No.821616

恋姫無双ー異世界からの銃士ー 第6話

yuukiさん

最後の方で唐突すぎる展開があると思いますが、楽しんでくれれば幸いです。
後、誤字脱字が多くてすみません。こうしてほしいと言う意見があったらこうださい。参考にします。

2015-12-29 22:06:26 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1413   閲覧ユーザー数:1289

SIDE 撃

―前回までのあらすじ―

新たに加わった仲間『趙雲』こと『星』を入れた俺達4人は

袁紹が収める冀州の町にやってきた そこで俺達は三国志の最重要人物である

『曹操』と出会う、そんな中、町の仕事が失敗してしまった鈴々ちゃんは

その日開催されていた武闘会に参加し、優勝し、賞金を手に入れ愛紗たちを見返そうとした

だが、町の近くに逃げ込んできた賊を追って会場に曹操が現れ、潜伏していた賊は

袁紹を人質に取り、要求を言ってきた だが曹操はそれを拒否

そんな中で袁紹は自分が周りからどういった評価をされていたかを知る

そんな時、ぼろ布で顔隠した俺が白き鎧『白狼』を使い、袁紹を救出 

その後、賊を殲滅して終わったと思ったが、決勝戦まで進でいた馬超が突如

曹操を攻撃、俺はそれを止め、彼女の身の安全を保障するかわりに俺は曹操と話しを

するために町の外の野営地へと連れていかれた

 

SIDE 愛紗

私と星は仕事を終えてからすぐに宿に戻ったが、そこには鈴々も撃もいなかった

愛紗「おかしいな、まだ二人とも戻っていないのか?」

星「おおかた、鈴々が白を振り回しているのだろう。時期に戻ってくるさ。」

愛紗「そうだな、仕事の疲れもある、少し休むか。」

そうして私が寝床に腰かけた時、廊下からドタドタと足音が聞こえてきた

鈴々「大変なのだ~!」

すると入口の扉を開けて、息を切らした鈴々が飛び込んできた

  「二人とも!大変なのだ!」

星「お前、今までどこに...ん?白はどうした、一緒じゃないのか?」

鈴々「白兄ちゃんが!白兄ちゃんが!」

愛紗「良いから、落ち着け、何があったのか説明してみろ。」

その後、貰って来た水を鈴々に飲ませ、落ち着いた後、話を聞いた

私達と別れた後、袁紹主催の武闘会に出たこと

その後、会場に曹操が現れ、さらに隠れていた賊が暴れ、

それを倒すために撃が白狼になった事を そして

  「撃が曹操に連れていかれた!?」

鈴々「賊をやっつけた後、鈴々の戦う相手だった馬超って奴が曹操と戦いそうに

   なったのを白兄ちゃんが止めたのだ。その後、馬超の命を保障するなら

   ついていくって、それでお兄ちゃんは曹操達と一緒に...」

星「そんな事になっていたのか。...これからどうする?」

愛紗「そんなの決まっている!我々も曹操殿のところに!」

星「それはダメだ!」

愛紗「なぜだ!」

星「忘れたのか、我ら4人はすでに曹操殿に会っているんだぞ。

  白がいる事を知らないはずの我々が野営地にでも行ってみろ。

  白がいない事、我々が白狼の居場所を知っていること、それを考えれば

  白が白狼だと簡単にばれてしまう。」

愛紗「だが、それではどうすれば!?」

星「今は、奴を信じて待つしかないだろう。」

愛紗「......わかった。」

撃、必ず、帰って来てくれ

 

SIDE 撃

......まるで見世物だな

野営地についた俺を先導しているのは夏候惇と呼ばれていた将軍と曹操本人

俺は手首に縄を巻かれているが、スーツの力なら簡単に引きちぎれるだろう

だが、その周りには俺の異様な姿を見るために無数の兵士が集まっている

夏候惇「ほらほら!見世物じゃないぞ!さっさと仕事に戻れ!」

夏候惇が周りの兵士たちを散らした

そのまま俺は周りのより大き目のテントへと連れられた

その中には2人の少女が待機していた

曹操「秋蘭、桂花、今戻ったわ。」

秋蘭「おかえりなさいませ、華琳様。」

荀彧「賊退治、ご苦労様でした...ところで後ろの白い鎧は何ですか?」

曹操「...世にも不思議な言葉と力を使い賊8人を倒した者よ。

   素性は私も知らないわ。多分ね。」

何となく思っていたが、曹操は俺の正体の検討はついているのだろう

荀彧「そうですか...あなた、今すぐその鎧を取りなさい。」

まずいな...ここで白狼を戻せば、正体が確定したも同然

ここは...

