No.790747

艦隊 真・恋姫無双 69話目

いたさん

結局……次回持ち越し。 こんな筈じゃ……

2015-07-20 18:56:05 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1261   閲覧ユーザー数:1099

【 どさくさに紛れて の件 】

 

〖 洛陽 都城内 大広場 にて 〗

 

ーーーーーー!

ーーーーー!

 

ブロロロォォォ──ッッッ!

 

周辺では空砲が鳴り響き、戦闘機が頭上を飛び交う!

 

その下では、古代ローマの重装歩兵に似た軍勢と交戦する恋姫、艦娘たち!

 

ーーー

 

重装歩兵「トォォオオオッ!」

 

春蘭「なんだぁ! そのへっぴり腰は!? 我が軍の兵士の方が、まだ優秀だぞ! もう一度! 新人兵からぁ───やり直せぇえええ!!」

 

重装歩兵「グワァアアア!!」

 

ーーー

 

季衣「よしっ! 出来たぁ! この紐をコイツに巻き付けて………」

 

重装歩兵「な、何をするっ!?」クルクルクルッ!

 

季衣「流琉、一緒に、この紐を持って! それで、合図をしたら……この布をボクと一緒に引っ張ってよー!!」

 

流琉「兄様が言っていたのは……天の国で行われる『喧嘩独楽』だけど……」

 

季衣「にゃ? 確か……巻いた紐を引っ張って、掛け声を出して回すんだんよね!! 回す兵士にも紐を付けたし、ボクたちが叫びながら引っ張ればいいから大丈夫だよ! 兄ちゃんが話した事と一緒だよ?」

 

流琉「だ、だって……これって───!」

 

季衣「ほらぁ! ちょうど、あの辺り! 密集してて狙い目なんだよ! だからぁ早く早くぅ! 早くしないと、ボクたちのせいで負けちゃうよ!?」

 

流琉「………う、うん!」

 

季衣「行くぞぉ! 兄ちゃんが教えてくれた『ヨイデハ・ナイカ』……受けてみろぉ!! せぇのぉおおお----っ!」

 

季衣、流琉「「アレェ───ッ!!」」グイッ!

 

───ギュルギュルギュル!

 

重装歩兵「う、うわぁあああっ──!!!」グルグルグル!

 

─────ギユュルルルルルッッッ!!

 

重装歩兵「く、くくく、来るなぁああ──ごはぁっ!!」ガッ!

 

重装歩兵「に、人間独楽だ! 人間独楽が来るぞぉ!! ───うわぁあああーッ!! グフゥ!? ぎゃはぁぁぁっ!!」ガッ! ガッ!

 

季衣「うわぁ~! やったぁ!! 人がアッチコッチに吹っ飛んで行く!! 兄ちゃんの教えてくれた遊びが役に立ったよぉ!!」

 

流琉「い、良いのかな……?」

 

ーーー

 

思春「………………」

 

重装歩兵「でぇりゃあああッ!!」ブンッ!

 

─────スカッ!

 

重装歩兵「…………い、居ない………?」

 

思春「…………後ろだ。 馬鹿者がッ!!」ゴンッ!!

 

重装歩兵「グホッ!!」

 

ーーー

 

雷「───じゃあ! 行くわよぉ!」

 

電「はわわわッ!! 雷ちゃん! ま、待つのですぅ!!」

 

雷「どうしたの? 早く攻撃しなきゃ戦闘が終わっちゃうわよ!?」

 

電「こ、この体勢は、なんですかぁ~!! 『雷電』ですので、タッグを組むのは分かりますが! こ、この姿勢はぁぁぁ!?」

 

雷「そう? 格好いいと思うけど。 ほらっ! この前に読んだ、キン肉○ンⅡ世のタッグ技『ビッグフット・エクスプレス』を参考にして───」

 

電「スカートが捲り上がるのですッ! 女の子が行う技じゃないのですよ────ッ!!! 破廉恥なのですぅぅぅ!!」

 

ーーー

 

天龍「へっ! この棒だって……立派な武器だぜ! これで、オレの活躍を見せつけてやる! そうなれば注目度も上がり、オレの改二実装も……」

 

龍田「天龍ちゃん……この紐……分かる~?」

 

天龍「な、なんだよぉ!? ……あぁー? わかんねぇ。 これが、一体どうしたってんだぁ?」

 

龍田「うん、実は……これね? 天龍ちゃんの服に繋がってるの~」

 

天龍「ハアァーッッ!? な、何を………」

 

龍田「天龍ちゃんが着替えた時に~細工して~。 これを引っ張ると~?」グイッ!!

