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SAO~黒を冠する戦士たち~ 英雄外伝 第10話 ゼウスのお節介 後編

グルメ96さん

どうも、グルメです。前回のお話で軍がボス攻略に挑むことを知ったゼウスは、何か思うところがあったのか、はたまた単なる気まぐれなのか・・一言言いに軍の元へ向った。
今回のお話は、その続きとなります。

それでは、どうぞ。

2016-10-28 13:59:44 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:747   閲覧ユーザー数:742

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第10話 ゼウスのお節介 後編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆっくりとまとまって歩いてくる一団、「アインクラット解放軍」通称「軍」がこちらに向かって来た。座っていた段差から立ち上がり、先頭を歩いているリーダーらしき人物に向けて声をだした。

 

「おはようございます。朝からお出かけですか?パトロール?レベル上げ?それとも・・ボス攻略ですか?」

 

リーダーらしき男はゼウスから離れて数十歩前で止まり、後ろについていた軍の連中も足を止めた。リーダーらしき男は無言でこちらを見つめ、後ろの連中はこちらを見るなりヒソヒソと話し始めた。聞こえないように話しているつもりだがスキルで丸聞こえであり、そのほとんどが「アイツ誰だ?」とか「何で俺達の目的を知っているのだ?」という内容ばかりだ。

 

「何者だ、貴様は?」

 

「おっとこりゃ失礼、俺の名はゼウス。ただのプレイヤーだ。おたくの名を聞いても?」

 

少し黙った後、ゆっくりと声を出した。

 

「私はアイングラット解放軍所属、ゴーバッツ中佐だ」

 

お互い軽く自己紹介をして、ゼウスが「いつのまに軍という名前を固定したんだ?」とぼんやり思っていると。

 

「君は何用で私たちを待っていたのだ?」

 

「いや、なに。風の噂で軍がボス攻略に挑むって聞いたからね。一言‘お願い’を聞いてもらおうと思って・・・」

 

「ひとこと?お願い?」

 

ゴーバッツやそれに従う者が困惑するなか、ゼウスはゆっくりと話し始めた。

 

「単刀直入に言うと、ボス攻略はやめてほしい。軍(おたくら)がやろうとしていることは立派だ、その意思は誇ってもいい・・。」

 

「ただ・・」と前置いて、

 

「ご存じないかな?70層辺りからモンスターのアルコリズムがおかしいってことを・・俺も焼いているんだよな・・道中のモンスターには。」

 

そういって両手を広げて‘やれやれ’とするゼウス。ゴーバッツはと言うと黙ってゼウスの方を見続けていた。

 

「となると、おれは必然的に考えてしまうんだよな・・ボスモンスターもきっとなにかあると。それは俺も予想していない何かが・・・・・俺からのお願いについては以上だ。」

 

言い終わり一息いれるゼウス。これを聞いていたゴーバッツはいきなり「フン」と鼻で笑った。

 

「我々は25層の壊滅以降、全プレイヤーの解放を目指して日々鍛え、そしてこの日を迎えた。輝かしいこの日を訳もわからん奴に止められる筋合いはない!」

 

宣言するかのようにゼウスに言って歩きだした。そして横切る前に・・・

 

「もし、心配してこのようなことを言ったのなら心配無用と話しておこう・・全軍行くぞ!」

 

ゼウスに聞こえるように話すとゴーバッツとその部下たちはゲートに向かい転移して攻略の最前線にむかった。

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

ゼウスは顔色を変えずにゴーバッツとその部下が消えた後も、ただその場に立っていた。そしてゼウスはひとり言のようにつぶやいた。

 

「言い忘れたけど、誰も軍(お宅ら)のことなんか心配してねえよ。」

 

首だけ動かしてゲートの方に向けて言った。

 

「俺が心配しているのは軍(お宅ら)がやられていくなか、それを偶然見た他の連中が助けに入り、命を落とさないかが心配なんだよ・・それにしてもあの連中はどこからあの自信が湧いてくるのかねぇ・・」

 

それだけ言うとゲートを背に歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

Tobecontinued....

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

第10話いかがだったでしょうか?

 

 

ゼウスははなから軍の連中のことを心配なんかしていません。心配していたのは本郷さんの本編で起こった軍を助けるためにアスナのような行動を取る人物、そしてその行動を取るのが自分を信じてくれる連中なのではと、そのことを危惧していました。

 

では、こうなる前に無理やりにでも軍を止めるべきでは?とお考えの方はいると思いますがゼウスは‘人の意思’を大切にしており、‘どんな意思でも否定しない’という考えを持っています。そして力や押し付けによって無理やり意志を変えさせることを好まない人物で、自分達の意思でボス攻略をやめるということを望んでいたのです。

 

 

次回は新キャラ、エドの弟子?が登場します。

 

 

 

それでは、このへんで・・・ではまた。

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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