No.779121

寂しがりやな覇王と御使いの兄56話

あなたまさん

落鳳坡にして窮地に落ちる一刀
その時華琳が・・・

2015-05-23 18:51:43 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:8297   閲覧ユーザー数:6048

風・稟が出立後の洛陽

 

 

月「許褚さんが居なくなっちゃったんですか?」

 

太史慈「先ほど監視の兵から連絡がありました。武器庫に保管しておいた武器を持ちどこかに走っていったと」

 

月「どの方角に向かったかわかりますか?」

 

太史慈「逃走した方角のままでしたら....恐らく・・・方向かと」

 

月「そうですか・・・」

 

太史慈「追ってを出しますか?」

 

月「いえ、その必要は有りません」

 

太史慈「よろしいのですか」

 

月「・・・の方向なら大丈夫です。無用な混乱は避けたいので、兵の皆さんには捕らえたと知らせておいて下さい。」

 

太史慈「かしこまりました、すぐ手配します」

 

月「お願いします。恋ちゃんがどこにいるかわかりますか?」

 

太史慈「呂布殿でしたら、曹嵩様の下に居るかと思います」

 

月「曹嵩さん?護衛ですか?」

 

太史慈「いえ、曹嵩様の傍に居るとよく寝れると申されまして」

 

月「恋ちゃんも寂しいんでしょうね。恋ちゃんはそのままでいいので、またなにかありました言って下さい」

 

太史慈「御意」

 

 

 

 

 

 

 

 

幽州 盧植本陣

 

盧植「・・・・すると、既に洛陽から曹仁軍が動いていると言う訳か」

 

董承「周泰と言えば、豪傑が犇く(ひしめく)曹仁軍の中でも名の通っている将か」

 

朱儁「戦い方は素早い動きで相手を翻弄し、この黒い鏃による投擲と思われる」

 

皇甫嵩「全力は出していないだろうが、あの身のこなしは我々には真似出来ないだろう」

 

董承「劉備を直接狙おうにも、周泰が傍に控えているしの」

 

盧植「矢も弾かれるだけか....」

 

 

 

『申し上げます、張郃様が本陣に到着致しました』

 

 

盧植「張郃か、こちらに呼んでくれ」

 

 

『御意』

 

盧植「要塞の詳細を聞ければいいのだが」

 

董承「内部がわからない事には、対策が立てられないからの」

 

 

『張郃様をお連れ致しました』

 

盧植「来たか、入ってよいぞ」

 

 

張郃「張郃入ります。この度の敗戦の責任は私にあります、罰は私だけに申しつけをお願いします」

 

 

盧植「勝敗は兵家の常だ。それに、今お主を処罰したところで、喜ぶのは敵だけだ。今まで通りにするがよい」

 

張郃「感謝いたします」

 

盧植「ところでお主に聞きたいことがある、要塞の内部をわかる範囲で話してもらいたい」

 

 

張郃「わかりました、私の見た事でよろしければお話いたします。東門から侵入後すぐに防衛手段の一つ、小刻みに作られた地面のデコボコに苦しめられました」

 

朱儁「地面のデコボコじゃと?平らな地面の方が珍しいだろ、普通な事だと思うのだが」

 

張郃「劉備軍のデコボコは全然違いました。大きいのは30cm、小さいのは10ch程度、掘られた深みも同様ぐらいだと思われます。それが不規則且つ隙間なく作られていました」

 

 

張郃「更に進んだところに、これまた大小様々な柵が施されておりました。同じ大きさならば目線を逸らす、態勢を変える必要はないのですが、

 

小さいの柵をある事で、その欠点を潰しておりました」

 

 

董承「地面と柵の二段構えで侵入した兵の速度を殺す・・・動きの鈍い兵などただの的」

 

張郃「私もそう思い警戒していたのですが、敵兵と遭遇する事はありませんでした。不審に思いながら進んでいましたが、気がつくと狭い道から

 

広い広場の様な場所に出ていました、違和感を感じない様に徐々に広くしていたのです。そこで魏延と徐栄率いる伏兵の攻勢に合い、公孫度殿を討ち取られてしまいました」

 

朱儁「伏兵の潜伏場所はわかったのか?」

 

張郃「それはわかりませんでした....いきなり出てきましたで」

 

 

皇甫嵩「張郃が発見出来ぬほど巧妙に隠れられ、足場の悪さも関係無く攻めてくる・・・か」

 

張郃「まだまだ他にも罠があるかと。正直城内に侵入は厳しいと思います」

 