撃「START DUMMY VOICE」

   『OK』

荀彧「何をしているの?早くその鎧を外しなさい!」

撃「生憎だが、それはできない。」

俺の突然のくぐもった声に曹操も夏候惇や2人も驚いている

曹操「...あなた、その声は何?」

撃「悪いが、声を変えさせてもらった。それに今ここで素顔をさらす気もない。」

荀彧「ちょっと!私達は命令しているのよ!あなたは自分の立場がわかってるの!」

撃「...これのことか?」

俺は力を入れて縄を引きちぎった

 「俺は曹操と話し合いがあるから付いてきたにすぎない。正体を晒すと

  言った覚えはない。」

すると青髪の女性が曹操の近くに行って耳打ちした

夏候淵「どういう事ですか?あいつは一体?」

曹操「そうね、私も知りたい所なのよ。」

すると曹操はこちらに向き直って来た

  「約束、忘れてないわよね?」

撃「俺がここに来て話をする代わりに馬超の命を保障する、だな。」

曹操「そうよ、けど、あなたが私の質問に答えてくれなければ、

   その約束が無下になるだけよ。」

撃「......わかった、だが正体まで明かす気はない。

  そこだけは譲れない。」

曹操「まぁ良いわ、それではあなたにいくつか質問したいのだけれど

   ...そうね?何が良いかしら?」

そう言いながら奥にある椅子に腰かける曹操

  「そうだわ、あなたの持っていた武器について教えてちょうだい。」

俺はそれを聞いて右手で左ひじのグリップを外し、右のバインダーを開いた

これには初めて見た秋蘭と桂花って奴もびびっていた

俺は取り出した銃身とグリップをくっつけたヴァイパーを作り、

遊底を思いっきり後ろまで引っ張った状態、ホールドオープン状態にして

俺の前から曹操の椅子の前まで続く机の上を滑らせた

それを片手で止めて手に取り、おもしろそうに機関部ののぞいていた

撃「...それは銃、と呼ばれる武器だ。」

曹操「銃?」

撃「一言で説明すれば、火薬の力によって鉛の弾をものすごい速さで撃ちだし、

  相手を貫通させる武器だ。」

曹操「へぇ、こんな風に?」

持っていたヴァイパーを俺に向けて、引き金に指を掛けた

  「悪いけど、使いたかは見させてもらったわ。」

そのまま指を引くが...