 

天龍「ま、待っ───『バサッ!』………えっ? あ……あああああっ!!」

 

龍田「天龍ちゃんの『夏季限定グラフィック姿』御開帳~!」

 

木曾「-----!?」

 

ーーー

 

 

「「「 ∑( ゚ρ゚)º∀℃ ºдº)σ 」」」

 

重装歩兵「うおぉおおおおお-----ッ!!」

 

「「「 Σ(Iil! ̄Д ̄) º∀º)ь゚ο゚)」」」

 

 

ーーー

 

天龍「み、見るなぁあああッッッ!! ───バ、バカァ野郎どもぉぉぉ!! た、龍田ぁー! き、木曾でもいい! 助けてくれぇ!!!」

 

木曾「……龍田……やり過ぎじゃ……」

 

龍田「だってぇ~天龍ちゃんだけ……狡いんだもぉ~ん! それにねぇ、足止めと天龍ちゃん弄りも出来て~結果オーライ~♪」プンスカ!

 

木曾「………やれやれ。 仕方が無い、俺が周りの連中を相手にしてやるから、何とかしてくれ! じゃないと……提督が怒りだすぞ?」

 

龍田「そうね~! このままの天龍ちゃんも良いけどぉ、提督に嫌われるのは困るわ~? じゃあ、よろしくお願い~。 うっふふふふ~」

 

ーーー

 

………………このように大活躍中である。

 

 

◆◇◆

 

【 一刀に牙向く伏兵 の件 】

 

〖 都城内 大広場 高台 にて 〗

 

 

高台の下での激しい攻防戦?が繰り広げる中、楊奉がブッダの木像のように、顔を強張らせ、一刀たちをみつめる! 

 

楊奉の後ろで、庇われるままの何皇后に至っては、顔を下に向けて……ブツブツと呟くのみ。 何を呟いているか、皆目見当もつかない!

 

楊奉に……打つ手は既に無い! 人質は奪われ、手持ちの兵士は眼下でイクサをするため、手持ちは高台の周りに居る者のみ!

 

一刀の周りには、一騎当千……いや、万夫不当……いやいや……まぁそれ以上の戦闘能力を保持している者が……付き従っているのだ! 脱出するのは、もはや不可能といえよう!  

 

ーーー

 

一刀「貴女は──罪を償うべきです、何皇后! そして……何皇后に手を貸した楊奉、お前も連座する事になる!」

 

楊奉「…………くっ!!」

 

一刀「大人しく捕縛され──『待たれやッ!!』──!?!?」

 

ーーー

 

一刀が捕縛の命令を命じようとした時、何皇后が楊奉を押しのけ前に出る! 

 

何皇后「何進! よぉく聞くがええッ!!!」

 

血走った目を向け、左手を前に突き出して、何進へと呼び掛ける!

 

何皇后「主は、何をしいやおる……貴さんの配下『鬼灯』が……わらわん下へ付おいやしたんほな! ならば……わらわを救い出すんが役目ぞ!」

 

「「「 な─────ッ!! 」」」

 

何進「そう……だな。 鬼灯が……私に与えた最後の選択か。 アイツにしては……甘い選択だ───ッ!!」

 

何進は、鞘に収めた剣を再度、抜き放つ! 

 

ーーー

ーーー

 

一刀たちは……正直……侮っていた。 

 

何進は、敵だと公言した割には……霊帝に手を貸し、皇女たちを守り、何皇后に反発する事ばかりしていた。 そのため、警戒していた部分も薄れていた! 

 

それに……艦娘と桔梗たち益州で仲間入りした恋姫たちは、何進──『空母水鬼』の想いを薄々感じ取っていたからである。 

 

一刀に心を寄せて入る事を………

 

だから……このような場で、一刀に直接──手を下すとは考えていなかったのだ。 正に『青天の霹靂』──である!

 

ーーー

ーーー

 

何進「───麗羽よ、下がれぇ! ハァ───ッ!!!」

 

何進は、持っている剣を構える! 

