

けど、聞き流しておけんこと言いよったな。それなら、確かめさせてもらおうやないの!!!」

娘の成長を見守る母のように思ったが、そのあとの言葉に自分のプライドが傷つけられて、怒りがふつふつと湧き出てきた。

 

 

恋「・・・・・させない。ご主人様には指一本触れさせない。だから恋は霞を倒す。・・・・・来い、霞。恋の力、見せてやる」

 

 

霞「くははっ!ええやんええやん!ゾクゾクするわ!そこは通させてもらうわ!!!!!いくで!飛将軍、呂奉先!張遼が神速の槍、たっぷり味わえぃ!うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!」

 

 

一「じゃあ、張遼のことは恋にまかせるとして、こっちも始めようか!」

 

 

秋「我ら三人を同時に相手にしようというのか。ずいぶんと嘗めてくれる!死して後悔しろ!!!!」

 

 

春「嘗めるなよ!!!!!!!!今ここで死ね。所詮関羽がいない貴様らは死んだと同じだ。貴様を殺したら劉備もお前の部下も同じにしてくれるわ!!!!」

夏侯惇は一刀に対して言ってはいけないことを言ってしまった。一刀にとって仲間を失わないことが一刀にとっての存在意義であった。それを殺すと言われ、一刀のリミッターが外れた。

 

 

一「今、なんて言った!!!!!仲間を殺す。桃香を殺すだと、ふざけるな!!!!!!お前らは一歩もこの先には行かせない!!!!!!!!」

と一刀の体から黄金の氣があふれ出した。それをみた、魏軍兵士達は固まった。あまりにもデカスギル闘気に気圧された。

 

 

春「ば、ばかな、私達が・・・と、闘気だ・・・・け・・・で動けないだと。」

 

 

秋「す、さまじい・・・・・闘気だ・・・・これは、あ・・・の・・男に浴びせられたとき・・・・・以上だぞ。」

 

 

季「・・・・・・・・・・・・・・・な・なんて・・・・闘気・・・・・それにあの色は・・・あれは・・・・・何?」

 

 

一「さあ、いくぞ。我が刃を刀に刻みながら天へと昇れ!!!飛天御剣流、九頭龍閃っ!!!!」

と一刀の体が消えた。そして、夏侯惇らは、辛うじて避けたが後ろにいる兵士達はみな倒れていた。

 

 

グサッ、グサッ、グサッ、・・・・・・・・・・・・ドサッ。

魏兵「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ助けてくれ、ぎゃぁぁぁぁぁぁ」

 

 

魏軍「何だ、みんなが次ぎ次ぎ倒れていく、ドサッ、ヒッ!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 

一「お前たち、生きて帰れると思うなよ!!!!!!」

一刀は訓練以上の速さであった。氣により、今までの速さの三倍になった。

 

 

春「お前たちは下がれ!!!!!お前たちの叶う相手じゃない!!!!!」

 

 

秋「くっ、甘く見ていた、天の御遣いがこれほどの力を有していたとは。これなら、関羽を手放したのも納得がいく!!!」

秋蘭の答えは間違っていた。一刀の地獄以上の特訓を知らない秋蘭では気づくはずがないが、もし、知っていたら、戦おうとはしなかっただろう。

 

 

春「秋蘭、私がいく!!!!!我が魏武の大剣を受けてみよ!!!!!はあああああああ!」

一刀に向かって走りだし、大きく剣を振りかぶった。それを一刀は大きく上に飛んでかわし、そのまま

 

 

一「飛天御剣流、龍鎚閃!!!!!」

脳天にむかって大きく刀を振り下ろした。

ガキィィィィィィィィィィィィィィィィン――――――――――――――、

 

 

春「クッ、な、なんて重さだ。それに初めてみる技だぞ!!!!!お、抑えきれないっ!」

かろうじて自分の剣で防いだが、そのまま押し切られそうになり、剣を手放し避けた。

 

 

ドンッ―――――――――――、

 

春「な、な、何、地面に穴があ、開いただと!!!!!!」

 

