No.863960

シャロ「ずっと一緒!!」

過去にpixivで上げた千夜シャロSSの再投稿です。シャロ視点です。

このSSの千夜視点もありますよー。よろしければどうぞー。
http://www.tinami.com/view/863959

2016-08-16 22:32:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1655   閲覧ユーザー数:1654

私と千夜は小さい頃からの幼馴染み。

私の両親はほとんど出稼ぎに出ていて、遊ぶにしても、ご飯を食べるにしても、お風呂に入るにしても、寝る時もずっと千夜と一緒だった。

 

中学校に入学してからは私が千夜と一緒に寝ることはたまにしかなかったけど…だって恥ずかしかったし。

 

よく誰かの前で「シャロちゃんったらね~」ってからかったり、怖い話をすることもあって私の反応を見て楽しんでるけど…それでも私が悩んでいたら「どうしたのシャロちゃん?」って聞いてすぐに気付くし、いつも相談に乗ってくれた。

 

私に何かあった時はいつも助けてくれた。

 

小さい頃私がちょっとしたいじめにあって泣いていた時も相手に怒って「シャロちゃんに謝りなさい!!」って言ってくれたこともあった。あの時はホントに嬉しかった。

 

あの時はもしかしたら千夜は私を守ってくれるナイトだって思ったっけ。

本人には絶対に言わないけど。

 

だから、いつも私のことを気にかけてくれて、どんな時も一緒にいてくれる千夜のことが…好きになっていた。

 

女の子同士で…しかも幼馴染みに恋心を抱くなんておかしいかもしれないけど。

 

でも…

 

シャロ「千夜」

 

千夜「どうしたの?シャロちゃん」

 

シャロ「ちょっと…話があるんだけど…私の家に来てもらっていい?」

 

中学校を卒業する前に千夜を呼び出した。

 

私はもう…止まれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつも千夜が一緒にいてくれる私の家、私の部屋で私たちは向かい合って座る。

 

ああ、どうしよう…胸がドキドキする。

 

千夜「それで…話って何?」

 

シャロ「あ、あのね…」モジモジ

 

千夜はいつも見せる笑顔で私のことを見てくれて話を聞こうとしてくれている。

 

ああ、もう…それだけでさらに緊張しちゃうじゃない。

 

千夜「シャロちゃん、落ち着いて。ゆっくりでいいから…ね?」

 

シャロ「うん…」モジモジ

 

ダメだ…何でこうゆう時に限って私は何も言えないの?

 

いつもなら学校で何かあっても千夜にここで言いたいことははっきり言うのに…いつもの私じゃないみたい。

 

それはそうだよね。

 

私は千夜に『相談』したいんじゃなくて、私たち二人の関係が変わるかもしれない『告白』を今しようとしてるんだから。

 

千夜「…コーヒーでも飲む?」

 

私はコーヒーを飲むと何故かカフェイン酔いをするという大人が飲むお酒のようにアルコール酔いに似た異常なハイテンション状態になる。

 

私の場合は普段とは全然違う明るくて素直な感じになって色んな人に絡むらしいのだけど…千夜はそれで私の本音を引き出そうとしている?

 

でも…今回はコーヒーの力に頼ってはいけない。

 

シャロ「そ、それだけはダメ!!これは本来の自分の姿で、自分の口で言いたいの!!そうじゃなきゃダメなの!!」

 

千夜「シャロちゃん…」

 

シャロ「自分の口で言うから…ちゃんと言うから…だから…聞いて?千夜…」

 

千夜に嫌われるかもしれない…そんなことが脳裏に一瞬よぎった。

 

千夜「う…うん」

 

でも…気持ちは抑えられない。だから私は…

 

シャロ「あのね…私…千夜のことが…好き…なの…///」

 

千夜「…え?」

 

言った。言えた。『好き』って面と向かってはっきりと。

 

言った後も頭がクラクラして、変な汗が出ちゃって、体が震えて、心臓の音が聞こえそうなほどドキドキして、泣きそうになってつい俯いてしまう。

 

顔も火照って熱い。きっと私は鏡を見なくても分かるくらい耳まで顔が赤くなってるかもしれない。

 

今もまだ口が震えて上手く言葉にできないかもしれないけど…次の言葉を言わなきゃ。

 

シャロ「だから…!!///」

 

『だから…私と付き合って下さい』って。

 

それを言おうとした瞬間、千夜に遮られる。

 

千夜「うん、知ってるわ。だって…幼馴染みなんだもの。」

 

え…

 

一瞬目の前が真っ暗になる感覚を覚える。

 

不思議と体の震えも止まっていた。

 

千夜はもしかして私の告白が『幼馴染みとしての告白』だって思ってる?