  「あれ?どうなってるの?動かない。」

そりゃホールドオープンで弾も入っていない上にセーフティロックを掛けてあるんだから

動くわけないだろ

撃「...今のそれ自体には何の力もない。それに...」

俺はバインダーからヴァイパーのマガジンを取り出してその上の一発を

取り出して曹操に投げた

銃に四苦八苦していた曹操がそれを左手でキャッチした

 「銃から打ち出す銃弾が入っていなければ意味はない。」

曹操「これがその銃弾?」

撃「そうだ、この一つに箱に計9発入っている。」

さらに机の上に今しがた弾を一発抜いたマガジンを置いた

 「その一発だけでも、人を殺す力は十分にある。直で目にしたアンタならわかるだろ。」

曹操「そう、それが銃と言う物なのね。...では次の質問、これは私の国で

   模倣できるかしら。」

撃「絶対に無理だ。」

曹操「あら、断言できる理由があるの?」

撃「あぁ、ただし、そこまで精密な銃なら絶対に無理だと言う意味だ。」

曹操「なら、他にはないの?私達に模倣できそうな銃は?」

撃「あるにはある。」

曹操「ならそれについての製造法を教える気は?」

撃「ない。」

曹操「そう、残念だわ。」

荀彧「あんた何様のつもりよ!こっちは多くの兵と民を従えるお方なのよ!」

撃「...それがどうした?一国の主だろうが何だろうが俺には関係ない。

  それにアンタらに製造方法を教えたとしてそれで何をする?」

曹操「決まってるわ、他国を侵略し、占領するのよ。」

撃「なら、なおさら教えられないな。俺が教えた武器が罪のない人々を傷つける

  など、断じて認めるわけにはいかない。」

荀彧「華琳様!何でこんな奴を連れてきたんですか!?」

曹操「彼は力になると思ったから連れてきただけよ。あわよくば説得しようと思った

   のだけど。」

撃「......」

曹操「質問を変えましょう。あなたは今何をしているの?」

撃「義兄弟の契りを交わした者や友人たちと旅をしている。それが何か?」

曹操「なら、その子達をわが軍に入れて優遇すると言って、その子達が話に

   乗ってきたらどうするの?あなたも来る?」

撃「さぁな、だが少なくとも3人はそうホイホイと釣られる人間じゃない。」

曹操「あらそう、ならあなたは何がしたいの?」

撃「一人でも多くに人が悲しまなくていい世界、その支えになりたい。」

曹操「本当に、そんな事が出来ると思っているの?」

撃「俺には政治家や参謀としての能力はない。あるのは人殺しの力だけだ。

  だから今は他人を泣かせるような奴を見つけ次第叩き潰している。

  だが、いずれ志をともにする者が現れるなら、俺は喜んでその人の剣と

  なる。」

曹操「あなたは、自分で上に立とうとは思わないの?」

撃「誰かに命令するのは、個人的に抵抗があるんだ。あぁいうのは馴れない。」

曹操「なら、私の下に着く気は?」

撃「それはない。」

曹操「まぁ、良いわ。今日はお開きにしましょう。

   でも、いずれまた会う時があるかもね。」

撃「そうか、なら、俺は帰らせてもらう。」

と、その時、天幕の横から、布を破って小太刀が曹操の頭に向かって

投げ込まれた

俺は咄嗟に近くのマガジンを小太刀に向かって投げた

マガジンとぶつかった小太刀はくるくると空中で回転しながら落下した

さらに小太刀に続いて今度は忍者らしき人物がカタールのような剣を片手に

上から降って来た

荀彧「華琳様!」

驚いて上を見る曹操だが、座った状態では逃げるのは難しい

俺は机を土台にスラスターとジャンプを使って空中の暗殺者に向かって

ラグビーのタックルのようにその腰を捕らえ、さらにスラスターをふかした

結果俺達は布を突き破って外へと出る形になった

夏候淵「曲者だ!何をしてる!?衛兵!」

俺は暗殺者の首に左手の二の腕を、さらに膝で腹部を抑え、動きを封じた

敵はカタールを俺の顔や首に当てるが白狼の鎧には効きはしない

それに周りには夏候淵の声で集まって来た兵士や天幕の入口から曹操達も

外に出てきた

   「その白い鎧は味方だ!敵はそっちの黒装束の方だ!間違えるな!」

暗殺者は周りを見回すと何かを噛むような仕草をした

撃「っ!?この!?」

俺は咄嗟にそいつのマスクをはぎ取って顔を確認するが...遅かった

目はうつろになり、光を放っていない

 「LIGHT」

   『OK SET UP』

俺はバインダーから出てきたペンライトをそいつの目に当てるが

瞳孔は動いていない...どうやら死んだようだ

俺はそいつの上からどいた

曹操「どうしたの?」

撃「こいつは死んだ、おそらく口の中に薬物を仕込んでいたのだろう。」

口を開けて中を確認するが、小さな袋が見えた おそらくこれを奥歯で噛み切って

薬物を飲んだのだろう

曹操「そう...あなたには恩が出来たし、約束もあるから馬超の命は

   保証するわ。」

撃「...そうか、なら、今度こそ俺は帰らせてもらう。」

曹操「春蘭、彼を出口までお送りしてあげて。」

夏候惇「はい。」

すると俺の後を追って夏候惇が付いてきた

撃「DUMMY VOICE CANCEL」

   『OK』

俺は偽の声を切り、夏候惇に話しかけた

 「夏候惇将軍、一つ聞きたい事がある、構わないか?」

夏候惇「お、おぉ!?声が戻ったからびっくりしたぞ!?」

撃「すまない、もう戻して大丈夫かと思ったので...」

夏候惇「気にするな、それより、聞きたい事とは?」

撃「...武闘会の会場で馬超さんの言っていた『亡き父の敵』とは

  どういう事だ?

