No.83450

恋せよ乙女

BLOさん

魔法少女リリカルなのはシリーズより、なのフェイ 百合CPです

「雛祭りは盛大に」の続編となります。
フェイトちゃんは乙女なのだ☆

2009-07-10 07:33:09 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1229   閲覧ユーザー数:1135

 恋せよ乙女

 

3月3日に我がハラオウン家で開かれた雛祭りパーティー。色々な事情が絡んでしまい、結局なのはしか来られなかった。

みんな仕事や家の事情だから仕方が無いけれど、少し寂しいと感じる私は我侭なのかな?

ところで、雛祭りパーティーでの出来事を私はほとんど覚えていない。とても楽しく、嬉しい気持ちでいっぱいだった事だけは覚えているけど・・・他の記憶は曖昧で、特に甘酒を飲んでからの記憶が無い。

そして、3月4日の朝に自室で目覚めた。なぜか裸だったんだけどね・・・。

不審に思い、キョロキョロとすると部屋の隅に正座をして、きつく目を閉じているなのはがいた。

何があったのか、なのはに何度尋ねても

「フェイトちゃんはね、甘酒を飲んで酔っちゃっただけなの。本当にそれだけで何も・・・無かったの」

と、同じ答えしか教えてくれなかった。

他にも母さんやクロノに聞いてみたけど、途中で呼び出されたこともあり、みんな同じような返事しかしてくれなかった。

何か失敗をして、怒らせてしまったのかもしれない。何か失敗をして、悲しませてしまったのかもしれない。

でも、なのはは事情を一切話してくれない。

そうなると、情報収集の手段が限られている私は弱いもので、出来る事はほとんど無かった。

だからといって、そのまま諦める訳にはいかない。そこで、迷惑だとは分かっていても、はやてに相談してしまった―――

 

 

      ◇

 

 

3月7日13時20分  八神家 リビング

最近、相談事を受けることが増えてきた私のもとに、常連さんであるフェイトちゃんが訪ねてきた。

実のところ、昨日なのはちゃんに相談されたこともあり、相談の内容事態には想像がついていた。でも・・・プライバシーの保護って事にして、何も知らん顔で相談にのることにした。

「ごめんねはやて、いつも相談にのって貰ちゃって」

「気にせんでええよ。フェイトちゃんはあたしの大事な友達や。あたしなんかで聞ける悩み事やったら、なんぼでも聞くで」

「うん・・・ありがとう。その、今回もなのはとの事なんだけど―――」

真剣な顔をして話し出すフェイトちゃん。その話を整理するとこんな感じかな?

雛祭りパーティーに来てくれたなのはちゃん。あたしらが行かんかった事もあり、2人で楽しく過ごしっとたんやけど、記憶が曖昧だったり、全く覚えていない部分がある。

そして、翌日からなのはちゃんの反応が何か変やっと・・・。

「それにね、朝起きたとき私は・・・その裸でね。な、なのはに何かしちゃったんじゃないかって、何か変なしちゃったんじゃないかって心配なんだけど、何があったのか全く分からないの」

まぁ、それは言えんわな。

リンディさんとかエイミィさんは、仕事に行ってた事もあって全部を知らんのやろうし、なのはちゃんは相談の内容的に、何があったかのかは予想が付くけど・・・う~ん、これは教えてあげられんなぁ。

「つまりフェイトちゃんとしては、その変な感じを解決する為に、何をしてしまったのかが知りたい訳やな?でも、リンディさん達は何も知らんようやし、なのはちゃんは何があったのかを教えてくれへんゆう訳やな?」

中身を知っていて惚けるのは結構キツイもんがあるんやけど、『特別捜査官 八神はやて』として働いている今、こんな事は日常茶飯事。

家族と一緒に居る為とはいえ、難儀な仕事を選んだもんやなぁ。

「うん、そんな感じだよ」

「・・・フェイトちゃん、残念ながらあたしもその場に居合わせたわけやないし、何があったのかを教えてあげる事は出来んよ」

あたしの答えにションボリした様子になるフェイトちゃん。・・・こ、この表情はあたしに好きな子がおらへんかったら危険や。

「やっぱりそうだよね・・・。ごめんねはやて、変な相談しちゃって」

そのままどんどんと落ち込んでいきそうなフェイトちゃん。でも勘違いしたらあかんで?

「ちょう待ち。あたしは何があったかは分からんって言っただけで、何のアドバイス出来んとは言ってない。・・・なのはちゃんがこんな状態になってしもうた理由ぐらいなら、思いつくで・・・って」

「え?ほ、本当はやて、それは何?教えて!今すぐ教えて!」

「ちょ、ちょうフェイトちゃ~ん。そ~んなガクガク揺すられとったら~答えられへんで~」

「あ・・・ご、御免なさい」

や、やっと開放されたけど、苦しかったわ。

なそれにしても、なのはちゃんの事になるとフェイトちゃんは見境が無くなる、っと。この死にとうないし、これは覚えとかな命にかかわるな。

でも、まぁしっかりと恋をしとる証拠みたいなもんやし・・・仕方がないかもしなんけど、これから伝える事を受け止められるやろうか?