 

そして、同時に放たれる強力な覇気! 

 

霧島「………私の戦況分析に過ちが──!?」

 

長門「───ッ! 提督!!」

 

一刀との距離は……数歩! 

 

何進の剣の腕前は、劉焉を成敗した時に承知済み! しかも……その正体は『空母水鬼』……今のままでは誰も勝てない!!

 

長門も霧島も──後悔した!

 

ーーー

 

一刀の後方に居た──愛紗も鈴々も助けに行こうとするが……足が竦んで動けない! 前方にいる何進が、人ではなく……何か得体の知れない化け物のように感じる! 強烈な圧迫感が武に秀でる将、智に長ける将に襲い掛かるッ!!

 

愛紗「動けぇ! 動いてくれぇ! ご主人様の危機なんだ! 頼む、動いてくれ!!!」

 

鈴々「にゃああああ──ッ! お兄ちゃーん!!!」

 

桃香「キャアアア──ッ! ご、ご主人さ──」

 

白蓮「くっ! 下がれ、桃香!」

 

★☆☆

 

数千の重装歩兵と対峙し、有利に状況を進める恋姫たち!

 

ーーー

 

華琳「────! 覇気が!? しかも──私に近い!?」

 

ーーー

 

春蘭「こ、これしきの事ぉおおおッ!!!」

 

秋蘭「な、何だ……華琳さまと似た……ぐぅ!」

 

季衣「こ、怖いよ~!」

 

流琉「季衣、しっかりして! 私たちは、華琳さまを守る将なのよ!!」

 

真桜「ちょっ! しゃ、洒落にならんわぁ!」

 

沙和「───! ま、真桜ちゃん! 凪ちゃんが、凪ちゃんがーッ!?」

 

ーーー

 

蓮華「な、何!? これは──ッ!?」

 

冥琳「───祭殿の覇気より、遥かに───くぅぅぅ!!」

 

小蓮「お、お姉ちゃん───!」

 

思春「シャオさま! 私の後ろへ!!」

 

ーーー

 

稟「ま、まさか……私たちのような武に未熟な者まで……!」

 

風「こ、こここ……これはぁ───」

 

星「稟、風! 早く私の後ろへ下がれぇ!!」

 

ーーー

 

月「あああ───ッ!」

 

詠「ゆ、月───ッ!」

 

霞「何しとん! 月、詠! 早よう、うちらの背に隠れぇ!!」

 

月「霞さん! 詠ちゃん、行くよ!?」

 

詠「う、うん!」

 

霞「さ、流石ぁ洛陽やな……! れ、恋以上の化け物が、まぁだ……いるんかぁ……!?!?」

 

華雄「……………更なる高みが! あれか───ッ!!」

 

ーーー

 

恋「─────強い! 恋より………もっと!!」

 

ねね「恋どの────ッ!!!」

 

ーーー

 

翠「──ぐぅぅぅぅッ! な、なんだぁ!? 押し潰されそうな気配は!!」

 

蒲公英「か、身体の自由が……効かないよぉおおおッ!!!」

 

ーーー

 

麗羽「────相変わらず……恐ろしい方ですわね! 兎一匹に全力を尽くすなんて……。 いえ、兎ではなく……白き龍だからこそ……かしら?」

 

 

 

◆◇◆

 

【 慌てる艦娘たち! の件 】

 

〖 都城内 大広場 周辺 にて 〗

 

補助に徹する艦娘たちも!

 

金剛「Shit!? け、形勢逆転されマシタァァァ!!」 

 

比叡「────!?」

 

榛名「提督が!!」

 

アリゾナ「─────!」

 

金剛「提督や霧島たちがDangerous(危ない)デース! 皆、この艦隊を任せるから、後を頼むネッッ!」

 

比叡「だ、駄目ですよぉ!! 金剛お姉様は、大事な第一艦隊旗艦です! 此処に居て下さい! 私が……司令を助けに向かいますからぁ!!」

 

榛名「比叡姉さん! 私も───」

 

比叡「榛名は金剛お姉様と一緒に此処で待機して! 集音マイクの話からすると……何進、うぅん……空母水鬼よね? ……今、私たちが立ち向かっても……レベル不足の強敵だから、轟沈されちゃう可能性が高いわ……」

 