 

いや、そんな訳ない。

 

私のことを知っている千夜が私のこの告白に気付いていない訳がない

 

私も千夜のことなら、分かってるつもり。

 

きっと千夜は…私とは幼馴染みとして、私とずっと一緒に何も変わらずに過ごしたかった…そんなところだろう。

 

それはそうよね。多分私も幼馴染みだと思っていた相手に告白される側の立場なら…きっと戸惑うもの。

 

千夜に嫌な思いをさせちゃったかな?させちゃったよね。

 

ごめんね…千夜。

 

だから、千夜がこのままがいいって思ってるなら、私は…

 

シャロ「う、うん…そうよね…はは、改めて言うことじゃないわよね…」

 

私は泣きそうになっていたのをこらえながら、なんとかそう言った。

 

でも、千夜と恋人になれなくても千夜の幼馴染みとして、千夜の幸せそうに笑っている顔がこれからも見れたらそれでいい。改めてそう思った。

 

結局、千夜にフラれたけど…私の告白を聞いてくれてありがとね。千夜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一緒にいた中学校を卒業して、高校に入学する一週間くらい前に「記念にシャロちゃんと一緒に写真を撮りましょ」って千夜のお母さんが言うから写真を撮ることになった。

 

私は「高校にもなると何だか恥ずかしいわね…」って言ったけど。

 

でも、千夜と一緒に写真を撮れることはやっぱり今も嬉しいから断らなかった。

 

千夜母「じゃあ、撮るわよ?はい、チーズ!!」

 

パシャ!!

 

千夜母「うーん…千夜の表情が何だか固いわね…どうしたの?」

 

シャロ「あ、ホントだ。何かあった?」

 

千夜、どうしたのだろう?いつも写真を撮る時は「どんな時も笑顔で写らないと幸せが逃げちゃうかもしれないから」って言っていたのに…心配になって千夜の顔を覗き込む。

 

千夜「えっと…シャロちゃんと高校が違うから友達が出来るか不安になっちゃって…」

 

シャロ「ふふ、何言ってるのよもう…中学の時も自分から友達を作って仲良く出来てたじゃない。きっと千夜なら大丈夫よ。」

 

千夜「うん…」

 

シャロ「私もがんばるから…千夜もがんばりなさいよね。」

 

千夜「うん、ごめんねシャロちゃん」

 

シャロちゃん「別にいいわよ、気にしないで」

 

 

正直、千夜のことが心配だった。

 

私の家は高校に入学するほどの学費は残っていなくて、だから高校は特待生で入ると学費が免除出来る千夜とは別の高校を受験して、猛勉強して見事合格した。

 

私の行く学校はエリートのお嬢様高校で私自身ちょっと不安だったけど…そんなことより千夜を一人ぼっちにさせたことがいくら家が貧しくても私は悔しかった。

 

千夜だって私と離ればなれで不安なのに…せめて写真に写る時くらい、「私は大丈夫だから千夜もがんばって」って意味で千夜の不安を取り除くためにももう少し近づいて笑顔で千夜の手を握って撮りたかった。

 

でも、私の表情は笑顔どころか顔には出てないけど千夜のことが心配で普通の表情で写って、さらにあの告白の後で手なんか握って、千夜にまた嫌な思いをさせたらどうしようって思うと…できなかった。

 

シャロちゃんのことが心配だったし、私自身も…正直寂しかった。

 

 

 

千夜母「ねえ千夜、シャロちゃん、せっかくだしもう一枚撮りなおす?」

 

私は、千夜のためにも自分ができる最大の笑顔で写りたくてすぐにOKした。

 

こんな時こそ笑顔で写らないとこれから起こるであろう幸せが逃げちゃうかもしれないから。私も…千夜も。

 

シャロ「私はいいですけど…千夜は?」

 

千夜「私は…」

 

でも千夜は…

 

千夜「私は…この写真を残したいから、だからやめておくわ。」

 

そう言って断った。

 

どうしてよ…千夜。

 

写真はいつも笑顔で写ってたのに…

 

悲しそうに写ることなんか今まで一度もなかったのに…

 

そう考えると、千夜が遠くに行ったようで…悲しかった。

 

でもひょっとしたら、千夜自身変わろうとしているのかもしれない?

