No.776914

恋姫OROCHI(仮) 参章・弐ノ弐 ~鬼の正体~

DTKさん

どうも、DTKです。
お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m
恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、52本目です。

凪が持ってきた化け物の噂を調査する組のお話です。

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2015-05-12 21:52:51 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:4057   閲覧ユーザー数:3516

 

 

 

 

西の空が赤みがかった頃、

 

「この辺りには拠点っちゅーとここしかあらへんから、居るとしたらやっぱここかなぁ~?」

 

噂の化け物がいると思われる古い砦に着いた。

 

「うぅ~~…お化けが出そうなの~」

 

鞠ちゃんの言うとおり、ボロボロのそれはお化け屋敷のような趣だ。

 

「野盗とかに悪用されないように、こういうのは完全に壊して回ってるんですけどね~。なかなか手が回らないのですよー」

 

そんな中の一つがこれ。

防御力は皆無そうだが、人が屯したり寝起きをするには充分な代物だ。

 

「どうしますか、隊長。踏み込みますか?」

「う~ん…天女の方の噂が本当なら、手荒な真似をするのもなぁ~…」

 

ポリポリと頭をかく。

 

「んな甘っちょろいこと言ってねぇで、ぶっこんで何か居たら居たでぶっ殺す。

 いなけりゃいねぇで、ついでにあの砦をぶっ壊しゃあ、一石二鳥じゃねぇか」

 

全くもって物騒極まりないことを言い出す小夜叉。

俺の話は全く聞いてくれてないみたいだ。

 

「ちょ、ちょっと待って!噂通りなら相手は一人?一匹?…だからね?とりあえず所在だけでも確認しよ?ね?」

「所在の確認ってー?」

「いや、もし良い人なら呼びかければ出てくるんじゃないかなーと。たのもー!たのもー!!」

 

とりあえず大声で来訪を伝えてみる。

 

「ちょっ…ダァホ!!敵にこっちの存在気付かせてどないすんねんっ!!」

「――――剣丞かっ!?」

「「「えっ?」」」

 

霞のゴツッ!という拳骨が落ちる音と、中からの返答はほぼ同時だった。

チカチカする目で声の方を確認すると、現れたのは鬼のような化け物ではなく…

 

「……女の、人?」

 

女性にしては巨躯な方であり、服装や髪の色も確かに赤みがかってはいるが、紛れも無く人間の女性だった。

 

「壬月なのー!!」

 

鞠ちゃんが駆け出し、その女性に飛びついた。

 

「ま、鞠!?何故、お主がここに…」

 

驚いた顔をしながら鞠ちゃんを抱きとめるその女性。

どうやら、彼女も戦国時代の人間のようだ。

 

「小夜叉。彼女は?」

 

女性が出てきた途端、つまらなそうに足元の小石を蹴飛ばし始めた小夜叉に尋ねる。

 

「あ~ん?あぁ、あいつは殿の…織田上総介様の家臣で、柴田勝家ってんだ」

「あぁ~…うん、なるほど」

 

納得。『鬼』柴田ってわけだ。

確かに見た目から、いかにも猛将って感じだ。

 

……なんか呉に居そうだなぁ~

 

 

 

目の前に広がる想定外の平和な光景に、そんなどうでもいい考えを巡らす一刀だった。

 

 

 

 

 

 

…………

……

 

 

 

「ふむ…なるほどな」

 

ボロボロの砦の中でも比較的無事な一室に通された俺たち。

焚き火のゆらゆらとした光の中で柴田勝家、通称・壬月さんに、俺は一通りの事情を説明した。

 

「分かって頂けましたか」

「いや、さっぱり分からん」

 

ずこー、っとベタにずっこける俺。

 

「しかし、風俗の異なる民。日ノ本とは違う山並み。そして剣丞の話に度々出てきた一刀伯父と、その嫁御たちを目の当たりにすれば、

 ここは過去の大陸で、私は時間を超えて異国の地へ飛ばされたという、この現実を受け入れなければなるまい」

 

竹を割ったように気持ちのいい考え方。

根っからの武人気質。これは…

 

「くぅ~~…気に入ったで、壬月!」

 

霞あたりと気が合いそうだな~

という俺の思考に被せ気味に食いついた霞。

 

「ウチはアンタみたいのがいっとう好っきゃねん!酒や!誰か酒持ってきてんか~!?ウチと盃酌み交わそうや!」

 

霞は壬月さんに馴れ馴れしく肩を組みながら、既に酔ったようなテンションだ。

 

「武名高き張文遠殿と盃を酌み交わすなど望外の喜びだが、生憎と酒のような良いものはここには無くてな」

 

苦笑いをしながら、手をひらひらと挙げる壬月さん。

簡単に話を聞く限り、獣を狩ったり魚を獲ったりと食べるに困ったことは無いらしいが、さすがにお酒はその辺に歩いてるわけじゃないからな…

 

「ほな、洛陽帰ったら絶対に呑もや?絶対やで!?約束やで!!」

 

なおも詰め寄る霞を、分かった分かったとあしらう壬月さん。

見た感じ、満更でもなさそうだ。

柴田勝家ということは織田家じゃ筆頭家老だろうから、あんまりこういう風に絡んでくる人もいなかったんだろうな。

 

「ところで、壬月さん~?あなたはどうしてこんな所にお一人でいたんですかー?」

 

そういえばそうだ。肝心なところを聞いてなかった。

 

「そうだな。話せば長くなるのだが…」

 

 

 

――――――

――――

――

 

 

 


 
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