No.864098

九番目の熾天使・外伝 ~ポケモン短編~

竜神丸さん

七夜の願い星 その7

2016-08-17 19:16:08 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3619   閲覧ユーザー数:707

海岸沿いの道路、停車中のトラックにて…

 

 

 

 

「ジラーチがやっと起きたんだって?」

 

ポケモン達と共にバトルを楽しんでいたメンバー逹。しかしジラーチがようやく目を覚ました事で、一同は一度バトルを中断し、全員の注目が咲良の腕の中にいるジラーチに集まった(ちなみに支配人とユイは買い出しに出掛けている為ここには不在。竜神丸は現在トラックの外に出ている)。

 

『ふぁぁ、よく寝た……あ、おはようサクラ』

 

「ふぇ? じーくん、どうして咲良のお名前知ってるの?」

 

『ボク、眠っている間も、周りの音は聞こえてたんだ。ウルにキリヤ。カズキにコウヤ。レイにユイ。コナタにミソラ……それにアルファも!』

 

「ふ~ん……これが『ねがいごとポケモン』のジラーチねぇ……にわかには信じ難いなぁ」

 

「えぇ~! じーくんはすごいんだよ! 咲良がねがいごとしたら、じーくんが叶えてくれたんだよ!」

 

「俺達は信じるぜ。流石にあんなのを見せつけられたんじゃあな…」

 

「ですね。ポケモンハンターが狙っていたのも頷けますよ」

 

「本当かぁ…?」

 

ロキやディアーリーズはうんうんと頷いているが、げんぶはポケモンハンターJが襲撃して来た時点ではまだ一同と合流していなかった為、ジラーチが願い事で発動した『あまごい』を見ていない。それ故、彼はジラーチの願い事を叶える力に対して半信半疑な状態だった。

 

「じゃあさ、実際に見てみれば早いよ。ねぇジラーチ、起きたばかりで悪いけどさ、私の願い叶えてみてよ」

 

『? こなたの、願い事?』

 

「そうそう。せっかくだからさ、甘いお菓子いっぱい出して!」

 

「発想が既にガキンチョだな…」

 

「んだとゴラァーッ!?」

 

「こなた、押さえて押さえて」

 

『お菓子…』

 

ロキの煽りにこなたが逆上してディアーリーズが押さえる中、ジラーチはこなたの告げた願い事をしっかり聞き入れていた。すると、ジラーチの頭部に付いている三枚の緑色の短冊が光り始めた。

 

『分かった……甘いお菓子、いっぱい出す…!』

 

「ッ!?」

 

「うぉ、眩し…!!」

 

トラック内部が、ジラーチの頭の短冊の光に包まれる。一同が思わず目を瞑るほど大きな光を発した後、光はどんどん小さくなっていき、そこには…

 

「…?」

 

「…何も無いぞ」

 

「…あるぇ~?」

 

…特に何も無かった。トラック内部に大量のお菓子が出現するような事も無く、一同は首を傾げる。これにはげんぶも呆れ顔にならざるを得ない。

 

「…おい、コイツ本当に『ねがいごと』ポケモンなんだろうな? 図鑑の説明が嘘だったとかじゃないよな?」

 

「ウソじゃないよ~! じーくんはすごいんだよ~!」

 

「あ、あれぇ~? おっかしいなぁ~…?」

 

「変だな……あの時はしっかり『あまごい』降らせてたのに…」

 

「叶えられない願い事もあるって事ですかね…」

 

「…チル?」

 

「? チルタリス、どうしたの…?」

 

「チル、チルチルッ」

 

「! これって…」

 

一同が不思議に思っていたその時、美空の腕に抱かれていたチルタリスがある事に気付いた。それは、いつの間にか美空の足元に落ちていた物だ。

 

「あ、あの……皆さん、これ…」

 

「? 美空さん、どうしたんで……それって?」

 

「ん、キャンディーか…?」

 

そう、キャンディーだ。これは美空が元から用意していた物ではないらしく、ディアーリーズがもしかしてと考えていたその時…

 

