No.834027

ドラゴンクエストⅤ~紡がれし三つの刻~コラボ版・第三話

さん

スクエア・エニックスのRPGゲーム「ドラゴンクエストⅤ~天空の花嫁~」を独自設定の上、キャラクターを他の作品のキャラをコラボさせた話です。
それが駄目だという方にはお勧めできません。

コラボするキャラクター
リュカ=タダオ(GS美神・横島忠夫)

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2016-02-28 17:22:24 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:725   閲覧ユーザー数:709

第三話「洞窟の中の小さな冒険」

 

 

「覚えていてくれたのねタダオ。でも、2歳年上のお姉さんを呼び捨てにしてもいいのかしら?」

 

そう言いながらリアスはタダオの口を掴み、思いっきり両側に引っ張る。

 

「いひゃい、いひゃい、ほめんなはい、ヒアフおねへひゃん!!」

「解ればいいのよ。でもやっぱり呼び捨てでいいわよ」

「…だったら、ほっぺた引っ張らなくてもええやないか」

「「「ははははは」」」

 

大人達はそんな子供達を微笑ましそうに笑っていた。

 

「タダオ、おじ様達は大人の話があるだろうから私達は二人で遊びましょ」

「おう、遊ぼ」

 

リアスとタダオはそう言いながら二階へと上がって行った。

 

「それでマミアよ、何の用事なのだ?私達が帰って来る事を知っていた訳ではあるまいに」

「実はウチのダンナが病気になって寝込んでしまってね。だから薬師のビーに薬を調合してもらいに来たんだけど洞窟に材料の薬草を取りに行ったまま戻って来ないんだよ」

「う~~む、そうか。私もあの洞窟には用事がある。ついでと言っては不謹慎かもしれないが明日にでも探してみよう」

「頼んだよパパスさん」

「ところでタダオ、さっきから気になっていたんだけどそのスライムはどうしたの?」

「帰ってくる途中で友達になったんや、名前はピエール。ピエール、この女の子はリアス、ワイのお姉ちゃんみたいな人なんや」

「ピィ、ピッピィー」

「魔物と友達になるなんて、あなたはホントふしぎな子ね。まあいいわ、私はリアス、よろしくねピエール」

「ピィーー♪」

 

笑いながらピエールの頭を撫でてやるとピエールは嬉しそうに鳴きながらリアスの手に頭を擦りつける。

 

「挨拶は終りやな。じゃあ、何して遊ぶんや?リアス姉ちゃん」

「そうね、なら本を読んであげるわ。この本なんか良さそうね」

 

リアスは本棚から一冊取り出してペラペラとめくるとそのまま本棚に戻し絵本を取り出す。

 

「やっぱりタダオには絵本の方がいいわよね」

「読めへんのなら素直にそう言えば…」パコーーンッ!!

「良く聞こえなかったけど何か言ったかしら?」

「……何も言ってません…」

「ピィ~~」

 

タダオは涙を滲ませ、叩かれた頭を擦りながらリアスと絵本を読んでいく。

ピエールは何やら怯えてる様だ。

 

 

―◇◆◇―

 

 

《ヤマグチ=セマシ冒険隊》

 

冒険家、ヤマグチ=セマシが世界中の洞窟や未開の地を冒険して回るという話の絵本である。

 

リアスが机の上に絵本を広げて読み、タダオとピエールはその横から覗き込んでいた。

 

「『まっくらやみだ、これはなにがおこるかわからないぞ』ヤマグチ=セマシはいま、だれもはいったことのないどうくつにはいろうとしている」

「なあ、リアス姉ちゃん」

「どうしたのよタダオ?」

「この絵なんやけど、誰も入った事の無い洞窟やのに何で入って来るカワグチを洞窟の“内側”から描いとるんやろ?」

「……さあ?…、続きを読むわよ。どうくつにはいったカワグチのあしもとにはひとのあたまのほねが……」

「えらいピカピカできれいな骨や…」スコーーーッン!!

 

リアスのこうげき。

つうこんのいちげき。

タダオに25のダメージ。

ピエールはにげだした。

 

「……黙って聞いてるって事が出来ないの?」

「………カドは反則や……」

「ピキィ~~~~」

「リアスーー、そろそろ宿に帰りますよ」

「はーい、ママ。じゃあタダオ、またね」

「おう、またなリアス姉ちゃん」

 

リアス達は宿へと戻り、タダオは一階へと下りて行く。

 

「さあ、坊っちゃん。今日はこのバークが腕によりをかけて御馳走を作りますからね」

「わーい、楽しみやーー!」

 

その日の夕食は思った以上に豪勢で、タダオは久しぶりに腹一杯の食事に満足したようですぐに眠りこんでしまった。

 

 

 

翌日

 

