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デイライトガン&ムーンライトガン 第28,29章 赤穂戦終了迄

enarinさん

☆サイバーパンクで神話の入ったガンアクション小説です。
☆赤穂戦終了迄の第28章と第29章を纏めた更新です。

☆ラストまでのプロットをちゃんと書いてあるので、形式は、少しずつ続きを書いていく、章区切りの長編となります。
☆『pixno』(URL:http://www35.atwiki.jp/pixno/ )に参加しております。

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2016-03-09 17:55:38 投稿 / 全18ページ    総閲覧数:549   閲覧ユーザー数:549

第28章 撃破されたガンナーの役割

 

 その店内は閉鎖空間であり、更に各弾丸の着弾地点から広がっていった、各色の“宝石の鉄格子”が、更に移動エリアを狭くし、正直、希達にとっても、赤穂にとっても、“銃撃に向かない空間“、となったはずだった。だが、赤穂は自信満々だったのだ。どうやら、彼のデイライトガン”ジュエルジェイル“の秘密は、この”宝石の鉄格子”だけではないらしい事は、彼の言葉からも理解できたのだった。

 

 『宝石の鉄格子』と、『銃撃』

 

 ここからわかる彼の“銃撃方法”、それは、希がよく知っている方法だった。

 “跳弾”

 

 牢獄は束縛の意味だけではなく、赤穂にとって有利な“弾丸の軌跡”を作る為の“反射板”なのだった。

赤穂「さーて、誰から片付けるかなぁ? あ、言っておくが、俺は与一のように甘くは無い。一発目から眉間を狙う。さっさと片付けて、ラボに帰ってアイスが食べたいのでな」

スイート「…どういうアイスが好みだ?」

赤穂「あ゛~? それ聞いて、何がしたいんだよ?」

スイート「単に興味があるだけだ。敵味方問わず、甘味好きの意見は聞きたい物だ」

赤穂「はっ、イケメンのくせに変な奴! まぁ、いい。俺の好きなアイスは、チョコレートアイスだ。これで良いか?」

 

 スイートは顔つきを変えずに頷いて礼を言った。

スイート「良い趣味だ。教えてくれてありがとう」

赤穂「変な奴。まぁいい。同じ甘味好きとして、お前は最後にしてやる。あと、やられた与一の細胞分析から、旧式、お前の弾丸“も”跳弾が得意なのを、ラボから知らされている」

蛭子「ちょ、ちょっと待て! 私らデイライトエリアのガンナーがやられた場合、確かにあの状態になるが、その“光の粒”の行き先は、ガーディアンフェザーの蘇生センターのはずだ! しかもその情報は秘匿されており、それ以外の管轄所属のお前らが軽々しく情報を入手できないはず!」

 

 赤穂はクスクス笑った。

赤穂「蛭子よぉ~、それはな、お前らの仲間のおっさんが火野を倒した時から変わったんだよ、事態が変わっちまったんだよ。ガーディアンフェザーの上層部が“OK”出しちまったんだな、“個体の持っている情報の開示”をな。これまでお前らとエンカウントしてやられたこっち側のガンナー、少なくても蘇生途中の火野と、蘇生準備中の与一、この二人については、ある意味“捨て石”なんだよ。俺ら“改造組”の情報源、戦闘を有利にするためだけの存在、“やられたガンナーの価値”、それはこの程度に成り下がった、そういうわけだわ。蛭子、おまえもやられたら、こうなる予定だったわけだわ。ご愁傷様~」

 蛭子と黒崎は、怒りでわなわなしていた。ガーディアンフェザーの上層部は、そこまで落ちぶれてしまったのか、と。

 

 少なくてもガンナーにも命の尊厳くらいはある。やられても光の粒に変わり、蘇生センターで再構成して生き返ることが出来る権利が最低限あったのだ。それすらガンナーから取り上げられてしまったら、“ガンナーの存在意義”は、今現在は、こいつの言うとおり、“単なるエンカウント情報の入手元”に過ぎなくなってしまったのだろう。

 

 そんなのは、例えガーディアンフェザーであろうが、ムーンライトエリアだろうが、デイライトエリアだろうが、銃を持たない“ダークネス”だろうが、断じてあってはならない事だ。

 だが、そういう“身内繋がり”の二人の怒りの反応とは正反対に、スイートを起点にして、スイート、希、リキュール、テンニャンの4人と、パンドリオンを含めた5人は、ムーンライトエリア専用のスマホのSNSアプリで、淡々と、ある作戦を立てていた。

 

スイート:ガーディアンフェザーの外道ぶりは、今に始まったことでは無い。だから、奴の話は無視だ。さて、奴が“跳弾”系のガンナーなのは、この状況からよくわかった。だから、こちらも希とパンドリオンの“跳弾”で攻める。ただしパンドリオン、奴は既に“限界突破銃”の『空間情報』、『数名の銃の特性』の情報を持っているから、与一のような“情報無しからの予測不能”は通じない、と思う。だから、“いまだに情報無しの要素”を絡めることにする。パンドリオン、わかるか?