朱儁「外壁を突破しても、内の要塞で敵を討つ・・・盧植よ、お主の弟子はどうなっておるのだ」

 

盧植「うむ、見事だ」

 

董承「呑気に褒めている場合ではなかろう」

 

盧植「今はあの要塞を陥落させる手段はないのだ、慌てても仕方なかろう」

 

董承「曹仁軍がこの状況で襲来したらどうするのだ」

 

盧植「まあ待て、劉備軍の欠点は経験不足だ。前日の野戦を仕掛けた時もそうだが、実践経験が不足しているのはわかった。経験の差は大きく左右されるからの」

 

朱儁「なにか策があるのか?」

 

盧植「偽撃転殺の計だ」

 

董承「偽撃転殺か、攻めるとしたら・・・手薄な北門か」

 

皇甫嵩「問題はどうやって沼地を抜けるかだな」

 

盧植「調べたみたのだが、沼地と言っても大したことはない、この天候が続けば、数日の内に干上がるだろう」

 

朱儁「なるほど・・・確かに沼地を突破できれば、敵の手薄な箇所を突ける、あとは防衛施設を壊しながら進めばいいわけか」

 

董承「少しでも要塞内に対応出来るように、訓練を進めておく」

 

皇甫嵩「・・・・」

 

盧植「皇甫嵩どうかしたのか」

 

皇甫嵩「いや、なんでもない。その間東門と西門はどうする」

 

盧植「先ほど通りでよかろう、兵が疲れぬように状況を見ながら、攻勢を激しくしてくれ。東西・正門に集中させるのだ」

 

 

 

 

 

 

 

南郡

 

冥琳「雪蓮!戦場の選定が済んだぞ、場所は樊城だ」

 

雪蓮「難航不落と言われる樊城ね」

 

冥琳「既に祭殿・穏・思春を向かわせている」

 

雪蓮「あらら、準備が良いわね」

 

冥琳「敵は待ってくれないからな、それに私達は圧倒的に兵力が足りていないのだ。のんびりしている余裕などない」

 

雪蓮「冥琳てば~もっと気持ちを楽にしないとダメよ?」

 

 

???「冥琳が固いのもそうだけど、雪蓮ねーさまは気楽すぎ~~」

 

 

雪蓮「シャオきてたの?」

 

尚香「ひどいーい!お姉ちゃんが呼んだんじゃない!」

 

雪蓮「ごめんごめん、小さくて見えなかったわ」

 

尚香「ブーーー!」

 

雪蓮「ほらほらむくれないの、シャオも戦に出てもらうわよ」

 

尚香「ふ~ん、シャオの力が必要なんだ!」

 

雪蓮「まあね~今は一人でも多く将が欲しいからね」

 

尚香「素直じゃないわね~シャオの力が欲しいって言えばいいのに~」

 

雪蓮「置いていくわよ?」

 

尚香「ごめんなさい、シャオが調子に乗りました」

 

雪蓮「よろしい♪」

 

尚香「お姉ちゃんが袁術の味方をして、南郡を守るために劉表と戦うなんて思ってなかったよ」

 

雪蓮「シャオはずっと江東に居たものね。いまの美羽に会えば、理由がすぐわかるわよ」

 

冥琳「話しを続けるぞ。一刀から急使が来た」

 

雪蓮「一刀から・・・なんて言ってたの?」

 

冥琳「長安からもこちらに援軍を送ってくれるそうだ、美羽・七乃、それと西涼の馬超の従姉妹の馬岱が2万を率いて来るそうだ」

 

雪蓮「これで数の差は無くなったわね、そうなると」

 

冥琳「勝敗を分けるのは、兵の錬度・将の力量の差だろうな」

 

尚香「ねえ冥琳、劉表軍にそんな注意する将っているの?」

 

 

冥琳「武人では水軍司令官の蔡瑁・蘇飛・黄祖の3人。知略面では蒯越蒯良、そして一番要注意人物の徐庶だ」

 

尚香「黄祖・・・母様の仇ね」

 

雪蓮「劉表軍も将は居るわけね、面白いじゃない」

 

冥琳「油断するなよ、蒋欽・朱治を連れて我らも向かうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樊城

 

 

孫権「遅いです姉様!」

 

雪蓮「も~いきなりうるさいわね~」

 

孫権「うるさいではありません!姉様が居ない間に、劉表軍が来襲していたらどうしていたのですか!」

 

雪蓮「私が居なくても、持ちこたえるぐらいはして欲しいわね」

 

孫権「そういう意味ではなくですね!」

 

穏「はいは~い、蓮華様も落ち着いてください~」

 