 

今まで私と一緒にいすぎていたからこそ…強くなろうとしているのかも。

 

そう考えると、私も千夜にばっかり甘えてられないわね。

 

 

 

そしてその日の夜、私は長かった髪を少し切った。

 

今までの私とは決別し、生まれ変わるために。

 

千夜に告白したことも、忘れるように。

 

千夜は私の幼馴染みなんだから…これでいいのよね?千夜。

 

鏡の前で髪を切った自分を見て、笑顔を作ろうとした。

 

でもうまく笑えなくて…何故か涙がこぼれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、高校に入学する前日に千夜はココアと出会い、ココアと同じクラスになった。

 

ココアは素直で明るくて優しい女の子だって千夜は言っていて話も合ってすぐに仲良くなれたみたいだ。

 

私は偶然会った時何故か意識されたけど…まあ、ココアの冗談なんだけど。

 

千夜にすぐ友達が出来て良かった。普段は私にからかったりするけど、こんな私にいつも優しく接してくれる千夜に友達ができないはずないもん。

 

そして、私も帰り道に通行の邪魔をしている不良野良うさぎを目の前にして、怖くて通れなかった所を偶然同じ学校のリゼ先輩が通りかかって追い払ってくれた時に知り合い、交流を深めていった。

 

そして、この時に私はこの人のカッコ良さに、勇ましさに惹かれたのだと思う。

 

いつも堂々としていて恐れを知らない姿勢に。私もなれたらいいなってこの時はそう思っていた。

 

昔から千夜のペットのあんこによく襲われて、うさぎが苦手な私にはリゼ先輩は特別に見えてよく千夜に話していた。特に「家のことはリゼ先輩には絶対に内緒よ!!」って口酸っぱく言ったけど。

 

ひょっとしたら、私はリゼ先輩に一目ぼれしたのかもしれない。

 

それくらいリゼ先輩と出会って、先輩と話をしたりするのがいつも楽しかった。

 

いつか私もリゼ先輩みたいになれたらいいなって…そう思う。

 

 

 

あと、私の家にはほとんどお金がないからバイトをするって言ったけど、

千夜に千夜が働いている甘兎庵を勧められたけど「いやよ!!あんたの所にはあいつがいるでしょ!!何回襲われたことか…」

って言って断って…

そのあとに「それにお金のことでまであんたに迷惑かけたくないし…」と付け加えた。

 

それに千夜に告白したことを忘れようと髪を切っても、結局あの時は失敗に終わって…さらに千夜とバイトでまで一緒にいるのは…ちょっと気まずいし。

千夜の好意はありがたいけど…やっぱり辛い。

 

千夜と一緒に働いたらまたいつもの千夜と違う部分が見えてくるかもしれないけど…また千夜のことを好きになってしまって、千夜をホントに傷つけるのが怖かったから…

 

結局私は自分でバイト先を見つけて今もフルール・ド・ラパンで働いて…最初は千夜がいかがわしい店だと思って勘違いして大騒ぎしてしまったけど。

 

でも正直あの時は今でも私のことを心配してくれて、嬉しかった。

 

千夜が幼馴染みで今でも良かったと思う。

 

 

 

 

 

そして今も、こうして図書館に来てお互いに勉強しながら話をしている。

 

それは今でも変わらない光景。

 

ココアとチノちゃんも私たちと一緒に図書館に来て勉強してたけど、ココアが「私たちチノちゃんの本探しに行ってくるね」と言ってチノちゃんと一緒に探しに行ったあと、私が口を開いた。

 

 

シャロ「最近、学校はどう?」

 

千夜「毎日楽しくやっていけてるわ。ココアちゃんもいるし。」

 

シャロ「そう。入学する前は友達出来るか不安だって泣き言言ってたのにね。」

 

千夜「そ、それは…///そういうシャロちゃんだってお嬢様っぽくないからって髪を切ってイメージ変えて…ホントは不安だったんじゃないの?」クスクス

 

シャロ「う、うるさいわね…///」

 

千夜「それにカフェイン酔いも相変わらずだし…他の人にまで絡んで…あれ?」

 

シャロ「ん?どうしたのよ?」

 

千夜「う、ううん…何でもない。」

 

シャロ「全く…変な千夜。」

 

 

 

カフェイン酔いは相変わらずとはいえ、やっぱりリゼ先輩に見せた時は我に返った時、やっぱり恥ずかしかった。コーヒーはホントに自重しないといけない。

 

そしてふと思ったことを呟く。

 

 

 

シャロ「…私が千夜達と同じ学校だったら、どうなってたんだろ」

 

やっぱり中学の時と変わらず、千夜のことが好きで…告白なんてしないでずっと変わらずにいられたのかな?

