No.877929

宵の朔

noraさん

久々にこぎみか漫画描こうとしたけどSSの方が書けそうだから書いてみたらわりと書けました。
SSというよりボンヤリ考えてた設定まとめって感じ。
普通にセクロスしてますがシーンは書いてないから全年齢公開してしまいます。
MMDを弄ってたら思いついた朔ちゃん設定とか。
ちょっとした仕掛け設定なので読み飛ばさず読み勧める事をおすすめします。

2016-11-06 11:50:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:497   閲覧ユーザー数:497

それは悲劇でした。

私達の主、上野統殿の最後の時を、私と私のあにさまは目撃していました。

遠い時空の彼方へ行ってしまうその瞬間を・・・

まるで本人の意志を貫くかのように

部隊の皆が呼び止めるのも聞かず、一人、時空の彼方へ吸い込まれるように消えていってしまったのです。

 

 

 

 

 審神者や刀剣が亡くなってしまう事は良くある事ですから殉職扱いとなり、数日後に遺体の無い葬儀は行われ我々の部隊は、年少の我々を残して、一部解散となりました。

 年季を終えた刀剣も居りましたし、それは当然の事だったのでしょう

 私も長年一緒に過ごした主が突然亡くなった事にショックを受けて数日あにさまと共に泣いて過ごしましたが

 刀剣として、こういった終わり方は考えて居なくもありませんでしたので、数日で立ち直り、主の葬儀を終えました。

 ところが、幼少から審神者に親代わりで育てられたあにさまには、私の受けた衝撃以上のものがあったようで葬儀が終わってから、異変はすぐに現れました。

 いつもボンヤリ、おっとりとしたあにさまなのに、その日はどういう事でしょう?

 まず、朝起きた時に私より早く起きている事に衝撃を受けました。

 私達は普段学生寮に住んでおりますので、審神者の葬儀が終わった後はすぐに宿舎に戻ったのですが・・・

 朝の出来事には驚いたものです。

 あの、強くて優しいあにさまが、他のものに売られた喧嘩を買う等と・・・・・・・・

 当然、天下五剣に下級刀剣がかなう筈も無く、あにさまは無傷で勝利いたしましたが、傷害事件として生徒指導に呼ばれてしまいました。

 その時の受け答えは、いつものあにさまのようにフンワリとした物腰で応答なさっていましたが

 私には違和感を覚えました。

 なんだかいつものあにさまとは目が違うのです。

 焦点が合っていないというか、上の空というか・・・・

 全ての物事があにさまにとってフィルター越しのような・・・

 そんな不気味な印象を受けたのです。

 その後自室に戻った際に問い詰めると、あにさまはこう言いました。

「俺は三日月じゃない、朔と呼べ」

 ああ、あにさまは、上野統殿がこの世に居なくなった事に耐え切れず、別人になってしまったのですね。

 元々あにさまの殺伐とした半生を知っていた私は、いつ三日月が精神の病に侵され様とも動じぬように教育されておりましたので

すぐに原因にピンと気が付きました。

 刀剣の業務は著しく精神を病む職務が多いのですから、その為の備えだったのですが、功を奏しました。

 でも、私は別人になってしまったあにさまに、ちいとも嫌悪感がわきませんでした。

 元々二重人格は本人が思い込んでいるだけで、根元は同じという事を知っていたからかもしれません。

 行動は元のあにさまとは確かに別人なんですけれど、日常のしぐさは、その、全く同じですから・・・・

 ちょっと中学生くらいのわんぱくなあにさまに戻ったような印象を受けたのです。

 私とまぐわう前までは、あにさまは野駆けなどをする男らしいスポーツ少年でした。まあ、まぐわった後の今も野駆けはしてますけれど・・・

 そして私も気が動転していたのでしょう。

 話を聞いたり見知ったりはしていても、実際に目にすると訳が違います。

 本来なら元に戻らないと絶望するのでしょうが、私は違いました。

 私は、三日月でない朔に、興味を持たれないで捨てられてしまうのかもという事が一番恐怖に感じたのです。

 幼少のあにさま、私や審神者に会う前のあにさま、肉の味を知らないあにさま、そんな、あにさまは私と違って元々男が好きなわけではないのだから、ああ、

 