すさまじい突進力を生存本能が察知していなかったら、春蘭は死んでいたかもしれない。

春蘭は冷や汗を流した。

この強さは、何だ?何がこいつを強くしていると春蘭は考えても出なかった。

だが、

 

 

春「クッ、だが、華琳様のため、ここで引くわけにはいかない!!!!!北郷、お前はここで打ち取る!!!!」

と自分の愛する主のためにと出ない答えを考えるのを止め、自分を叱咤し、今はこいつを倒すだけだと、

 

 

秋「姉者!!!!一人では無理だ!!!!今の北郷は呂布よりも上だ!!!!我ら全員で行くしかない!!!!」

 

 

季「そうです。春蘭様!!!この人に私の力もかないません!!!!!」

 

三人はいままでの経験から、自分の勘があたっているのを確信した。しかし、

 

 

春「ダメだ!!!!!!今ここで、お前たちを失う訳にはいかない!!!!!秋蘭、季衣、お前たちは私の分まで華琳様を支えろ!!!!!!こいつには相討ち覚悟で無ければ!!!!」

春蘭は、確信していた。今のこいつは誰も敵わないと。だからこそ、こいつは今打ち取らなければと、主の最大の敵となると、そのためには私一人なら安いと。

 

 

秋「何を言ってるんだ!!!!姉者っ」

 

 

季「春蘭様!!!!!」

 

 

春「うるさい!!!!!いくぞ、北郷!!!お前は私と死んでもらう!!!!」

 

一刀は読み取った。今までの者とは違うと。だからこそ、一刀は刀を鞘に納めた。

 

 

春「な、何!貴様馬鹿にしているのか!!!!!」

 

 

一「心配するな。これがおれの構えだ。飛天御剣流奥義天翔龍閃!!!!」

日本でいう抜刀術の構えであった。これは、自分のじいちゃんを犠牲にして手に入れる技であった。しかし、一刀の刀は逆刃刀であったため、じいちゃんは死ぬことは無かった。

しかし、その後、じいちゃんにいわれた。

 

 

じ「一刀よ、この奥義はまだ、本当の力を使っていない、ワシが歳をとっていたからこそ負けたが本当の意味では極めていない。この技はお前のある気持ちがなければ極めることはできない。だからこそ、一刀それを見つけろ!」

一刀はその時わからなかったが、今共に進む仲間ができ、誓いをした。そして、帰ってくるのを待ってくれる人が居ることを知った。だからこそ、その心が分かった!

それは、生きようとする意志が唯一無二であったことだと。

 

 

一「この技は今までの技とは訳が違う。この技の正体をつかむことはできない!」

いままで以上の氣が出た。黄金がさらに色薄くなり、山吹色へと変化した。

 

 

春「・・・・・・・・・・・・・・・・ゴクッ」

春蘭は今ここで自分がしていることに初めて後悔した。自分の気持ちや決意がこの男に負けていること。

 

 

そのころ、恋と霞は両者一歩も譲らないものであった。

しかし、一刀の方向からすさまじい氣を感じ動きを止めた。

 

恋「・・・・・・・・・・ご、ご主人様!」

 

 

霞「な・な・・・・・ん・・・・や、この・・・・・氣、これ、が・・・・あの・・・天、の御遣いの・・・・・兄・・・ちゃん・・・・のか?」

 

と二人固まり、恋は何か自分が守られているような感覚に陥った。一方、霞はこれが、あの男の本気なのかと驚き、戦ってみたいと。

 

 

霞「恋・・・・・・・一時休戦や、恋も気になるやろ?」

 

 

恋「・・・・・・・・・・(コクッ)」

 

武人としての血が騒ぎ、二人はその場へと向かった。

 

 

 

一「来ないのか、魏武の大剣、夏侯元譲?」

 

 

春「・・・・・・・参る!!!!!でやぁぁぁぁぁぁ――――――――――っ!」

と死を覚悟した一撃を繰り出そうとした直後、

 

 

???「待ちなさい、春蘭っ!」

と後ろから、歩いてきた覇王曹孟徳!

