No.881153

異能あふれるこの世界で 第六話

shuyaさん

お世話になった方からの依頼です

2016-11-27 23:39:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:325   閲覧ユーザー数:323

【阿知賀女子学院・麻雀部監督室】

 

 

赤土「はあっ?」

 

 

赤土「無茶すぎですよ!姫松の元大将を指導しろって、そんなのできるわけ――――」

 

 

赤土「いや、確かに大きな借りがありますので、私にできることならお受けしたいんです。しかし、この件は阿知賀への義理を欠きますので……」

 

 

赤土「実業団時代なら、不定期にはなるでしょうが、できることもあったかと思います。ですが、阿知賀で監督をやっている今だけは聞けない話ですよ」

 

 

赤土「それは……まあ、確かに高校生としては引退選手扱いですが」

 

 

赤土「そういう意味では筋が通らなくもない……いやいや。それでも私が教えたことを後輩に教えてしまえば」

 

 

赤土「禁止?元大将による後輩への指導を全面的に禁じるわけですか。赤阪さんも酷いことを」

 

 

赤土「いえ、そんなに長くなくてもいいと思います。そうですね、その子が大学を出るまで、あたりが妥当でしょうか。母校と関われなくなるのは、寂しいことですから」

 

 

赤土「それはもちろんダメです。私が教えることで、特殊な範囲は永遠にアウトですよ。少なくとも、私が麻雀から退くか、私が認めるまでは」

 

 

赤土「わかって言ってますよね?これでも、何を教えろと言われているのかは理解しているつもりです。そういうことなんでしょう?」

 

 

赤土「はあ……これ、ほぼ教えたことがないって代物なんですけどね。なんの因果で敵とも言える子に教えなきゃいけないのか」

 

 

赤土「……わかりました。わかりましたよ。どうせ阿知賀の子たちには向かない技術なんです。正直、誰かに教えてみたい気はありましたから、いい機会だと思い込むことにします」

 

 

赤土「えっ、指導者殺し?なんですか、それ」

 

 

赤土「私もきっと教えたくなる?いやいや、確かに教えるのも好きですけどね。誰かに対して特別な気持ちが入るってのは有り得ないですよ。指導者としてどうかって話にもなりますから」

 

 

赤土「……はあ。姫松の、えっ?善野さんと赤阪さんも?」

 

 

赤土「うっわ、それ本当ですか。目をかけているって噂は聞いていましたが、あの難物どもが両方かあ」

 

 

赤土「一応、軽くは調べました。ですが、向こうのブロックから姫松が出てくるとは思っていなかったので、それほどきっちりとはやっていなかったんです。お恥ずかしい限りで」

 

 

赤土「確かに読み通りではありましたが、余裕があればやっていたことですから」

 

 

赤土「ああ、なるほど。こういうのがお好みなわけですか。うーん……今はまだ、基本的な実力をつけていく時期じゃないですか?足りないところが多い子だと見ているのですが」

 

 

赤土「うわ。そういう子なんですか。なるほど。じゃあ初手で『あんたの情報の扱いも分析のやり方も麻雀に対する姿勢も、何もかもが甘すぎる』と言ってしまえと。それ、いきなり嫌われませんか?」

 

 

赤土「私のやっていることを、ですか。そりゃ教えると決めたんですから、初回からそこそこ出してもいいですけど」

 

 

赤土「それだけで信じてくれるんですか?それって、ちょろい子なんじゃ」

 

 

赤土「圧倒的に上であることが身に沁みれば、モチベも上がるし敬意も得られると。姫松の監督方は悪いことを考えますねえ、相変わらず」

 

 

赤土「ああ、いえいえ。こんな指示が入っているなんて、本人には言いませんよ。というか、私には言えませんね。かわいそうで」

 

 

赤土「そのあたりは任せてください。こちとら年齢一桁から膨大な情報を収集して、実践に利用し続けてきたんです。年季が違いますよ」

 

 

赤土「あははっ!ええもうお任せください。手法もずっと更新し続けてますから、時代遅れなんて有り得ませんよ。少なくとも、致命的なトラウマを抱えながら実業団トップクラスを走っていられる程度には通用する代物ですから」

 

 

赤土「ええ。私も色々あって、かなり打てるところまではきているんです」

 

 

赤土「はい、後はどうやってプロになろうかなあと考えている段階で。いくつか簡単にいける手はあるのですが、プロ入り後の影響が少なそうなのは、やはりテストやスカウトかなあと」

 

 

赤土「そうですね。もしかしたら、お願いするかもしれません。私をよく知っている人なら、私がとてもお買い得だと思ってくれるはずなので。なんなら、引退後も私を残せる契約ってのも、条件次第ではありですね」

 

 

赤土「はいはい、わかりました。実績って言い方は好きじゃないですが、いい選手に育てて、大学からプロに送り込めるように仕込んでおきますよ。今までの教え子にも面白い選手がたくさんいますからね。末原さんも、その一人にしてしまいましょうか」

 

 

赤土「ん?これって……ああっ!」

 

 

赤土「いえ、なんでもないんです。こっちの話でして……申し訳ありません。ただ、ちょっと良い事を思いついちゃいまして」

 

 

赤土「悪だくみ、ってほどじゃありません。ただ、末原さんに一人増えてもいいかって聞いておいてくれますか?ついでに、こちらからも頼みごとをするかもしれないと」

 

 

赤土「私にも色々とあるんですよ。だから、厄介事を引き受けるついでに、他の厄介事もまとめて片付けてやろうかなと思いまして」

 

 

赤土「ええ。悪いようにはしませんから。あの二人にも、よろしく言っておいてください」

 

 

 


 
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