No.787524

真・恋姫無双 覇王伝 第十七話

ZSANさん

群雄割拠の始まり

2015-07-04 23:28:24 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5065   閲覧ユーザー数:4154

~劉備陣営~

「何を言っているのだ!朱里!」

朝議の席で愛紗の怒号が響き渡る

「お、お、落ち着いてくだしゃい、愛紗さん」

「そうだよ、愛紗ちゃん

 ちゃんと理由を聞いてからにしようよ」

雛里と桃香に窘められて渋々と云った感じで愛紗が引き下がる

「では朱里、説明してくれ

 何故北郷との同盟をしなければならんのだ

 奴は桃香様の理想を莫迦にした上、既に同盟を拒否したのだぞ!」

まだ憤懣やるかたない、と云った感じで愛紗が朱里に問いかける

朱里が提案した『北郷との同盟』について

 

「桃香様はこの徐州の州牧となりました

 諸侯が反董卓連合での消耗を回復したならば必ず群雄割拠の時代となります

 その時、この徐州は守るに適した地形とは言えません

 我々を大きく上回る戦力で攻められた時、守り切れずに滅ぼされる可能性が高いのです

 だから外に強力な味方が必要なんです」

朱里の説明に愛紗は一理あると考えたようだが、直ぐに

「だが何故北郷なのだ?!」

「他に居ません

 袁紹さんは私達を攻めて来る可能性がある勢力の筆頭です

 従属するなら兎も角、対等の同盟など考えてもいない筈です

 曹操さんも理想が違いすぎるので取り込むことは考えても手を取り合う事は考えてもくれないでしょう」

朱里の説明に対して愛紗は

「だが向こうが承知するか?」

「可能性は低いと言わざるを得ません

 だから私が行きます

 向こうも孫堅さんが大人しくしている筈が無いと云う弱味が有るのでそこを付けば或いは・・・」

その言葉に愛紗は思いついたように

「孫堅はどうなのだ?

 呉を取り返したい孫堅ならば建業を攻める手伝いをすると言えば・・・」

「それも無理でしょう

 援軍を出す余裕は今の我々には有りません

 援軍を出した隙に攻められる可能性が高過ぎます

 外に味方を作るのは相手に攻める事を躊躇わせる意味合いで行うのですから

 それに孫堅さんは直ぐには建業を攻めないでしょう」

「なに?」

「おそらくは・・・」

~孫堅陣営~

「それで、揚州南部の豪族達はどう言ってきた?」

炎蓮は丹陽の太守になってから内政、軍備の増強等を行う傍らで有る事を行っていた

揚州州牧袁術、その同盟相手北郷を攻める協力を揚州南部の豪族に働き掛けていた

「はい、殆どの豪族が我等に従う意を示しました

 最近は兎も角、以前袁術が行っていた悪政が大きな原因でしょう」

正確には美羽の配下が、美羽が政治に無関心なのを良い事に行っていた悪政なのだが

「出陣となれば我等の軍と合わせて10万の軍勢で出陣出来ます」

冥琳の答えを聞いて

「じゃ、早速建業に出陣ね!」

雪蓮が嬉しそうに声を上げるが

「いや、最初は合肥を攻める」

炎蓮の発言に雪蓮が疑問を呈すが

「北郷軍は間諜が戻ってこないので正確には分からないが3万以上の兵力が有る筈

 しかも攻めている時に弱兵揃いとは云え、袁術が援軍を送って来たならば落とせるかどうか

 だが合肥ならば相手の主力は袁術の弱兵だ

 北郷も援軍を出すだろうが全軍と言う訳にはいかん 出せても2万と云った所だろう

 北郷軍は油断ならんがその程度なら問題無い

 ならば合肥と云う戦略拠点を落としてから、そういう判断だ」

冥琳が炎蓮に代わり説明する

「でも10万で合肥を攻めるんでしょ

 その隙に北郷ががら空きのこの城に攻めて来たら・・・」

「そうしたら建業の兵力が分散される

 その隙に建業を奪えば良い

 向こうもそれは分かっているから、そんな事はしないだろうがな」

雪蓮の懸念を冥琳が打ち消すが

「でも合肥を落としてもその後が続かないんじゃないの?」

「合肥を落とす際に送られてくる北郷軍を少しでも多く削る必要はあるな

 更に在りし日の孫家の威光を呉郡に響かせれば内部攪乱も可能だ

 それに合肥を落とせばまだ恭順の意を示していない豪族も我等に従い、兵力も増強できる

 まあ全ては合肥を落としてからの話だがな」

合肥を落とした後の展望まで説明され雪蓮も反論が無くなった

「敢えて懸念材料を言えば、我等の軍以外、つまり豪族達から送られる兵の練度があまり高くない

 それと寿春、建業の情報が余り入ってこない

 間諜が殆ど帰って来ないのだ」

「それって・・・」

「だがやらねば先には進めん」

~一刀視点~

反董卓連合以後、国力を高めていた俺達の元に劉備からの使者がやって来た

諸葛亮と護衛と思われる関羽だ

「お願いです

 同盟の件、再考の程を」

型通りの挨拶の後、諸葛亮が本題を切り出して来た

「前にも言った通り恭順以外は受け入れるつもりは無い」

俺は冷淡に告げる

「しかし北郷様も孫堅の事を考えれば我等との同盟は利が有る筈です」

「いや、孫堅は俺達と袁術だけで勝算はある

 つまり劉備と同盟の利は此方に無い」

食い下がって来た諸葛亮の意見を一刀両断にする

「ならばあの時に言っていた期限付きの同盟だけでも・・・」

「劉備と組む事の懸念が払しょくされていない以上、考えるに値しない」

またも諸葛亮の意見を切り捨てた俺の言葉に

「なんだと!