メスにしなければ、雌にしなければ、私は捨てられてしまう・・・・・・・・・・・

 

 思うと同時に、私はあにさまを押し倒していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前何考えてるんだよ!いきなり押し倒すか、普通?!」

 朔が私をなじります。無理もありません、前置きも無く私は朔を犯したのです。

 朔は快感を覚えている自らの身体を恐れていたようでした。

「申し訳ありません・・私とても不安で・・・朔が私を三日月のように夫婦扱いしないかもしれないと不安に駆られて・・・仕方なかったんです!」

「はあ?!何なのお前、野獣かよ?!俺の意思を確かめるとかそういう間をおけよ!」

「え?何ですか、私が恋人以外の回答を求めるとでも思っているのですか?」

 聞き捨てならない台詞でした。

 私は自覚するほどに悋気が酷いのです。

 もしも、朔が他の誰かと付き合ったり寝たりしたらその相手を刺し殺してしまう事すらおかしくありません。

 朔と三日月は別人では無いのですから。

「…別に、誰かと付き合おうとかそういう事に俺は興味ないよお前が俺と付き合いたいなら好きにすれば」

 ふぃっと照れくさそうに首を振ると、朔は向こうを向いたまま動かなくなりました。

 おや、これは朔も私を憎からず思っているという事でしょうか?

 兎にも角にも、三日月は私に不満があって朔になった訳ではない事は完全に明らかになり、少しホッとしました。

 本当に、上野統殿が居なくなった事によるショックのようです。

 でも・・・居なくなった人によるストレスで別人になっても、それはどうしようもない事。

 あにさまがいつまで朔で居るのか、もうずっとこのままのつもりなのか、それは私には想像の付かない事でした。

「朔、…あにさま、今日は学校をお休みにして、お医者様の所に行きましょう。その方が朔も安心ですよね?」

「…仕方ねーなあ」

 身体を合わせた後だからなのか、あっさりと朔は許諾しました。

 疲れた身体を起すと、シャワーの場所を聞いた後私と一緒にバスルームに行きます。

 私は朔がいつまでも朔のままでも、わりと構わないかもしれないな、と考えていました。

 だって本当に言葉遣いは別人ですけれど、確かに三日月が言いそうな言葉なのです。

 ひょっとしたら、私の手前、飲んでいた言葉を朔が言っているのかもしれません。

 三日月も色恋沙汰には全く興味が無い人間でしたので、おそらく朔は暴力の方に興味を大きく割り振った人間なのでしょう。

 幸い私の方が体力と素早さが上回っているので押し倒す事も可能でしたが…

 本気で攻撃されたら私は敵わないでしょう。

 朔と一緒にお風呂に入ると、昔のことが思い出されました。

「そういえば、最初に仲良くしたのも風呂場でしたね」

「あ?何の話だ?三日月の事なら俺はしらないからな」

「小さい頃、三日月と始めて閨事の真似事をしたのが、実家のお風呂なんです。ここは寮の個室についている簡易な浴室ですけど・・・朔、貴方とも仲良くなり

 

たい・・・」

 私が朔に手を伸ばすと、朔はビックリしたように私から離れます

 ああ、本当に、三日月のようです・・・

「ばっ、ばかちょっと、俺は三日月じゃ無いんだからな!近寄るな!」

「どうして?私の事が嫌いな訳では無いのでしょう?三日月のように私の恋人になってくれるのでしょう?何も変わりません・・朔」

 朔の手を掴むと、私の元に引き寄せました。

 朔は不満そうに私から顔を背けます。

「ほら、ちゃんと私は貴方の意思を確かめましたよ?こっちを向いてください朔」

「お、おまえなあ、こういうのは確認してるなんて言わないだろ!医者に行くんだろ!こんな事している場合か?」

 憎らしい事を言う口をふさぐと、朔は黙りました。

 三日月もそうでしたが、興味が無いだけで閨事が嫌いなわけではないのです。

 私は朔が私との婚姻関係を解消したいわけではない確実な言質を取りたかったのです。

 このまま三日月が別人のままで居たいのなら三日月は刀剣を引退する事になるでしょう。日常生活を送る事は問題なくても精神異常者である事は間違いないわ

 