夏候惇「....数年の話だ...」

その後、淡々と語り出す夏候惇さんから馬超の父『馬騰』の死の真相を聞いた

撃「...なるほど、最初から敵など存在しなかった、と。」

夏候惇「あぁ、そうだ。」

撃「...ありがとう、教えてくれた事、感謝する。」

夏候惇「...だが、お前はそれを聞いてどうするんだ?」

撃「どうもしやしないさ。だが、できれば真実を教えてやりたいが、

  絶対に信じないだろう。復讐なんて...つらいだけだ。」

夏候惇「...以前、似たような事があったのか?」

撃「俺が小さかったころ、友人がいじめられた。俺はやった奴をボコボコにした

  けど、友達は喜んではくれなかった。むしろ俺に恐怖し離れていった。」

夏候惇「そんな事があったのか。」

撃「すまない、アンタのような人に話すような事じゃなかったな。」

夏候惇「いいさ、別に構わん。...馬超の件、私に任せてくれないか?」

撃「......ありがとう。だが何故?」

夏候惇「...逆恨みで主を狙われたら敵わんからな。」

撃「頼めた義理ではないが、お願いします。この礼はいつか。」

そう言って俺は頭を下げた 今の俺にできる精一杯だ

夏候惇「じゃ礼代わり曹操軍に入ってくれるか?」

撃「いや、それはなしで。」

夏候惇「......おしいな、その力があれば、どこまでも行けるだろうに。」

撃「まぁ、縁があればいずれまた会う事になるでしょうし...」

俺は周りに兵がいない事を確認するとバイザーをフルオープンにして

素顔を晒した

 「あなたになら素顔を見せられる。俺の名は白狼...いずれ、この恩は必ず。」

驚く夏候惇さんを後目に、バイザーを閉めた俺はそう言って野営地から出て行った

 

その後、人目につかない所まできて白狼を解除し、鈴々ちゃんたちの待つ宿へと向かった

宿に着くと中の人に3人が帰ってきているのを確認し、部屋へと入っていった

撃「みんな、ただい、うおっ!?」

扉を開けて部屋に入った瞬間、何かが俺を押し倒した

 「いててて~」

後頭部を擦りながら上半身を起こすと鈴々ちゃんが俺の腰に抱き着いていた

お腹辺りに顔をこすり付け泣いているようだった

 「言っただろ、絶対帰ってくるって。」

そう言いながら頭を撫でてあげる

鈴々「うん。」

そう言いながら顔を拭いて頭を上げてこっちを見てくる鈴々ちゃん

  「約束、ちゃんと守ってくれたのだ。」

良かった、鈴々ちゃんが笑ってくれた

それと、愛紗も安堵したような雰囲気でこっちを見て笑った

撃「ただいま。」

愛紗「こっちはすごく心配したんだぞ。バカ。」

撃「悪かったって。今度埋め合わせするからさ。」

星「それは良いとして、白、お前は曹操になんと言われたのだ?」

撃「あいつの傘下に入らないかと言われた。」

星「やはりか、あれほどの力があれば誰もが欲するだろう。

  それで?」

撃「当然蹴ったよ、俺が誰かの下に着くときがあるなら、その時は自分で決める。

  だが、曹操達とはそりが合わない所があるから、まず無理だ。」

星「そうか。」

鈴々「そう言えば、馬超はどうなったのだ?無事なのかなのだ?」

撃「彼女は今、曹操の所に捕らえられているが、まず心配ないだろう。」

鈴々「どうしてなのだ?」

撃「曹操配下の将軍、夏候惇さんにお願いしてあるんだ。彼女の事を頼むって。」

愛紗「なぜ、そのような事を?」

撃「彼女がやって来た事は、存在しない敵を探して殺す事、こんな無意味な事は

  終わらせるべきだからね。だが事件に関わりのない俺よりも、関係ある人から

  本当のことを聞けば彼女も納得するだろう......

