No.901478

恋姫OROCHI(仮) 伍章・参ノ参 ~救出へ~

DTKさん

どうも、DTKです。
お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m
恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、89本目です。

3ヶ月も間が空いてしまいました……

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2017-04-16 15:22:09 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3812   閲覧ユーザー数:3418

 

 

 

「明命!助かったわ!ありがとう!」

 

敵を仕留めた明命に駆け寄る地和。

 

「いえ、お礼を言われるまでもないのです。それよりお三方、お怪我はありませんか?」

「えぇ、おかげさまで大丈夫です。ところで、そちらの方は?」

 

人和は明命の傍らにいる女性に目線を送る。

 

「湖衣さんです!」

「はぁ……そう、ですか…」

 

満面の笑みでそう紹介する明命だが、真名っぽい名前に、人和は呼ぶのを躊躇する。

 

「お初お目にかかります。私は山本湖衣勘助といいます。どうぞ、湖衣とお呼びください」

 

そんな空気を察してか、湖衣は自ら自己紹介をする。

 

「湖衣さん。先程は危ない所を助けて頂きありがとうございました」

「いえ。それより、鬼はこの一匹だけですか?」

 

化け物が倒れていた場所、その骸は消えていたが、を見やりそう尋ねてきた。

 

「あ、そうだ。華なんとかさんたちが今戦ってたんだった」

 

いま思い出しました、とばかりに両手をパンと合わせる天和。

 

「「――――っ!」」

 

その言葉に顔を見合わせる明命と湖衣。

 

「方角は!?」

「え?あ、あっちだけど?」

 

湖衣は指された方角を向き、おかしな格好で黙り込む。

 

「え、なに?彼女、どうしちゃったの?」

 

思わず地和が小声で明命に耳打ちする。

 

「申し訳ないです。細かい話は後でまとめてお話しますから…」

「――――っ、視えました!鬼多数!約一万の兵と交戦中!これをよく抑えています!」

「本当ですか!?」

 

驚く明命。

 

「え~?あれ、どうして?」

 

湖衣の言葉に天和が疑問符を浮かべているが、明命たちは構っていられない。

 

「湖衣さんは本隊のところへ向かって下さい!私はこちらの援軍に向かいます!」

「分かりました」

「お三方はここで少し待っていてください!」

「え、ちょっと、どういうことよ!?」

 

せっかく頼もしい味方が来たというのに置いてけぼりというのは困る、とばかりに地和が抗議の声を上げる。

 

「しばしご辛抱を。私が後方の本隊を連れて参りますので」

「一刀様たちが、そこまで来てるんですよ!」

「「「一刀が!?」」さんが!?」

「はい!お三方を助けに来たのですよ」

「これ以上、戦っている兵の被害を出さないためにも、今しばしご辛抱をお願い致します」

 

三人の安全確保のためにも。

いま戦っている人たちのためにも。

一人が援軍に赴き、もう一人が本隊を呼びに行くというのが最善手だ。

 

「分かりました。私たちはこの辺りに隠れていますので、後で拾って下さい」

「「人和!?」ちゃん!?」

「私たちのわがままで、助かる命が助からなくなるなんて、私は嫌…」

 

人和の言葉にハッとする二人。

黄巾の乱からこちら、自分たちのために散っていった命を多く見てきた。

そして思いは、二人も同じだった。

 

「…うん、そうだね。お姉ちゃんも、ここで待ってるよ」

「その代わり、早く来いって一刀に言いなさいよね!」

「必ず、お伝えします」

「それでは、行ってくるのです!」

 

その言葉を最後に、二人は姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…とのことです」

「地和らしいや」

 

湖衣の連絡を受け、馬の足を速める俺たち。

張三姉妹の様子と最後の地和の言葉を聞いて、ひとまずは安堵できた。

 

「とりあえず、周囲に敵はおらんかったんやろ?」

「はい、それは確認しました」

「んなら、そっちは後回しでえぇんちゃう?その先には鬼がたくさんおるんやろ?」

 

先頭を駆ける霞がそう提案してくる。

 

「いやまぁ…そういうわけにもいかないでしょ」

 

後回しにしたら何て言われるか…

 

「でも~霞さんの仰ることも尤もですよね~」

 

穏が胸をぶるんぶるんと揺らしながらそう言う。

確かに、緊急事態なのはどちらかは明らかだ。

 

「分かった。それじゃあ隊を分けよう」

 

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

「というわけで、ここから隊を二つに分けます」

 

予定していた大休止地点で、主だったものを集めて軍議を開いた。

 

「俺、ひよ、ころ、沙和、そして湖衣は、兵二十を連れて張三姉妹との合流を優先させる」

「「「はいっ!」」」「分かったの~」

「残りの編成は、シャオを総大将に…」

「えぇ~~!?シャオ、総大将とかするのイヤだー!シャオも一刀と一緒にいーきーたーいー!!」

「そう我儘を申されるな小蓮さま。この軍の主力は我が孫呉の兵なのです。孺子がおるなら良いですが、おらんのであれば総大将には小蓮さまがついて下さらぬことには…」

「い~~や~~だ~~!!」

 

祭さんの説得にも耳を貸さず、完全に駄々っ子モードだ。

俺もそうだけど、ひよたち仲のいい子達が軒並みこっちというのも気に食わないのだろう。

 

「頼むよシャオ。シャオしか頼める人がいないんだよ」

「……本当に?一刀はシャオだけが頼み?」

「うん、シャオだけが頼みなんだ。天和たちと合流次第、すぐに後を追いかけるからさ。湖衣、天和たちの所から鬼達の所まで割と近いんだよね?」

「え、あ……」

「ねっ!?」

 

突然話を振られた湖衣は目が点になっていたが、こっちもその目に訴えかける。

 

「そ、そうですね。そこまで、かからない、と…思います」

 

俺の意が伝わってくれたのか、なんとなく自信なさげではあったけど、望んでいた言葉を言ってくれる湖衣。

実際、天和たちは徒歩で逃げたんだろうから、そこまで距離はないはず。

俺たちが先行して出れば、タイミング的にはちょうど着くくらいの計算だと思う。

 

「むぅ…なら一刀。貸し一つだからね!」

「分かったよ」

 

俺は苦笑いをしながらシャオの言葉に応える。

 

「それじゃ改めて、総大将がシャオ、補佐には穏、祭さんが呉軍、凪が北郷隊。剣丞隊には将が霞、軍師に雫が付いてくれ」

 

各員の返答で陣容は整った。

 

「俺たちは先行して出発しよう。主攻はもう少し休んで構わないからね。出る時機は任せるよ」

 

こうして俺たちは湖衣の案内で、天和たちの元へ向かった。

 

 

 


 
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