けです。

 年季を勤め終えれない事は少々残念ですが、数年は刀剣を勤めた実績はありますから引退するのにさほど問題は無いでしょう。

 一族は天下五剣の嫡子が欲しいから三日月を入手したのですが、私にとってはそんな事はもうどうでも良い事です。

 刀剣であろうが無かろうが、もはや私にとって三日月は無くてはならない存在でした。

 私が一番恐ろしいのは、三日月が私から離れていく事でした。いつもふわふわとして何を考えているのかわからない三日月よりも、朔は解かりやすく単純のよ

 

うですが、別人ではありません。

 そうしたら、私としては朔をあの実家の地下に閉じ込めておく事も可能です。それはとても甘い蜜月になる事でしょう。

 誰か他の者が三日月を見初める事や三日月が誰かに心動かされる不安にもう私は悩まされる事も無くなります。

 刀剣を引退したら、即座に蟲を仕込んで子を成すのも良いでしょう。

 朔が私を愛してくれるのならば、私にとって何の不安や不満も無いのです。

 長いキスをしていると、朔の抵抗が無くなったので、私は朔を強く抱きしめました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「双極性・・というには、ちょっと症状が曖昧だなあ、正常な判断は出来るみたいだし、鬱傾向も無いね一時的なショック状態じゃないの?一時的な記憶退行の

 

方が近いかなあ」

 お医者様の意見はこういうものでした。記憶障害は年数がかかるものや、数日で戻るものなど様々だそうです。

 三日月の場合は、数日で直る事でしょうとの事でした。

 鎮静剤をいくつか貰って診療は終わりました。

 入院などを訪ねられる事も無く自宅療養で良いとの事で、わりと単純なものでした。

 まあ、入院といわれたら無理矢理にでも実家で療養させるつもりでしたけど・・・

 書類が出るまで間があったので病院の庭園に出ました。

「結局俺って三日月の小さい頃なんだ?」

 朔が聞いてきました。

「そうみたいですね。別人格では無いようです。…つまり、三日月は本来「朔」ってお名前だったのですね…知りませんでした」

 下級刀剣は、刀剣名に合わせて改名する者も少なくないのですが、上位刀剣は大体は狙いをつけて刀剣銘と同名の者がほとんどです。

 三日月は元々鷹の巣等のほかの三条派の銘になると期待していたそうなので、中級刀剣に成る予定だった人間が上位刀剣に決定して改名したのでしょう。三日

 

月は孤児ですし、容易に想像できました。

 ん?という事は、朔は大体自分では何歳のつもりなのでしょう?

「朔、貴方は何歳のつもりなのですか?」

「え?俺は9歳だろ?」

 …ええ、どうしましょう

 もう手を出してしまいましたが、精神年齢9歳に閨事を押し付けるのは・・・

 いや、でも肉体は20歳の青年です。問題ない、問題ない…

 でも、いきなり押し倒した事に驚いたわけではなくて、行為自体にビックリしていたのですね・・・

 確かに9歳ならエロ本よりも蝉取りの方が夢中になります。

「でもお前おかしいよなー俺にあんなエッチな事しておいてもっと仲良くなりたいってどういう事だよーよくわかんねー」

 確かに9歳なら最初に押し倒した所でもう恋人になる事は決定ですよね・・・

 一緒に蝉取りでもしたほうがもっと仲良くなれるに違いありません。

「俺、彼女とか恋人とかよくわからないけど、お前の事嫌いなわけじゃないからな!」

 ちょっと顔を赤くして一生懸命私に向かって言ってくれました。

 かわいい。

 やっぱり三日月はとってもかわいいです。

 大きくても小さくても、三日月は三日月ですね。

「うれしいです朔」

 最初の私の印象は間違っていなかったのです。

 私の受けた印象よりずっと朔は幼い頃の三日月でしたが、確かに朔は、小さい頃の三日月なのでした。

 そろそろ時間になったので受付に向かい、すぐに寮に戻る事になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 寮に戻る前に、近くの公園へ寄る事にしました。