榛名「そ、それなら……どうして! 皆と艦隊を組んで行こうとしないんですか!? 連合艦隊で突撃すれば!」

 

比叡「この乱戦の中で、連合艦隊と言うの無理ね。 司令の所に行き着くまでに時間が掛かるし、調整も難しいじゃない? 数隻を『回天』のような役目をさせて、脱出させるのが賢明! って言うか……それしか無いのよ!」

 

榛名「比叡姉さ……」

 

金剛「比叡……貴女は、それで良いんデスカ?」

 

榛名「──!?」

 

比叡「……よくなんか……無いですよ! せっかく、轟沈した金剛お姉さまや霧島、あのまま別れた榛名と、こうして……また逢えて、お茶会や毎日騒げる──この場所が大好きでした! 今も……大好きですッ!!」

 

金剛「…………比叡ィ……」

 

比叡「だけど……『アノ時』……私は見捨てらました。 まだ……動く事が出来たけど、轟沈させられて。 だけど……見捨てられるっていうのは……ものすごくぅ寂しいんです。 悲しくて悔しくて……残念で……」

 

アリゾナ「……………」

 

比叡「あそこには、提督と共に霧島も居るんですよ。 私の為に仇を討とうとしてくれた……大事な妹たちの一隻が……。 幾ら轟沈確実と分かっていても、やらなければならない事が……あるんです!」

 

榛名「────!」

 

比叡「私が……何とかして、提督たちを救うから……。 だから……榛名は来ちゃ駄目。 私の代わりに金剛お姉様……お願いね!」

 

アリゾナ「ま、待ちなさいよ! それなら私が代わりに行くわ!」

 

比叡「ひ、ひえぇ~!?」

 

アリゾナ「な、何をワケの分からない驚き方してんのよ! だから、比叡は残る! 私が、その空母水鬼だかに……一戦交えて来るわ! それなら、大丈夫でしょ! 貴女たちこそ──待っていないよ!!」

 

比叡「えっ? それじゃ!?」 

 

アリゾナ「………誰かが……誰かの為に犠牲になるなんて……もう見たくないのよ! あの時、墜落した貴女たちの艦載機、逃げ惑う私の国の乗務員。 もう……誰か失い哀しむ姿を……見たくないんだから……」

 

★☆☆

 

翔鶴「───! 艦載機より入電! 何進──いえ空母水鬼が、提督を殺害しようと!? は、早く助けに行かなければ───!!」

 

瑞鶴「翔鶴姉は、旗艦だから此処に居て! 私が行ってくるよ!」

 

サラ「いえ、私の艦載機が多く発着しています! ですから、艦載機を利用して隙を突り出し、私が皆さんをお救いしたいと!!」

 

ビッグE「待て待てぇ! ここは、このあたしが出る! 何たって不死身の異名を取るあたしだ! あたしが出撃する!」

 

瑞鶴「だから、私が──」

 

サラ「瑞鶴さんは、お姉さんがいらっしゃいます! 私が代わりに!」

 

ビッグE「サラも駄目だ! 飛行甲板が無いあたしじゃ艦載機を着艦できねぇ! あたしが代打で出る! 文句は言わせないよ!!」

 

★★☆

 

電「は、はわぁあああ────ッ!」

 

雷「電、行くわよ! 今、この戦場は対人じゃなく、対艦娘の戦いよ! ここは雷さまの活躍、見せつけてやる絶好の機会よ!?」

 

響「うむ……立派な意見で感心する。 しかし、重大な事を忘れてないか?」

 

雷「………へ?」

 

暁「わ、私たち……艤装が全部ぅ置いてきたの!!」

 

「「 ─────!?!? 」」

 

響「こういう儀式においては、武器のような物は許可されない。 だから、私たちが『日常品を武器』に変えたんじゃないか?」

 

雷「アィエエエッ!! そ、そうだったわ!」

 

電「ど、どうしよう……! どうしよう!?」

 

~~ふらふらっ!

 

スチュワート「ハァ~フゥ~! ハァ~フゥゥゥゥ~!」ドサッ!!!