『お菓子……お菓子、いっぱい出す…!』

 

「「「「「!?」」」」」

 

ジラーチの頭の短冊が再び光り始めた。すると今度は何かが突然パッと出現し、ロキがそれをキャッチ。それは袋に入れられたスナック菓子だった。

 

「これは…」

 

『お菓子、お菓子!』

 

「え、ちょ……おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

それだけではなかった。キャンディーやスナック菓子に続き、チョコレート、クッキー、ラムネ菓子、ガム、キャラメル、ビスケット、煎餅などが次々と出現し始めたのだ。これには一同も驚きを隠せない。

 

「うっひゃー!? 凄い凄い、どんどん出て来るよ!!」

 

「こ、これは……認めるしかないな。蓮にもいくつか持って帰るか」

 

「うわわわわわ!!? 気付いたら既に膝辺りまでいっぱいになって来てる!?」

 

「じーくん、すごーい!」

 

「こりゃ凄いな……よし、次は俺の願いを叶えてくれ!」

 

「あ、ちょっと!! まだ私の願いが二つ叶えて貰ってないよ!!」

 

「あ、ずるいよこなた!! 次は僕が先だ!!」

 

「ふざけんな、次は俺の願い事だ!!」

 

「わ、私も……願い事…!」

 

「もー! みんな、じーくんを取り合っちゃダメー!」

 

「チルチル~!」

 

『うわぁ、まだお菓子が増えてくよ…』

 

『うむ、凄い量だな。食べ切れるかどうか…』

 

『あのねウヴァ、そういう問題じゃないでしょう?』

 

『お~か~し~、いっぱ~い!』

 

『…おい、これ収拾つくんだろうな? 面倒な事になる予感しかしないぞ』

 

気付けばトラック内は、ジラーチが出現させるお菓子でどんどんいっぱいになって来ていた。流石のげんぶもこれには認めざるを得ず、一同は自分の願い事を叶えて貰おうとジラーチの取り合いを始め、咲良がそれに大きな声で注意し、チルタリスがさりげなくそれに便乗して鳴き声を上げる。そうこうしている間もまだ、お菓子はどんどんトラック内に出現していくのを見ていて、咲良の中にいるグリード逹(ガメルを除く)は何となく嫌な予感を感じ始めていたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今のところ、ジラーチを狙う輩はまだ現れていません。対策を立てるなら今の内かと」

 

『ま、やっぱそうなるよなぁ…』

 

一方、トラックの外では砂浜の大きな岩の上に座っている竜神丸が、タブレットの通信を通じてokakaと連絡を取り合っている真っ最中だった。現在トラックの中ではジラーチによってお菓子だらけになっている事など、今の竜神丸は知る由も無い。

 

『キーストーンもメガストーンも、数が多くないからこそ貴重なんだよなぁ。全員分揃えられるかどうか……ちなみに竜神丸、お前の手持ちにいるっていう7体のメガシンカ要員、何と何がいる?』

 

「私の手持ちには今のところギャラドス、ヘルガー、プテラ、カイロス、クチート、ユキノオー、サメハダーなどがいます……まぁどれだけ数が多いところで、一度のバトルで使えるメガシンカは1体分だけですがね」

 

『相手は一度に三体も使って来たからなぁ。桃花を通じて、団長にメガストーンとキーストーンを人数分用意するよう頼むしか無さそうか……あ、ついでにコハクも連れて来るよう言っておかなきゃな』

 

「(コハク……あぁ、朱雀さんの事か)…そういえば、コハクさんもポケモンを育ててるんでしたっけ。彼、戦力として役に立つんですか?」

 

『あぁ、アイツの成長速度は凄まじいぞ。うちじゃ一番新入りなのに、この短期間で手持ちの六体全てが高いレベルまで成長してる。気付けばキーストーンもメガストーンも両方ゲットしてたくらいだしな』

 

「ほう、それはそれは……ならば存分に扱き使ってあげましょうかね。我々の任務遂行の為にも」

 

『お手柔らかに頼むぞ。お前の扱き使い方は割とシャレにならん』

 

