No.794969

真・恋姫無双 覇王伝 第二十二話

ZSANさん

新たな戦に向けて

2015-08-08 23:21:06 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3606   閲覧ユーザー数:3114

~一刀視点~

執務室を抜け出して中庭に出る

戦の事後処理と今後の事で外に出る時間が減っていたので、貴重な時間だ

そこで干されている洗濯物の前で座り込んでいる侍女を見つけた

「孫権、何してるんだ?」

「きゃっ、一刀?」

俺が声を掛けると孫権は驚いた様だった

「別にさぼっている訳じゃないわ

 仕事が一段落着いたから休んで良いって月が言ったのよ」

拗ねたようにそっぽを向いてしまう

ちなみに孫権が月の真名を呼んでいるのは月が真名のみを名乗っている為だ

孫権は月が彼女の真名だとは思っていないのだろう

俺は孫権の隣に座って

「さぼっているとは思っていないよ

 孫権は真面目すぎる程、生真面目だからね

 ただ、何を考えこんでいるのかと思って」

と言うと、孫権は俺の顔をじっと見て

「言っても愚痴にしか聞こえないわよ」

「いいよ 聞かせて」

俺が促すと

「私は何をやっても中途半端にしか出来ないと思い知らされたのよ

 武も大した事が無いから、一騎討ちで負けてこうして捕虜になっている

 知も足りてないから、貴方達の策に完全に嵌った

 侍女の仕事も月達に補助してもらって、やっとこなしている

 何一つ取り柄の無い中途半端な人間だと思い知らされたのよ」

愚痴と云うより自嘲に近いな

「全ての能力を高い次元で持ち合わせた人間がこの世の中に何人いるのかな」

「え?」

俺の言葉に孫権が反応する

「人は得手不得手が有るのが多数だ

 でも少数ながら何でも出来る人もいる

 そう云った人は得手不得手が有る人間より個別の能力では劣る事が多い

 俺の個人的な見解で言えば、一点に突出した能力の人間は家臣に向いている

 逆に何でも出来る人間は君主に向いている

 君主は総合的な判断が求められるから能力に偏りの無い人の方が良いからね」

孫権は俺の話を黙って聞いている そして

「私は何でも出来る訳では・・・」

「孫権は総合的な能力では俺の陣営の中でも上位に位置すると思っているんだけど」

そう云った時

「一君~!」

鞘姉が呼びに来た

「七乃が到着したわ

 謁見の間に来て」

「分かった 孫権 またね」

そう言って俺は謁見の間に向かった

~蓮華視点~

一刀に声をかけられた夜、寝付けない

一刀の事が思い出されて眠れない

気晴らしに外に出ると(多分監視は居るだろうが)、座り込んで星を見上げてる人物がいた

「一刀?」

「ああ、孫権か」

昼間とは違う、陰のある表情の一刀が居た

私は一刀の隣に座って

「どうかしたの?」

「まあ、ちょっと考える事が有ってね」

そう言ってまた星を見上げる

「ふふふ 昼間と逆ね

 昼間は考え込んる私に貴方が声を掛けて来た

 今は考え込んでる貴方に私が声を掛けた」

「確かにそうだな」

一刀の表情も僅かに緩んだ

「昼間のお礼に愚痴ぐらいなら聞いてあげるわよ」

私がそう言うと

「愚痴って言う訳でも無いんだよね

 ただ、俺の方策は正しいのかなって

 乱世を終わらせるって言いながら多くの血を流させる

 結局、自己満足の言い訳をしているだけじゃないか

 もっと良い方法が有るんじゃないかってね」

私は黙って聞いていた

楽進が言っていたが、一刀はずっと悩みながら戦っているんだ

悩む事を辞めればもっと楽になるのに 自分の心を傷つけながら・・・

「私が言えるのは一つだけ

 悩むのは構わない でも溜めすぎるのは良くないわ

 誰でも良いからそれを吐き出せる人を見つけるべきよ

 そうしないと貴方の心が潰れてしまう」

「そうかもしれないな・・・」

一刀はまた空を見上げる

(私が貴方の悩みを吐き出せる人になれないかな)

