No.777048

真・恋姫無双 覇王伝 第八話

ZSANさん

黄巾党討伐に向かう一刀達

2015-05-13 16:46:03 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4373   閲覧ユーザー数:3654

~一刀視点~

俺は外で夜空を見上げながら、考え込んでいた

黄巾党の討伐命令が美羽から届いた

揚州の黄巾党の本隊が潜んでいると思われる砦を攻略するように、との内容だ

この依頼と云うか命令を遂行する事は問題無い

だが、それとは別にこれからの行動指針について考えていた

俺の知ってる歴史を基に考えても、漢王朝はもう終焉を迎える

その時、俺の取る行動は・・・

考えとしては纏まっている

だが、それが本当に正しいのか、最善なのか、独りよがりじゃないのか、皆の賛同を得られるのか

何より、その道は多くの犠牲を強いる 一般の人達を中心に・・・

その道を選んで良いのか?

いくら考えても結論が出ない

 

「また一人で天体観測?」

不意に声を掛けて来たのは鞘姉だった

「こっちの世界は星が良く見えるからね」

「元の世界じゃした事なんてないくせに」

軽口を言い合って、また空を見上げる

「また、私の胸で泣く?」

「鞘姉の胸でと云うのは魅了的だけど、今は辞めておくよ」

また沈黙に戻る

「何を悩んでるかは分からないわ

 でも、一人で抱え込む必要は無いよ

 私も皆も一君を支える

 間違った道へ進みそうなら、殴ってでも止める

 重い荷も分かち合えば軽くなるわ

 私達を信じて、ね」

そうだな、俺一人で出来る事なんて、たかが知れてる

ならば、皆に頼るのも良いか

「ありがとう、鞘姉

 楽になったよ」

楽になった気持ちで、また夜空を見上げる

翌日、皆を『特別会議室』に集める

ここは、極秘の会議をする時に使う部屋だ

それなりの広さがあるが、此処での会議に集まれるのは中心メンバーのみ

万が一にも間諜や護衛の兵に聞かれたくない話し合いをする時に使う部屋だ

単純に屋根裏や床下が無く、防音の為壁が分厚い部屋なのだが

一般の役人達には、真桜の工房で通っている

その為、誰も近寄ろうとしない

まあ、一度爆発事故を起こしてるからな・・・

 

「昨日、美羽から黄巾党討伐の指示が送られて来た

 揚州の黄巾党の本隊が占拠している砦を落とせと、そんな内容だ」

「一刀はん、そないな内容の話ならこの部屋でなくてもええんやないの?」

「沙和もそう思うの~」

真桜と沙和が疑問を挟むが

「編成を決める前に、話しておきたい事が有る

 その為にこの部屋での会議にしたんだ」

俺の言葉で部屋の空気が引き締まる

「先ず、この黄巾の乱は漢王朝が持たなくなってる事を示している

 だから、この乱が終結しても平和な時はやってこない

 戦乱の世になる序章が黄巾の乱だ」

三羽烏は驚いた表情をしているが、静里や氷雨は神妙な顔をして頷いている

「その時の俺達の行動指針を話しておきたい

 俺は、漢王朝を立て直すのではなく、新たに一つに纏める道を取るつもりだ

 諸侯は恭順させるか、攻め落とすか

 そうして一つの勢力に纏める

 場合によっては漢王朝も敵として倒す!」

最後の言葉で全員の顔がこわばる

この国の誰もが言ってはならない言葉だろう

「この意見に反対な者は申し出て欲しい」

一旦の静寂が訪れる

「まあ、現実的には一君の考えが一番だろうから、私は反対しないわ」

鞘姉が静寂を打ち破ると

「一兄の考え方が一番理に適ってるね」

「一刀様に従います」

「うちもや」

「沙和もなの~」

「一刀さんの大望を叶える為にに私の智をお役立て下さい」

「偶然選んだ主君が此処までの器とは思いませんでした」

編成は俺と凪と静里が出陣する

鞘姉は俺の名代として、巴と真桜は塩田の作業を進める為、沙和は凪が居ない間の軍の纏めとして、氷雨は数少ない内政の要として残留

 

「美羽様達は出陣しないのですか?」

「南の方の分隊を孫堅さん達に討伐させるらしい」

2万の兵を引き連れ、凪とそんな会話をしていたら

「報告します、この先5里の所で黄巾党と義勇軍と思われる者達が戦闘をしております」

この報告を受けて、その場所へ向かう

戦場の全貌が見渡せる丘の上から見て

「静里、どう思う?」

「義勇軍は黄巾党をおびき出して、開けた所で一気に殲滅するつもりですね

 このままなら義勇軍の勝利です」

静里の分析を聞いていた時に

「黄巾党の大軍が向ってきています

 数は約2万」

此方と同数か

「よし、其方は俺達が殲滅する」

「弓隊で一斉斉射の後一刀様とと凪さんの部隊で突撃、両部隊はそのまま敵を突き抜けて下さい

 突き抜けたら反転して、今度は本隊と挟撃して下さい」

静里と顔を見合わせて頷く

「この戦いが我等の初陣だ!

