No.789212

艦隊 真・恋姫無双 67話目

いたさん

まだ、続きます。

2015-07-13 00:01:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1512   閲覧ユーザー数:1310

【 驚愕する華琳 の件 】

 

〖 洛陽 都城内 大広場 にて 〗

 

 

『ブロロロォォォォォォ───!』

 

 

私の頭上を、神経に障る騒音を靡かせながら………

 

疾風の如く飛んで行く!!

 

 

────あれほど、金切り声を上げていた何皇后。

 

私たちの苦渋の様子を、楽しそうに眺めていた執金吾。

 

春蘭や他の軍閥の将に、襲い掛かろうとしていた兵士どもが、口を大きく開けて間抜けな顔で、頭上を眺めた!

 

 

いえ、彼らばかりでは無いわ! 

 

……その様子を眺める私でさえ、他の者が見れば……かなり滑稽な顔をしている事だと思う。 そう、その様に思う自覚があるのだけど……目が、顔が、視線が飛び交う物から離せられない!

 

空を飛び回る物は……まさに……そのような絡繰りだった。

 

**

 

私は……正直……信じて居なかった。

 

陳留で報告を受けた『飛行物』を……

 

実際この目で……確認するまでは……!

 

**

 

前方に……水車より回転が早く、休まず回り続ける物を。

 

身体は、大空を凧のように浮かびせながら、風も必要としない。

 

しかし、その動きは……鳥のように自由に飛び交うほど。

 

 

羽に当たる場所には『赤色の大きな丸』『○に☆』等の模様。

 

推測するに、多分……牙門旗のように重要な意味を持つのだろう。 

 

それらは……それぞれ組んで、左右に別れては、また合流を繰り返す!

 

自分たちの上空を飛ぶ……未知なる飛行物体。

 

***

 

あれが、あれこそが───天の御遣いの力!

 

しかも……あの力が……ほんの片鱗にしか過ぎないなんて………!

 

 

もし、万が一……私たちの敵に回られば……

 

……私は……いえ、私たちは……勝てるの……かしら?

 

 

★☆☆

 

桂花「華琳さま! 華琳さまぁ!!」ユサユサ!

 

春蘭「華琳さまッ!!」

 

華琳「───け、桂花!? 春蘭まで!! 私は……何を?」

 

桂花「華琳さま、御安心下さい! アレは味方です! ……一刀が呼び寄せた『何か』だと思われます! ですので……どうかお心休まれますように!」

 

華琳「何故──そのように思うの?」

 

桂花「はい、空飛ぶ絡繰りは、誰一人攻撃しません! 左右に広がったり集結したりするだけ。 即ち、敵対する者を混乱させる為と思われます。 しかし、今見渡す限りで……混乱しない勢力はあるでしょうか!?」

 

華琳「………驚いたわね。 私たちと敵対する兵は元より、あの何皇后や執金吾まで唖然としているわ。 寧ろ……諸侯の将たちの方が動揺が少ない。 これじゃ……何皇后側の策謀へ水を刺す結果に……」

 

桂花「華琳さま! これは、天の御遣い側の策です! 一刀に……何か考えがあって行動したんだ思われます!」 

 

華琳「─────!」

 

春蘭「あの馬鹿者は……いつもそうだ! 大事な事を隠して、隠して隠しまくって……最後に消えてから……ようやく知らされる! くそぉおッ! 何が別人だ! 行動が全く同じではないか! 私たちを何だと思っている!!」

 

華琳「………分かったわ。 これが陽動なら、本命の攻撃がどこからか来る。春蘭、混乱した状態を装いながら……隙あらば敵兵より武器を奪取なさい。 桂花は何皇后側を注視、私は全体の様子を確認して各自指示する!」

 

「「 ───はっ! 」」

 

華琳「皆にも……気付かれないよう伝えなさい。 上手く流れに乗り、御遣いたちの策に合わせるの。 私たちを虚仮にしてくれた……何皇后と執金吾! 彼の者共へ───目に物見せてあげなさい!」

