No.857024

Triangle Goddess! 第18話「雷神マグナ=トール」

Nobuさん

ここから主人公側の人間キャラが少なくなっていくつもり……。主役は神ですからね。

2016-07-06 07:46:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:320   閲覧ユーザー数:320

 その頃……。

 

「はっはっはー! やっぱりミッドガルドっていい場所だなー!」

 オーディンの子、トールが下界を歩いているところでした。

 トールはかなりの下界かぶれであり、この服装も下界の人間のものを真似しているのです。

「しかし人間っていうのは本当に面白い奴だな」

 人間は、神と比べて寿命も力も遥かに劣っています。

 しかし、適応力が非常に高く、この広い下界の隅々まで広がって生活をしています。

 また、完全な存在である神と違い、人間は不完全故に「成長」する力も秘めています。

 それがトールにとって一番興味深い事なのでしょう。

「さーて、どんな人間が来るかなー?」

 トールが、人間が来るのを待ち望んでいた、その時でした。

 

―シュン

「うおっ!?」

 彼の目の前に、ジャンヌ、ゲール、バイオレット、使者、レオーネがやって来ました。

「あんた達、下界に落ちたばかりの見習い三女神かい?」

「いえ、今はジーン、ゲルダ、ヴィアという人間として活動しています」

「だそうだ」

 ジャンヌは、あくまで自分達は人間として振る舞っている、とトールに話しました。

「つまんない奴だなー。まぁ、その方がいいがな」

「ええと、どういう意味ですか?」

「まぁあんたらはそのまんま、人間として振る舞えばいいさ!」

 トールのあっけらかんとした態度に、バイオレットははぁ、と溜息をつきました。

 しかし、かなり人間臭い神である事もまた、事実です。

 

「そういえば、なんであんたらは下界にいるんだ?」

「話は長くなりますが……」

 そう言うと、ゲールはトールに自分達三女神が下界に落ちた理由を話しました。

 

「あ~なるほどね。だからあんたらは冒険者の人間となってここにいるのか」

「うん、そうだよ」

「しっかしマザー教団か……。オレ達の敵になる事は確かだな」

 トールはあまり頭は良くありませんが、何故か頭の回転は速いのです。

「そんなわけで、オレもあんたらに協力していいか?」

「えっ? いいのですか?」

「いいってもんよ! 同じ神なんだからな!」

 トールはあっけらかんとした表情でそう言いました。

 

「だから使者さんとそこの海賊さん、早く帰ってな」

「えっ!?」

「何故だ!?」

「ここから先は危険な戦いになりそうなんでな。女神さんもまだ見習いらしいし。

 だから、これからオレが女神さんを守るってわけさ」

「……」

 使者は黙りました。

 当初は三女神を神界に連れ戻そうとした使者でしたが、

 現在三女神が帰れない今、その役目は果たせません。

「何故、私を置き去りにするんだ」

「おっと、ここから先は神の領域だ。お前のような人間が入れる場所じゃねぇよ。

 それとも人間やめるか?」

「……」

 トールの言葉を聞いたレオーネは黙りました。

 人間をやめれば、人の心が失われてしまうかもしれないからです。

「なら、とっとと家に帰るんだな。オレが言える事は、それだけだ」

「……分かったよ」

 トールに促されたレオーネは、使者と共に船に乗りました。

 

「それじゃあお前達、そいつのところでも頑張るんだよ!」

「運命に負けるなよ、三女神……」

「はい! ありがとうございます!」

「必ず、マザー教団を壊滅させてみせます!」

「そのためには絶対に、負けたりしない!!」

 三女神は手を振り、船に乗った使者とレオーネを見送っていきました。

 

「さあ、オレ達はマザー教団をぶっ潰しに行こうぜ!」

「はい!」

 ジャンヌ、ゲール、バイオレットは、トールという新たな仲間と共に、

 マザー教団を倒しに行くのでした。

 

(……あれ? どうしてトールが下界に……?)

 少しの疑問を持ちながら。


 
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