雪蓮「穏の言うお通りね、少し落ち着きなさい」

 

孫権「誰のせいですか・・・」

 

尚香「もー蓮華お姉ちゃんは固すぎだよー」

 

孫権「シャオ!?来てたの!?」

 

尚香「雪蓮お姉ちゃんと同じ反応なんだけど・・・」

 

 

 

雪蓮「さて、敵の布陣はどうなってるの」

 

 

穏「敵はここから北東10里に布陣してますね~先鋒に黄祖・宋謙・蘇飛・徐庶の旗があります。中軍に蔡瑁・馬謖、後軍に劉表・蒯越・蒯良になってます」

 

雪蓮「その情報はどこから入手したの」

 

思春「私が直接探って参りました」

 

雪蓮「ならその布陣で間違いなさそうね、劉表もやる気じゃない」

 

冥琳「我らはの手段は基本篭城だ、この難攻不落の樊城で時間を稼ぐ」

 

祭「討って出てぬのか?敵を調子付かせるのではないか?」

 

冥琳「討って出るのは、洛陽・長安の援軍が来てからです」

 

祭「ほ、長安からも来るのか」

 

雪蓮「美羽と七乃、それに連合の時に会った馬岱が2万を連れて来てくれるわ」

 

孫権「これで数は互角ですね」

 

尚香「篭城はわかったんだけど、3倍の兵力相手に持ちこたえられるかな」

 

雪蓮「劉表軍に遅れは取らないわよ、安心しなさい。敵は動き出す気配はあるのかしら」

 

穏「それがですね、敵さん布陣してから全く動きがないんですよ」

 

冥琳「一度も戦闘をしてないのか?」

 

穏「はい~相手が布陣してから5日は経つのですが、全く動かないんですう」

 

祭「儂が部隊を繰り出しても無反応じゃったな」

 

雪蓮「冥琳はどう思う?」

 

冥琳「現時点ではなんとも言えんな。思春は前軍の情報を探ってきてくれ」

 

思春「わかりました」

 

 

 

孫権「姉様、思春が調べてる間は何をしますか」

 

雪蓮「ん~~お昼寝でもしてましょうか」

 

尚香「シャオもお昼寝する~」

 

 

冥琳・孫権「「雪蓮!『雪蓮姉様!』」」

 

 

雪蓮「冗談よ冗談♪」

 

祭「冗談には聞こえなかったぞ策殿」

 

穏「絶対さぼるつもりでしたね~」

 

雪蓮「祭と穏まで...ひどいわねーブーブー!」

 

冥琳「思春が戻るまで各自休息にしよう、今から気を張ってても仕方ないからな」

 

雪蓮「私もそれが言いたかったのよ」

 

孫権「嘘ですね」

 

尚香「嘘だね~雪蓮お姉ちゃん」

 

 

 

 

 

 

劉表軍・前軍

 

 

(思いのほか警備が甘い・・・これでは進入してくださいと言ってる様なものだ。どうなっているのだ?む、あそこから声がする...行くか)

 

 

 

兵士A「おい聞いたか?長安で劉焉様が敗れたらしいぞ」

 

兵士B「本当か!?曹仁はどうしたんだ」

 

兵士A「軍勢を整えて、漢中に向かうらしいぞ」

 

兵士B「しかし、幽州では袁紹様が劉備相手に優勢らしいぞ」

 

兵士A「劉焉様が危ういとなると、俺達が孫策達を速く倒さないといけないわけか」

 

 

 

兵士C「お、おい大変だ!洛陽・長安から曹仁軍の援軍部隊がこちらに向かってるぞ!」

 

兵士A「なんだと!敵の将はわかるか」

 

兵士C「俺も聞いた話だから本当かわからんが、洛陽からは郭嘉・黄忠・呂蒙・典韋だそうだ」

 

兵士D「黄忠ってあの弓の名手か!?弓の神・曲張と称されているあの黄忠か!?」

 

兵士B「それと典韋と言えば、曹仁軍の主力部隊・ワンコ隊の一人と聞くぞ」

 

兵士A「呂蒙も智勇兼備の将と聞くぞ、長安の部隊はどうなっているのだ」

 

兵士C「長安からは袁術・張勲・馬岱だそうだ」

 

兵士D「黄巾党・反連合で暴れた袁術とその懐刀の張勲、それと西涼の馬一族か」

 

兵士B「なんでこんな豪傑が来るんだよ」

 

兵士A「こちらには徐庶様がいらっしゃる、徐庶様の軍略を信じよう」

 

兵士D「しかし、敵には郭嘉と周喩がいるのだぞ!曹仁がその二人を含め、知将十傑と呼んでいるそうだ」

 

