No.799137

真・恋姫無双 覇王伝 第二十六話

ZSANさん

孫家降伏 しかし・・・

2015-08-29 20:48:50 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3311   閲覧ユーザー数:2844

 

~呉郡 辺境~

「くそっ!くそっ!くそっー!」

忌々しげに、呪詛の様な言葉を吐いている男

この男の名は許貢 かつては呉郡の太守であったがその座を一刀に奪われた人物

「何故あんな男にこの俺が!

 所詮『天の御遣い』などと云う虚名だけの人物では無いか!

 そもそも『天の御遣い』など真偽も分からぬ!

 いや、世を謀る者に決まっている!

 そんな輩に・・・ くっそー!」

呉郡太守を罷免されてから許貢は一日中一刀への憎しみを喚いているばかり

自身に人に誇れるような能力があるのならそれを誰かの下で活かせば良い

だがそんな事を考えもせずに愚痴にも劣るような事を喚くばかり

だから彼の元から家族、親族、家臣も去って行った

そして彼の元へは誰も寄り付かなくなっていた

だが、その日は違っていた

「随分と深い恨みと、未練があるようですね 許貢殿」

「なんだ!お前は!?」

許貢は突如現れたその男に驚愕した 否、恐怖した

許貢とて元は武将 戦に出た事もある(尤も黄巾党討伐に出て、撃退されたが)

普通に男が入口から入って来たならば恐れはしない

だがこの男は突如、目の前に現れた 何の前触れも無く

「私が誰などと云う事はどうでも良いのではありませんか?」

その男の慇懃無礼な態度が更に恐怖を増幅させる

「私は貴男に有益な話を持って来たのですよ

 これが成功したのなら貴男の憎む北郷一刀に一矢報い、呉郡太守に復帰させる事を約束します」

この言葉に許貢は驚く

「本当か!どうすれば良い?!」

普通ならばこんな旨すぎる話に簡単に乗る事はあり得ない

だが一刀への恨み、呉郡太守への未練で心が埋め尽くされている許貢は飛びついた

怪しげな術を使うこの男の言葉に・・・ それ程許貢の精神は正常さを失っていた

「ふふふ それは・・・」

”干吉”は許貢に説明を始めた

~一刀視点~

孫家との戦で孫堅を討ち取り勝利した

孫堅の娘と重臣達は孫堅の遺言を孫策から聞き、俺に降る事を了承した

だが全員が

「孫堅の遺言に従い降る事は了承する

 だが真名を預けるのは暫く待ってほしい」

との内容の事を言ってきた これは孫策を始めとする孫堅の娘達も同様だ

気持ちの整理がつかないだろうから止むを得ない

そもそも命令して預ける物でも無いだろう

それを俺も了承した

 

戦が終結し建業へ帰還する 元孫家の面子も同様だ

そして直ぐに孫堅の墓を建てることになった

豪奢な墓を建てたいと云うのかと思っていたが建業近くの辺鄙な所に建てることになった

これは孫策達の父の墓がそうであり、孫堅も生前云っていた事らしい

「生きている時は王族をやらなきゃならないのは分かる

 だが死んでからもやってられるか

 だから豪奢な墓なんて建てるなよ

 死んだらこんな堅苦しい事からは解放されたいからな

 あの人(孫策達の父)の隣に質素な物を建てれば良い

 それにお前達(家臣)も墓参り何て考えるな

 死んだら王じゃ無くなるんだから家臣じゃ無くなる

 雪蓮達だけ、偶に来な」

まあ、孫堅らしいか

そして孫堅の墓の前に俺と鞘姉、孫策、孫権、孫尚香がいる

他の重臣達は生前の言葉を尊重して遠慮した

俺と鞘姉は監視と孫策達を引き取った報告を墓前にする為同行した

「母様 生前言っていた通りに父様の墓の隣にしたわ

 堅苦しい事から解放されてほっとしてる?

 もしそうならあの世で父様と酒を飲みながら見守っていて」

孫策が墓に語り掛ける それを孫権達が見守っていた

俺は自分が手を降した事に罪悪感を感じて目を逸らした

その時、偶然陰から矢を引き絞っている人物を視界にとらえた

そして矢が放たれる

その矢は真っ直ぐ孫策へ向かっていた

「危ない!」

俺は咄嗟に孫策へ飛びつく

矢は孫策には命中しなかったが俺の腕を掠めた

「くそっ!」

茂みから矢を放った人物の声が聞こえる

「誰だ!?」

鞘姉と孫堅が剣を抜いて身構えるが、その人物は逃げて行った

「逃がすか!」

「蓮華!追わなくて良いわ

 待ち伏せが有るかもしれない」

追いかけようとした孫権を孫策が止めた

「一体誰が、と云っても俺を恨んでいる奴なんて、憶えきれんほど身に覚えが有りすぎるか」

そんな事を言いながら立ち上がると、突如眩暈がした

そのまま倒れる

全身が熱く、呼吸が荒くなる

体中の力が入らない

意識が遠くなっていく

「一君!」

「しまった!毒矢か!」

鞘姉達の声が遠くに聞こえ俺は意識を失った

 

~鞘華視点~

「しまった!毒矢か!」

孫策がそう叫ぶ

私は打ち身や骨折の応急手当なら心得があるが解毒の心得は無い

だが孫策が

「一刀 我慢して!」

一君の腕の付け根を布で縛り、矢の掠めた所を大きく切り裂いた

「これで毒が抜けてくれると良いんだけど・・・」

その後傷口に布を巻いて一君を背負う

「解毒治療は時間との勝負よ!」

急いで城に向かう

~許貢の逃亡先~

「失敗したようですね」

逃げて来た許貢に突如、声が掛けられる

「私の作りだす傀儡は正確に矢を放つことが出来ない

 だから仕方なく北郷一刀に恨みを持つ人間を使い、私の術で気配を遮断していたというのに」

許貢に干吉の姿は見えない

「五月蠅い!

 大体、何で北郷じゃ無く孫策を狙わせるんだ!」

許貢は怒鳴り散らすが

「投降した孫策を殺害する残忍な王 と云う悪評を立て元孫家家臣を中心に呉郡を分裂させる

 そして内乱を起こし弱体化させる

 直接北郷を殺さないのは私の愛しい方が直接手を降したいからです

 尤も今から死ぬ貴方には関係ない話ですがね」

「なんだと!?どういう事だ!」

気が付くと許貢は多数の白装束の兵に囲まれていた

「ぎゃー!」

次の瞬間、許貢の悲鳴が響き渡る

そして白装束が消えた時、最早誰か判別できぬほど切り刻まれた死体がそこに残されていた

 

「さて、多少予定と違ってきましたが・・・ まあ良いでしょう

 左慈と連絡を取らなくては」

 

~建業城内~

『袁紹が徐州に侵攻 劉備は家臣と共に逃走』

この報せが届き今後の事について静里達は議論を交わしていた

そこに一刀が毒矢で倒れた報せが届く

全員に動揺が走るが直ぐに医師を手配

一刀が到着すると直ぐに治療が始められた

全員が祈るような気持ちで治療が終わるのを待っていた

その時に更に驚愕する報せが届く

「袁紹が建業に向けて侵攻を始めました

 その数凡そ15万!」

 

~あとがき~

 

孫家の面子は一刀に降るものの不承不承です

 

許貢、干吉が再び登場しました 左慈は・・・伏せておきます

今回の干吉の策はまだ終わっていません

 

袁紹の侵攻については次話にて

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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