  それより、みんなはご飯は食べたの?」

愛紗「まさか、お前が心配で食う気にもなれなかった。」

撃「そうか、んじゃ、何かうまい物でも食いにいこうか。」

鈴々「賛成なのだ~!」

星「そうだな、我々を心配させたお詫びとして、今日は白にすべて払ってもらおうか。」

撃「えぇ~!?そりゃないよ、俺、今あんまり手持ちないんだよ。」

そう言って、一旦宿を出る俺達

 

SIDE 夏候惇

やれやれ、安請け合いはするもんじゃないな

奴、白狼と名乗ったアイツを見送った時、奴は素顔を現した

人を信頼していなければ、あんな事はできまい

つまり、奴は私を信頼している、と言う事か

夏候惇「やれやれ、ここは私が一肌ぬぐか。」

そう思いながら私は華琳様のいる天幕に向かった

   「華琳様、失礼します。」

中に居たのは、曹操様と給仕の人間が複数いるだけだった

夏候淵と荀彧は席をはずしているようだ

曹操「春蘭ね、何かよう?」

夏候惇「はい、実は、馬超の件、私に任せてくれませんか?」

曹操「...あの事、教えてあげるの?」

夏候惇「はい、いくら彼の遺言とはいえ、娘の復讐など、望んでは

    いないはずです。」

曹操「......良いわ、あなたに任せる。好きになさい。」

夏候惇「ありがとうございます。」

私は踵を返して外に出ると今度は馬超のいる牢屋を目指した

それにしても、白狼の素顔、昼間出会った4人の1人だったとは...

今思えば、会場を後にする際、華琳様の髪について言ってきた子供と

親しく話していたようだし、今考えれば納得もいく

華琳様もどうやらあの様子だと、正体には気づいているのだろう

そんな事を考えながら歩いていると牢屋の天幕に着いた

閉じ込められた木箱の中から馬超がこっちを睨んできた

馬超「何の用だ?」

夏候惇「馬超、今から私は独り言を話す。聞くか聞かないかはお前次第だ。

    ......今から数年前、都で何進大将軍の屋敷に招かれた時の事だった。」

 

SIDE 夏候惇(回想)

何進「曹操。」

曹操「何でしょう?」

何進「わらわはそなたを智謀の士と思っていたが、聞けば剣の腕も中々とか...」

曹操「恐れ入ります。」

何進「どうじゃ?この中の誰かと立ち会うてみてくれんか?」

曹操「大将軍の仰せとあらば。」

それを聞くと大半の人間が下を向いてしまった

その中で一人酒を飲んでいた馬騰に何進将軍の目が留まった

何進「馬騰殿、如何であろう?」

馬騰「お望みとあらば。」

曹操「お待ちください。」

そう言って馬騰は立ち上がろうとするが、それを曹操が止めた

  「お見受けした所、馬騰殿はかなり酔いが回られている様子、

   座興とはいえ、剣をお取りになるのは...」

馬騰「何の...これしき飲んだうちに入らぬ。」

そう言って立ち上がるが足取りはおぼつかず、尻もちをついてしまった

それには周りからの失笑をかってしまった

何進「どうやら、曹操の言う通り、馬騰殿は少し酔いが回られているようじゃの。」

それを聞いて馬騰は酒の入った容器を片手にやけ酒を始めた

 

SIDE 夏候惇(現在)

夏候惇「その後、万座で恥をかいた馬騰殿は浴びるように酒を飲み、

    宴が果てた後、友も連れずに一人で帰って行かれたのだが、

    その途中...馬から落ちたようだった

    その後、その周辺を夜間警戒していた私の一隊が彼を見つけたのだ。

    落ちた時に頭を打ったのだろう、すでに虫の息だった。そして...