兵士C「俺も聞いたことがある。荀彧・程昱・郭嘉・賈詡・曹操・諸葛孔明・龐士元・周喩・劉備玄徳・陸遜と」

 

兵士A「どれも大陸に轟く軍師達ではないか!」

 

兵士B「これは駄目かもしれない・・・逃げる準備をしておいたほうがよさそうだぞ」

 

兵士D「それより孫策軍に投降した方がいいのではないか?」

 

 

 

(なるほど、敵兵の士気がここまであがらないのか。念のために他の兵達も調べてみよう)

 

 

 

 

兵士E「たまったもんじゃないぜ、曹仁と関わりが深い袁術の領土なんか攻めたら、援軍が来るに決まってるじゃねえか」

 

兵士F「その通り、孫策軍だけならともかく、無敗と言われる曹仁軍を相手なんかしてられねーよ」

 

兵士G「しかも長安と洛陽から援軍がくるみたいだぜ?洛陽軍・長安軍・孫策軍の三方向から攻められたらお終いだ」

 

兵士E「だいたい最初から無謀だったのだ!袁紹様を盟主として劉表様、劉焉様で天下統一を成し遂げるなど」

 

兵士F「声が大きい、聞かれたらどうするのだ」

 

 

 

(これは決まりだな、雪蓮様に報告しよう)

 

 

 

 

 

 

徐庶「行きましたか」

 

黄祖「言われた通り兵達に噂を流せたが、これでよかったのか」

 

徐庶「上出来です、これで敵はこちらを舐めてかかってくるでしょう」

 

蘇飛「この後はどうするのですか」

 

徐庶「兵達の一部を敵に投降させます。投降する時に、黄祖殿に似た囚人を土産に持たせます」

 

蔡瑁「なぜ黄祖殿の首を持たせるのだ」

 

徐庶「奴らは母親・孫堅の仇を取りたがってます、それを知った兵達が黄祖殿を捕縛し敵に投降する。これで恐らく周喩・陸遜と言えど、間者の報告と聞いてるでしょうから、十中八九信用するでしょう。こうして埋伏の毒を送り込みます」

 

黄祖「なるほど。噂を利用して、敵内部に進入するのか」

 

徐庶「その兵達と一緒に、蘇飛殿も向かってください。ただし、一般兵と偽り向かってください」

 

蘇飛「将が居ないほうが怪しまれずに済むか」

 

徐庶「その後驕兵の計を仕掛けます」

 

蔡瑁「驕兵の計?どういうのだ」

 

徐庶「敵が攻めてきた時に、ほどほどに戦い”わざと”負けます。これを繰り返し行いこの陣を放棄します。これにより敵には心理的余裕が生まれます、この戦は”勝てる”とね。その後も戦っては負けを繰り返し、中軍の陣も破棄します」

 

徐庶「そして敵が油断し、食料・武具を運び入れた時に・・討って出ます」

 

蔡瑁「作戦はわかったが、彼奴らがその誘いに乗るか?」

 

黄祖「そうじゃの、曹仁の明言したと言う、知将十傑の二人がおるのじゃぞ?」

 

徐庶「そうですね、確かに上手くやらなければ見破られる可能性があります。なので、手を抜かずに戦ってもらいます」

 

黄祖「全力で戦い、時期を見て撤退する。つまりはこういう事か」

 

徐庶「それに付け加えて、少しは追い払ってください。より信憑性がまします」

 

蘇飛「なかなかの無理難題じゃの」

 

蔡瑁「じゃが、それしか手が無いだろう」

 

徐庶「撤退の指示はこちらが出します、みなさんは全力で戦ってください」

 

黄祖「承知した、頼むぞ我らの軍師殿」

 

 

 

 

 

 

徐庶「孫策軍の将は、孫策を含め猛者が多い。まともにぶつかるのは愚策。ふふふ、私の策見破れますかな?周喩殿、陸遜殿」

 

 

 

 

 

 

 

樊城

 

思春「雪蓮様、冥琳様、ただいま戻りました」

 

雪蓮「待ってたわ、敵陣はどうだったかしら」

 

思春「穏が言っていた通りでした、敵兵の士気はかなり低く、投降・脱走を企てる兵士もおりました」

 

冥琳「士気低下の原因はなんだったのだ」

 

思春「劉焉が破れた事、長安・洛陽から援軍が来ると言う事で、勝ち目がないと言っておりました」

 

雪蓮「まあそうよね~私達が篭城に徹すれば、奴らは挟撃にあうもの」

 