 

千夜「今の学校後悔してるの?」

 

千夜とは別々の高校になるって知って、いてもたってもいられなくて…あの時告白なんてしなかったら…千夜と離れてこんなに寂しくならずに済んだのかもしれない。

 

シャロ「せめて…せめてリゼ先輩と同じ学年だったら…」

 

これは本当。せめてリゼ先輩がいたら…でもリゼ先輩は千夜じゃない。

 

そんなの分かってる。分かりきってる。

 

千夜「んー…正直窮屈よね。学費免除が理由でエリート学校に入れても、私だったら周りがお嬢様だらけで気を遣って疲れちゃう」

 

そうじゃない…そうじゃないの。

 

私は仲の良い人がクラスメイトにいなくて…寂しくて…

正直千夜が仲の良いココアと同じクラスになれて羨ましい。

私もその中に入れたらいいなって思う。

 

千夜「でも待って…もしシャロちゃんが私達と同じ学校だったら…」

 

シャロ「だったら…?」

 

千夜「人数合わせ的に私とココアちゃんが違うクラスになっちゃってたかも!!そんなの困るわー!!」

 

シャロ「ぐさっ!!」

 

千夜「なんて冗談」

 

シャロ「いっ、いいかげんからかうのやめてよ!!」

 

もう、千夜ったら…こっちは真剣に悩んでるのに。

 

でも、千夜とこんなに話をしてると不思議と心が軽くなる。

 

やっぱり、千夜には叶わないなぁ。

 

 

 

 

千夜「シャロちゃんだってほんとは分かってるんでしょ?」

 

 

 

 

 

そんな未来はありえるのだろうか?

 

 

 

 

 

千夜「学校以外でだってこうして会えるんだもの」

 

 

 

 

 

でも、いつまでも訪れて欲しい。

 

 

 

 

 

千夜「私たち大人になっても」

 

 

 

 

 

何も変わらず、いつまでも。

 

 

 

 

 

千夜「ずっと一緒」

 

 

 

 

 

千夜のそんな笑顔を見て、私は一緒にいてくれるんだって、嬉しくなって涙が溢れそうになってただ「……ん///」としか答えられなかった。

 

そうよね、千夜とは幼馴染み、幼馴染み同士だからこそ千夜ならどんな時でも、どんな私でもずっと一緒にいてくれるよね?

 

この時まではそう思っていた。

 

そして次の日、私はまた千夜に気付かされ自分の過ちに気付く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日、私はリゼ先輩を学校が終わった後呼び出した。

 

リゼ「急にどうしたんだシャロ?話って何だ?」

 

シャロ「えっとですね…///」モジモジ

 

やっぱり二回目とはいえ、緊張はする。

 

ああもう…言わなきゃいけないのに…言葉がでない。

 

リゼ「シャロ、落ち着けよ。ゆっくりでいいから、な?」

 

シャロ「は、はい…///」モジモジ

 

リゼ先輩があの時の千夜みたいに心配してくれる。

 

千夜みたいに優しくて…嬉しくなる。

 

リゼ先輩は千夜じゃない…分かってる、はずなのに。

 

リゼ「落ち着いたか?」

 

シャロ「は、はい。じゃあ改めて言いますね///」

 

リゼ「よし、いいぞ。どうしたんだ?」

 

シャロ「リゼ先輩…私と…///」

 

今度こそ、言うんだ。あの時はダメだったけど…ちゃんと分かるように、自分の言葉で…

 

シャロ「私と…!!」

 

 

 

『私たち大人になってもずっと一緒』

 

 

 

『ずっと一緒』

 

 

 

『一緒』

 

 

 

リゼ「シャロ!?どうしたんだ急に泣いて!?」オロオロ

 

シャロ「…ふぇ?」ポロポロ

 

いつの間にか、私は泣いていて、リゼ先輩が慌てていた。

 

リゼ先輩に告白するのに何で急に…私は泣いてるんだろう?