「ふあぁ~~~、おはようや」

「お早うございます、坊っちゃん。朝食の用意は出来てますよ」

「さあタダオ、早く顔と手を洗って来なさい」

「は~~い」

 

タダオがまだ食べている時、いち早く食事を済ませたパパスは立ち上がるとタダオに話しかける。

 

「タダオよ、私はこれから用事があるので出かけるが決して一人で村の外へは出てはいかんぞ」

「うん、分かったで。行ってらっしゃいや、父ちゃん」

 

食事を続けるタダオをバークは懐かしそうに見ながら呟く。

 

「本当に坊っちゃんはだんだんとお母上に似て来ましたなぁ。お母上のマーサ様もお優しい方で魔物さえもマーサ様の前では子猫の様に大人しくなったものです。ちょうどこのピエールの様に」

「ピイ?」

「そうなんか?」

「ええ、本当ですとも。(あんな事さえなければ今頃リュカ様もお城で何不自由無く、幸せに暮らしていたものを……)」

 

「ごちそうさまや!じゃあ、遊びに行ってくるな。行くで、ピエール」

「ピッ、ピィーー」

 

昔の事を思い出し、暗い表情になっていたバークだが元気に駆け出すタダオを穏やかな顔で見送る。

 

「気を付けて下さいね、危ない事はなさらない様に」

「了解やーー!」

 

村の中を歩くタダオだが、もう春も間近だというのに肌寒さに震えていた。

畑にも作物は実らず、焚き火で暖を取っている村人も居る。

 

「うう~、寒い寒い。どうしたっていうんだろうね今年は?」

 

「皆も寒そうやな。早く春が来ればええのにな」

「ピイ、ピイー」

 

宿屋に着くとタダオは二階に上がり、リアス達が泊っている部屋へと入って行く。

 

「リアス姉ちゃん、お早うや!」

「おや、パパスさん所のタダオじゃないか」

「おはようや、おばさん。リアス姉ちゃんは?」

「折角遊びに来てくれて悪いんだけどね、リアスはまだ寝てるんだよ」

「まだ?ずいぶんとおねぼうさんやな」

 

そう言いながらベットで寝ているリアスを覗き込むが、マミヤは寝ているリアスの髪を優しく掻き分けながらタダオに言う。

 

「この子は病気の父親が心配でね、昨夜も中々寝付けなかったみたいなんだよ」

「そうなんか、ごめんなさいや」

「ははは、いいんだよ。だからもう少しリアスを寝かしてやってね」

「わかったで。また来るな、リアス姉ちゃん」

 

そう言いながら部屋を出て、扉を閉めようとするとマミヤの呟きがタダオの耳に聞こえて来た。

 

「はあ~、パパスさんも忙しそうだしね。誰か捜しに行ってくれたらねぇ」

 

宿屋を出て、少し歩いた所でタダオは足を止めるとピエールは不思議そうにタダオを見上げる。

 

「ピイ?」

「よっしゃ!ピエール、ワイらで薬師のおっちゃんをさがしに行くんや。そうすればリアス姉ちゃんやおばちゃんもよろこぶで」

「ピイ、ピイピイ」

 

そして、いざ洞窟に乗り込もうとするのだが流石に武器がひのきの棒では心許無い。

そこで武器屋で新しい武器を買おうとしたら店の親父は。

 

「ほう、ビーの奴を捜しに行くのか。だったら特別サービスだ、今あるゴールドとひのきの棒を買い取った分を足して銅の剣を売ってやろう。それでもゴールドは足りないんだけどな、坊やの勇気に免じてだからな。他の皆には内緒だぞ」

 

と、銅の剣を売ってくれた。

 

「ありがと、おっちゃん!がんばってくるで!」

 

タダオはそう言うと買ったばかりの銅の剣を腰布に挿し、喜び勇んで駆けて行った。

 

「ははは、冒険ゴッコか。俺も小さい頃はよくやったものだ」

 

どうやら彼はタダオは冒険ゴッコのつもりで銅の剣を買おうとしてると思ったらしい。

だから、タダオが洞窟に入って行くのが視界に入ってもそれに気付かなかった。

 

~サンタローズの洞窟~

 

 

洞窟に入ると流石に薄暗くなって来て、ピエールが一緒とは言え不安に駆られて来る様だ。

なのでタダオは歌を歌いながら先に進む事にした。

 

歌うのはあの絵本が題材になった歌で、あのツッコミ所満載の絵本は小さな子供には結構人気があり、そのツッコミ所をツッコミまくったこの歌は子供達の間で流行っていた。

 

大人の事情の問題で掲載できないのが残念だ。

 

「♪~さそりばちの次はどくいも……」

 

歌を歌っているタダオの前の方から何やら物音が聞こえて来た。

そして、暗闇の中から出て来たのはスライムとおおきづちの二匹だった。

 