冥琳「隙を見て討って出るつもりだったからな、そこまで士気が低下しているならば好都合だ」

 

 

雪蓮「思春はいつでも出撃出来るように準備しておけと伝えなさい」

 

思春「かしこまりました」

 

 

雪蓮「この戦勝てるかしら」

 

冥琳「どうした?お前にしては随分と弱気じゃないか」

 

雪蓮「えー私はいつでも大人しくて内気な女の子よ?」

 

冥琳「どの口が言ってるんだ」

 

雪蓮「・・・冥琳」

 

冥琳「なんだ」

 

雪蓮「この戦勝ちましょうね・・・あの子の為にも」

 

冥琳「そうだな...あの子が愛してる土地や民を守り抜こう」

 

 

 

 

 

 

 

漢中

 

劉焉「忌々しい小僧め!どこまで儂の邪魔をするつもりじゃ!」

 

李厳「漢中の民からの反発が大きくなっています」

 

劉焉「そんな事はわかっておる!」

 

 

黄権「劉焉様、曹仁軍がこちらに向かってきています。迎撃の準備を」

 

劉焉「その必要はない」

 

黄権「どういうことでしょうか」

 

劉焉「そのままの意味じゃ!儂に味方しない漢中など、すべて壊し焼き払い小僧にくれてやるわ」

 

李厳「漢中を破壊するおつもりですか!」

 

劉焉「そうすれば奴らは漢中で兵を休ませることも、補給することも出来まい。奴らが撤退した後、再び奪い返せばよいわ」

 

李厳「しかし!そんな事をすれば、漢中の民の恨みを買いますぞ!」

 

劉焉「そのような者など殺してしまえ!儂に従わない者など不要だ。軍が動けるようになればすぐに実行しろ」

 

黄権「漢中を捨てて涪城に戻るのですか?」

 

劉焉「儂に考えがる、雒城に向かえ!反抗する者はすべて斬るのだ!」

 

李厳「劉焉様!」

 

劉焉「くどいぞ李厳!お前の主は誰だ?儂の命に従え」

 

李厳「・・・・御意」

 

 

 

 

 

 

呉蘭「劉焉様、漢中の焼き討ち完了いたしました。反抗した民の処刑も済んでおります」

 

劉焉「よくやった、これで奴らは儂の手の内よ。雒城に進め!遅れる者は斬って捨てろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀SIDE

 

 

一刀「おかしい、漢中に迫ってるのに敵兵の気配がない」

 

詠「篭城してるだけじゃないの?」

 

桂花「それだといいのだけど、気性が荒い劉焉が大人しく篭城を選ぶかしら」

 

ヒゲ「あっしが偵察に行って参りやしょうか」

 

一刀「そうだな・・・それじゃあヒゲと秋蘭頼む」

 

ヒゲ「へい!」

 

秋蘭「お任せください」

 

春蘭「一刀様ー!私も行っていいですか!?」

 

一刀「だ~め、春蘭はここで待機」

 

春蘭「元気が余ってるんです!行かせてください!」

 

一刀「じゃあ行ってもいいよ」

 

春蘭「本当ですか!」

 

霞「許可出してええんか?」

 

一刀「ただし、行ったら今日の晩飯抜きだから」

 

春蘭「大人しくしてます。。。」

 

霞「なんや、聞き分けがいいやないか」

 

春蘭「当たり前だ!一刀様の作ったご飯が食べられないのだぞ!これは私にとって死活問題なのだ!」

 

 

桂花「あの猪が・・・」

 

凪「あの春蘭様が・・・」

 

霞「惇ちゃんが・・・」

 

桂花・凪・霞「「「死活問題って言葉を知ってる!?」」」

 

春蘭「どういう意味だ!!貴様ら~~~!私をバカにしすぎだあああ!」

 

チビ「な、なぜこっちにくるんですか!」

 

春蘭「知らん!貴様がそこにいるからだああ!」

 

チビ「理不尽だあああああ!」

 

春蘭「待たんかああああ!」

 

 

霞「懐かしいな~」

 

凪「そうですね、昔はよく見られた光景です」

 

桂花「ふん、いつでも騒がしいんだから」

 

一刀「こんな光景が見れるようになるさ・・・毎日な」

 

 

 

 

張任「・・・・」

 

華琳「ぼんやりしてどうかしたの」

 

張任「こんな光景・・・見るのが初めてなので・・・いいものですね」

 

華琳「死んで楽になろうなんて、愚者のする事よ。この世にはまだまだ見た事ない光景、出来事があるんですもの。それを見ないで死ぬなんて、もったいないでしょ?」

 