 

 

◆◇◆

 

【 続く動き の件 】

 

〖 都城内 大広場 西涼陣営 にて 〗

 

恋「ご主人さま……すごい……。 ねね、詠、月……しっかりする!」

 

ねね「ふしゃぁぁぁ──!! っと……れ、恋殿!?」

 

詠「あ、あぁぁ………恋! はっ! ゆ、月! しっかり!」

 

月「へぅううう~!!」

 

恋「月……大丈夫。 恋が……此処にいる!」

 

月「あ、ありがとうございます。 え、詠ちゃん! あの……天を駆け回る乗り物って………!」

 

詠「ボ、ボクに聞いても分かんないわよ! ただ、こんな『物』を用意するのは、アイツしか居ないでしょ? 天の御遣いだか何だか知らないけど……ボクたちの常識を超える物は、大概アイツが関係! これは真理よ!」

 

恋「ご主人さま……心配………」

 

月「えっ? あっ……詠ちゃん! ご主人さまの姿が──!!」

 

詠「………ふ~ん、読めたわ。 ねね……時期を見計らい恋と共に高台に向かいなさい! 多分、あの馬鹿……何か仕出かすわ! ここは、華雄と霞に任せていいから!」

 

ねね「────なるほど! 恋殿!!?」

 

恋「───行くっ!」ダッ!

 

ねね「れ、恋殿っ! お待ち下されぇ! まだぁ! まだ早いですぞぉぉぉぉ!!!」

 

…………

…………

 

月「………詠ちゃん」

 

ねね「ふ、ふん! べ、べべ別に心配じゃないわよ! ア、アイツが死んじゃうと月が悲しむと思って。 ほ、ほらっ! ここも、しっかりしなきゃ! ボクたちが傷ついたって………アイツが悲しんだら何もならない───」

 

月「詠ちゃん………ありがとぉ」

 

★☆☆

 

七乃「美羽さま! どうか後ろに御隠れ下さい! 私が前に出ます!」

 

美羽「………七乃!」

 

ーー

 

翠「いやぁ───すげぇよなぁ!? 蒲公英!! ご主人さまの力ってはよ? あ~んな、見た目は鳥に近い格好の物が……あっちこっち飛び回ってるなんて、帰ったら西涼の皆に自慢してやろうぜぇ!?」

 

蒲公英「お、お姉様! あの変なのが、全部が全部……ご主人さまの仲間から分からないんだよ!? もし、敵の仲間だったらどうするのッッッ!?!?」

 

翠「大丈夫だって! アイツら飛び交うだけで何もしないじゃないか! もし敵だったら、悠長に飛び回らず、あたしたちへ真っ先に危害を加えるぞ!」

 

蒲公英「それは……そうなんだけどさぁ…………」

 

翠「あんまり考え過ぎると、攻撃する時機を失っちまう! ほらっ! あたしに付いて来い! 今が絶好の機会だぁ───ッ!!」

 

蒲公英「もうっ! お姉様! もう少し様子を周りの様子を見てよ! ほらっほらぁ! 曹操軍だって、まだ動かないんだよ?」

 

翠「あぁ!? そ、そうだな! だが……この機会を、みすみす逃せば!!」

 

蒲公英「だけどぉ……今、動いたらね? お姉様……春蘭より脳筋扱いされるの間違いないんだよ?」

 

翠「な、何ぃぃぃぃッ!? ア、アイツより脳筋……だと?」

 

蒲公英「うんッ! 脳筋の中の脳筋! 『失禁猪』呼ばわり確実だよ?」

 

翠「わ、分かった! 曹操軍の様子を見てからにするよ……!!」

 

蒲公英「……ホッ」

 

 

◆◇◆

 

【 第三次攻撃 開始! の件 】

 

〖 都城内 大広場 艦娘陣営 にて 〗

 

━━━━━!

━━━━!

 

ーーーーーギュュュュ──ッンンン!!