 

リゼ先輩の前で…恥ずかしい。

 

リゼ「どうしたんだ!?困ったことがあるなら聞くぞ!?」

 

シャロ「ちが…そうじゃなくて…」ポロポロ

 

もし今ここでリゼ先輩に告白して、リゼ先輩に「いいよ」って言われたら…そう考えると千夜との思い出が全部無くなってしまいそうで…やっぱり怖くて…

 

あの時『ずっと一緒』って言ってくれた千夜の気持ちを無下にしそうで…最低だ。私。

 

シャロ「リゼ先輩…ごめんなさい!!」ペコッ

 

リゼ「ええ!?どうして私に謝るんだ!?」

 

リゼ先輩が状況についていけてなくて困ってるけど、これだけは言わなきゃいけないと思った。

 

シャロ「リゼ先輩は出会った頃から好きだって思ってましたけど…でも今考えたらちがくて…リゼ先輩は出会った頃から憧れていただけで…私の、私が本当に好きなのは…あの時からやっぱり」ムグッ

 

私の言いたいことを察してかリゼ先輩が手で私の口を抑えて言う。

 

リゼ「それ以上は言うな。それはシャロが本当に好きな奴に言ってやれ。な?」

 

シャロ「リゼ先輩…」

 

リゼ「それに、何となく分かってたよ。だから自分の気持ちを押し込めてるお前がちょっと心配だった。でも今回素直になってくれて良かったよ。」

 

シャロ「はい…」

 

リゼ「だから、今すぐお前の好きな奴の元へ行ってやれ。そいつはきっと待ってるからさ。」

 

シャロ「はい!!」

 

振り向かず、私はリゼ先輩の元を去っていく。

 

リゼ先輩、ありがとうございます。

 

あなたは私の憧れでした。

 

今まで千夜に助けられてばっかりだったからこれからはあなたのように千夜を助けられる自分に、千夜を支えられるようにずっと傍にいれるようにがんばります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、リゼ先輩と別れて千夜の家でもある甘兎庵に来たけど千夜はまだ帰ってなくて、仕方なく自分の家で待つことにする。

 

今日は千夜も私と一緒でバイト休みのはずだし…そろそろ帰ってくるはず。

 

今さらまたこんなことを言うのは…やっぱり嫌われそうで怖い。

 

でも、やっぱり自分の気持ちに嘘はつけないから。

 

コンコン

 

千夜「シャロちゃん…いる?」

 

来た。早速ドアを開ける。

 

ガチャ

 

シャロ「あ、千夜…どうしたの?」

 

千夜「うん…ちょっと話があって…いいかしら?」

 

シャロ「うん…入って?」

 

千夜も話を?何だろう?

 

気になるけどとりあえず、私の部屋へ入れる。

 

ドキドキするけど…今度こそちゃんと話さなきゃ。

 

シャロ「ちょうど良かった。私も千夜に話があったから…」

 

千夜「…え?」

 

 

 

一瞬、千夜がピクリとしたような気がした。

 

何か焦ってるような…?

 

 

 

千夜「ひょっとして、リゼちゃんとのこと?」

 

 

 

千夜の口が震えてるような、なんだかいつもの千夜と違うような気がする。

 

ホントにどうしたのだろう?

 

 

 

シャロ「うん、そうなの。あのね、学校帰りにリゼ先輩と話をしてね…」

 

とりあえずリゼ先輩に告白しようとしたことを話して…

 

シャロ「実は…」

 

でもホントは千夜のこと…って。

 

そう言おうとしたら、やっぱり千夜の異変に気付いてしまう。

 

シャロ「…千夜?どうしたの?」

 

千夜「……え?」ポロポロ

 

シャロ「き、急に泣いて…どうしたの?何かあった?」オロオロ

 

千夜「………」ポロポロ

 

 

 

急に泣き出していったい千夜に何があったんだろう?

 

泣き止んでもらうように声をかけるけど、千夜は聞いているのか聞いていないのかただ泣くばかりで…

 

千夜のために私は何かしてきたのだろうか?