張任「左様でございますな」

 

 

 

 

 

 

 

詠「ん?戻ってきたみたいよ、なんか慌ててるけど」

 

ヒゲ「た、たたたたた、大変です!」

 

一刀「落ち着け、なにがあった!」

 

ヒゲ「かかかかか漢中が!漢中が燃えています!」

 

桂花「なんですって!?」

 

一刀「どういう事だ!詳しく説明しろ!」

 

ヒゲ「あっしと夏侯淵様が偵察に向かった先に、難民をおもしき一団に出くわしました。そこでその者達に話しを聞いたんですが、劉焉が街を壊し、反抗者はすべて斬り、すべてを焼き払っていなくなったそうです!夏侯淵様は難民の保護をしてやす!」

 

一刀「すぐその人達がいる場所に案内しろ!それと詠は華陀を呼ぶんだ!」

 

詠「わかったわ!」

 

ヒゲ「へい!こちらです!」

 

 

 

 

 

 

ヒゲ「あちらです!」

 

一刀「秋蘭!」

 

秋蘭「一刀様、こちらの者達になります」

 

 

長老「夏侯淵将軍からお話を聞いております、よくぞお越しになられました曹仁様。このような場所での面会申し訳ございません」

 

一刀「そんな事は気にしません。いったいなにがあったのですか」

 

長老「あれは劉焉が漢中に戻ってきてすぐじゃった・・・雒城に撤退する、漢中は曹仁様に明け渡すならば、廃墟にして渡してやると破壊を始めたのです。反抗した者達はみな殺されました。元々漢中の兵士も戦いましたが、同じように殺されてしまいました」

 

桂花「それがこの有様なのね。廃墟にすれば、そこを拠点にすることは出来ない。兵達を休ませる事も、補給をする事も困難になる」

 

詠「従わない者の見せしめ・・・つまりこういう事ね」

 

 

華陀「一大事と聞いて来たが、なんだこの状況は!」

 

長老「おぉぉ、華陀坊やではないか。生きておったのか」

 

華陀「長老!何があったんだ!」

 

長老「劉焉に何もかも破壊されたのじゃ。すべてを壊し、すべてを焼き払い去っていった」

 

華陀「城を・・・街を・・・すべて廃墟にしたというのか!」

 

一刀「待て!」ガシ

 

華陀「離せ一刀!」

 

一刀「・・・どこに行くつもりだ」

 

華陀「決まっている!劉焉を討ちに行くんだ!」

 

一刀「駄目だ、華陀は長老達とここにいるんだ」

 

華陀「ふざけるな!俺を迎えてくれた人達をこんなめに合わせたんだ!黙ってられるか!」

 

一刀「お前の仲間を大事にする心は尊重したい。だがな!だからこそお前を行かせるわけにはいかない」

 

華陀「なぜだ一刀!」

 

一刀「お前が医者を続けているのはなぜだ!人を殺す為か?人の急所を調べ、暗殺する事か?違うだろ!お前は人を”治す”為に医者をやってるんだろ!そんなお前に返り血を浴びせるわけにはいかない。わかってくれ、華陀」

 

 

 

 

華陀「すまない・・・頭に血が昇りすぎていたようだ」

 

一刀「傷ついた人達を治すのがお前の役目だろ?手を汚すのは俺達の仕事だよ。デクは民を長安まで護衛してくれ。王允に事情を話せば対応してくれるはずだ」

 

デク「任せろなんだなー民はおいらが守るだ」

 

一刀「春蘭・詠・ヒゲ・チビは少しでもいい、漢中の復興を頼む」

 

春蘭「お任せください!私がすぐ直して見せます!」

 

詠「あんたに出来るわけないでしょ、私の指示に従いなさい」

 

春蘭「なんだとぅ!」

 

一刀「喧嘩しないの、責任者は詠に任せる。春蘭・ヒゲ・チビは詠に従って行動してくれ」

 

ヒゲ・チビ「へい!」

 

春蘭「わかりました」

 

一刀「こんな役回りばっかりですまないな」

 

詠「確かに僕だって軍を指揮して戦いたいわよ?でも僕なら出来ると信じて頼んでるわけでしょ?なら僕はその信頼に応えるだけよ。それに・・・張魯を殺されてから、漢中の民はずっと疲弊を強いられてたのよ?これ以上疲弊なんてさせたくないもの。だから私に任せて、あんたは元凶を討って来なさい!しくじったらデコピンだからね!」

 

一刀「あぁ、劉焉は任せろ。漢中を頼んだぞ、詠」

 