パンドリオン:ああ。だが、手の内は最低限の開示で済ませたい。今回はスイートの他に、リキュールの力も借りることにしよう。跳弾の軌跡分析は俺に任せて、跳弾の空間製作は、スイートとリキュールの二人に任せる。テンニャンは“ルシフェリオン”で、奴のやばそうな弾丸を撃ち落としたり、できる限り回避していてくれ

テンニャン:了解アル!

リキュール:…作戦了解。限界突破させておくね

 そして最後に、スイートが付け加えておいたのだった。

 

スイート:アイスクリームの性格診断だ。チョコレートアイスは、元気だが、“だまされやすい”。因みに、俺の好みは、ベリーベリーストロベリー、診断は、“我慢強い”

 

全員:了解!

 

 そして作戦は、それから数分後、奴が最初の弾丸を発射したのと同時に開始される事になるのだった。

第29章 跳弾vs跳弾

 

赤穂「まぁ、仲間内で色々計画練っているのは、なんとなくわかる。だが、お前らがいる空間は、どうひっくり返しても、俺のエリアだ。しかもお前らの限界突破銃とかいう奴の立体情報は、撃破された火野と与一、それから、必死こいて救助を待っている瀕死の八握から受け取り済みだ。能力は、旧式が跳弾、そこのアイス好きが氷結、あと今ここに居ないおっさんが重火器、猫っぽい女が狙撃だったか。他は使ってきたら把握する事にする。間違いないか?」

希「お前が知っている情報に限り、間違いないよ。今更こっちが違うと言っても、意味ないだろ?」

赤穂「そうだな。では、いい加減、お前ら片付けてやるから、はじめよーぜ! まずはそこの“中華”な女からだ!」

 

 赤穂は自分のデイライトガン“ジュエルジェイル”のトリガーに指をかけ、自分の宝石の鉄格子の空間に跳弾させることで、中華な女=テンニャンの眉間に当たる軌跡をジュエルジェイル内のCOMPと自分の思考回路で導き出し、そして、ついにトリガーを引いた!

 

赤穂「脳みそ、ぶちまけやがれ!」

 

 パシュン!

 

 赤い宝石弾=ルビーバレットが一発、銃口から飛び出してきた。

 カキン!

 

 透明のダイヤモンドジュエルに跳ね返った時の軌跡は、全反射し、パンドリオンが予測出来た方向だった。

 

パンドリオン(ダイヤモンドは砕けずに、全反射。把握した)

 

 パキン! シュン!

 

 赤色のルビージェイルの場合、同素材によるジェイル破壊で、弾速が落ちて通過した。

 

パンドリオン(ルビーは破壊され、弾速低下で通過。把握した)

 

 ボヨン!

 

 黄色のパールジェイルの場合、これこそフェイクとも言える“軟質ゴム素材”で、全反射して弾速が加速された。

 

パンドリオン(これは驚きだ。ゴム素材で全反射し加速。驚きだが、把握した)

 

赤穂「最後にとどめの跳弾だ! これで退路を断つ!」

 

 パキーーーーーーン! パラパラパラ!

 

 最後の跳弾となる“緑のエメラルドジェイル”は、正直一番危険だった。通過するだけでなく、砕けたエメラルドジェイルの宝石の破片が飛び散るのだ! そしてその直線上にいる弾丸が向かった先に、テンニャンがいた!

テンニャン「わ・・・わ・・・わ・・・来るなアル!」

 

 バシュ!

 

 テンニャンはルシフェリオンのトリガーを引き、衝撃属性の弾丸は発射した! だが、テンニャンの弾丸は赤穂のルビーバレットの横を追加しただけだった!

 

赤穂「甘い甘い! んじゃな!」

 

 カキン!

 

 そのとき、テンニャンのルシフェリオンに、赤穂のとは違う弾丸が衝突して、テンニャンの前に氷の障壁が現れ、そして赤穂の弾丸は氷の障壁にめり込んでいき、通過地点となる反対側の2cm前で止まった。氷の障壁はその後、衝撃から亀裂が入り、バラバラと砕け散って、テンニャンの前に転がってしまった。

赤穂「・・・・氷の能力をこんな所で使うとは、しかも仲間の銃に当てるとは、な。恐れ入ったよ、イケメン君」

スイート「危険なデイライトガンである事は、よくわかった」

赤穂「ここは俺のテリトリーだ。当然だろ。まぁいい。お前の氷を貫通させるためには、ルビーバレットではダメのようだな。なら、弾速マシマシで硬い奴にしよう」

 

 赤穂は銃の横のレバーを切り替えて、今度は“ダイヤモンドバレット”を準備した。

 

赤穂「今度は氷もダメだぜ!」

 

 バシュ!

