No.889247

マイ「艦これ」「みほ3ん」(第参部)EX回 第13話『未来の執務室』

しろっこさん

ブルネイの提督(大将)が美保の艦娘たちに、ご馳走をしてくれることになった。ブルネイ司令部の長い廊下の先にあったものは普通の執務室だったが。

2017-01-17 07:35:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:344   閲覧ユーザー数:343

「ここからは俺は提督じゃあない」

 

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マイ「艦これ」「みほ3ん」(第参部)

 EX回:第13話『未来の執務室』

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 これからブルネイの提督(大将)が皆に、ご馳走してくれる事になった。つまり一連の勘違い、その他のお詫びも込めて、ということらしい。

 

ご馳走って何だろうか? 私は祥高さんに聞いてみた。

「ブルネイの鎮守府には特別な食堂でもあるのかな?」

 

「そうかも知れませんね」

淡々と答える祥高さん。彼女もブルネイは初めてだろうから知るわけが無いか。青葉なら何か知っていたかかも知れないのだが、ここに居ないのが残念だ。

 

 しかしブルネイ鎮守府(泊地)の本館を軒並みダブル金剛や比叡というペアの艦娘がゾロゾロと歩く様はシュールだ。

 だいたい、あの妙な嵐から全てが変になったように思う。

 

 だが艦娘の量産化技術が安定すれば、こういう光景も当たり前になるのだろう。現に、このブルネイ(恐らく未来)では既に実用レベルだ。譬(たと)え美保が極端に弱いとしてもブルネイの艦娘たちの実力は平均より遥かに上回っている。

 

 ブルネイの青葉さんは歩きながら美保の艦娘に取材している。彼女自身は、この状況に全く違和感を感じていないようだ。青葉さんか……見た目は同じだけど、やっぱり美保の青葉さんとは微妙に違うかな?

 

 ダブル赤城さんは仲良く並んで歩いている。

「提督のご飯が食べられると聞いて、逃すワケには参りません」

「お腹空きました!」

 

どんな状況であってもこの二人……食べ物に敏感なのは、どこの赤城さんも変わらないらしい。並んで立つダブル赤城さんは顔から何から全てが同じ。もはや双子と言える。

 

 しかし、さっきからずっと廊下を歩いているのだが、この鎮守府本館は広い。現地の土地や建設コストが安いのだろう。美保が小さくてコンパクトなだけに、この余裕のある広さは羨(うらや)ましい。こういうところに居ると性格も大らかになりそうだ。

 

 振り返ると、それぞれの金剛には両軍の比叡が互いの『お姉様』をチェンジして、ほっぺたをスリスリしている。お前たちらしいな。

 

「はぅあぁ、更に改装したお姉さまも凛々しくて素敵ですぅー♪」

「コッチのお姉様も昔を思い出すようで素晴らしいですぅー♪」

つくづく不思議な光景だ。量産化が進めば各地でこんな光景が見られるのだろう。

 

「す、すいません、ウチの娘達が」

祥高さんがブルネイの提督に頭を下げている。

 

しかし彼はニコニコして応える。

「あぁ、いやいや。喧しいのはウチもいつもの事さ。ただ同一の艦娘でも似ている所や似ていない所があるモンだと思ってね」

 

確かにそうだ。同じ艦娘であっても個性が違う。また経験値や装備によっても各々違ってくるだろう。

 ただ同じ戦場や艦隊でダブルで使うのは混乱が生じる。今日の演習のような状況は実戦では、まずあり得ないだろう。

 

 私たちは、ようやく鎮守府本館の中央付近にある提督執務室の前にやってきた。

提督が『ここだよ』という感じで指している。

 

「えー?」

まず比叡が驚く。

 

「ここって、執務室では?」

続いて赤城さん……すると一方の赤城さんがヘナヘナと脱力して床に崩れ落ちる。座り込んだのは美保の彼女かな?