「フェイトちゃんの話した通りやったら、なのはちゃんがそんな状態になってしもうた理由は分からん事も無いよ。でもな、これはあまり綺麗な事やない」

相手を想うからこそ大切にしたい。相手を愛するからこそ欲しくなる。この相反する感情を理解するのは難しい事や。

「どちらかって言うと生々しくて、知らん方が良かったと後悔するかもしれん。それでも聞きたい?」

これは最終確認。フェイトちゃんがなのはちゃんの全部が好きなら・・・綺麗なところも、綺麗や無いところも全部まとめて愛している問題は無い。

でも、もしそうでなかったら破局を迎えてしまうかもしれん。2人共あたしの大切な親友や、幸せになって欲しい心から思う。だから、これを喋った結果が破局への引き金となえうなら、あたしは話せない。今、この場で話す訳にはいかない。

「大丈夫だよ、はやて。私はなのはの全てが好きなんだ。ちょっと怖い感じもするけれど、全てを受け入れる覚悟は出来ているよ」

あたしが逃げたくなるぐらい、ええ目をしとるな・・・。

「その言葉を聴いて安心したわ。OKや、あたしの思っている理由を話すわ」

覚悟もええみたいやし、遠慮する事はないよな。

ついでやから、なのはちゃんの相談内容も織り交ぜて話したろうか・・・。

「ズバリ言うで、なのはちゃんはフェイトちゃんに欲情してしもうたんや」

「え?なのはが私に・・・欲情した?」

さすがにショックやったか?何を言われたんか理解出来てない顔や。

でも、まだまだ続きがあるで・・・

「話から推測すると、フェイトちゃんは間違いなく酔っ払ってしもうたんや。多分、原因は甘酒やろうな。慣れてなかったらあれでも酔うて、聞くし」

「そ、そうんなんだ」

本当は理解しやすいように、ゆっくりと1つずつ順序を追って話してあげるべきなんやろうけど、途中で止めると誤解をしてしまう可能性がある。

ちょう辛いかも知れんけど、最後まで一気に話すで。

「フェイトちゃん、正直に答えて欲しい事があるんや。本来はこんな事、他人であるあたしが聞くべきでは無いんやけど」

本当にあたしが聞くべき事では無い。でも、これを確認せんとこの先は絶対に話せない。

「―――フェイトちゃんは、なのはちゃんが欲しい思うた事はあるか?繋がりたい思うた事はあるか?」

「え?ええっ?」

この2人に幸せになって欲しい、何にも負けない幸せを掴んで欲しい。そう思うからこそ、気持ちを教えて欲しい。

勿論、2人の問題やから関わらないでと言われれば何も聞かへん。

でも、あたしの言葉に真っ赤になっているフェイトちゃんも、先に相談に来たなのはちゃんも本当に相手の事を思っている。

「あたしは2人の力になりたい。2人が幸せだよって笑っているところが見たいんや」

だからなのはちゃんは耐えれたし、フェイトちゃんだって相談に来てる。そんな2人の思いを無下にせんためにも・・・

「恥ずかしいし、言いたくないのはあたしにも分かる。でも今回だけ答えて欲しい・・・フェイトちゃんはなのはちゃんが欲しいか?」

長い、とても長い沈黙やったと思う。何度か顔を上げ、言葉にならず口をパクパクさせているフェイトちゃん。

可哀想やとは思う。助けてあげたいとは思う。

でもな、今回ばかりは本人の口から言ってもらわんとあかん、促す事も出来んのや。

「し・・・よ・・・」

聞き取れへんかったけど返事やろか?

「私はなのはが欲しいよ!」

ふぅ、良かった・・・。

目で続きを促し、フェイトちゃんの想いを聞かせてもらう。

「私はなのはが好きで、大好きでもう止まれないんだ。いつもなのはの事を考えているし、なのはと離れただけで寂しくて死んじゃいそうになる。朝も昼も夕方も、もちろん夜だってずっと一緒に居たい!」

