No.842927

ポケットモンスター トライメモリーズ 第23話

フウイさん

キンセツジムの戦いをお送りします。 随分昔にかいたものであるのと個人設定であるので、テッセンがカチヌキファミリーの一人と言う設定になっています

2016-04-17 22:07:32 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:289   閲覧ユーザー数:289

第23話~キンセツジムとカチヌキファミリー

 

ジムからでてきたのはやや小太りの老人だった。

  

「ミキから話は聞いたぞ、君がクウヤくんじゃな?」

「おぅ!キンセツジムに挑戦に来たぜ!」

「うむ、元気がいいのう。

わしがこのキンセツジムのリーダー、テッセンじゃ。

早速勝負と行くかの!」

「うん!」

 

バトルフィールドにたつとジムリーダーのテッセンはレアコイルを出した。

それに対しクウヤはアーチを繰り出す。

 

「レアコイル、10まんボルトじゃ!」

「かわしてにどげりだ!」

「当たるまで続けるぞ!」

 

レアコイルのスピードによる連続の電気攻撃に圧倒されるがアーチはそれに対しパワーで攻め、打ち勝つ。

 

「かえんほうしゃ!」

「こいつはいかん、戻るんじゃレアコイル!」

 

戦闘不能寸前でテッセンはエースのライボルトに交代した。

 

「わしのレアコイルのスピードについてくるだけでなく、あれだけのダメージを与えるとはそのワカシャモは強いのぅ!

だが、このライボルトはどうかな?」

「オレにも分かるぜ、そのライボルトが強いことが!

でも負けねぇぞ!

アーチ、かえんほうしゃ!」

「ライボルト、じゅうでんからでんげきはじゃ!」

 

炎と雷がぶつかりあい、その場に大爆発が起きる。

でんこうせっかやにどげりが飛び交う接近戦でも両者一歩も譲らない展開にまで発展した。

お互いのレベルはほぼ互角だ。

 

 

次の一撃で、勝敗は決まる。

 

「だいもんじ!」

「かみなり!」

 

炎と雷は再びぶつかり合う。

強大な威力を持ったその二つは段々と激しさを増していき・・・・

 

 

カッ・・・ドゴオオオォォン!!!

 

 

派手な爆発音が響き、フィールド全体に煙がたまる。 

やがてその煙が晴れたとき、クウヤとテッセンはお互いのポケモンを確認する。

 

「アーチ!」

「ライボルト!」

 

両者のポケモンはぼろぼろで立っていた。

しかし、体力も限界だったのか先にライボルトが倒れ、続けてアーチも倒れた。

 

両者とも戦闘不能・・・ダブル・ノックアウトだ。

 

しかし・・・

 

「わしの負けじゃよ、クウヤくん。 

よくやったな、ライボルト」

「おじいちゃん!?」

「鼻の差じゃ。わしのポケモンが先に倒れた・・・」

「でもぉ~!」

 

納得してない孫娘に優しい笑顔を見せるときょとんとしてるクウヤの元へ行きテッセンは話しかける。

 

「クウヤくん・・・勝負は運も時に必要じゃ。

運というものは人の魂や気持ちがひきつけるものじゃよ」

「たましいと、きもち?」

「どんなことにも諦めず希望を棄てない・・・そういう良い魂や前向きな感情は幸運を呼び込むんじゃ。

さぁ、このダイナモバッジを受け取ってくれい。」

「・・・・わかった!

ありがとうな!テッセンのじーちゃん!」

 

テッセンからキンセツジムの勝利の証を受け取ると  そのバッジをケースに入れる。

同じような証はケースの中で輝いていた。

 

「どうだねクウヤくん。

今晩はうちに泊まっていってくれんか?」

「へっ?」

「さんせ~!クウヤさんの武勇伝聞きたい!」

「ぶっ・・・武勇伝って」

「どうじゃ?」

「う~~~~ん・・・

よし!お言葉に甘えちゃうぜ!」

 

クウヤはそのままテッセンの実家に泊まる事にしたのだった。

 

 

「カチヌキ」と書かれた立ち札の家に上がると真先に老婆と遭遇した。

 

「あんたかね?わたしの旦那を倒したんは」

「ああ」

「ほぉ~、若いのぉ。

わしも若い頃はピッチピチのポケモントレーナーじゃったんよ」

「私達もポケモンを今でも育ててるんですよ」

「えと?」

「わしの息子夫婦じゃよ」

「あ、そっか」

 

テッセンの人柄の良さはこの家族環境によるものなのかもしれない。

そう思いながらクウヤは夕食をご馳走になった。

その時話に入ってきたのは・・・・

 

「むすこ?」

「ええ、私達の息子もあなたのようにポケモンリーグを目指して旅立ったのよ。

今は何処で何をしているのかわからないけどね」

「・・・強いのか?」

「そりゃあ強いよお兄ちゃんとお姉ちゃんは!

クウヤさんでもかなわないんじゃない?」

「こら、ミキ!」

 

子を諌める母の図を見てクウヤは苦笑いをする。

しかし、これが普通の親子の図なのだろう。

彼がたまにルネで見たのは会話もなく静かでつまらない、口を開けば会社の利益の話だの学力だの勉強だの金だの名誉だの・・・・ 日常の欠片もない「歪んでいる」家族の食事光景だ。

何度聞いても面白みもなくくだらないものばかりだった。

セイがこっそり愚痴をこぼしてたのを知っている。

 

「あははっ」

 

でもここは違う。

小さなことや些細な事でもみんなでわいわい楽しいこの空間は気持ちが楽になり、明るい。

これがきっと理想の団欒なのだろう。

 

 

その夜クウヤはこの家の長男がかつていたという部屋に泊まっていた。

本棚には勉強熱心な一面を象徴するように様々な本、壁にはポケモンリーグのポスターが貼ってあるなどその長男の夢や目標に対する気持ちがどれだけ熱いものなのかがよく伝わるものばかりの部屋だ。

 

「そういやこの卵・・・まだ生まれねぇのかな」

 

クウヤがベッドに座ってじっと見つめるのは両手でしっかり握られているポケモンのタマゴ・・・。

あの時ハギ老人の奥さんから頂いたものでありもらってから何日もたってるが生まれる気配はない。

 

そう思っていたのだが・・・・

 

「ぴっか!」 

「どうした?」

「ぴかちゅう・・・」

「ああ!ゆ、揺れた!!

タマゴが動いたぁぁっ!!!」

 

彼の言葉に反応した一家はそこへ集まりその後数十分に渡りカチヌキ一家+αは一個のタマゴに大慌てとなった。

徐々にタマゴは光りだし、あちこちにひびが入る。

全て割れた時、そこには新しい命がいた。

  

「あぁ・・・・!う・・・生まれた!」

「かわいい!」

 

ピンク色とクリーム色の体と大きな耳、 細い目と大きいしっぽ・・・・。

なんとも愛くるしい仕草と姿のポケモンに図鑑を向けると『エネコ』という名前だというのが分かった。

抱き上げて顔を近づけるとすりよってきた。

 

「はははっ、甘えん坊だな!

これからもよろしく!」

 

彼らは新しい仲間の誕生にとても喜んだ。

アーチもピーカもナークも。

 

その光景を見てテッセンは思った。

この少年は大物になる。

 

いずれ多くの人々を笑わせ、笑顔にしてくれるだろうと。

 

「よし、この次もこのメンバーで行くぜ!」

 


 
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