   『酔って馬から落ちたなどと武門の恥、どうかこの事は内密にしてもらいたい。』

    それが彼の遺言だった。だが何処かの誰かがこれを見ていたのか、妙な噂が

    立った。なんでも、恥をかかされた腹いせに我が主が彼を襲わせたと。」

馬超「ちょっとまて!その話が本当だとして、なんでそんな噂が立つ!?」

夏候惇「お前は、先ほどの襲撃の騒ぎを聞いたか?」

馬超「え?そりゃなんか兵士たちが騒がしいのは見てたけど。」

夏候惇「実は先ほど、華琳様が暗殺者に狙われた。」

馬超「っ!?」

夏候惇「今言ったように、今の華琳様に対して快く思わない連中も多い。

    おそらく、その噂も華琳様の評判を少しでも落とすためにと、

    良からぬ者が広めたのだろう。」

馬超「...じゃあ何か?...アタシは、そんな根も葉もない噂に、

   踊らされたって言いたいのか!?」

夏候惇「...そうなる。」

馬超「ふざけるな!そんな事、信じられるか!」

夏候惇「...お前は、なぜ華琳様がその真実は話さなかったか、わかるか?」

馬超「そ、そんなの知るかよ!」

夏候惇「あの方はおっしゃられた 『馬騰殿ほどの武人の最後の言葉、

    聞かぬわけにはいかぬ』と、な。」

馬超「そ、そんなの、嘘だ、嘘に決まってる!お前は曹操の部下、

   お前が主をかばう為に嘘をついたに決まってる!」

夏候惇「ほう、貴様、私を嘘つき呼ばわりする気か?」

馬超「あぁそうだよ!アンタの事なんか信じられるか!」

夏候惇「ならばそこから出してやる!武器を取れ!

    私とて武人!嘘つき呼ばわりされては黙っていられぬ!」

馬超「上等だ!お前の首を取ったら、次は曹操だ!」

夏候惇「どうやら、白狼との約束は守れそうにないな。」

馬超「あぁ?誰だそりゃ?」

夏候惇「貴様を会場で気絶させた白い鎧の事だ。」

馬超の頭によぎったのは最後に見上げたあの顔だった

馬超「何だと!?何であいつが出てくるんだよ!?」

夏候惇「貴様、もしやあれだけの事をしてそう安々と生きていられると思ったのか?

    もしそうなら、片腹痛い。」

馬超「な、何だと!?」

夏候惇「あの後、奴はお前の命を保障する代わりに我々との話し合いに応じた。

    つまり今のお前は、白狼によって生かされていると言っても過言ではない!」

馬超「そ、そんな...」

夏候惇「本来奴は我々との話し合いに応じる気はなかった。だが奴は態度を変え、

    お前の命が保証されるならと、我々についてきた。もし奴がお前を見殺しに

    していたら、お前はあの場で私達の部下に串刺しにされていた。」

馬超「......」

夏候惇「奴は会合の後、私に馬頭殿の事を聞きお前の復讐を止めたいと言った。

    奴は私に素顔を晒し、

    その上で私にお前の事を任せたのだ。奴は華琳様の命の恩人でもある。

    極力アイツの願いは聞いてやりたかったが、そこまで侮辱されては我慢できん!

    最後は力で決着をつけるぞ!」

馬超「あぁ、やってやるとも!」

 

SIDE 馬超

その後、私達は野営地の外の草原に移動し、それぞれの武器を構えた

アタシは借り物の槍を アイツは自分の刀を

夏候惇「さぁ、はじめるぞ。」

やってやる やってやるさ!

しかし、そのまま動かない2人

馬超『な、なんだこいつ、全然隙が無い。

   まるで、まるで深い林の中の木立のような静かな構え、

   それに澄んだ水のような、気が、伝わってくる。』

そこで思い出したのは生前の父の言葉だった

馬騰『武術とは正直なものだ、心にやましい事があれば、

   それは気の濁りとなって現れる。』

馬超『それじゃ、こいつの言った事は本当で...父ちゃんは...』

自然と馬超の持つ槍が震え出した

やがて、涙を流しながら、馬超は地面に膝をついた

そんな、でも、あの話が本当だなんて

その時、アタシは誰かが近づいてきた事に気づいた

そいつは白い鎧を着た、アイツだった

 

SIDE 撃

心配になって宿を抜け出してきたが杞憂だったようだ

夏候惇「白狼、お前何故ここに?」

撃「心配になったから見に来たのさ......要らぬ心配だったみたいだが。」

俺は地面に膝をついておとなしくなって泣いている馬超を見つめた

夏候惇は馬超に話しかけようとする、俺はそれを止めた

 「今は頭の中がグチャグチャなんだろう。しばらくそっとしておいて

  やろう。」

しばらくして泣き止んだ馬超が立ち上がって来た

馬超「アンタには、世話になったみたいだな。見ず知らずのアタシを助けてくれた事

   感謝するよ。」

撃「気にしなくていいさ...見ず知らずってわけでもないし。」

これには馬超も夏候惇も首を傾げた

 「声は変わってないはずなんだけどな...やっぱわかんないか。」

しばらくして...

