No.815940

宝城双斗のIS学園生活 第2話宝城双斗VS織斑千冬

destinyさん

VS世界最強

2015-11-27 12:55:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:487   閲覧ユーザー数:487

 side双斗

 

 今、僕たちはアリーナの上空にいる。目の前には世界最強と言われている千冬さんがいる。

 

 『それでは両者、所定の位置まで移動してください』

 

 僕と千冬さんしかいないアリーナにアナウンスの声が響く。後で聞いたらアナウンスをしていたのは千冬さんが担任をつとめる1年1組の副担任になる山田 真耶先生だった。そして僕たちはそれぞれ規定の位置につく。

 

 『それでは実技試験を始めます』

 

 アナウンスが流れ、開始のブザーが鳴った。

 

 その瞬間、千冬さんが目の前まで突っ込んで来て、ブレードで斬りかかってきた。

 

 「くっ」

 

 なんとかギリギリで避けて距離をとりながらこちらもブレードを呼び出し、今度はこちらから千冬さんに斬りかかる。

 

 「はぁぁぁぁ!!」

 

 「ふっ」

 

 「ぐっ!」

 

 だけど簡単にかわされ、カウンターをくらってしまう。そして千冬さんが再び斬りかかってくる。しかし、僕はそう来ると先読みしていたためそれをかわして、先ほどの千冬さん同様にカウンターを入れる。

 

 「くっ!」

 

 どうやらうまく攻撃がヒットしたようだ。

 

 「相変わらず、お前の剣術は凄いな。先ほどの私の攻撃を簡単に模倣してしまうとはな」

 

 「これくらい簡単なものですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 sideナレーション

 

 織斑千冬は宝城双斗と1対1で戦うのはこれが『2回目』である。

 

 初めて戦ったのは今から2年半前。2人がまだドイツ軍にいたころである。あることをきっかけにして2人が戦うことになり、そのときは純粋な剣術での勝負であった。当初周りで見ていた人間は千冬が双斗を瞬殺すると思っていた。しかし、勝負の結果は周りの人間を凍りつかせるものとなった。なんと両者決着がつかず引き分けとなったのだ。

 

 そしてこれは織斑千冬にとっても衝撃的なことだった。なぜなら織斑千冬が今まで勝つことができず決着がつかなかったのはISの生みの親である『篠ノ之束』ただ一人だったからだ。

 

 この戦いの日から千冬は双斗と戦うことを心の底から待っていた。しかし、2回目の戦いがISでの戦いになるとは千冬自身も想定外のことだった。

 

 双斗は確かに剣術においては千冬や束と互角に渡り合える。しかし、ISにおいてはどうだろうか?

 

 ISの生みの親である篠ノ之束、世界最強のIS操縦者織斑千冬に対し、宝城双斗はただの1人の人間にすぎない。千冬はそう思っていた。しかし、現実はその千冬の考えをあっさりと破壊したのだ。

 

 双斗はISにおいても千冬と互角に渡り合ったのだ。そのことに千冬は内心笑いが止まらなかった。

 

 「(私がこんな気持ちになるのは久しぶりだな)」

 

 千冬は双斗との戦いがただただ楽しくて仕方なかった。

 

 「千冬さん楽しそうですね?」

 

 双斗が千冬の様子に気づいてそう聞く。

 

 「ああ、久しぶりだからな。こんなに戦いが楽しいと思えるのは・・・なっ!」

 

 先ほどよりも速いスピードで千冬は双斗に何度も斬りかかる。

 

 「千冬さんにそう思ってもらえるだけでも嬉しいですが、僕としても簡単に負けるわけにはいきませんので・・・ねっ!」

 

 すると、今度は双斗が千冬に何度も斬りかかる。

 

 「ふっ。どうやら私たちは超のつくほどの負けず嫌いらしいな」

 

 「ですね」

 

 そう言ってお互い笑う。

 

 しかし、笑いながらも2人はひたすらに剣を振るう。そしてそれが30分以上も続いた。

 

 2人のシールドエネルギーは50を切り、次の一撃で決まるという所までになった。

 

 「(まさか、千冬さんと互角に戦えるとは思わなかったな。本当、束さんには感謝しなきゃね)」 

 

 双斗はこの1年間、束のもとでISの特訓に明け暮れていた。その結果双斗のIS稼働時間は1000時間を軽く超え、代表候補生のIS稼働時間をはるかに超えていた。

 

 「(でも、やっぱり剣1本でやるのはきついな・・・)」

 

 双斗がそう思うのは無理もない。なぜなら彼の剣術は2本の剣で戦うのが本来のスタイルだからだ。そのため双斗は1本の剣で戦うことにあまり慣れていなかった。

 

 「(まあ、それを言ったら千冬さんも同じようなものだけど・・・)」

 

 千冬の場合は双斗と違い、1本の剣で戦うのは慣れている。しかし、千冬は現役を引退しており、ブランクというものが存在していて、全盛期のような力はない。しかし、今の千冬の実力でも十分世界最強と名乗れるだけの力があるのは事実だ。

 

 「(ここまでシールドエネルギーが少なくなれば、おそらく次の一撃で決まる。・・・なら・・・)」

 

 双斗はその場で刀を左肩の上に持っていき、切っ先を千冬の方に向けて構えを取る。

 

 一方の千冬も双斗に対抗して構えを取る。

 

 そして数瞬の静寂の後、同時に動き出した。

 

 「宝城流『青月』!」

 

 双斗がドイツにいた頃に編み出した我流の剣術をもとに戦いの間で考えた剣技だ。そしてそれを千冬にたたき込もうとする。しかし

 

 「いい技だ。だが!」

 

 千冬はその攻撃を簡単に受け流すと、目にもとまらない速さで双斗の懐に入り、そして

 

 「勝負ありだ」

 

 「完敗ですね」

 

 千冬の剣撃が双斗にたたき込まれ、双斗のシールドエネルギーは0となり決着がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 side双斗

 

 ビーーー  

 

 『宝城双斗君のシールドエネルギーが0になったため、織斑先生の勝利です』

 

 アナウンスが流れると千冬さんはISを解除し、僕のもとに駆け寄る。

 

 「大丈夫か?」

 

 「これくらい問題ないですよ。それでこのあとはどうするんですか?」

 

 「このあとは職員室で入寮の手続きをしてもらう。」

 

 「あ、そういえば今って入寮している人っているんですか?」

 

 「まだ入学式前ということもあってほとんどいないが、今年入学してくる日本代表候補生だけは訳あってすでに入寮している」

 

 「なるほど」

 

 どうやら僕は2番目に早い入寮のようだ。

 

 「あと、お前の場合入学が急遽決まったために一時的な処置として部屋割りを無理矢理変更して女子と相部屋になった」

 

 「それ大丈夫なんですか?」

 

 いくらなんでも年頃の男子と女子を同室にするのはどうかと思う。

 

 「お前なら大丈夫だろう。ドイツにいたときも女共と寝食をともにしていたのだからな」

 

 確かに僕が昔いたシュバルツェアハーゼ隊はIS部隊ということもあり女性しかいなかったため、女性と生活をともにせざるを得なかった。

 

 「まあ、千冬さんが言うならいいですけど・・・」

 

 「それとこれからは私のことを織斑先生と呼ぶようにしろ」

 

 「分かりました」

 

 「では私は先に戻っているからな」

 

 「はい、今日はありがとうございました」

 

 そう言うと千冬さんは先に学園の中に入っていった。

 

 「さてと、それじゃあ僕も移動するかな」

 

 僕はとりあえず着替えるため荷物を持って更衣室へ向かった。


 
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