 数日で元に戻るとはいえ、これから暫くは朔と過ごすわけですから本人の事を聞いておこうと思いました。

 三日月はあまり自分の話をしたがらないので良い機会です。

 そもそも、昔は名前が違ったなんてわりと重要な事を私に教えてくれなかったなんて・・・・・・・・

 そろそろ私と一緒になって6年くらいは経つのに、少しショックな出来事でした。

 統殿も速く亡くなった所為で、これからは何でも三日月本人に聞かないと三日月の事は何も解かりません。

 書類に記載された事項は全て知っていますが、三日月本人の気持ちは一緒に過ごした時間より前の事は、もはや三日月以外に知る由も無いのです。

 朔はどこまで自分のことを私に話してくれるでしょうか?

 そもそも私と三日月の関係も、三日月は連れてこられたから好いてくれた条件反射のようなもののような気もしていました。

 最初は兄弟からでしたし・・・・・・・

 あっめげそう、すごくめげそうです。

 幸い朔は私を憎からず思ってくれているようなので安心ですが、それもいきなり襲われた条件反射のような気もしないでもないような…い、いえ、そんな事は

 

無い筈…

「こんな所で降りるのか?まあいいけど」

 朔は公園に入ると、のろのろと公園の案内のある看板に向かって歩いていきます。

 この公園は廟に併設されたとても広い公園です。

 刀剣やそれに関わる事業のために造られた人工都市であるこの都市は、様々な刀剣由来の社が設置されています。

 この公園もその一つなのです。

「朔、あちらへ一緒に歩きましょうか」

 私が朔へ話しかけると、朔ふらふらとついてきました。

 公園には水路の水を貯めた小さな池があり、その脇に沿って通る橋と、ベンチが点々とあります。

 そこへ私達は腰掛け、少し池を一緒に観ました。

 朔は本当に記憶が無いのが、辺りをキョロキョロと見回しています。

 住民が捨てていくのか、亀があちらこちらに顔を出して日向ぼっこをしているようでした。

 桜の時期でしたらここも美しいのですけれど、今はもう晩秋。

 すっかり紅葉も終わり辺りは枯れ木しかありません。

 まだ冬には早く、外に居ても過ごしやすい気温でした。

「のどかな所だな~!いつもこんな所に居るのか?」

「ええ、休日はよく一緒に散歩していますよ。」

「へえ、よく飽きないなあ俺はここで座っているより池で遊びたい」

 …なるほど、三日月は日ごろそんな事を思った居たのですが・・・

 私とお話出来るから池で遊ぶのをガマンしていたのでしょうか・・いやいや、年齢的にちょっと無理がありますね。きっと朔が幼いからそんな事を思うのかも

 