 民を苦しめる黄巾党の奴等を殲滅する!」

両軍がぶつかった

 

黄巾党は此方の存在に気付くのが遅れたらしく、隊列が整っていない

まあ、野盗に毛が生えた程度の連中の為、気づいていても同じかもしれない

そこに俺達の部隊が突撃を仕掛けた

「何だ、こいつ等~?」

襲う事には慣れていても、襲われる事には慣れていない黄巾党はあっと言う間に大混乱に陥った

そして、作戦通りに敵を突き抜け反転 本隊と挟撃する

この地の黄巾党は壊滅した

「一刀様、戦死者は100人余り

 重傷者は500人余りです」

「この規模の戦としてはかなり少ない損害です」

凪の報告に静里の補足が入る

それでも100人余りの死者が出たのは俺の心に影を落とす

そんな時

「北郷様、義勇軍の大将達が面談を求めています」

「ここへ通してくれ」

 

「始めまして

 私はこの軍を率いている劉備玄徳です」

「劉備様の第一の家臣、関羽と申す」

「鈴々は張飛なのだ」

「諸葛亮でしゅ」

「鳳統です」

相手の自己紹介に驚いた

関羽は兎も角、他の全員の姿が想像の斜め上だった

まあ、関羽も女性という事を考えれば、同じなんだが

「呉郡太守北郷一刀だ」

此方も礼儀上名を名乗るが

「朱里、雛里?」

静里は驚いた声を上げた

そう云えば、氷雨が朱里と雛里は劉備に仕える事になったと言ってたな

ついでに胸の事も

確かに劉備と関羽は巨乳だな・・・て何を考えてるんだ、俺は

 

「あの、北郷さんと云えば『天の御遣い』との噂ですが・・・」

「桃香様、あの様な与太話を信じているのですか!」

劉備の質問を遮る関羽だが、本人を目の前にして言うか?随分失礼な娘だな

「でも『天の御遣い』様なら私の理想に協力してくれるかもしれないよ」

「君の理想?」

俺が先を促すと

「はい、皆が笑って暮らせる世の中を創る事です!」

俺は呆れた、いや正気を疑った

その考えはある意味立派だ 俺とてそうしたい

だが過程が抜け落ちている

清濁併せのむ覚悟も無い

氷雨の言った甘すぎるとの評価が良く分かった

「俺は君達とは協力できないよ」

「な、何故です!」

劉備が声を荒げるが

「俺の行く道は君達には承服できないだろうからね」

俺は平然と答えた

「桃香様の理想を理解出来ないとは!

 とんだ『天の御遣い』ですな!」

関羽が挑発的な言葉を掛けて来る

「俺がこの地に来たのが『天意』だったとしたら、『天意』は君達に協力しろとは言っていない証拠だ

 劉備の理想は『空論』でしかないからな」

俺はそう言ってその場から立ち去ろうとすると

「貴様~!」

関羽が向かって来た しかし

「それ以上この方に近づくな

 刃を向けたなら私が相手だ!」

凪が間に立ち塞がった

「愛紗ちゃん、駄目だよ~

 愛紗ちゃんが失礼しました 私達はこれで」

と劉備は関羽を引っ張って行った

 

「あの一刀さん、報告が・・・」

静里が苦笑いをしながらやって来た

「私達が討伐する目的の黄巾党ですが、先程討伐した者達の様です

 しかも全員が出て来たようです」

「えっ?つまり・・・」

「はい、砦にはもう誰もいません

 命令は完了です」

~あとがき~

 

一刀の取る道は華琳に近いです

サブタイトルが「覇王伝」ですから

 

静里の策は騎馬隊有っての物かもしれませんが、相手が黄巾なら歩兵でも可能かと

一刀達の騎馬戦は今後です

 

桃香は安定のお花畑です

愛紗は桃香教にはまり込んだ愛紗です

改心はどうなるか 単なる悪役で終わらせたくは有りません

これは桃香も同様です

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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