 

 

万雷響く───『砲撃音』

 

初めて見る事になるだろう───『未確認飛行物体』

 

 

全く聞いた事も見た事もない『次元の超える兵器』に、動揺する色を隠せない執金吾配下の兵! 

 

だが───この恐怖は、更に深まった!

 

ーーー

 

暁「暁の出番ね? 見てなさい!!」

 

響「さて、やりますか! Ураааааー!」

 

雷「逃げるなら今のうちだよ!?」

 

電「───なのです!」

 

雪風「艦隊をお守りします!!」

 

ーーー

 

『第四艦隊 艦旗 暁』を先頭に《水を掛けた手拭い》をそれぞれが持ち、東側より突っ込む!

 

時代劇を見られた方なら、ご存知だろう。 

 

かの『暴れん坊将○』や『名奉行』が、悪漢に対して行った戦闘術。

 

水を含ませた手拭いを、一方を掴み、片一方を前方に投げて急に引く! すると『慣性の法則』で手拭いの重みが急に戻れず、相手にダメージを加える──『打撃』!

 

ーーー

 

電「あ、当たって下さぁい!」バシィ!

 

兵「ぶべらぁ───!」ドコッ!

 

ーー

 

雷「そんな危ない物、没収するわよ!」シュルルル!

 

兵「はっ!? あぁ──ッ!」パッ!

 

ーー

 

雪風「両方に重しを付けてぇ、足元に照準を定めながら──えぇ~いッ!!」

 

兵「あ、足が!? 絡ま──」ズデェーン

 

ーーー

 

スチュワート「え~と、このTowelの真ん中に石を入れて………」

 

兵「うおぉおおおーッ!!」

 

スチュワート「振り回して───ぇ!!」グルッ!

 

────バッキン!

 

兵「け、剣の刃が折れた………」

 

スチュワート「そして、放───」

 

兵「い、命だけは……お助け下さい!!」

 

スチュワート「は……?」

 

ーーー

 

他にも、手拭いの両端に重しを縛り付け、相手に向かい投げる『投擲』

 

手拭いの真ん中に石を入れて振り回し、遠心力で勢いを付かせて放つ『射撃』

 

水を浸した手拭いを、剣に巻き付けて相手の武器を絡み取る『長柄』

 

濡れた手拭いを、低い屋根等に叩きつけると……摩擦の関係で滑り止めとなり、一時的ながら身体を浮かせて攻撃を避けれる『防御』

 

ーー

 

響「この手拭いを両手に巻き付ければ、攻撃力は二倍! そして、回転とジャンプを加えれば──今の私のパワーは十二倍! そうすれば───」

 

暁「馬鹿ぁ止めなさいッ! 相手が普通に死んじゃうでしょ!?!? 」

 

響「Господи!!(なんてこった!!)」

 

ーー

 

………拳に巻き付けて威力を上げる『格闘』

 

これらを利用して、第四艦隊は暴れまくった。

 

★☆☆

 

天龍「オラオラッ! 怖いかッ! 怖いかッ!!(半分ヤケ)」

 

ーー

 

兵「ぬわぁ───!?!?」

 

兵「「「「 ーーーーーーー!!? 」」」」

 

ーー

 

龍田「キャァァァ~天龍ちゃん! 怖ぁ~いぃぃぃww!!」

 

木曾「おぅ……よくあんな物があったな……」

 

龍田「こんなこともあろうかと~ね~?」ニコッ!

 

木曾「んぐぅ……了解だ!!」ゴクリッ!

 

西側より───頭をパーマ、黒のセーラー服、口を手拭いで覆った『昭和のスケバン姿』の天龍が、一㍍ぐらいの棒を振り回しながら乱入! 

 

一応……第二艦隊艦旗なんだけど………

 

丈の長いスカートを振り乱し、赤色のスカーフがマブイ(眩しい)……妙に似合う格好に兵たちへ更なる動揺が走る! 