詠「ふん・・・・あんたも気をつけなさいよ」ボソ

 

一刀「詠も気をつけてな」

 

 

詠「ちょ!独り言を聞いてるんじゃないわよ!さっさと行きなさい!」

 

 

一刀「素直じゃないなあ・・・復旧組みを残し、我らは雒城に向かう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄権「劉焉様、曹仁率いる軍を捕捉しました。曹仁は先頭におります」

 

劉焉「準備は出来ているのだろうな」

 

黄権「既に配置に就かせております。万が一落石を防げたとしても、無傷ではいられないでしょう。そこに2万の兵を繰り出し討ち取ります」

 

劉焉「指揮は貴様に任せる、裏切り者の張任もろとも殺せ、しくじるでないぞ」

 

黄権「御意」

 

劉焉「それと、厳顔達はどうしている」

 

黄権「いまだ涪城を攻撃しております」

 

劉焉「小僧を始末したら、厳顔達を始末するぞ」

 

黄権「お任せください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「急に険しくなってきたな、後続は続いてきてるか」

 

凪「少し遅れ気味ですが大丈夫です」

 

一刀「どこか休める平地があればいいのだが・・・張任、ここの場所はわかるか?」

 

張任「雒城付近の落鳳坡かと思われます、雒城まではもう少しです」

 

一刀「雒城まで迫れば、厳顔達と連携して攻撃できる。涪城はどうなっている」

 

桂花「厳顔達が抑えてるみたいよ、やっぱり涪城を先に落としたほうがよかったんじゃないの?」

 

張任「成都を含め蜀のほとんどをすでに厳顔は奪取しております、涪城に篭る呉懿・王平は話しのわかる人物。利害を説き説得に成功すれば、大人しく降るでしょう。厳顔に彼らを説得するように、使者を送るのがよろしいかと愚考します」

 

桂花「一理あるわね、説得に応じる相手ならば、攻める必要がない。ならば、劉焉に態勢を整える時間を与えずに攻勢を仕掛けるべきね。成都は大丈夫なの?」

 

張任「成都は蜀随一の知恵者・法正が守っています。なので雒城だけに専念して問題ないと思われます。この難所はもう少し続きますが、抜ければ雒城までは目と鼻の先です」

 

 

 

 

秋蘭「華琳様、大丈夫ですか」

 

華琳「えぇ、大丈夫よ。それにしても、落鳳坡と言ったかしら?益州は険しい箇所だらけね」

 

一刀「足元には注意して進むのだ・・・!」

 

まて、落鳳坡だと!?

演義で鳳雛・龐士元が劉備と誤認され射殺された場所

くそ!なんで張任が言った時に気が付かなかったのだ!

 

 

華琳「そんな慌ててどうかしたの?兄さん」

 

華琳が言ってくるが、応えてる余裕はない

どこだ!黄権・李厳がこの場所を見逃すわけがない・・・あそこか!落石!不味い!

 

 

 

一刀「全軍急ぎ後退せよ!落鳳坡から離れるのだ!」

 

桂花「ちょっと、いきなりどうしたのよ」

 

凪「隊長?」

 

一刀「この場所は敵の罠だ!このままでは落石で押しつぶされる!」

 

霞「なんやて!?みな急ぎ!後退するんや!」

 

秋蘭「急ぎ後退せよ!敵の罠に嵌るぞ!」

 

 

 

 

 

劉焉「ッチ、気がつかれたか!黄権、殺れ!」

 

黄権「っは!岩を落せ!曹仁軍を埋めてしまうのだ!」

 

 

 

 

 

 

秋蘭「武具は捨ててもよい!早く逃げるのだ!」

 

一刀「凪!気弾で岩を砕くぞ!手伝え!」

 

凪「はい!」

 

一刀・凪「「猛虎蹴撃!」」

 

 

 

 

霞「一刀達が退路を守ってくれてる!今のうちに逃げるんや!」

 

一刀「ここはもう大丈夫だ!凪も行け!」

 

凪「私は最後まで残ります!」

 

一刀「駄目だ!落石はここだけと限らないんだ!兵達を安全に後退させる為にも、凪に頼みたいんだ」

 

凪「隊長・・・わかりました。隊長もすぐ来てくださいね」

 

一刀「あぁ、約束だ」

 

 

華琳「兄さん!」

 

一刀「何をしている!華琳も早く逃げろ!」

 

華琳「逃げるなら兄さんと一緒に!」

 

一刀「秋蘭!桂花!華琳を連れて先に退け!」

 

華琳「嫌!十常侍の時みたいに、兄さんが犠牲になるのはもう見たくない!」

 

張任「曹操様!頭上に落石です!お逃げください!」

 

華琳「え?」

 

秋蘭「華琳様!」

 

 

 

秋蘭と桂花が華琳を連れたか!あとは岩の軌道をこちらに逸らすだけだ!