 

電「あぁ……スチュワートさん! その艤装は!?」

 

雷「ス、スチュワートって、前作に居なかったじゃない! どこに行っていたのよ? 旧第六艦隊の皆も知らないって言うから……って、これッ!!」

 

スチュワート「ひ、必要だと思って、取りに戻ったのよ! 雷、電……行って来なさい! 貴女たちが……この中で一番の古株なんでしょ? ほらっ! これを装着して、司令官を助けに行ってきなさいよ!!」

 

雷「うんッ! ありがとー!!」

 

電「あ、ありがとうなのです! この事は一刀さんに伝えて……」

 

スチュワート「………しなくていいわ。 わ、私が勝手にやった事なんだから。 その代わり……絶対に司令官……助けなさいよ……? も、勿論──アンタたちも無事に帰ってくる事、忘れるんじゃないわ!!」

 

雷「三人で仲良く帰って来て、見せつけてあげるわ!」ダッ!

 

電「……必ず無事にッ!!」ダッ!

 

スチュワート「……………や、約束……守りなさいよ……ね……」ガクッ!

 

暁「あわわわっ! 『トスッ』 ふぅ~! 間に合ったわね。 ………お疲れ様、スチュワート……」

 

スチュワート「………スゥー、スゥー」

 

響「………既に……私たちの仲間だな」

 

暁「響……貴女、知っていたわね? スチュワートが雷たちの艤装を取りに行った事……」

 

響「何の事やら……」

 

暁「……いいわよ。 私もね、お子さまじゃ無いから告げ口はしないわ。 だけど、噂話は出るかもね? スチュワートが頑張った話──」

 

★★★

 

木曾「どう考えても、俺しか動けないようだな……」

 

天龍「た、龍田が余計な事……しなきゃ! オ、オレが───」

 

龍田「旗艦が行ってどうするの~? ごめんなさいね、今回は、少しやり過ぎたかも~。 お願いしてもいい~?」

 

木曾「あぁ……任せろ! 俺の命に代えてでも提督たちを救ってやる!」

 

龍田「あ……それは大丈夫ぅ。 心配要らないから~」

 

木曾「どういう事だぁ?」

 

龍田「だぁ~て、私たちと同じ目をしているんだもの~。 大将軍さん~」

 

木曾「───はっ!?」

 

 

◆◇◆

 

【 一刀を護る者 の件 】

 

〖 都城内 大広場 高台 にて 〗

 

広場に居る敵味方を全て……圧迫する何進の凶猛なる覇気!

 

恋姫たちでさえ……この状態! 

 

その為、如何に精兵と言えど……兵士たる者たちもまた………

 

重装歩兵「お、重いぃぃぃ………」バタッ!

 

重装歩兵「ぐげえぇぇぇ───」バタンッ!

 

重装歩兵の兵士も──覇気により動けず、重装備が逆に仇となり、一人また一人と地面に自沈して行く!

 

ーーー

 

劉辯「何進……至急中止……」

 

劉協「や、止めなさい!!」

 

桔梗「お二方……お下がりをッッッ!!」

 

ーーー

 

皇女たちの周辺だけは、覇気の流れが若干弱い。 ならばこそ、皇女たちは何進に向かい止めるように促すが……聞く耳を持たず。

 

桔梗も……一刀の身の上を案じるが、今の任務は二人の護衛! その任務を投げ捨て行くには、己の武人としての矜持が許さない!!

 

そして、何進に命じた者たちも、痛烈な金縛りに遭い……そのままの姿勢で固まる! 楊奉は直立不動、何皇后は左手を伸ばし、一刀に指差したまま!

 

されど、楊奉の強張った顔とは違い、何皇后は満面な笑顔で嗤う! 嘲笑する! 蔑み笑った!

 

何皇后「アーッハッハッハッハッ! 何進! やれぇ! やってしまいよし! 天の御遣いん首をはねよ! 漢王朝を牛耳ようとしはる天の御遣いを誅しなはれ!! ───そん御遣いを庇う不届きモンと共にな──ッ!!」

 

何進は、剣先を肩口近くまで上げ、両手で柄を握り締める! 右足を前に出し半身にして、剣を水平に構える! 狙いは……一刀の首、一カ所のみ!

 

何進の剣技、深海棲艦の力を持ってすれば、易々と首を上げれる!

 

霧島も長門も、足が竦んで動けない! それでも前進の意志は衰えず、懸命に歯を食いしばり動かすが……足が石のように動く事が叶わないのだ!!