 

服のチョイスも準備も……全てが龍田の仕業。 

 

後に皆が皆、その理由を問い質したが……『こんなこともあろうかと~』の台詞と素敵な笑顔で、煙に巻いて語らなかったという。

 

ーーー

 

龍田「さぁて~天龍ちゃんばかりに活躍させちゃうと~涙目で怒鳴られちゃう。 私たちも行きましょう? 操作方法は~分かった?」

 

木曾「基本はな……。 だが、これは面白いぞ! この一本の棒から、数々の異なる戦闘術が秘められているとは……!」

 

龍田「でもねぇ~『神武不殺』の武術よ~?」

 

木曾「そう言っていたな。 つまり………」

 

龍田「『死なない程度までにしておきなさい』という意味ね~」

 

木曾「いいぜ! なら……この俺に『殺してくれ』って頼んでくるぐらいの攻撃を与えてやろう!!」

 

龍田「うふふふ……でも、流血も禁止よぉ~?」

 

木曾「………分かっているさ!」

 

ーーー

 

杖術……『突けば槍  払えば長刀  持てば太刀  杖はかくにも外れざりけり』

と謳われし万能な武術。 

 

持ち手を変えれば、間合いが変わる。 

 

長刀、太刀のように斬る事は出来ないけど、その用法の応用は再現できる。

 

人に傷を付ける刃を持たないため、捕縛には最適。 

 

そのため、艤装が長刀のようになっている龍田が選んだ物。 姉である天龍が刀の艤装を使うため、共通する物を探した結果でもある。

 

ーーー

 

この後、龍田と木曾も加わり……攻撃を開始するのだが、戦闘描写は省略。

 

余りにも惨くて哀れで……作者が同情した為である。

 

どういう意味合いかと言うと……この戦いで、龍田と木曾に対峙した者は、その後『宦官』を希望したと言えば……お分かりになるだろう。

 

ある意味……この兵たちにとっては『サイオー・ホース』と言えるのかも知れないが……

 

 

◆◇◆

 

【 逆転の逆転 の件 】

 

〖 都城内 大広場 高台 にて  〗

 

…………

…………

………!

 

『───ど、どういうワケだ!?』

 

 

始め感じたのは《疑問》だった。

 

 

『──あの『黒い筒』が報告を受けた物だろうがッ!?』 

 

『──何故、攻撃ができる! いや──破裂したような場所はない! ま、まさか……アレは弾無しで……放てるのか……!!』

 

 

次に感じたのは──自分の思惑を外す《困惑》であり

 

 

『───例の空を飛び交う者も出て来た! 伏兵の隊は何をしている! このままでは、此方が危なくなるだろうがぁッ!?』

 

『───な、何だぁ! 窓際に誰も居ないだと!? どういう事だぁ!!?』

 

それと───《現実》

 

 

『──馬鹿なぁ! な、何故……俺の対応策が全部……裏目に出る! それに──あの者共は何だぁぁぁ──!?』

 

そして、暁や天龍たちの挟撃を受けて《驚愕》を示した。

 

ーーー

ーーー

 

一部始終の様子を見ていた楊奉は、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。 

 

何皇后「………………………」プルプルプルプル

 

横を見れば……何皇后の顔も赤みが失せ、白い横顔を更に白く際立たせながら、右人差し指の背を口に当て、ワナワナと震えている。

 

傲慢不遜の塊のような彼女でも、楊奉の不利を理解している様子! このままでは……自分は失脚、楊奉も捕縛される運命になるのだと!

 

しかし、楊奉は───諦めていなかった。

 

楊奉「まだだ! まだ……あったではないか! とっておきのがな!!」

 

自分の思惑が全て外された……そう考えた時、一つだけ切り札が残っていた事を思い出す! 

 

楊奉の近くにあるで縛られて、処刑の準備をされた三人の哀れな恋姫たちを!!

 

眼下の諸侯を一瞥した後、一刀の顔を見据えた!! 