 その言葉聞き捨てならんぞ!」

関羽が激昂する

「納得する説明を願おう

 それが無いのなら・・・」

「俺を斬る、とでも言う気か?

 仮にも使者として謁見しておきながら、そんな態度を取る家臣が居る君主を信じられるとでも?

 更に俺も武の心得があるし、この場に居る鞘華、趙雲、楽進も君と同等の武がある

 それを踏まえて言っているのか?」

この場には鞘姉や星や凪もいる

それすら目に入っていないのだろうか

うっと呻いて動き出せない関羽に

「まあ、君の問いには答えてあげるよ

 君が元凶だ」

その言葉に関羽が驚いた表情をするが

「君は劉備の理想を至高の物と思っている

 だが価値ある物は一つでは無い 他の価値ある理想が無いか考えた事など無いだろう?

 それに劉備の理想をどうやって叶えるかも考えていない

 つまり君は劉備の理想に心酔して考える事を放棄してる」

俺の言葉に反論出来ずにいる関羽に

「それを踏まえた上でこれが結論だ

 劉備と同盟を結んだ場合、俺達が劉備に指示、提案、更に叱責とも取れる意見を言う時もあるだろう

 だが君はその中に劉備に批判的な内容が有った場合それに反発し、独断で行動する恐れがある

 劉備の理想を盲信しているが故に、それを否定する者は悪、そう判断してね

君が一兵卒ならば良いが、君は劉備の側近中の側近

 そんな立場の人間が独断で行動すればどうなるか

 そんな陣営と同盟出来る筈が無いだろう」

関羽も諸葛亮も一言も言葉を発せなくなっていた

「もう帰って劉備に同盟は拒否されたと伝えると良い」

俺がそう言うと二人共、帰って行った

 

「関羽には酷な言葉だったんじゃないの?」

鞘姉が訊いてくるが

「俺は聖人君子じゃないから彼女が只の莫迦なら何も言わないよ

 彼女が劉備の思想を盲信する事を改めれば彼女は大きく成長するよ」

そんな事を話していたら

「一刀様、孫堅が出陣の準備を進めています

 目的地は静里さん達の予想通り、合肥です」

明命の報告を聞いて

「美羽には私が伝えに行くわ」

「凪も一緒に行ってくれ」

~鞘華視点~

「おお、鞘華姉様!」

美羽がそう言いながら抱き付いてくる

美羽は巴ちゃんと話すうちに仲良くなり、私を『鞘華姉様』、一君を『一刀兄様』と慕うようになっていた

「一刀兄様や巴は来ておらんのか?」

「二人は今回は来てないわよ」

美羽が残念そうな顔をする

「ところで一刀兄様を傷つけた左慈と云う者の事は何か分かったのか?

 そのような痴れ者、妾も許す事は出来んのじゃ!」

あ~、思想が巴ちゃんに引っ張られてるわね

「一兄(一刀兄様)の敵には人権を認めない」

 

そこへ七乃がやって来た

「ところで鞘華さんが来たという事は・・」

「ええ、孫堅が動き出したわ」

私は七乃に詳細を伝える

それを聞いていた美羽が

「妾の所為じゃな

 妾がしっかりと政をしていなかった為、豪族達は孫堅に味方するようになったのじゃ」

美羽が落ち込んで話す

美羽は巴ちゃんとの話で私達の国の思想をもの凄い速さで吸収して行った

その中には為政者としての心構えも有った

お馬鹿にしか見えない美羽(失礼)がよく分かったな、と思ったが七乃曰く

「元々頭が空っぽなので、知識が入る場所が沢山有るんですよ

 昔のお馬鹿なお嬢様も可愛かったのですが、今のお嬢様も中々・・・」

 

「美羽、後悔しても始まらないわ

 でも反省して同じ過ちを繰り返さない事が大切なの」

「そうじゃな」

美羽の顔に生気が戻った

「七乃、直ぐに合肥に軍を動かして」

「はいはい~、もう準備は整ってますよ~

 鞘華さんと凪さんに兵3万の全権を委任します~」

私と凪は3万の兵を率いて合肥に入城した

 

~あとがき~

 

今回は台詞による説明が多くて申し訳ありません

 

愛紗は今回初めて一刀に自分の考えの危うさを指摘されました

これで彼女がどうなるかは今後にて

 

孫堅が行動を開始しました

一刀達と次話からぶつかります

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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