この思いだけは言葉に出来なかった

~一刀視点~

「準備も根回しも済んだ 孫家との決着に動くぞ」

朝議で俺が宣言した

「我々の軍勢5万の内3万 それと美羽さんからの援軍2万の合計5万で出陣します」

静里が説明すると

「敵の兵力はどの位なのだ?」

星の質問に対して

「孫家は3万と云った所です

 他の豪族から援軍が来ればもっと増えるでしょうが今回は無いでしょうね」

「何故だ?」

「我々に恭順を申し入れて来た豪族が有る、との情報を流しました 

 特に恭順を申し入れなかった豪族に対してです

 事実なのでその情報を豪族達は否定できません

 だから各豪族は疑心暗鬼になっています

 孫家が引き締めを行ったので寝返りは期待できませんが警戒し合って孫家への援軍要請は断るでしょう

 軍の再編が終わって無い、とか理由を付けて」

つまり孫家は単独で俺達と戦う事になる

孫家にしても今回勝てば前回の敗戦で被った汚名を返上できる

前回の様に侮っては来ないので厳しい戦だが、孫家が孤立している今が千載一遇の好機だ

 

「さて、孫家に攻め入る前に一応、降伏勧告をしようと思う」

拒否するのは目に見えているが、今後の布石の為に

「それなら諸葛謹以外を使者にするべきね」

孫権が入室して来た そのまま進んで来て俺にお茶を渡してくれる

「何故です?」

静里が訊くと

「母様と姉様には会った事が有るのよね

 私は大した事が無いけど、周瑜、黄蓋、程普、陸遜

 この面子は母様や姉様と同じ位の巨乳よ」

「一刀さん、降伏勧告なんて不要です

 直ぐに孫家を滅ぼしましょう!」

孫権の言葉を聞くや否や氷雨が声を上げる

あ~、氷雨の巨乳憎悪症がでたか

「まって氷雨さん 孫家に巨乳がそんなにいるって事は・・・

 孫家には巨乳になる秘伝が有るんじゃないの?」

巴がとんでもない事を言い始めた

「しかし、孫権さんはそれ程ではありませんよ」

「大きなお世話よ!」

氷雨の言葉に孫権が声を荒げるが巴は無視して

「きっと孫策さんが巨乳の秘伝を受け継いで、孫権さんは巨尻の秘伝を受け継いだのよ」

「そんな物は受け継いでないし、巨尻でもないわよ!」

孫権の声も空しく

「孫家を滅ぼすのは巨乳を秘伝を聞きだしてから!」

巴と氷雨が宣言していた

 

翌日、城の門前で

「じゃ、孫権 その書簡を孫堅文台さんに渡して」

俺は降伏勧告の使者を孫権にした

捕虜となっている孫権を無償で帰す事になるがこの戦の最中、彼女の居場所は俺の陣営には無い

城に残しても白眼視されて、孫権が辛い思いをするだけで双方に益は無い

「貴方達って本当に理解できないわ」

孫権は呆れたように言うが直ぐに引き締めて

「確かにこれは母様に渡すわ

 それと一刀」

孫権はそう言って俺に歩み寄って来た

そして”チュッ”俺に口付けした・・・

いきなりの事で混乱していると

「孫家の家訓は”欲しい物は力を示して奪い取れ”

 今度の戦で私の力を一刀に認めさせて、一刀を私の者にしてみせるわ」

そう言って馬に乗って去って行った

 

孫権・・・、俺は戦に出れないかもしれないよ

後で4人程凄まじく黒い気配を出している人達がいるから・・・・

 

~あとがき~

 

今回は孫家の戦いの準備と蓮華話です

 

蓮華が一刀に誑されました

優しくされた後弱さを見せられる

更にその弱さはしっかりした理想を実現する為の苦悩

これで誑されました まあ一刀は例によって無自覚ですが

 

氷雨と巴の会話

無い人は有る人に何か理由を付けたがる、と言った所ですね

二人共『無い人』なので一縷の望みを掛けたいのでしょう

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
20
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択