「それはどうも……む?」

 

竜神丸は気付いた。後方に停車しているトラックが、何やらガタガタ揺れ始めている事に。

 

『ん、どうした?』

 

「いえ、トラックの方で何かトラブルのようです……全く、トラックの中で一体何をしているのやら」

 

『色々大変だな……って、ん? どうしたシノブ』

 

「…その様子だと、そちらでも何かあったようですね」

 

『そのようだ……あ? 何、お菓子の盗難事件だと?』

 

 

 

 

-ドシャアァァァァァァァァァッ!!-

 

 

 

 

「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」」」

 

「!?」

 

その時だった。トラックから大量のお菓子が雪崩のように崩れ落ち、ディアーリーズ達もお菓子と一緒にトラックの中から飛び出して来た。そんな光景を見て、流石の竜神丸も思わず唖然とした表情になる。

 

『アルファ、どうした?』

 

「…カズキさん。ちょっとばかし、面倒な事になりましたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、再びミナモシティに移動していたokakaの方でも…

 

 

 

 

 

「あ、あぁ!? み、店のお菓子がどんどん消えて……一体全体どうなってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「「「……」」」

 

okaka、刃、カガリは呆然としていた。何故なら三人の目の前では、商品として店に並べられていたお菓子が転移して次々と消えていく光景が繰り広げられていたからだ。売り物がどんどん消失して悲痛な叫び声を上げる店長の様子を見ていて、okakaは薄々嫌な予感がしていた。

 

「…なぁアルファ。今、俺達の目の前ではお菓子が次々と消えていってるんだが……もしかして」

 

『えぇ。それと同じタイミングで、私の目の前に大量のお菓子が出現しています。それも停車しているトラックの中から』

 

「…OK、何となく予想はついた」

 

この時点で、okakaは何となく察しが付いたようだ。そんな彼の近くを、ミナモシティまで買い出しに出掛けていた支配人とユイが合流する。

 

「お? カズキ、シノブ、それにカガリまで来てたのか」

 

「ん? あ、あぁ、お前等か…」

 

「…カガリ、お久」

 

「…ユイ、お久」

 

「どうしたんだ? こんな所で……って何じゃこりゃあ!?」

 

物静かな性格同士、出会った途端に握手を交わすユイとカガリ。そんな彼女達を他所に、支配人もまた店のお菓子が消えていくのを見て思わず叫んでしまった。

 

「あぁ、今アルファと通信中なんだが……どうやら向こうの方で、お菓子が大量に送られて来てるようなんだ」

 

「ウル達の方にか!? 何でそんな……いや、自分で理解したわ。どうせジラーチだろ」

 

「だよなぁ……たく、アイツ等一体何をやってんだか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、海岸沿いの道路では…

 

 

 

 

 

 

「―――で、ジラーチに願った結果、そんな状況になったと」

 

「いやぁ、お恥ずかしい限りだ」

 

「あははははは…」

 

「きゅう~…」

 

「うわぁ~…おかしがいっぱ~い…!」

 

トラックの中から大量に雪崩れ込んで来たお菓子の山。その中に埋もれていたロキやディアーリーズ達を強引に外へと引っ張り出し、竜神丸が彼等に問い詰めていた。ちなみに美空とチルタリスはお菓子の山に埋もれた影響で気絶しており、咲良は目の前にあるお菓子の山を見て目をキラキラ輝かせている。

 

「一応ですが、忠告してあげましょう。これらのお菓子は食べない方が良いですよ」

 

「へ? それってどういう……あ”」

 

竜神丸の忠告を聞いた後、げんぶは気付いてしまった。自分の手元にあるスナック菓子を見た事で。

 

「げんぶさん?」

 

「…見ろ。このお菓子、袋にバーコードが貼りつけられてやがる」

 

「「え”っ”」」

 

それを聞いて、ロキとディアーリーズも同じく気付いた。手元にあるお菓子を見てみると、どれもが店の商品という証拠であるバーコードが貼りつけられており、更に竜神丸が告げた「食べない方が良い」という発言から、すぐに察してしまった。