 

「赤城さんは、そんなに食事を期待していたのか」

私は苦笑しながら、へたり込んだ彼女に言う。

 

脱力した赤城さんは恨めしそうな目で私を見上げた。

「だってぇ……」

 

何だ? この可愛い反応は……凄いギャップ(笑)

でも、こういう反応をするのは、やっぱり美保の赤城さんで間違いないと思えるから不思議だ。

 

 しかし妙に幼児返りしてないか? 赤城さん……ってか、最近の彼女はリアクションがまるで、お笑い芸人だよ。

 そういえば以前の赤城さんは、もっと生真面目だった。そうだな……同じ一航戦の加賀さんと十分バランスが取れるくらい澄ましていたハズだ。

 

「さぁ、入った入った。」

提督は、そんな『お茶目』な赤城さんには目もくれず皆を部屋の中に案内する。

 

「ホラ、提督もああ言ってるのだから立って」

私は床にへたり込んでいる赤城さんに手を差し出した。彼女は一瞬、私に手を伸ばしかけて急にハッとした表情になった。そして慌てて手を引っ込めた。

 

「いえ……失礼しました司令。独りで立てます」

赤城さんは、ちょっと頬を赤らめシリアスな表情かつ、いつもの真面目な口調で応えた。そして軽く掌を立てると私が差し出した手を、やんわりと否定した。

 

 あれ?

……この硬くて上品ぶった雰囲気は、いつもの赤城さんだ。やれやれ、やっと平常運転に戻ったのか。

 

それを見ていたブルネイの赤城さんが苦笑しながら説明する。

「腹が減っては戦(いくさ)は出来ぬ……私たちは空腹になると、つい我を忘れてしまうんです」

 

「ああ、そうだね」

私も赤城さんの性格は百も承知だ。今さら恥ずかしがることもないだろうに。さっきよりも真っ赤な顔になっている赤城さん。妙に可愛らしいよな、この子は。

 

「うふふ、司令はダメでも私なら恥ずかしがらなくて大丈夫でしょ?」

そう言いながらブルネイの彼女が、もう一人の赤城さんに手を差し出して助け起こす……二人の赤城さんか。ややこしい!

 

 私たちは最後に提督の執務室に入った。ここにいる全員が入っても余裕があるほど、ゆったりしたスペースの執務室だ。

 

 でも、ここで食事が出来るのか? 食器とか食材を別室から持って来るのだろうか? 

しかし室内にはキッチンも何も無い。提督の意図が良く分からないな。

 

 私の疑問に思う気持ちを代弁するように金剛が言う。

「この部屋は広いデスが何処かから料理を持ってくるのデスか?」

 

比叡も続ける。

「まさかSF映画とかに出てくるようなチューブとかブロックみたいな味気ない食事が出て終わりとか言うんじゃないでしょうか?」

 

 そりゃ無愛想だな。

しかし比叡よ、どこからそんな発想が出てくるんだ? お前、休みの日には相変わらずアニメとか見ているんだろう。別に咎めないけど。

 

 しかしブルネイの提督は怪訝(けげん)そうな私たちには、まったく動じていない。

「はーい、その辺の壁とか家具とか触らないようにな」

 

そう言いながら彼は何かを操作した。するとあら不思議、壁の資料棚がズズズと動き出して酒瓶が満載された棚に変わるではないか?

 

「わぁ!」

比叡が驚くのも無理は無い。床からはテーブルとソファが開口部からせり上がって来る。さらに提督の座るデスク周辺はシステムキッチンとバーカウンターに早変わり。ナニこれ?

 

「さぁ『Bar Adomiral』へようこそお客様。ここからは俺は提督じゃあない。この店のマスターだ」

 

ここは、からくり屋敷か? 度肝を抜かれた。美保の艦娘たちも軒並み目を丸くして口をポカンと開いている。惜しい! 美保の青葉さんが居たらスクープだったのに。

 

 しかし未来の執務室はこうなってしまうのだろうか? 私たちは、ただ驚くばかりだった。

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

http://www13.plala.or.jp/shosen/

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PS:「みほ3ん」とは

「美保鎮守府:第参部」の略称です。


 
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