馬超「......あぁ~~!その声!思い出した!張飛の兄ちゃん!」

撃「正解。」

そう言うと俺はバイザーを開いて素顔を晒した

 「名前は...もう名乗ってるからいいか。」

馬超「確か、撃だったけか?お前が白狼だったのか。」

撃「そ、俺がその白狼。」

そう言って俺はバイザーを閉じた

夏候惇「何だ、お前ら知り合いだったのか。」

撃「えぇ、まぁ、武闘会が始まる前にちょっと。」

夏候惇「そうか、なら後の事はお前に任せる。私は野営地に戻る。」

撃「改めて礼を言う。今度会ったらこれの礼は必ず返す。」

夏候惇「そうしてくれ。」

そう言うと彼女は野営地に戻っていった

撃「さて、馬超、これからどうする?」

馬超「そういや、アタシ宿なんて取ってなかった。」

撃「なら、俺達の宿に来ないか?」

馬超「良いのかい?」

撃「構わないさ、鈴々ちゃんも馬超の事を心配していたしな。」

馬超「そうか、なら、世話になるよ。」

その後、俺は馬超を連れて鈴々ちゃんたちのいる宿に戻った...んだけど

俺は今部屋の中で正座させられていた

前には愛紗と鈴々ちゃん 奥では星が笑ってこっちを見ている

愛紗「撃、お前はどういうつもりだ?確かお前は夜風に当たってくると

   言って出て行ったよな?」

撃「仰る通りです。」

愛紗「それがなぜ馬超を連れて戻って来たのだ?」

撃「え~っと、たまたま町を歩いていたら釈放された馬超がいて

  宿がないって言ってたし、鈴々ちゃんが心配していたから無事だったという

  報告もかねて連れてきました。」

愛紗「ほう...馬超、どうなんだ?」

馬超「え?いや、アタシは...」

愛紗「馬超...素直に答えてくれ、でないと...」

馬超「でないと...」

愛紗「ここから先は、言わなくてもわかるよな...」

あの顔!笑ってるけどめっちゃ怖い!やばい!俺の本能がそう叫んでいる!

馬超「...撃の言ってる事は...」

愛紗「事は?」

馬超「...嘘だ。」

愛紗「...そうか。」

聞くとこっちを睨んできた愛紗

やばい!冷や汗が止まらねぇ!

  「なぜ、お前は嘘をついた?」

愛紗の目は髪の毛に隠れてよく見えなかったが、彼女の怒気の大きさはわかった

撃「...愛紗達には、関係ないと思って...」

愛紗「関係ある!」

そう言い放つ愛紗の顔は悲しい色をしていた

撃「っ!」

愛紗「私は、お前が曹操殿のもとに行ってしまうのかと、ずっと心配だったんだ!

   なのにお前は、また勝手に!」

撃「すまない。」

愛紗「そう思うなら、もう一人で勝手に行かないでくれ!」

そう言いながら愛紗は俺の胸を叩いてきた

  「もう、置いていかないでくれ......」

俺はただただ黙ったまま愛紗の好きにさせた

だが、なぜか後ろでは星がにやついた顔をしていた

星「愛紗、今のセリフだと乙の告白にしか聞こえないぞ。」

愛紗「......うだ。」

星「ん?」

愛紗「そうだと言ったんだ!」

ん?ちょっと待て?

告白にしか聞こえない=そうだ=YESだから.........

.........OK落ち着け、俺はどこでフラグを立てた?

初めて白狼を使った時か?そういや家臣がどうとか言ってたのも

あの時だったな?それにあの後も俺の肩に頭を置いた状態で寝たりとか

色々してたしな......

 

SIDE 関羽

私は今、猛烈に恥ずかしい思いをしている

つい口が滑ってしまった

言ってしまった!私は撃が好きだと!

本来ならたった数日ともに旅をしただけの相手に恋をするなどありえないのだろう

でも、今の私は何となく撃をそんな風に思ってしまう

なぜだかはわからない でも撃を信じてみようと思ったあの日から

私はその、こ、恋のような感情が芽生えたというべきか

そうでないと言うべきか 今までこのような事もなく ただ

以前言われた『魅力的だ』と言う撃の言葉を思い出すだけで

顔が炎のように熱くなってしまうのだ

だから、撃が嘘をついて出て行ったのが許せなかった

ただ、こいつを怒るだけのつもりが、少なくともここにいる全員に

私が撃を好きな事がばれてしまった

 

SIDE 撃

どうしよう、俺としては愛紗の気持ちはありがたいし、それに答えたいとは

思っているけど、今素直にそれについて答えるべきかな~?