 

 

霞「あのバカまさか!」

 

 

一刀「はぁぁぁぁ!猛虎蹴撃!」

 

 

ドゴーーン

 

 

そっと目を開けたら秋蘭と桂花が私を庇ってくれていた

また貴方達に助けてもらったわね。岩は兄さんが逸らして・・・そうだ兄さんは!

 

 

華琳「兄さん!」

 

私がいた場所には兄さんが砕いた岩が積み重なって、完全に兄さんと私達を遮断していた

 

秋蘭「一刀様!ご無事ですか!」

 

桂花「一刀!」

 

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一刀「3人共無事か・・・よかった」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

華琳「兄さんも無事なの!いま助けに!」

 

秋蘭「私がいまそちらに!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

一刀「駄目だ、殿を後軍を率いて退け」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

華琳「兄さん・・・まさか怪我して動けないの!?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

一刀「そうじゃない、劉焉軍の追撃部隊が来ているんだ、俺はここで食い止める」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

華琳「待って!兄さん行かないで!」

 

 

 

 

 

どうしても・・・・逝くの?

 

 

 

 

ああ・・・・もう終わりみたいだからね・・・

 

 

 

 

・・・・逝かないで

 

 

 

 

華琳(今のは・・?)

 

 

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一刀「ごめんよ・・・華琳。俺の変わりに軍を率いてくれ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

一刀・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さようなら・・・誇り高き覇王・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さよなら・・・・寂しがり屋の女の子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さよなら・・・愛していたよ、華琳ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

華琳「・・・・・一刀」

 

 

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一刀「・・・!いまなんて・・・」

 

 

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華琳「ずっと・・・ずっと側にいるって言ったじゃない!戻ってきて!一刀ーーーーーー!」

 

 

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一刀「秋蘭!桂花!引きずってでも華琳を連れて退け!」

 

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桂花「華琳様!逃げますよ!」

 

秋蘭「華琳様!」

 

 

華琳「嫌・・・嫌・・・・」

 

桂花「一刀はこんな所で死にません!一刀を信じ、愛しているならここは退いてください!」

 

華琳「桂花・・・」

 

秋蘭「そうです華琳様・・・一刀!今度はちゃんと私達も下へ戻ってこい!今度約束を違えたら許さんぞ!」

 

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一刀「秋蘭・・・当たり前だ、すぐ戻る!行け!」

 

 

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華琳「すぐ戻ってくるわ!私の許可無しに死んだら許さないから一刀!」

 

 

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霞「・・・思い出したみたいやな」

 

一刀「あぁ・・・まさかこんな形で思い出すなんてな」

 

霞「状況が似とったからな。それと、うちにも逃げろなんて言うんやないで?うちは最後まで一刀と一緒に戦う!」

 

一刀「何言ってるんだよ、俺と霞がいるんだよ?こんな所でくたばる訳ないだろ?」

 

霞「うっしっし、そうやな。うちと一刀が組んだら天下無敵や!」

 

一刀「それじゃあ霞逝こうか」

 

霞「うん、一刀」

 

 

 

 

 

 

劉焉「小僧!ここが貴様の墓標だ!かかれええ!」

 

 

 

劉焉の号令と共に突撃してくる兵達を薙ぎ払う一刀と霞

その姿に劉焉軍の兵士は怖気づいた

 

 

劉焉「相手はたった二人だ!数で押し切れ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「元曹操軍警備隊隊長、現曹家棟梁長・曹仁子孝」

 

霞「元曹操軍、現曹仁軍所属・神速の張文遠」

 

 

 

 

一刀・霞「「仲間には手出しさせん!死にたい奴からかかってこい!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覇王がとうとう目覚めました

 

 

一刀サイドと華琳サイドで別けたかったので

 

 

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↑は岩を挟んで会話してると思ってください

 

 

 

 

 

この作品での能力を前提に、この10人は格が違うっていうのを表現したかったので

天下知将十傑を決めてみたした。○○じゃなくて○○入れたほうがしっくりくるってのがありましたら教えてくださいー

 

盧植と陳宮を入れた方がいいか悩んでるので・・・

 

 

次回から華琳が”覇王”として暴れます

 

シャオの口調あってるかな?

 

深さの単位とか検索してもわからなかったので、cm使ってます

 


 
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