No.91015

機械部オルタナティブ 2話

前回の続きです。前回よりかなり短いですのですぐ読めると思います。

2009-08-22 15:27:56 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:590   閲覧ユーザー数:578

第2話 TXとファルの場合

 

ここは”シヒコウ”本島から少し離れた小島。

うっそうと茂る森林に綺麗な海。まさに歓楽地であります。

しかし、ここの島は歓楽地などではありません。

人が泊まれるようなテントやコテージましてやホテルなど一切無いのです。

ここは何をするところかというとほら、ちょうど今15~17歳位の少年が自分の腕よりも長い鉄の塊をにらみつけてます。

少年は小高い丘に陣取っています。かなり、ずうずうしいですがこの地には人間はほとんど居ません。

居るのはその少年を少し離れたところから見る迷彩服の男と黒尽くめの男たちだけである。

少年の名前は”TX”苗字もなければ名前もこの前もらったばかりである。

TXは細い目で鉄の塊に取り付いている望遠鏡を進化されたものをにらみつけている。

彼が望遠鏡で覗いているのは約1.5キロ離れた地点にある空き缶。

独特の呼吸法と精神統一。

彼はその行動を繰り返ししっかりと狙いをつける。

バンッ!!

乾いた重い音が島に広がりその後、空き缶がパンッと破裂する。

彼は命中したのを確かめると小柄な体で不恰好な鉄の塊―狙撃銃を持つ。

「すごいですな」

近くに居た黒尽くめの男の一人が言う。

「ふふ、彼はまだ銃を持って3ヶ月ですよ」

迷彩服の男が誇らしげに語る。

威張っているのか胸をピンッと張っている。

「この子を我々にもらませんか?」

黒尽くめの男が言う。

「ふむ、それもいい。君達にこの子を預けよう。」

迷彩服の男はまるで自分のことのように笑顔になった。

「TX来なさい。」

 

自分よりも長い銃を担いだ少年”TX”はトカオと同じような特殊能力を持っている。

その能力の名前を”鷹目”という。

鷹目とは、遠くまで見渡すことの出来る能力であり、狙撃手であるTXにとっては相性の良い能力である。

そして、TXは生まれながらにして持っている銃の狙撃センスと集中力、3ヶ月という短期間の訓練によって現れた頭角は狙撃手として天才を超えた天才と周りからは呼ばれる。

その彼を今しがた引き取ったのが破壊工作団である。

破壊工作団は現在、トカオやTXなどの特殊な能力を持ったものや何かに秀でた少年、少女を集めている。

ちなみに、創立して今年で3年目で1年ごとに集めている

「TX、今日からこの人たちの組織に入るんだ」

迷彩服の男が言うとTXは無言でうなづいた。

 

 

深夜の”日本”の山道にうなりを上げながら登ってくる車がいた。

その車の名前をスカイラインGT-Rと言う。

GT-Rは華麗にコーナーを攻めるとうなりをさらに上げて頂上まで登り詰めた。

そのGT-Rの中に中肉高背の男がいた。

彼の名をファル・コン。どこかで聞いたことがあるような響きだが区切りが違うので多分人違いであろう。

ファルは一息つくと今度は山(峠)を下り始めた。

「ふ、今の俺を止めるものなんて居ないぜ」

ファルは某走り屋漫画のような顔をしてコーナーを攻める。

綺麗なラインで曲がり最短コースで走り抜ける。

さすがはファルである。

「ん、なんだ?アレは?」

異変にきづいたのはそのときであった。

GT-Rの後ろから何かがすごく高速で接近してきているのだ。

ファルはその速さに驚きつつも冷静にコーナーを攻め続ける。

”ふ、いいだろう。勝負だ”

GT-Rが再びうなりをあげる。

そして、今までよりも正確な最短ラインをありえない速度で突破する。

しかし、後ろにいる何かは離れない・・・いや、どんどん近づいてきている。

”な、何!?この俺についてこれるのか!?”

それでもファルは何かを引き離そうとする。

”なんだこいつ。化物か?”

ファルは冷静な表情で内心冷や汗をかいていた。

”離れない・・・それどころか近づいてくる”

その時、ファルの横を後ろの何かが通り過ぎていった。

”なんだ、あれは?俺は夢でも見ているのか?”

ファルの目に映っていたのは車ではなかった。

ただの人間だった。

”あ、ありえるのか?そんなこと。俺は死んだ走り屋の幽霊でも見ているのか?”

その何かはそのままありえない速度でコーナーを攻めていった。

ファルはぼーぜんとその様を見ていた。

”俺が・・・・負けた!?”

その後、ファルがどこに行ったのかはわからない。

ただ走り屋”ファル”が負けたことはその日のうちに広まっていった。

 

 

 

とある勧誘員は今年度の新規部員の書類を纏めていた。

2枚の書類をクリップで留め作業を開始する。

作業とはパソコンでデーターを登録したりするだけの簡単なものである。

勧誘員は作業中にあることに気がついた。

書類が1枚忘れられていたのだ。

めんどくさいなと思いながらその1枚を他の2枚と一緒にクリップでとめる。

しかし、予想に反してその書類はひらひらと手から滑り落ちた。

勧誘員は落ちた書類を拾った。

その書類の名前の欄には”ファル・コン”と達筆な日本語で書かれていた。


 
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