 

何進の構えを見て、余計に焦るのは艦娘の二人!

 

長門「くそぉおおお──提督ッ!」

 

霧島「───司令!!」

 

『これで勝った!』と思った瞬間───まさかの伏兵!

 

『勝ってメンポを確かめよ』のコトワザ通り──実際危ない! 

 

だが、何進が構えたままで───動きは無い!

 

その視線を追えば……北郷一刀……! 

 

……そして、その前で……

 

両手を広げ立ち塞がる……楽文謙……凪の姿があった!

 

何進「………………退かぬか、娘よ?」

 

凪「……隊長は私の命! この場を前進する事はあっても、避けも退く事もありません! 私の身命は、既に真名と共に隊長へ預けたもの! 何人たりとも───隊長を害させるワケには行きません!!!」

 

一刀「凪──離れろ! 君まで死ぬ必要は無い! 作戦を過ち、皆を危険な目に遭わすのは俺の落ち度だ! 責は俺が取る! だから──離れてくれ!!」

 

凪「い、嫌です! アノ日より消えた隊長を──ずっと待ち望み………やっと……やっと逢えたのに! 何故、また離れなければならないんですかぁ! また、離れる事になるのなら、隊長……貴方と死を選びますッ!!」

 

「「「 ーーーーーー!! 」」」

 

そう言い放ち、目から涙を流しながら……振り返って笑う凪!

 

その顔には、迷いなどない眩しいくらいの笑顔であった!!

 

 

◆◇◆

 

【 つまらぬ物を斬って…… の件 】

 

〖 都城内 大広場 高台 にて 〗

 

何進は、構えたまま……凪に尋ねる。 

 

何進「一つ聞きたい。 何故……私の覇気から逃れでた? 私の覇気を浴びれば、あのように金縛りとなり動けなくなる! 今回、一刀を一瞬に葬るため、最大限にまで上げた。 それが……どうして容易く動けるのだ?」

 

凪は姿勢を変えず、顔を何進に向けて説明する!

 

凪「何進さまの覇気は確かに巨大であり、私も何も知らなければ、動くどころか指を動かすことさえ……無理だったでしょう!」

 

何進「では………?」

 

凪「その覇気……何故か私の昔仕えていた『主』とほぼ同質の氣! ならば、その氣に私の氣を同調させれば、普通に動く事は可能です! 同質の氣ならば、抵抗する物は無くなる! そうではありませんか? 何進さま!!」

 

何進「………そうか……」

 

そのような会話をしていると、何皇后が横槍を入れてくる! 

 

何進の実行が遅いのを焦れているのか、姿勢が中途半端だから疲れたのか? 

 

多分、どちらもそう何だろう。

 

何皇后「何進よ! なんを喋っておる! 早う御遣いを誅せよ! 早う、早う、早う早う早う───早ようッ!!!」

 

そんな何皇后を無視して、何進が一刀へと話掛けた。

 

何進「………一刀よ! 運命とはいえ、誠に遺憾ながら、このような事になった。 せめてもの情け! 一撃で、その娘共々……葬る!」

 

一刀「………今度は、俺も動けないよ。 しかし、どちらにしても、作戦を失敗した将は、敗戦の責を取らなくてならない! 甘んじて受けるさ! 心残りは二つある! 一つは凪だが……どうしようもない……諦めるよ」

 

何進「………もう一つは? 艦娘や配下の将の未来か?」

 

一刀「───それは大丈夫。 あの貂蝉たちが放って置く事は無い! 必ず救い出してくれるさ! もう一つの心残り、今……叶えたいがいいか?」

 

不思議に思い首を傾げる何進。 

 

そんな何進へ一刀が驚きの発言を添えた。

 

何進「……………?」

 

一刀「………何進に真名を預けられたのに、呼ぶ機会がなかった。 だから……最後に言わせて貰う! 『さようなら……雷華!』 ──以上だ!」

 

何進「か、一刀………!? まだ……信頼してくれると言うのか? 殺気を放つ……私に向かって!!?」

 

一刀「……………………」

 

顔を赤らめて、急いで再度尋ねる何進!

 

しかし……一刀は目を瞑り黙止したまま。 賛成や反対の意思表示が無い!