 

ーーー

 

楊奉「天の御遣い! これが──貴様の策か!?」

 

一刀「……俺の立案じゃない! 仲間の軍師が、必死に思案して講じてくれた策だ! 如何にアンタたちが皆に危害を与えるか、如何に防げばいいか……知謀の限りを尽くし、アンタたちの行動を防いでくれたのさ!」

 

楊奉「すると……その軍師は、余程『無能』とみえる……」

 

一刀「何だと───!?」 

 

楊奉「俺が用意した策を尽く(ことごとく)潰したのは褒めてやる! ──だが、そいつの策は最後の詰めが甘い! コイツらを人質に取る事を想定していなかったようだぜ!!」

 

楊奉が広場に向かい大声を上げ、指で指し示す!!

 

楊奉が指し示すは、人質となった桃香たち三人。 

 

しかも、御丁寧に一人ずつ処刑人を配置している。

 

楊奉「天の御遣いの軍勢に次ぐ! 二度とは言わん! お前たちが、これ以上……我らに刃向かうのであれば、この将たちを斬首の刑とする!」

 

ーー

 

雷「あぁ──ッ! 桃香さんたち!」

 

暁「───攻撃中止! 中止ぃいいいッ!!」

 

ーー

 

天龍「やっぱ、やりやがったな……!」

 

龍田「油断せずに小休止ね~!」

 

ーー

 

金剛「Stop! 空砲、Stopデース!」

 

榛名「………!」

 

ーー

 

翔鶴「全艦載機! 順次着艦せよ! 繰り返す、順次着艦せよ!」

 

瑞鶴「提督さん………」

 

ーーー

 

優勢に進めていた連合艦隊が……攻撃を中止!

 

一時の休戦に安堵するのは、楊奉の配下の兵士たち! かなり危ないところだった。 傷付いた仲間を引き上げ……城内に送り届けて戻ってくる!

 

その様子を見届けた楊奉は、鷹揚に頷き一刀に語り掛ける。

 

ーーー

 

楊奉「やはりな……! 天の御遣い……お前らの軍は無敵だ! だがな、どんな軍にも弱点がある! 貴様の戦い方は、益州の戦跡を確認して分かった! それは──『命を尊重過ぎる』ことだ!」

 

一刀「──────!」

 

楊奉「お前は策を配下に任せて……此処に来たそうだな。 即ち人質ありの報告は、策の準備が整った後に判明した筈! 残念だろう? もっと早く人質の事が報告に上っていれば、こんな不様な状態にならなかったのに!!」

 

ーーー

 

桃香「皆……ごめんなさい! ごめんなさい!!」

 

愛紗「ご主人様……申し訳ありません! 私が、私が付いていながら──!」

 

鈴々「~~~~~~~~!!」

 

ーーー

 

桃香たち三人は……涙を流して悔しがった。 自分たちが居なければ、一刀の足を引っ張らずに済んだのに……と。

 

一刀は押し黙り、楊奉は高笑いしながら、この様子を眺めている!

 

一刀「……………………」

 

楊奉「ふっ、はーっははははっ! あれ程に優勢に展開していた状況が、こうも容易く劣勢になったんだ!! いや、笑えるよ! 最高に愉快だ!!」

 

一刀「………俺は、如何なる理由があれ、仲間を見捨てない! 最後まで守り抜くと誓っている! どうしても駄目なら……死なば諸共に……だ!」

 

ーー

 

桃香「ご主人さまぁー! うぅぅぅぅーッ!!」

 

愛紗「この関雲長……慙愧に堪えません!!」

 

鈴々「ごめんなのだ、お兄ちゃーん!」

 

ーー

 

楊奉「ほぅ……面白い事を……」

 

何皇后「楊奉! なんをしいやおるッ! 人質と御遣いの素っ首、遠慮やらなんやらせずとも、サッサと打ち落とすんほな! わらわに刃向かいし輩の末路と知らしめよ!!」

 

一刀「……………!!」

 

一刀の言葉に……桃香たちは滂沱の涙を流し後悔をし、楊奉は目を細める。

 

しかし、何皇后だけは憤激し、一刀と桃香たちの処刑を促す!