 

「じゃ、じゃあこれ全部、店の商品…」

 

「ぷはぁっ!! もうジラーチ、ここまで出すなら先に言ってよ! 全く…ムシャムシャ」

 

「「「あ”っ”」」」

 

「へ? な、何? どうしたの…?」

 

しかし、もう手遅れだった。お菓子の山に埋もれていた所為で竜神丸逹の会話が聞こえていなかったのか、こなたが手に持っていたう○い棒の袋を開けて食べてしまったのだ。ロキ逹が青ざめる中、事情を知らないこなたは何が何だか分からずに困惑している。

 

「…やれやれ。ここから先、しばらく説教の時間になりそうですねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く困るよ、こんな事して貰っちゃあ!! とんだ迷惑だよ!!」

 

「も、申し訳ありませんでした。まさか、こんな事になってしまうとは思ってもみなくて…(たく、何で俺が代表して怒られなきゃなんねぇんだよクソッタレが…!!)」

 

その後、ジラーチの力で転移されて来た大量のお菓子は(こなたが食べてしまった物を除いて)、一同が総動員で店に返却する事になった。そして案の定、店の店長はカンカンのご立腹であり、現在は刃が代表でお叱りを受けている真っ最中……刃にとっては酷いとばっちりである。

 

そして、この騒動を引き起こした元凶はと言うと…

 

「さぁ~て、お前達。俺達O☆HA☆NA☆SHIしようじゃないか…」

 

「この中で『お菓子をいっぱい食べたい!』…なんて願い事をした奴。先生怒らないから正直に言いなさい」

 

「ナ、ナ、ナ、ナンノコトデショウカネェーアハハハハハハハ…」

 

笑顔ながらも真っ黒なオーラを発している支配人とokakaの前で、土下座したまま縮こまっている姿があった。そして土下座をさせられているのは彼女だけでなく、彼女の願い事を止めようとしなかったディアーリーズ、美空、ロキ、げんぶも同じように正座させられている。ただし、まだ精神年齢が幼い咲良とジラーチ、そしてトラックの外にいて事情を知れる要素が無かった竜神丸は釈放されている。

 

「全く……お前等もお前等で、悪ノリしてジラーチの取り合いをしてたとはな。大人組としての自覚って物がまるで皆無じゃねぇか」

 

「いや本当、面目ないな…」

 

「す、すみません。カズキさん達のお手を煩わせてしまって…」

 

「まさか、店から転移された物だとは思わなかったもんでな……いや、冗談抜きですまん」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「チルチルゥ…」

 

「まぁ、ジラーチの願いの叶え方を知らなかった以上、ディアーリーズ達の説教はこれで勘弁してやる……ただしそこのチビガキ、テメェは駄目だ」

 

「見逃されなかった!?」

 

「当たり前だバカタレ。転移された物の確認もせずに食っちまうなんざ、もっての外だ。お前等の代わりに怒られてくれてる刃の身にもなってみやがれ」

 

「あうぅ……ごめんなさい」

 

刃が自分達の代わりに店長に怒られてくれているのもあって、こなただけでなくディアーリーズ達も申し訳ない気持ちでいっぱいだ。しかも、同じく申し訳ない気持ちになっているのは彼等だけではない。

 

「…りゅーくん、じーくんをおねがい」

 

「んむ?」

 

咲良もまた、ジラーチの面倒を竜神丸に任せてから、刃に怒鳴り散らしている店長の前まで歩いて行く。

 

「たく、謝って済む問題じゃ……ん? 何だ、嬢ちゃん」

 

「あの……ごめんなさい!」

 

「! 咲良さん…」

 

「な、何だいきなり…」

 

店長の前に立ち、ペコリと頭を下げて謝る咲良を見て、刃どころか怒っていた店長まで思わず困惑する。

 

「あのね、じんくんは何もわるくないの。あたしたちがじーくんにねがいごと言っちゃったから、お店からおかしがなくなっちゃって……あたしがわるいの。だから、ほんとうにごめんなさい」

 

「咲良さん…」

 