最後の方は叫び声に近かっただろう。幸い家にはあたしとフェイトちゃんだけやし、誰にも聞かれる心配は無い。

「・・・でもね。私はなのはが大好きで、大好き過ぎてたまらないんだけど、なのはがこんな私を受け入れてくれるとは思えないの・・・」

さっきまでの勢いが嘘のように沈んでいる。

ははぁん、それが原因なんやな。

「なのはが欲しいけど、嫌われるぐらいなら我慢する。離れる事になっちゃうくらいなら、我慢する」

「・・・我慢するか。まぁ、決意自体は立派やな」

相手の事を想い、相手と一緒に居たいと願うなら距離を置くのも1つの方法だろう。引く事で、我慢する事で守れるものもある。

「でもな、フェイトちゃんそれを1人で決めたらあかんで?」

「え?どういう事?」

・・・いちいち動作が可愛らしいなぁ。なのはちゃん、これを前によう耐えたなぁ。あたしには絶対無理や。

「さっきの話やと、なのはちゃんには何も相談して無いやろ。それに、日頃は恥ずかしくてイチャイチャしとらんのやないか?」

「え?な、な何ではやてが知ってるの?」

まさか、なのはちゃんから聞いてますとは言えない。

まぁ、たとえ聞いてなくても、見ていれば誰でも分かるけどな。

「フェイトちゃんの様子を見とったらな・・・。恋人に何も相談せずに、1人だけで勝手に決めてしまうのは、ええ事やとあたしには思えん」

勢いに任せた行動で後悔しない為にも、自分を律する事は大切。

だけど、それと相手に相談しない事とは全くの別物なんや。

「フェイトちゃんは我慢する、我慢してみせるゆうたけど、なのはちゃんが我慢出来るとは限らん。・・・多分、そろそろ限界なんやと思う」

抱きつきたくて、キスしたくてどうしようも無い。フェイトちゃんの事が好きで好きで、どうしようも無い。そんな想いがビシバシと伝わってくる程、なのはちゃんは愛情表現をしている。

でも、肝心の恋人にはあまり伝わって無いようや。まぁ、加減が難しいところなんやろうけどなぁ・・・。

「雛祭りパーティーで何があったか、見とった訳や無いし具体的な事はあたしには分からん。でも、酔ってしもうたフェイトちゃんは、いつものように自分を抑える事は出来んかったんやろうな」

抑えていた気持ちが溢れてしまったのだろう。

「そうなの・・・かな?」

「日頃は裸で寝とる訳やないんやろ?それもなのはちゃんの前やで?日頃なら恥ずかしくて、絶対に出来んはずや」

「あっ・・・そっか・・・」

納得してくれたんかな?それやったら、ええんやけど・・・。

「もしかしたら、裸でなのはちゃんに迫ってるかもしれんなぁ。まったくお熱い事で」

「そ、そんな事してな・・・し、してるかもしれない」

否定出来んところがあるんかい――これはビンゴと見て良さそうやな。

「なのはちゃんがおかしいのはそれが原因やろうな。可愛い愛しい恋人の裸を見せられて、迫られたんやで?普通なら襲ってしまうところを何とか我慢したんやろな。ただ、その代わりに少し距離を置いてしまわんと自分が抑えれんのやな」

「そうだったんだ・・・」

でも、悔やむ事は何も無い。フェイトちゃんは心の底からなのはちゃんが好きだからこそ、やってしまっただけ。結果は芳しくなかったかも知れんけど、なのはちゃんの気持ちの確認も出来た。

実際、最近のなのはちゃんはフェイトちゃんから意図的に逃げてた。

帰りも1人だけで、逃げるように行ってしもうたし・・・据え膳状態はきつかったんやろうな。

「私、どうすれば良いのかな?」

う~ん、そこまであたしが教えてしもうてええんやろうか・・・。既に喋り過ぎたかなとも、思うてるし、どないしようかな?

「それじゃあ―――」

「いや、待ってはやて。この先は自分で考えるよ」

私の言葉をさえぎった声、そこにはさっきまでの弱気なものとは違い、決意が含まれている気がする。

「そっか・・・」

「ここまで相談しておいて勝手な話かもしれないけど、やっぱりこれは私となのはの問題なんだ」

なんや、心配せんでもちゃんと分かっとるやないか。

「だから、私がなのはへの応えを見つけなきゃいけないんだ」

これならもう大丈夫やろう。フェイトちゃん1人でも解決できる。そう思わせるだけの何かを、フェイトちゃんは掴んだみたいや。

「構わへんよ。フェイトちゃんがなのはちゃんにしてあげられる事を、頑張りいや」

「うん、そうするよ。ありがとう、はやて」

そう言って笑うフェイトちゃんは可愛くて、あたしはつい見とれてしまう。

「はやて、私の顔に何かついてる?」

「・・・目とか鼻とか口がついてるで~」

ほんまにこの子は危険やわ―――

 

 

      ◇

 

 

「お邪魔しました」

「気にせんでええよ。またいつでもおいでな」

今回も相談にのってもらっちゃった。

はやては笑顔で送ってくれたけど、何やってんだろうなぁ・・・。

参考資料に借りた漫画や小説、DVDを手にさげながらトボトボと帰り道を歩く。

私は、なのはの恋人なんだ。なのはの事を全て受け入れて、抱きとめるだけの覚悟を持たないといけない。そして、同じだけ自分に自信を持って、気持ちを伝えないといけない。

「それに・・・」

か、可愛い恋人を前に我慢してくれたなのはに、私はちゃんと正面から答える必要がある。・・・なのはになら、襲われても良かったんだけどね。

と、とにかく、私は行動に出ないといけない。なのはの恋人であり続ける為、自分の気持ち為に、想いに応える。

勝負は3月15日。なのはの誕生日に最高のプレゼントを渡したい。

 

想いと想いで繋がりたいんだ―――

 


 
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