 

 今度は透明のダイヤモンドバレットが銃口から放たれた。だが、今度の対策はパンドリオンの番だった。

パンドリオン「情報ありがとう。氷の障害無し、反射反応把握済み、そして次がスイートなら跳弾でOKだ!」

 

 バシュン!

 

 希の位置から、今度はパンドリオンの跳弾が放たれた。素材は“ダイヤモンド”に近い炭素系の硬質弾丸にした。

 

 パキン! パキン! カキン! ボヨン! カキン!

 

 赤穂のダイヤモンドバレットは、ダイヤモンドとパールのみ全反射し、他の素材は貫通してしまった。貫通力は高いため、エメラルドの破片は拡散しなかった。

 

 パンドリオンの跳弾も、それと同じ跳弾性能で、別の軌跡を描き、そして…

 

 パキン!

 

 最終的にスイートの目の前で衝突して、足下に2発の弾丸が落下したのだった。

赤穂「ちっ・・・・面倒な奴だなぁ。なら弾丸ランダム! 全方位発射で、数撃ちゃ当たる作戦だ!」

 

 バシュ! バシュ!バシュ! バシュ! バシュ!

 

 赤穂はまず自分の周囲のジェイルにダイヤモンドのジェイル弾を撃ち、ダイヤモンドの牢屋を自分で作り、その隙間から、まるで目が繋がった警官の撃ち方のようにランダムの弾丸を“乱射”して、数で勝負に出た。

 

スイート「だ、大丈夫か? パンドリオン!」

パンドリオン「この程度なら、大丈夫だが、スイートは全員の周囲に氷を張って置いてくれ。割られれば、そこに弾丸がいることがわかる。それならそれぞれの銃で狙って撃ち落とせば良い。危ない弾丸は俺が直接撃ち落とす」

全員「了解!」

 

 パキン! カキン!

 

 ペキ!

 

 リキュールの目の前に来た弾丸はルビーバレットで、氷の途中で止まってしまった。

 

リキュール(危なかったなぁ。今は使えないの、この銃)

 

 パキーーーン!

 

テンニャン「今度は撃ち逃さないアル!」

 

 バシュ!

 

 テンニャンの頭上の氷に来た弾丸はダイヤモンド弾だった。位置がわかったので、テンニャンのルシフェリオンの弾丸でしっかり撃ち落とした。

 

 ボヨン!

 

スイート「ふぅ。パールバレットは氷ではだめのようだな。跳ね返ってくれた」

 

パンドリオン「あとは俺の跳弾で全て撃ち落とせる」

 

 カキン! カキン! カキン!

 

 パンドリオンの跳弾は、次々に赤穂の跳弾を撃ち落としていった。そして、最後にパールバレットが1発残った。それはどうやら数回の跳弾で希を狙って向かっていた!

赤穂「もういい! お前さえ片付ければ!」

スイート「氷だぜ!」

 

 スイートは次の赤穂の弾丸の反射するジュエルジェイルに向かって弾丸を放ち、その地点に氷を作った。

 

赤穂「パールならそこで反射か。なら軌道修正のルビージェイルを、あの地点に!」

 

 バシュン!

 

 赤穂が軌道修正のために狙った地点にルビージェイルが貼られた。

 

赤穂「軌道修正完ry」

 

リキュール「氷結弾!」

 

 リキュールはここで限界突破させ、銃口をその氷の地点に向けた!

 

赤穂「な! 貴様も氷結属性で氷を作るなら、もう1段階の軌道修正だ!」

 

 バシュ!

 

 赤穂はルビージェイルを更なる軌道補正をするために必要な地点に撃ち込んだ。

スイート「アイスクリームの性格診断だ。チョコレートアイスは、元気だが、“だまされやすい”」

リキュール「なーんちゃって!」

 

 リキュールの炎龍銃“ムスペルヘイマー”の銃口から放たれたのは、当然“火炎弾”だった。赤穂は知らなかったのだ、この限界突破銃の能力を、まだ。

 

赤穂「な、な、なぁにぃいぃぃぃ!!!!」

 

 ジュ!

 

 火炎弾が着弾した、その地点の氷は溶け、赤穂の弾丸は、“パールなら反射”ではなく、当然そのまま通過していった。

 遂に始まる、“パンドリオン以外予測してなかった、跳弾の軌跡”。

赤穂「ど・・・・・・・どこに・・・・・弾丸は・・・・・向かって・・・・読めn」

 

 バシュン!

 

 赤穂の弾丸は、赤穂が“弾丸発射のために空けて置いたダイヤモンドジェイルのないエリアから侵入し、デイライトガン”ジュエルジェイル“の銃口にそのまま”戻ってきて“、そして暴発して、赤穂は吹き飛んでしまった。

 

パンドリオン「策士、策におぼれる、って奴だな。研究室に帰って、お前も単なる情報元になりな」

 

 こうして、対赤穂戦は終了したのだった。


 
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