 

色々と煮え湯を飲まされたのだ。 それに、自分の野望を潰した男! 一刻も早く──この世から消したかったのであろう。

 

だが……この男……楊奉は違った。

 

楊奉「何皇后さまが……こう仰っている! だがな……俺の考えは少し違う! 天の御遣い──北郷よ! 俺に力を貸せ!! 何皇后さまの下に来い! ならば……この将も諸侯も配下も──全員助けてやる!!」

 

何皇后「───な、なんを申す!? 楊奉よ!!」

 

楊奉「恐れながら何皇后さま! この男──『北郷』は途轍もない男でございます! 我が配下の兵の報告に寄れば……数々の奇跡を起こすのは無論の事、諸侯からの慕われ方が、余りに異常すぎます!」

 

何皇后「どういう………!?」

 

楊奉「大陸は四方に幅広く、高い山地、広大な河川と起伏に富んだ地形! 無論……移動する場合もかなりの日数が必要になるかと。 しかも、北郷は僅か数ヶ月前に益州入りした天の御遣い! これで……お分かりでしょうか?」

 

何皇后「…………あっ!」

 

楊奉「はい……北郷を慕う将が大陸を南北を問わず、しかも官位に限らず多数に存在する事! その理由は、如何なる故か不明です。 ただ、この事実からすれば、北郷を引き入れば……大陸支配もより早く収束する事に!!」

 

何皇后「し、しかし……何進が………」

 

楊奉「………それも、北郷を餌にすれば………ククククッ!」

 

何進「─────!」

 

劉辯、劉協を守って傍にいた何進は、驚き楊奉に詰め寄る!!

 

何進「だ、だだ……誰がぁぁぁぁ!!」

 

楊奉「お前が、北郷に『だ、黙れぇ!!!』……と、このような事で丸め込む事も簡単ですよ?」

 

何進「─────」チャッ! 

 

楊奉「おっと、俺を殺そうとしても無駄だ! あの『女』がな、教えてくれたのだ。 鬼灯と言ったか? アイツがな………」

 

何進「───────!」

 

ーーー ーーーー

 

一刀の命令で動いた連合艦隊!

 

艦娘たちが己の持つ力を使い、何皇后側の勢力を迎撃するため動きだした! 

 

後漢朝時代の兵器より、遥かに卓越した兵器、奇抜な策を繰り出し、後一歩のところまで追い込んだ。

 

しかし、何皇后側には人質となっている桃香たちの存在があった!

 

何皇后側の楊奉は、人質を楯に取り艦娘たちの攻撃を封じ、逆転に次ぐ逆転に持ち込んだ! しかも……一刀の『力』を看破し、それを利用して大陸支配の礎にしようと目論見、一刀を味方に引き込む為に誘いを掛ける。

 

このまま……八百い……じゃなく、何皇后側に付くしかない状況に持ち込まれた一刀! 

 

このまま──何皇后側の思惑に、飲み込まれるかと思われたが───

 

 

◆◇◆

 

【 立ち上がる恋姫たち! の件 】

 

〖 都城内 大広場 にて 〗

 

桂花「華琳さま! 一刀が! 天の御遣いがッ!!!」

 

華琳「ちょうどいいわ! ───春蘭、準備は大丈夫?」

 

春蘭「───はっ! 皆にも武器が行き渡っています!」

 

華琳「じゃあ……私からの返礼を、執金吾と何皇后に受け取らせるわ!」

 

春蘭「では、華琳さま!」

 

華琳「春蘭! 場が整え次第──貴女は御遣いの下へ向かいなさい!」

 

春蘭「はいっ!!」

 

★☆☆

 

一刀の様子を見た曹孟徳は、大音声で全体に呼び掛ける!!

