No.862182

星空を みあげて(こえのなかの 夕日 アナザーストーリー)

クリエイター menoco さんとのコラボ作品
(menocoさん ありがとうございます)

「こえのなかの 夕日」アナザーストーリー。
新しい第2の月、セレーネ。もうひとつの、引き裂かれた者たちのストーリ

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2016-08-07 00:57:35 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:377   閲覧ユーザー数:376

   星空(そら)を みあげて

 

 

 

 わたしは、ただ涙ぐむ。

 

 とめることもできず、涙ぐむ。

 

 あのぬくもりを忘れられずに、涙ぐむ。

 

 せかいから、わたしだけが取りのこされて。

 第二の月、セレーネ。宇宙の誰かがつくった人工の天体。

 

 地球を回りだしたとき、セレーネがあなたを連れていってしまった。

 

 あなたは、あの星空(そら)にのぼってしまった。

 

 ずっと、そばにいて、ほしかった。

 

 つつんでいて、ほしかった。

 

 あのぬくもりと、ともにいたかった。

 

 でも、それは。許されなくて。

 セレーネの電波は、未来を語る。

 

 それが理解できるのは、特別な遺伝子をもつ、あなたたち5人だけ。

 

 あなたは、みんなを、しあわせにした。せかいを、しあわせにした。

 

 そのことをわたしにささやく、星空(そら)に輝くたくさんのオーロラ。

 

 この場所からは、地球をまわるセレーネは、みえない。

 

 でも、セレーネの電波は、うつくしいオーロラをつくる。

 

 わたしは、いくど、それを見あげたことだろう。

 

 これからも、見あげつづけていくだろう。

 

 あなたのことを。いつも、おもいながら。

 あなたは、手紙をくれた。

 

「サリ。わたしは未来をつたえない。おまえの未来を、ただ、差ししめそう」

 

 あなたのくれた、大切なこと。

 

 それは、わたし自身として、生きていくこと。

 

 だから、この言葉を、いつも忘れない。

 

「ありがとう。大好きだよ」

 

     お 父 さ ん …   わ た し は   こ こ に い ま す

 


 
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