天空市内、天空稲荷神社に程近い稲荷山公園。
「ふう…姫様は度々この星に来られているというが、この星の者たちとうまくやれているのであろうか…心配だ…」
全身を鎧甲冑で覆ったような外見の男。彼はトイランド星王立騎士団の団長・ナイトンである。
「しかしだ、もし悪人に姫様が襲われでもしていたら…
と、ナイトンが前に進もうとしたそのときである。
「ん?」
ふと、彼の足元に二人組の少女。ファーデリア星人のユイナ・ノースキャッスルとヘルマニピス星人のヴィクトリア・マクナイトだ。
「おや、君たち某に一体何の御用かな?」
「何の御用って…いま地球は8月真っ只中なんだけど…」
「そんな格好で暑くないの?」
「暑いだと?何を申すかお嬢さん方。こうみえても某はだな…」
「行こうユイナちゃん。ああいうのは関わるとめんどくさいってイヴ姉ちゃんが言ってたわよ」
「それもそうねーw」
笑いながら立ち去っていくユイナとヴィクトリアに、ナイトンは叫んだ。
「っておぉーいっ!めんどくさいとか言うなーっ!!」
だがしかし悲しいかな、彼女たちの耳にはその叫びは届いていなかった…。
「…ぜぇはぁぜぇはぁ…いかんいかん!こうしている場合ではないッ!姫様を探さねば…おっ、あれは!!」
ナイトンは立ち上がると、天空稲荷神社のほうへと歩き始めた。
数時間後、天空稲荷神社。
「そういえばちるって、この神社に来たの初めてなんだよね」
「うん!だから今日はいっぱいいーっぱいお願い事するんだ!」
やってきたのはドラゴ郎こと龍野吾郎と、その妹である龍野ちる。
「ちなみにどんな願いなの?」
「えーっと、お兄ちゃんといっぱい遊べますように!それからお兄ちゃんにいーっぱいキスできますようにって!」
「…え、あ、うん…そう…」
と、頷きつつも心の中では『聞かなかった事にしよう』と思ったドラゴ郎だった。
すると彼らの前方から、なにやら騒がしい声が聞こえた。
「だぁぁぁかぁぁぁぁらぁぁぁぁ大丈夫だって言ってるでしょぉぉぉぉ……!」
「心配ご無用!しからばこのナイトンめが今一度武術の何たるかをぉぉぉぉ…!」
「いいよってばぁぁ!わたしもいつまでも子供じゃないんですぅぅぅ…!!」
そこでドラゴ郎たちが見たのは、声の主。
ナイトンと再会したヴィーボ・エル・トイランドその人だ。
かなり無理のあるその体勢を見て、ちるが一言。
「…えーっと、ヴィーボさん?」
「な、なに…?」
「リンボーダンスですか?」
「ど、どこをどう見たらそう見えるって言うのよぉぉ…!」
「…ちる、お前空気読め」
このままヴィーボがナイトンに倒されてしまうのかと思ったそのとき、とっさにヴィーボは身体を翻してナイトンが持っていた丸太をかわす。
「む!この状況から脱出なさるとは流石姫様…ですが手加減はいたさぬ!」
「容赦なさすぎだよ!仮にも王女なんだから手加減しt…」
「よっしゃ!加勢するぞヴィーボさん!!」
ドラゴ郎がヴィーボに加勢しようとしたその次の瞬間だった。
「うるさい!
本殿からこの神社の祭神・天洸が現れた。
「あ…すみませんお天さま」
と、ドラゴ郎が謝罪したそのあと、間髪入れずにヴィーボが天洸に謝る。
「すいません!この人わたしの国の騎士団長なんです!!」
「…あー、なんか胡散臭そうなそこの人かい」
「う、胡散臭いとは失礼な!我が名はトイランド騎士団長、ナイトン・スコールであるッ!!だいたい、そちらの格好のほうが胡散臭いのではないかと思われるがいかがなものか!!」
誇らしげに威張ってみせるナイトンに、ドラゴ郎が一言。
「あー、ちょっといいですかナイトンさんとやら」
「な、何だッ!」
「あんた今誰に対して威張ってるかわかってる?」
「え?」
すると天洸が、ものすごい剣幕でナイトンをにらみつける。
「言ってくれるじゃないか。あたしの名は天洸…この神社の神様だけど、なんか文句あるのかい?」
「…あ、いや、滅相もございません…」
思わず土下座してしまうナイトン。
「お天さますごーい!つよーい!!」
「すごい…さすがお天さまだ、冗談抜きに怒らせちゃいけないよな…」
「あのナイトンを簡単に屈服させるなんて…地球の神様ってすごいのね…」
はしゃぐちるの両隣で、冷や汗を流すドラゴ郎とヴィーボなのであった…。
教訓。触らぬ神に祟りなし。
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勢いに任せたらこんなお話にw
■出演
ヴィーボ:http://www.tinami.com/view/779638
ナイトン:http://www.tinami.com/view/798571
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