 

 

春「華琳様!」

 

 

華「待ちなさい春蘭。・・・・・・私の許可無く死ぬことなど、絶対には許しはしないわよ。」

 

とてつもなく大きな氣を感じ、何か嫌な感じがしたためやってきた。

 

春「しかし・・・・・っ!」

 

 

華「下がれ春蘭!そして武器を置け!これは命令だ・・・・・・!」

 

今、ここで死なせるわけにはいかないと、それほどまでに一刀から出る氣はとてつもなく大きかった。

 

 

華「秋蘭、軍を下がらせろ!!これ以上北郷を刺激しても何もならん。無駄な損害を増やすだけよ。」

 

それだけになく、今の前衛部隊は壊滅的であった。

 

 

秋「御身になにかあったら!・・・・」

 

 

華「何も無い。・・・・でしょう?北郷?」

と確信めいていたが確認のために聞いた。

 

 

一「・・・・・・俺達しかいない。」

 

氣はだしながらも構えを解いた。

 

 

華「だそうよ。・・・・・下がらせろ、秋蘭」

 

やはりと思いながら

 

 

一「何を考えてる?」

 

と不気味におもいんがら聞いた。

 

 

華「何も。・・・・・ただあなたの誇り高さに見直しただけよ。」

 

とあの時のことを思い出した。あのときはただの男だと思ったが、ここまで化けるとは。

少し後悔をした。実際、関羽がいなくなったら落ちるだけだと思ったがこの男がいたとは・・・・

 

 

一「そうか、で、そこの張遼、俺と戦うのか?」

と殺気をとばしている張遼に聞いた。

 

 

霞「・・・・・分かっていってるんやろ?さあ、やろうやないか。」

とゾクゾクしながら言ってきた。

 

 

一「恋、下がっていな。俺がやる。お前は橋を渡って良いよ」

とできるだけ優しく言った。

 

 

恋「・・・・・・・・・・・・ご主人様。待ってる」

と少し心配しながらも納得し、駆けて行った。

 

 

華「霞、なにを言ってるの!!!これ以上は何も意味が無いと言ったではないか!!下がれっ!」

何を言ってるのかと怒りながら言った。

 

 

霞「だまっとれ!!!!華琳!今はこの男と戦うことがワイの生きがいなんや!!!それに、ワイの神速とこいつの速さを比べなきゃならん!さあ、やるで!!!!」

自分のプライドにかけて負ける訳にいかないと。

 

 

一「わかった。来い!!!!!!!」

と一刀もそれが分かり応じた。

 

 

霞「ウォォォォォォォォォォォォリャャャャャ――――――ッ!」

 

 

一「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」

 

ガキィィィィィィン――――――――――――――――。

一合、二合、三合、・・・・・・・・・と何回打ちあったかわからないほどやりあった。

 

霞「それが、本気かいな!!!!あの氣を見せてみいな!!!!」

とこんなものではないだろうと語りかける。

 

 

一「わかっているのか、いくぞ、ウォォォォォォ、グサッ。クッ!」

氣を高めようとした瞬間どこからか矢が飛んできた。それに反応が遅れてしまい、胸に当たってしまった。

 

 

一「クッ、卑怯な、これが曹孟徳のやり方か!」

 

 

霞「な、な、誰や、人の戦いを邪魔したんは!」

と怒り狂って後ろをみた。

 

 

華「違うわ!!!!!!!秋蘭、どういうことよ!!!!今すぐ、打った奴の頸を落としなさい。」

混乱しながらも自分の部下がとんでもないことをしたと分かりすぐさま指示を出した。

 

 

一「チッ、恋、悪いな。俺はここで足止めする。飛天御剣流、土龍閃!!!!」

後ろにかけよってくる恋を見ながら、申し訳なく思いながらも橋を落とした。

 

 

恋「ご主人様!!!!!!!!!」

落ちていく愛する人をみて心が悲しみに染まった。

 

 

霞「チッ、」

 

霞は落ちていく男のために、無意識に飛び降りた。

 

 

華「霞!!!!!!!!」

 

 