 

目の前で私の大切な幼馴染みが泣いてるのに…

 

こんな時に何も出来ないなんて…嫌。

 

私は、リゼ先輩のように変わるって決めたんだ。

 

だから、私が千夜のためにできることは…

 

 

 

 

ギュッ

 

 

 

私は千夜を抱きしめる。

 

 

 

今までこんな風に抱きしめたことはなかったけど。

 

 

 

それでも今の千夜を見てるとこんな風に傍にいたいってそう思ったから。

 

 

 

今まで私が泣いている時に千夜に抱きしめられてばっかりだったから分からなかったけど、千夜の温かさが伝わり千夜はいつもこんな風に私が安心できるように私のこと考えて抱きしめてくれてたんだなって、そう思った。

 

 

 

 

シャロ「……どうしたの?」

 

千夜「…………」ポロポロ

 

シャロ「………ひょっとして、寂しかった?」

 

今なら千夜のこと、何だって分かる。そんな気がする。

 

千夜「…………うん」ポロポロ

 

シャロ「……そっか」

 

千夜「シャロちゃんがどこか遠くに行くような気がして…リゼちゃんにとられるような気がして…」

 

シャロ「うん…」

 

千夜「それでつい最近気付いたの。私シャロちゃんのこと…好きだって…恋人として…もう離したくないって」ポロポロ

 

シャロ「そっか…ごめんね千夜。千夜の気持ちに全然気付かなくて…」ギュッ

 

千夜「いいの…でもシャロちゃんには…リゼちゃんが…そう思ったらもっと悲しくなって…」

 

シャロ「うん…そのことなんだけどね…聞いて?千夜」

 

千夜「うん…」ポロポロ

 

シャロ「私、リゼ先輩のことは憧れなだけなんだって…気付いたの」

 

千夜「…え?どういうこと?」ポロポロ

 

シャロ「私、リゼ先輩に告白しようと思ったけど…やっぱりリゼ先輩の好きな気持ちは恋じゃなくて憧れなんだなって…リゼ先輩ともう一人の女の子の言葉に気付かされたの」

 

千夜「もう一人の女の子…って?」

 

シャロ「『私たち大人になってもずっと一緒』って言ってくれた…目の前にいる私の自慢の幼馴染みよ。」

 

千夜「シャロちゃん…」

 

シャロ「さっき千夜が私のこと恋人として好きって言ってくれたけど、私も言うわね?」

 

 

 

 

 

シャロ「私も千夜のことが…恋人として好きです。だから…付き合って下さい。」

 

千夜「シャロちゃん…」ジワッ

 

シャロ「やっと…ちゃんと言えた…」ニコッ

 

千夜「シャロちゃん…今までごめんね…ホントにごめんなさい…」ポロポロ

 

シャロ「私のほうこそ…ごめんね?あの時はいきなりで…びっくりしたでしょ?」

 

千夜「でも、シャロちゃんあの時も勇気を出して…告白してくれたのに…私…私…」ポロポロ

 

シャロ「もう気にしないの…そんなに泣いたら私も…泣いちゃうじゃない…」ジワッ

 

千夜「…シャロちゃん大好き」ギュッ

 

シャロ「私もよ…千夜。それと、こんな私のこと好きになってくれて…ありがとう。」ポロポロ

 

千夜「私のほうこそ…いつまでもずっと一緒にいてね?」ポロポロ

 

シャロ「もちろんよ…」ポロポロ

 

 

 

 

しばらく…私たちは抱き合って…お互いの想いを確認して…謝って…嬉しくて…泣いて…それからお互いに笑いあった。

 

 

 

 

 

 

 

シャロ「…落ち着いた?」

 

千夜「うん…ふふっ」

 

シャロ「何よ?」

 

千夜「シャロちゃん…ひどい顔」クスクス

 

シャロ「なっ!?先に泣いたあんたに言われたくないわよ!!///」

 

千夜「ふふっそれに…ずっと泣いてたら思い出したことがあるの?」

 

シャロ「…何を?」

 

 

千夜「シャロちゃん…

初めて酔った日のこと憶えてる?自分の家でキャンプファイヤーしようとしてたわよね」

 

 

シャロ「え?…///」

 

千夜「確かあの時は…シャロちゃんの誕生日で…」

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

千夜「誕生日おめでとう、シャロちゃん」

 

シャロ「ふん…あ、ありがとう…///」

 

千夜「私はコーヒー飲むけど…シャロちゃんはオレンジジュースでいい?」

 

シャロ「なっ!?子供扱いするんじゃないわよ!!私もコーヒー飲めるもん!!」

 

 

 

 

この時は千夜も予想していなかった。

 

まさか私がコーヒーで酔うなんて…

 