まぁ……反論しないから賛成なんだろうけど。

 

ーーー

 

何皇后「何進!! 早うせい!! 今、行わなければ───貴さんも誅しはるぞ!」

 

業を煮やした何皇后が怒り狂う!

 

何進「……………………」キン!

 

その様子を横目で見て、剣を収めた!

 

何皇后「なん故、剣を収める! そんまま突き殺せばええモンを!!」

 

何進「このような傑物を、ただ殺すようでは興醒め。 漢王朝の威厳を示すため、この何進の剣技『イアイドウ』を諸侯に見せ付けて、叛逆の種共々刈り取りましょうぞ!!」

 

華琳「─────!」

 

「「「 ────────!! 」」」

 

何進「何皇后──余興として『首』を斬り落とす技、得と御覧あれ!!」

 

何皇后「おぉ───良き余興ほな! 早うしいやみぃ!!」

 

何進が居合いの構えを取る! 

 

ーーー

 

雷「だ、だめぇ!! 絶対にだめぇえええ!!!」

 

電「か、一刀さぁーん!!」

 

ーー

 

アリゾナ「な、何とかならない! 何とかならないの!?」

 

ビッグE「ど、どうしようもないっ! 何なんだぁコイツは!?」

 

ーー

 

木曾「覇気で縄張り作ったって事か! やってくれる!!」

 

ーーー

 

高台まで来ていた五人の艦娘は、何進の覇気の壁に遮られる! 厳密に言えば、入れない事は無い。 しかし、侵入すれば身体が重くなり、進む事に重くなり動けなくなる! 

 

戦艦や空母でさえ難しいのだ。 それ以下の艦では論外である!

 

ーーー

 

諸侯の恋姫たちも、高台に注目する!

 

 

ある者は鳴きながら嗚咽を上げる者!

 

ある者は一刀の死に際を目に焼き付けようと注視する者!

 

またある者は、一刀を睨みつける者!

 

 

誰もが───天の御遣い『北郷一刀』の死を確信していた。

 

 

 

いや……一隻だけを除いて。

 

 

 

ーーーー

ーーー

 

何進「では──『キリステ・ゴーメン』!!」

 

何進が神速の居合い切りを披露した!

 

───

─────ブーン!

───

─────バシュッ!

 

ブシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

───『首』が宙に舞う! 

 

──赤き鮮血を周囲に撒き散らかしながらぁ!!

 

 

──────

────チン!

 

「「「 ーーーーーーーーー!?!? 」」」

 

ーーーー

ーーーー

ーーー

 

何進「如何で御座いましたかな? 何皇后よ………我がイアイドウの……切れ味は───?」

 

 

何皇后「な、なぁ、なぁああああっ! なぁあいぃいいい! わらわの左手が無いのじゃぁああああッ!!?」

 

楊奉「何皇后さまぁーーーーーッ!!?」

 

 

何皇后が大絶叫を上げる! 

 

何皇后の左手から、壊れた水道のように鮮血が流れ出るッ!!

 

宙を舞い切った──左手首が──軽い音を立てて地面へと落ちた!

 

何進「御所望により、確かに首を落としました。 何皇后御身の……『手首』と言う首を!」

 

『ーーーーーーーー!!!』

 

 

ーー

ーーー

 

周囲より歓声とも絶叫ともつかない大音響を聞き、目を開ける一刀。

 

一刀「………これは……」

 

凪「た、隊長! 私たち……助かったんです! 助かったんですよ!!」

 

ふと……身体が軽い事に気付き、身体を動かす一刀。 

 

急いで凪の無事を確認して安堵した後……何進が近付いた。 

 

何故か……顔を赤くして………

 

一刀「………ら、雷華!?」

 

何進「ふ、ふん! この国の真名とやらの重さ……ようやく理解した! 私は、お前たち側に付く! そして、何皇后たちを捕らえよう!!」

 

凪「………………」

 

この時……凪の顔が……少し険しかったそうである。

 

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これで、攻守の関係は完全に逆転した!

 

一刀率いる艦娘、華琳の呼びかけにより動きだした諸侯、そして……完全に皇女側に廻った大将軍何進が……楊奉たちを追い詰めていった。

 

 

続く

 

 

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あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

今回で終わらせるつもりが……まだ続いた?

 

重要なところも、出しましたから

 

今度こそ……次の話で終了しますので。

 


 
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