......よし、男は度胸だ!

撃「...俺は、置いていく気なんかないよ。ずっと、一緒にいるよ。」

愛紗「本当か?それは。」

撃「俺は君たちを置いて行ったりなんかしなよ。俺は君たちとずっと一緒にいたい。」

そう言うと愛紗は今にも火が付きそうな真っ赤な顔をした

 「俺は君たちの事、大好きだよ。」

さらに顔を赤くする愛紗 馬超は...蚊帳の外で星は笑ってる

しかし、これは予想外だった

鈴々「鈴々もお兄ちゃん大好きなのだ~!」

そう言って鈴々ちゃんが俺に向かって飛びこんできた

俺は咄嗟に受け止めたけど支えきれずに尻もちをついてしまった

下がった顔を見上げると鈴々ちゃんの顔が迫っていた

そして......

俺にキスをした

........................(フリーズ中)

...............(リカバリー中)

..................はっ!?(復旧完了)

今、目の前には天真爛漫な笑顔を浮かべた鈴々ちゃんがいる

後ろでは愛紗と馬超が凍り付いている 星は、さすがに驚いているが

2人ほどじゃなかった だが今はそんな事はどうでもいい

落ち着け落ち着け落ち着け

今をおきたことは...鈴々ちゃんと...キスした!?俺が!?

愛紗「ななななな、何をしているのだ!お前は!?」

鈴々「はにゃ?好きな人同士は接吻するのが当たり前じゃないのかなのだ?」

愛紗「だからって人前でそんな事するな~!」

鈴々「何で愛紗は怒ってるのだ?」

ダメだ!純粋すぎるのと天然なのでどこに突っ込んでいいかわからねぇ!

星「何だ愛紗、うらやましいなら...」

そう言って愛紗の後ろに回った星が、

 「お前もやってこい!」

と言って俺の方に愛紗の体を押した

つんのめりながらこっちきた愛紗を座ったまま受け止めるがその反動で

後ろに倒れてしまう

その際、俺と愛紗の唇は重なった

俺と愛紗の目は見開かれ、すぐに愛紗の方から唇を離した

愛紗「すまない!本当に!っ!?」

プツンっ! 俺の中で何が切れた

唇を離して謝る愛紗の背中を抱いて、俺は再び唇を重ねた

それを見て馬超は気を失って倒れたが、それを気にする余裕は今の俺にはなかった

しばらくして、俺の方から唇を離した

............(オーバーヒート中)

..................(冷却中)

...............あ…(覚醒)

ややややや、やっちまったぁぁぁぁぁぁ~~~~~!!!!

俺は床のいたを割る勢いで頭を床にたたきつけた

   『ガン!』

痛い!けどそれ以上にまずい!

撃「すまない、愛紗!俺、タガが外れて、つい!っ!?」

俺が頭を上げると、愛紗は泣いていた

だが、今度は愛紗の方から唇を重ねてきた

しばらくして今度は愛紗から唇を離した

彼女はまだ泣いていた、それでも、その顔は笑っていた

撃「えっと、あの、これ、俺は、えっと。」

愛紗「私は...お前を愛している。だから、私は白、お前と共に。」

そう言って愛紗は俺の名を呼びながら抱きしめた

後ろではすでに馬超が頭から煙を出しながらベッドに横たわている

...今更だけど、急展開すぎるよな、我ながら

でもまさかファーストキスが異世界ってのも新鮮と言うかなんというか

撃「ありがとう、愛紗......けど今日はもう寝よう。

  いろいろとあり過ぎて疲れたからさ。」

正直、今日何が有った?

武闘会、賊の撃退、曹操との会合、暗殺の阻止、馬超迎えに行って、

帰ってきたら怒られ次いでにカミングアウトでファーストキスとか

ありすぎて死にそうだよ

その後、愛紗と鈴々、馬超と星がベッドを使って

俺は部屋の椅子に腰かけ、テーブルに足を置くようにして眠った

でも、この先が思いやられるよ

     第6話 END

 


 
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