「「…ごめんなさい!」」

 

咲良が一生懸命謝っているのを見て流石に良心が傷んだのか、こなたと美空も続いて店長に頭を下げる。

 

「元はと言えば、悪いのは私で……怒るなら私に怒って下さい!」

 

「わ、私も……一緒に、調子に乗っちゃって……本当に、ごめん…なさい…!」

 

「え、いや、あの、お嬢ちゃん達…?」

 

「…これは俺達も続かなきゃな」

 

「ですね…」

 

ここで謝らなかったら筋が通らない。そう考えたディアーリーズ、ロキ、げんぶも店長の前に立ち、同じように頭を下げて謝罪する。

 

「「「本当に…すみませんでした!」」」

 

「アイツ等…」

 

「…まぁ、素直に謝れるってのは良い事だ」

 

「おやまぁ、皆さん揃いも揃って馬鹿正直な事で…」

 

((そして良心の欠片も無い奴が約1名いる件について))

 

それでもまぁ、竜神丸は呑気に見ているだけだったりする(咲良からジラーチの面倒を任されている為、仕方ないのかも知れないが)。

 

「…全く」

 

流石にここまでされたのでは、怒ろうにも怒れなくなったのだろう。店長は仕方ないといった様子で自身の頭をポリポリ掻く。

 

「今回だけだからな……次からは気を付けてくれよ」

 

「…!」

 

つまり、今回だけは許してくれるようだ。咲良逹はそれを聞いて表情に明るさが戻り、そしてすぐにもう一度頭を下げる。

 

「「「「「…ありがとうございます!」」」」」

 

「…ふん」

 

そんな一同を見て、店長は振り返る事なく店へと戻って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――で、店長さんからお許しが出たのは良いが」

 

「それとこれとは話が別。お仕置き自体はきっちり受けて貰うぞ」

 

しかしその後、育て屋アカツキから連れて来られたポケモン達によって、お仕置きはしっかり行われた。

 

 

 

 

「スリィ~パァ~…!」

 

「ちょ、待っ…痛だだだだだだだ!? 捩れてる、思っきし捩じ切れるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!?」

 

ロキの場合、振り子を持ったバク型ポケモン―――スリーパーの『サイコキネシス』で胴体やら手足やらを徹底的に捩られており…

 

 

 

 

「「「「「ジュ~ラァ~♪」」」」」

 

「お、おい、これ何の拷問だ…ぎゃあああああああああああああああああああああっ!!!」

 

げんぶの場合、長い金髪と分厚い唇が特徴的な人型ポケモン―――ルージュラの大群に押さえられ、一斉に『ドレインキッス』で心身共にダメージを与えられており…

 

 

 

 

「ゴォォォォォス…♪」

 

「カァ~ゲェ~…♪」

 

「モシモシ…♡」

 

「デス、カァァァン…!」

 

「オォ~ロォ~…」

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…!?」

 

「ちなみにこなた、お前は後で『森の洋館』に送る予定だからそのつもりで」

 

「ちょお!? 何か私だけ刑が重くないかい!?」

 

こなたの場合、真っ黒なガス状ポケモン―――ゴース、真っ黒な照る照る坊主型ポケモン―――カゲボウズ、蠟燭型ポケモン―――ヒトモシ、金色の棺桶型ポケモン―――デスカーン、枯れ木のような一つ目ポケモン―――オーロットなどのゴーストタイプのポケモン達に囲まれて怯えてしまっていた。しかも彼女はこの後、シンオウ地方のホラースポットとして有名な『森の洋館』に連行される事も確定していたりと、騒動の元凶とはいえ散々である。

 

 

 

 

そしてディアーリーズの場合…

 

「んぅ……はぁ…はぁ…♡ ウル…逃がさない…♪」

 

「やめて!? 僕をターゲットロック(意味深)してエクスペリメント(意味深)してエンゲイジ(意味深)してアナライズ(意味深)する気でしょう!? 研究者たちみたいに!! 研究者たちみたいに!!」

 

「んはぁ……正、解…♡」

 

「Noooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!!??」

 

カガリによってターゲットロック(意味深)され、エクスペリメント(意味深)やらエンゲージ(意味深)やらアナライズ(意味深)やら実行されている真っ最中だった。ちなみにこの二人はトラック内にいる為、そのお仕置き内容を他の皆に見られる事は無いのは言うまでもない話だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ。色々と忙しい一日でしたねぇ」

 

「本当、私も色んな意味で疲れましたよ(どっかの誰かさん達の所為でなぁ…!!)」

 

そんなお仕置きされているメンバー逹はさておき、竜神丸と刃は海岸の砂浜で寛いでいた。刃の場合は昼間に敵との戦闘もあった事から、この日の疲れは相当な物になっており、寛いだところで罰は当たらないだろう。

 

「え、えっと……私…ここに、いて……良いの…?」

 

「チルチルゥ~」

 

「まぁ、流石に美空ちゃんを処罰するのは良心が痛むからな……他の連中は知らん」

 

ちなみに説教を受けたメンバー逹の中で、美空だけはお仕置きを免除されていた。そんな彼女はチルタリスを抱き締めたまま岩の上に座っており、その隣では咲良が腕の中にいるジラーチと話をしていた。

 

「じーくん、お店のものは持ってきちゃメッだよ!」

 

『お店の物…? 持ってきちゃメッ…?』

 

「お店のものを持ってきたら、お店の人がこまっちゃうの。だからいけないことなの。わかった?」

 

『いけないこと……分かった。お店のもの、持ってこない!』

 

「うん! じーくん、いい子いい子♪」

 

「…あそこはあそこで平和な雰囲気ですねぇ」

 

「後ろは地獄のような光景が繰り広げられてますけどね」

 

「アルファさんそれを言わないで下さい。気にしないようにしてたのに…!!」

 

彼等の後方で繰り広げられている地獄(という名の処刑執行)には一切視線を向けずにいた竜神丸と刃。そして刃が疲れた様子で空を見上げた時……刃は思わず声を失った。それを見た竜神丸逹も、同じように空を見上げると…

 

「「うわぁ…!」」

 

「…綺麗…!」

 

「ほぉ……支配人さん、あれがそうなんですか?」

 

「あぁ。この時期だけ見られると言われている、千年彗星だ……久々に良い物を見た」

 

七日間だけ見られるという千年彗星が、真っ暗な夜空に大きく映っていた。そのあまりの美しさに美空や咲良、ユイは完全に見惚れ、竜神丸は興味深そうな表情を浮かべ、既に詳細を知っている支配人ですら思わず見惚れてしまうほどだった。

 

「…あ、そうだ…!」

 

千年彗星を眺めている中、げんぶから貰ったウィッシュメーカーの存在を思い出した美空。彼女はウィッシュメーカーを取り出し、ウィッシュメーカーの七枚ある爪の内、まずは一枚目を内側に折り込むのだった。

 

(まずは一枚目……私の願い事、叶いますように…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目標、確認……作戦、開始……」

 

「ラァ~イ…!!」

 

「タブ、タブネェ…!!」

 

 

 

 

 

そんな平和な時間も、すぐに崩れ落ちようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、楽園(エデン)の団長室…

 

 

 

 

 

 

「さて……桃花よ。例の物資の件は任せたぞ」

 

「お任せ下さい、クライシス様」

 

クライシスの命を受けた桃花が、ある物資を収納したスーツケースを持って団長室から退室していく。そしてそれに入れ替わる形で、スーツを着た青年が一体のポケモンを連れながらクライシスの前にやって来た。

 

「さて。君にもこれからジラーチ護衛任務の為、ホウエン地方にいるokaka逹と合流して貰う訳なのだが……行けるかね?」

 

「任せて下さい……今の僕には、心強い仲間達がいますから」

 

「エルッ!」

 

スーツを着た青年―――朱雀は、両腕に鋭利な刃を持った人型ポケモン―――エルレイドと共に、クライシスに礼儀正しく敬礼するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『七夜の願い星 その8』に続く…

 


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