「ピエール、相手は同じスライム相手やけど戦えるか?」

「ピィッ!ピッピィーー!」

 

ピエールは任せろと言う様に身構えている。

おおきづちは初めて見る魔物だが、パパスからその特徴などは聞いているので驚く様な事は無かった。

 

だが、ピエールとは違うその赤く濁った瞳を見ると何処となく寂しくなるタダオであった。

 

「本当なら友達になれるかもしれへんけど、かかって来るんなら手加減は出来んで!」

 

『ピキィ~~、ピキャーーーッ!!』

「ピィ、ピキーーーイ!!」

『ピキッ……ピギャァッ』

 

スライムはピエールに襲い掛かるがピエールはその突進を軽くかわし、逆に体当たりをかける。

ピエールの体当たりをまともに受けたスライムはそのまま壁にぶち当たり弾け飛んだ。

 

『フガーーー!』

「こんのぉーーーっ!!」

 

タダオの頭ほどの大きさの木づちを振り上げながら突進してくるおおきづちにタダオは慌てる事無く振り下ろして来る木づちをかわし、銅の剣を振り抜いた。

 

『フギャーーー!』

 

おおきづちは悲鳴を上げながら真っ二つになり、地面に落ちると溶ける様に消えて行き、宝石だけが後に残った。

 

その宝石を拾い上げるタダオの所にピエールが倒した相手の宝石を咥えてやって来た。

 

「ごくろうさまや、ピエール」

「ピィ、ピィ」

 

ピエールから宝石を受け取るとタダオはピエールの頭を優しく撫でてやると、それが気持ちいいのか体を揺らしながら喜んでいる。

 

そしてタダオは手の中にある宝石を見つめると寂しそうに呟いた。

 

「ワイがうばった命……」

「ピィ?」

「ううん、何でもないんや」

 

宝石を袋の中にしまい込むとタダオは再び歩き出し、そして次々と襲い掛かってくる魔物達。

 

蝙蝠の様な姿をした「ドラキー」

丸い体に何本ものとげを生やした「とげぼうず」

大きめの体で頭に鋭い角を生やした「いっかくウサギ」

突然足元の地面から攻撃して来る「せみもぐら」

 

此処まで襲って来た魔物達に共通するのはその瞳が赤く濁っている事、思い返せばピエールを襲っていたスライム達も瞳は赤く濁っていた。

タダオは青く澄んだピエールの瞳を見つめながらはそんな事を考えていた。

奥へと進み、地下に続く階段を下りると岩が崩れている所が見えた。

近づいてみて見ると更に下の階に岩が落ちている様だ。

 

「危ないな、ワイらも気を付けるでピエール」

「ピイ、ピイ」

 

更に奥へと進み、何度目かの戦闘の際にピーエルが傷を受けてしまった。

 

「だ、大丈夫か、ピエール?」

「ピ…ピィ~~」

 

ピエールはタダオに心配をかけまいと平気そうな振りをするが、それがやせ我慢だと言う事は誰が見ても分かる事であった。

 

「こんな時、父ちゃんだったら《ホイミ》でピエールを治せるのに……、あれ?」

 

タダオが《ホイミ》と口にした際、手から何か温かな力を感じ、自分の体の傷が癒えている事に気付いた。

それはパパスにホイミをかけてもらった時と同じ暖かさだった。

 

「…ひょっとして……、ホイミ」

「ピ?…ピィ~~~♪」

 

ピエールに手をかざしてホイミと唱えると、タダオの手から光が零れてその光はピエールの体の傷を癒して行く。

 

「ホ、ホイミや!ピエール、ワイにもホイミが出来たで!」

「ピイ、ピィーー♪」

 

カサリ

 

そうやって喜んでいると、後ろの方から物音が聞こえて来た。

神経が過敏になっているタダオはすぐに振り返り、銅の剣を構えながら叫んだ。

 

「ま、魔物!? かかって来るならかかって来んかーいっ!!」

「ピキーーィッ!!」

 

振り向いた先には一匹のスライムが居り、怯えながら叫んで来た。

 

「まっ、待ってよ!虐めないでよ、僕は悪いスライムじゃないよーー!!」

「ス、スライムがしゃべった?」

「ピイ?」

 

 

=冒険の書に記録します=

 

《次回予告》

 

薬師のおっちゃんを探して洞窟の中を冒険していると突然現れたしゃべるスライム。

でも目はピエールと同じで青く澄んどる、悪いスライムやないな。

一人ぼっちなんて寂しいやないか、友達になろうで!

 

次回・第四話「二人目の友達、スラリン」

 

「友達、嬉しいな」

 

(`・ω・)文中でリアスは呼び捨てにしてもいいと言ってますが、やはりこの時点でリアスと呼び捨てにするのは何処か違和感を感じたのでリアス姉ちゃんという呼び方にしました。

 

 


 
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