No.785549

恋姫外史医伝 華陀と一刀 五斗米道の光と影 第二話

アキナスさん

その出会いは運命か

2015-06-24 13:57:30 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4498   閲覧ユーザー数:3457

黄巾党が各地を暴れ回る中、放浪の旅を続ける一刀がたどり着いたのは涿県の小さな村、楼桑村であった。

 

まずは宿を探そうと一刀は村人に声をかけた。

 

「旅の者だが、このあたりに宿屋は無いか?」

 

「ああ、宿ならその道をまっすぐ行けば看板が立ってるよ」

 

「そうか、助かったよ」

 

「いやいや、しかしあんた変わった格好してるね?」

 

「・・・まあな」

 

そう言うと、一刀は村人に背を向け宿への道を歩き始めた・・・・・

 

 

 

 

 

村人の言っていた通り、道の先には小さな宿があった。

 

早速一刀は部屋を借りる手続きを取り、店主に案内されて部屋へと入った。

 

小さな部屋であったが、手入れは行き届いているようで清潔感はあった。

 

「では、ごゆっくり・・・・・・」

 

店主はそう言って部屋を出て行き、一刀は荷物を置くと寝台に寝転がった。

 

「・・・・・・」

 

天井を見ながらぼーっとしていた一刀だったが、いつのまにかうとうとと寝入ってしまった・・・・・・・

 

 

 

 

 

結局夜まで寝ていた一刀だったが、ドンドンと自室の扉を叩く音で目が覚めた。

 

起きて扉を開けに行くと、そこには慌てた様子の宿屋の主人の姿があった。

 

「お、お客さん!早く逃げてください!黄巾党が村に・・・・・・」

 

「!」

 

荷物を片手に主人と共に宿の入り口まで走ってきた一刀。

 

そこで見たものは、燃える家々と、村人達を次々と虐殺していく黄巾の賊どもの姿であった。

 

「お客さん早く!」

 

「・・・・・・先に逃げろ」

 

「へ?」

 

「まだ助けられる人間がいるかもしれないからな。医者の端くれとして見過ごすわけにもいかんさ」

 

「お、お医者さんだったんですか?」

 

「ああ」

 

そう言うと、一刀は走りだした・・・・・・

 

 

 

 

 

 

村の中を手当たり次第に調べていく一刀だったが、見つけるのは村人の骸ばかりであった。

 

「おい貴様!」

 

一刀が振り返ると、そこには剣を持った黄巾の賊たちの姿があった。

 

「命が惜しけりゃ金目の物を出しな!」

 

「殺してから奪ってやってもいいんだぜ?」

 

一刀を取り囲む黄巾党の賊たち。

 

「・・・・・・」

 

無言で冷たい視線を賊たちに向ける一刀。

 

「何だその眼は?」

 

「もう殺っちまおうぜ」

 

じりじりと一刀に近付いていく賊たち。

 

だが、一斉に飛び掛ろうとした瞬間、賊たちの首は胴から離れていた。

 

切断面から血しぶきを上げて倒れていく黄巾党の賊たち。

 

「?」

 

状況が把握出来ない一刀。

 

そんな一刀に声を掛ける一人の女の子がいた。

 

「お兄ちゃん、大丈夫なのだ?」

 

大きな蛇矛を軽々と担ぐ赤い髪の少女。

 

後に天下に名を轟かす将となる張飛その人であった。

 

「・・・ああ」

 

「良かったのだ!ここは危ないから、どこか安全な場所で隠れてるのだ!」

 

何処かへ走っていこうとする張飛。

 

「待ってくれ」

 

「うにゃ?」

 

「俺は医者だ。生きている怪我人はいないか?」

 

「お医者さん!いる!たくさんいるのだ!」

 

「じゃあ怪我人のもとに案内してくれるか?」

 

「勿論なのだ!!」

 

こうして、一刀は張飛に案内されて怪我人の下へ向かうのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

そこは劉備の実家であった。

 

焼け出され、生き残った村人たちが集まっている。

 

劉備は怪我人達に出来る限りの治療をしていた。

 

しかし、所詮素人の劉備が大した事を出来るわけもなく、劉備は自分の無力をかみ締めていた。

 

「お姉ちゃん!お医者さんを連れてきたのだ!」

 

「本当!?鈴々ちゃん!」

 

「お兄ちゃん!」

 

「・・・ああ」

 

「あ、貴方がお医者さんですか?」

 

「そうだ。とにかく治療を始めさせてもらう」

 

一刀は荷物の封を解き、医療道具を並べ始めた。

 

「じゃあ、鈴々はまたあいつらをやっつけてくるのだ!」

 

「気をつけてね、鈴々ちゃん」

 

「大丈夫なのだ!」

 

そう言うと鈴々は家を飛び出していった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「これで最後だな」

 

怪我人の治療を終えた一刀は額の汗を拭い、息をついた。

 

「本当にありがとうございました。何とお礼をいえばいいか・・・」

 

「いらんよ。医者が患者を治療するのは当然だ」

 

劉備と一刀が話をしているとき、賊を倒しに出ていた関羽と張飛が戻ってきた。

 

「桃香様、ただいま戻りました」

 

「なのだ!」

 

「二人ともおかえり。怪我しなかった?」

 

「あの程度の奴ら相手に怪我などしません」

 

「愛紗の言うとおりなのだ」

 

「良かった・・・」

 

ほっと胸を撫で下ろす桃香。

 

そして、関羽は一刀の方を向いて訊ねた。

 

「貴方が鈴々の言っていたお医者様でしょうか?」

 

「ああ」

 

「怪我人たちの治療をして頂き感謝します。ところで、お名前をお聞かせ願えますか?」

 

「そういえば鈴々も聞いてなかったのだ」

 

「私も」

 

「・・・北郷一刀だ」

 

「北郷殿ですか。私は関羽雲長と申します」

 

「張飛翼徳なのだ」

 

「劉備玄徳です」

 

 

 

 

互いに名乗りあった一刀たち

 

 

 

 

この出会いが外史にどのような結末をもたらすのか

 

 

 

 

知るものはまだいなかった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

どうも、お久しぶりです。アキナスです。

 

一話だけ書いておきながら放置していた医伝、再開することにしました。

 

漢塾も思いつき次第書こうとは思っていますが、とりあえず医伝優先で。

 

しかし、久しぶりに書いたはいいんですが、書くの下手になったなあと思います。

 

まあ、もともと下手だったんですけど(汗)

 

とにかく、医伝も完結を目標に書くつもりですのでまたよろしくお願いします。

 

それではまた次回、お会いしましょう・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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