しかも…

 

 

 

シャロ「えへへ~、千夜~!!せっかくだしキャンプファイヤーしよー~!!」

 

千夜「ってここ自分の家よシャロちゃん!!そんなことしたら火事になるし、シャロちゃんの家お金がないのに住むとこなくなるわ!!ほら、蝋燭置いて!!」アセアセ

 

シャロ「え~…分かった~…」

 

千夜「ちょっと…どうしたのシャロちゃん?」

 

シャロ「えへへ~、千夜ぁ~前髪パッツンお揃い~」スリスリ

 

千夜「それはずっと前から一緒でしょ?くすぐったい…///」

 

 

この時の私はよく千夜に甘えて、抱きしめていつもの私じゃなかったみたいだけど…

いつもツンツンしてて素直じゃないから…本心では甘えたいのかと思って私にされるがままになっていた…みたい。

 

 

千夜「ホントに、どうしちゃったの?シャロちゃん」

 

シャロ「え~、何が~、えへへ~」スリスリ

 

千夜「今日はやけに素直というか…」

 

シャロ「…こんな私、千夜はキライ?」ギュッ

 

千夜「そ、そんなことないわ…どんなシャロちゃんだって私は大好きよ。ただ…びっくりしただけ。」

 

シャロ「えへへ~、良かった~…ねぇ、千夜~…」

 

千夜「…何?シャロちゃん」

 

 

 

 

シャロ「私たち大人になってもずっと一緒だよ~!!」

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

千夜「…って」クスクス

 

シャロ「………///」

 

千夜「あの時、シャロちゃんがずっと一緒だって言ってくれたから…私は自分の想いに気付けたんだって…そう思うの。だから、ありがとうシャロちゃん」

 

シャロ「べ、別にお礼なんていいわよ…///それに、私も…そのことはよく憶えてる」

 

千夜「え?…ホントに?」

 

シャロ「うん、あの最初に酔った時の記憶だけは…何故か憶えてて…何でなんだろ?よく分からなくて…やっぱり千夜との思い出があの時が一番大きいからかな…とか?///」

 

千夜「もう…シャロちゃんったら…///」

 

 

 

でも、確かにそうかもしれない。

 

 

きっと私にとって、あの時が記憶に残るほど一番の思い出で、カフェイン酔いとはいえ、初めて千夜に素直になれた日だから。

 

 

私も…そのおかげで千夜とこうして…付き合うことが出来たし。

 

 

 

 

ピロピロピロ、ピロピロピロ

 

 

 

千夜「あら、ココアちゃんからメールだわ」

 

シャロ「え?何なの?」

 

千夜「えっと…千夜ちゃんとシャロちゃんの仲直り記念に…今日の夜にお祝いしたいって」

 

シャロ「いやいや…別にケンカしたわけじゃないし…」

 

千夜「…行く?」

 

シャロ「まあ、せっかくだし…ね。」

 

シャロ「ホントはもう少し二人きりでいたかったけど…///」ゴニョゴニョ

 

千夜「えー?何か言った?」クスクス

 

シャロ「な、何でもないわよ!!///」

 

千夜「ふふっ…それじゃ行きましょうか?」ギュッ

 

シャロ「ちょっと…いきなり手を…///」

 

千夜「やっぱり…嫌?」

 

シャロ「そ、そんなわけないでしょ…でも、ラビットハウスの前までなんだからね///」

 

千夜「はいはい」

 

シャロ「それと…出掛ける前に…せっかく恋人同士になれたんだから…///」モジモジ

 

千夜「あ…///」カァ

 

シャロ「キス…しよ?///」

 

千夜「うん…ふふっ…///」

 

シャロ「な、何よ…///」

 

千夜「シャロちゃん、緊張してる?///」ドキドキ

 

シャロ「そういう千夜もでしょ?///」ドキドキ

 

 

 

シャロ「もう…いい?行くわよ?///」ドキドキ

 

千夜「うん…きて?///」ドキドキ

 

 

 

 

 

 

千夜「シャロちゃん、これからもずっと一緒よ?///」

 

シャロ「もちろんよ…千夜///」

 

 

 

 

千夜シャロ「「大好き」」ニコッ

 

 

 

チュッ

 

 

 

 

いつまでも…

 

 

 

 

どんなことがあっても…

 

 

 

 

 

 

 

 

『私たち大人になってもずっと一緒』


 
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