恋「・・・・曹操!!!お前殺す。絶対殺す!!!」

 

悲しみと怒りが一杯になり、絶対に忘れないと曹操を見て走りながら去った。

それでもご主人様との約束を頭に繰り返し、絶対に帰ってくると信じた。

 

 

恋「ご主人様・・・・・・・・・・帰ってきて。頭なでて」

 

 

 

華「一時、撤退!!!!その後、劉備に謝礼を送る!!!!!分かったか。頸をもっていくぞ!そして、金輪際このようなことは起こらないよう軍律を厳しくしなさい!!!」

 

と自分の覇道に泥を塗られ、もう起こさないためにと厳しく心に誓った。そして、何が間違っていたのかと考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「ッ・・・・・・・はっ!!!!!それより北郷は?」

 

一刀を引き上げたあと力がつきて、気絶してしまった。

 

 

一「おっ、やっと起きたか!大丈夫か?怪我はないか?」

と自分は何もなかったかのようにふるまった。

それを、みた霞は

 

 

霞「あっ、怪我はな・・・・ちがうわ!!!!!あんたは、大丈夫なんか?」

 

と拍子抜けしてしまってボケてしまったが、

 

 

一「うん?俺は大丈夫だよ。君が助けてくれたから。それよりどうする?君は曹操のもとに帰る?俺は自分の主のもとに帰るけど?」

 

 

霞「なんか、戦場とは、えらく雰囲気ちゃうな~~~、それより、なんで逃げなかったんや?いつでも逃げれたやろ?」

 

不思議に思い聞いた。

 

 

一「まあ、戦場は気が張っちゃってね。まあ、一応助けてくれたしお礼を言おうとね。それに、こんな所に一人残して行けないしね。」

 

 

霞「はっ?そんな理由かいな?あんたおもろいやっちゃな~~~。気に入ったでワイの名前は張遼、真名は霞や。」

 

と心底面白そうにいった。

 

 

一「えっ、真名までいいの?それならおれは一刀と呼んでくれ。生憎真名がなくて強いていうなら一刀が真名だから。」

 

 

霞「いいで~、一刀やな。・・・・・一刀、本当は目が見えてないやろ。どうや?」

 

と起きてからの行動を見ていて一刀は何かと手探りの行動が多かった。

 

 

一「ビクッ、・・・・・・やっぱり、ばれたか~~~~。そうなんだよ。川に落ちた時の衝撃でな、まあ、大丈夫だから。」

 

といきなり図星をつけられ、焦ったが今さらと隠してもしょうがないと思いしゃべった。

 

 

霞「大丈夫なわけあるかいな!!!!ホンマに悪かったな!だから・・・・・・・・・一刀、ワイがあんたの目になったるわ!!!!それに、一刀、誰も殺さないでいたやろ?そしてさっきの氣を見てその姿にワイ惚れてしまったんよ。だからな・・・・・・・・・仲間にしてくれんか?」

 

と霞は罪悪感があるからと、そして、本当は飛び込んでしまった時に本当の気持ちがわかったかのように答えた。

 

 

一「・・・・・・・そっか、そこまでわかってたのか、まあな、この刀は逆刃で切れないようになったるからな。けど、目は見えなくても氣とか気配でわかるよ。まあ、ありがと。

仲間か~~~~~良いんだけど、曹操はいいのかな?」

と少し困りながら聞いた。

 

 

霞「う~~~ん、それ言われるとキツイんやけど、実際あの百合みたいな空間がなんかな~~~~~。それに、あの一刀に対する行動が気に入らんのや。だからな・・・・・いいやろ?」

と心配そうに聞いて来て、一刀は苦笑しながら、

 

 

一「うん。分かった。それならこれからよろしく霞!」

 

 

霞「よろしゅうな、一刀!」

 

 

ここにまた新たな仲間ができたが、その変わり一刀は視力を失ってしまった。だが、この後一刀は魏で蜀の黄金の守り神と呼ばれるようになった。これが、一刀にとって初めての二つ名が広まりはじめたきっかけだった。

 


 
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