・・・あ、でも、三日月だからなあ・・・・・・・・

「俺の弟の宵がここに来たら、一緒に遊べるのになあ~」

「…弟さんが居るのですか?」

「うん、長く病気してて最近ずっと寝てるけど元気になったら一緒に遊びたいな!」

 ニコニコ笑いながら弟さんの事を話しています。

 三日月の実弟は早くに亡くなっています。朔の言う年齢の時にはもう亡くなられていた筈・・・・・・

 本人の年齢も少し混乱しているのかもしれません。

 ひょっとしたら、三日月は自分が幸せだった幼少の頃に戻ってしまって、そのままで居るつもりなのかもしれません

 審神者が居ない時間では、弟さんの居る状態で9歳である事がきっと三日月にとって幸福な時間だったのかもしれませんね。

 でも、私と一緒だった時間が丸ごと抜け落ちて居るのには少々腹が立ちます。

 本人が言っている年齢より前に起こった事が無くなっているという事は

 今の朔は、三日月本人に都合の良い記憶が継ぎ接ぎにされた状態という事です。

 朔の状態で私が恋人であるという事が追加されていない事は承認できない事でした。

 まあ、いきなり襲われたからその衝撃で今恋仲になった、という事になっているのかもしれませんが…

「朔、私と朔は恋人同士ですから何でも教えて下さいね」

「う、うん…」

 私は朔の手を握ると、朔は照れたように俯きました。

 付き合い始めた頃の三日月みたいですね。

「私は三日月の事なら何でも知っているんですけれど、朔の事はちょっと解からないのです。朔の身の回りの事を少し教えてくれませんか?」

「うん、いいよ何について話す?」

「最初ですから、朔がどちらに住んでいるのか聞いていいですか?」

「俺の住んでる所?うんと…ここより北の寒いところだよ陸奥国かな前は相模国に住んでたんだけど弟が病気で引っ越したんだ…」

 なるほど、それで三日月宗近に推挙されたわけですね。

 海老名宗近に成りたがった理由もわかりました。

「そうですね…朔の親御さんはどういった方達なのですか?二人とも刀剣というのは知っているのですがどういった刀剣だったのかは全く資料が出てこないので

 

す」

 朔は少々考えた後、こう言いました

「おとーさんとおとーさんの事?二人ともすっごく仲が良いよ!下級刀剣だったらしいからあんまり有名じゃないのかも銘は俺も知らない。俺達兄弟は蟲を使用

 

して生まれた兄弟なんだけど、二人とも強い刀剣になりそうだから喜んでたなあ」

 えへへ、と朔はうれしそうに微笑みます。

 刀剣同士の掛け合わせなのは知っていましたが、三日月が特に私に嫌悪を示さない理由が解かった気がしました。

 三日月が私と見合わせなかったら異性をどう思うのかは、もはやわからない事ですが、三日月にとっては私と番う事の方が自然だったのでしょう。

「そうなんですか一度お会いしたいですね。」

 まだまだ聞きたい事は山ほどあります。

 そうして話し込んでいるうちに、夕方になってしまいました。

 辺りは日も暮れて、アベック達がうろうろしはじめました。

「あっ、あそこの人たちキスしてる」

 朔が木陰で絡み合う恋人達を見つけたようでした。

「私達もキスしましょうか?」

「ち、ちがう!そういう意味じゃない!本当にお前はすぐにそういう事をしたがるな!」 

「良いではないですか恋人同士でしょう?みんなキスしているのですから私達もキスくらい良いではありませんか」

「う、そ、そういうものか?」

 朔は少し迷った後、覚悟を決めたように目を瞑りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の朝目を覚ますと、三日月はまだ一緒に眠っていました。

 ああ、これはもしかして三日月に戻って…朔は消えてしまったのでしょうか?

「三日月、起きてください、三日月」

 一応今日も病欠ということにしてありますが、念の為三日月を起こす事にしました。

 朔なのか三日月なのか確かめないと…

「ん、なんだなんだ騒々しい…おや、時間かあ」

 ふわーって大きな欠伸をすると、私の方を向き挨拶をします。

 ああ、これは三日月です。

 朔は…たった一日で消えてしまいました。

「三日月、どうですか、具合は?頭は痛くないのですか?」

「…身体はすこぶる平気だ。頭痛も無いな。ただ…そなたいくらなんでも俺に無体を働きすぎでは無いか?」

「えっ?」

「昨日の記憶では、幼い俺が何回も犯されていたぞまあ、仕方の無い事だがそなたという奴は…」

「あっ、じゃあ、朔の記憶も・・・」

「ああ、覚えている…」

 そう言うと三日月は、照れたように顔を背けるのでした。

 

 

 

 

 

おわり。


 
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