 

ーーー

 

華琳「ここに集まる将たちよ! よく聞くがいい! 我ら恩義ある漢王朝が、誤った道に踏み込まんと足を上げている! このまま黙秘していれば、漢王朝は滅び、光武帝の再来を待たねばならぬ時に来ているのだ!」

 

「「「 ──────!! 」」」

 

華琳「しかし、見よッ! あの天の御遣いを!!」 

 

「「「 ーーーーーー!! 」」」

 

華琳「余りの佞臣に因る無様な祀り事に怒りを買い、かのような奇跡を現した! それなのに、我ら漢王朝の臣下が……黙秘して良いものか!? 断じて否、否であろう!! 今こそ、立ち上がるべきだと諸侯に論ずる!!」

 

「「「 ………………!! 」」」

 

華琳「佞臣の行動に、恐れ多くも臣下の身でありながら、直言極諫(ちょくげんきょっかん)する事は大罪! だが、このまま看過して、漢王朝に長年仕えし我が祖先に顔向けできるものか!!」

 

「「「 ───────!!! 」」」

 

華琳「我は、我の忠臣と共に佞臣を斬り、陛下に祀り事を正すように促す! 貴公たちに志あれば賛同されよ! ただ、反逆の罪は逃れないと思え! 黙って看過するのも良し! されど……祖先はどう思われるか?」

 

「「「 ───────!!!! 」」」

 

ーーー

 

この華琳の演説で、諸侯は立ち上がる! 

 

 

『天の御遣いが、我々の為に戦った! このまま黙って成り行きを見るしかないのか? 我々は、いつの間に臆病者になってしまったのか?』

 

『この自分たちの行動が───祖先に顔向けできるのか?』

 

 

祖先崇拝は大陸の重要な行事。 毎年、漢王朝内でも重大な祀りとして行われている。 

 

そんな重要な儀式に祀られる祖先に、今の自分たちを見て貰えるか? 

 

そのまま看過して、漢を潰して喜ぶと思うのか? 

 

おかしいと思いませんか? 貴女?

 

ーーー

ーー

ーーー

 

そうまで言われて、奮起せぬ者は居ない!

 

天の御遣いの軍勢が、動けなければ……動かせる軍勢を動かす!

 

例え……少人数の犠牲を出しても多人数を救う!

 

それが、曹孟徳としての矜持だったのだ!

 

ーーー

 

蓮華「江東の虎の血筋は死なず! 漢王朝や一刀を救うため反撃を開始しましょう!」

 

冥琳「承知致しました! 先ほどの御遣い達の攻撃で、武器を多数所持する事ができます! これらを使い、我らも戦いを挑む所存!!」

 

ーー

 

季衣「流琉、これでさぁ……兄ちゃんが昔言ってた『アレェ~』ができるんじゃないかな? ほら、この布を合わせて伸ばすと……」

 

流琉「ア、アレェ!? あ……う、うん……いい考えだね。 うん……」

 

ーー

 

月「わ、私も………」

 

詠「そうね! ボクも……この棒を持って戦う!」

 

ーー

 

蒲公英「お姉様!」

 

翠「皆まで言うな。 まったく、その通りだ! 名将『馬援』に連なる者が、黙って居られるわけないだろう! コイツらを守りつつ反撃してやらぁ!!」

 

ーー

 

霞「おぅおぅおぅ! むちゃ燃えてきたわぁ! 華雄! どちらが多く倒せるか競争せぇへぇんか!?」

 

華雄「………この戦いは守備が大事だ! 無闇やたら倒すものではない!」

 

霞「へいへい………」

 

★★☆

 

ねね「恋殿! 今ですぞぉ!」

 

恋「───コクッ!」

 

ーーー

 

思春「明命! お前だけでも行けぇ!!」

 

明命「───はいっ!」

 

ーーー

 

桂花「春蘭! ………一刀の事! お願いッ!!!」

 

春蘭「───任せておけっ!!」

 

ーーー

 

防戦一方だった恋姫たちが、今度は漢王朝のため、北郷一刀のため、動き出した! 自分たちの運命を変えるために────!!

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

<(_ _)> 結局……続いてしまいました。

 

登場人数が多い、会話文が多数と理由を言われると

 

言い訳もできません……

 

作者も、早く黄巾賊討伐戦……出したいのですが。

 

次回こそ、この回を終わりにしたいと思います。

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
12
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択