No.775232

真・恋姫†無双 裏√SG 第43話

桐生キラさん

こんにちは!
Second Generations 複数視点
三国・五胡間の国境線や許昌での一幕

2015-05-04 17:00:01 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1436   閲覧ユーザー数:1311

 

 

 

 

 

三国・五胡 国境線 小蓮視点

 

 

 

祭「ようやく来たか!敵がもうそこまで来ておるぞ!」

 

小蓮「遅れてごめんなさい。これより先は、私が指揮を執る!」

 

私は配置に着き、前方を見渡した。そこには、あまりにも多くの人で埋め尽くされていた

 

気味が悪い雰囲気と、隠せないほどの怒りを纏った五胡の軍勢。

その集団が、一つの大きな塊の様に、もしくは巨大な怪物の様に見えた気がした

 

美羽「わかっているな、小蓮?妾とて、これ程の大きな戦は初めてじゃ。あまり、力になってやる事は出来ないかもしれない」

 

私の隣に居た美羽が、前方に広がる光景を見て、冷や汗を流しながら語り掛けてきた。

その眼には、不安や恐怖を感じられる。

 

それでも…

 

美羽「じゃが、妾はこの身が朽ちる最期の時まで、お主を支えてやる。それが、妾に出来る事じゃ。それが、相棒の務めじゃからな。わかったか、相棒?」

 

それでも、美羽の表情はとても凛々しく、決意に満ちていた

 

小蓮「わかってるわよ、相棒。最期の最期まで、付き合いなさいよ!」

 

敵は強大。死ぬ可能性も十分にある。

だけど、負ける理由はない!

 

私は両頬を思い切りパチンと叩き、気合いを入れた。

その痛みが、心を落ち着かせ、目の前の光景を受け入れ、気持ちが切り替わる。

 

恐怖は、無理矢理投げ捨てた

 

焔耶「五胡の軍勢との接敵まで、残り4里!こちらの準備は整った!」

 

蒲公英「総大将!お願い!」

 

こちらの準備は整った。

私はそれを確認しようと振り返る。

そこには、誰もが覚悟を決めた表情していた兵士達がザッと並んでいた

 

孫呉に代々伝わる南海覇王は、残念ながら私の手元にはない。

だが、私はそれでもいいと思っている。

私には、雪蓮姉様の様に前線で引っ張る力も、蓮華姉様の様に後方支援が得意と言う訳でもない。

私では、二人の様にはなれない。

だから、私は私の王道を貫く。

周りと一緒に、協力し、広く助けられる王に。

 

私は月華美人を取り出し、五胡の軍勢が居る方へと突き出した

 

小蓮「聞け、三国の守護者達よ!今再び、我らに危機が訪れた!外敵、五胡が大軍を率いて攻めてきているのだ!」

 

私は声を張り上げる。魂を込めて

 

小蓮「五胡は確かに強大だ!恐らく数も向こうが上だ!戦えば、その先に待つのは残酷な死かもしれない!」

 

私は声を張り上げる。覇気を纏わせて

 

小蓮「だが、怖れる事はない!今この場に、天よりの使者は居ないが、天の加護が消えた訳ではない!天運は、今も我らにある!」

 

私は声を張り上げる。全身全霊を掛けて

 

小蓮「一度は打ち破った敵だ!負ける道理は何一つない!恐怖する事はない!この場を指揮するは、孫呉の血族であるこの私、孫尚香だ!私が、皆を勝利へ導こう!さぁ、行くぞ!震え立て!大陸最強の守護者達よ!」

 

私は声を張り上げる。覚悟を決めて!

 

小蓮「全軍抜刀!」

 

全軍、私の声と共に勢いよく抜刀する。私の背中に、ビリビリとした氣を感じ、思わず鳥肌が立つ

 

小蓮「我らの敵を打ち返すぞ!突撃!!!」

 

 

ワァァァァァァァァ!!!!

 

 

三国と五胡

 

今再び、その戦火は切って落とされた

 

 

 

 

 

祭視点

 

 

 

祭「フフッ!」

 

目の前の敵に向けて矢を放つ。

放たれた一本の矢は、敵兵一人を貫通するでは満足せず、そのまま勢いを殺さず、二人目、三人目と貫いていった

 

今日の儂は、ここ最近では一番機嫌が良いかもしれない。

なんと言っても、とても良いものが見れたからに他ならない

 

やはり、獅子の子は獅子という訳か

 

正直、儂は小蓮様には、策殿や権殿程の王の才は感じてはおらなかった。

ない訳ではないが、やはり、姉二人と比べるとどうしても…と思っておった

 

だが、それがどうだ?

今の演説を聞いて、強大な敵を前にしても物怖じぬ姿を見て、兵の士気を最高潮まで高めて、儂が抱いていた小蓮様の姿を遥かに越えてみせた

 

これを喜ばずして、何を喜ぼうか!

 

祭「フハハハハ!長生きはするものだな!」

 

小蓮様には良い意味で裏切られた。

この戦を終えたら引退しようと考えていたが、あんな姿を見せられたのでは、もう少しだけ留まるのも悪くない

 

祭「来い五胡!今宵の儂は、誰にも負けんぞ!」

 

孫堅様、見ておられますか?

 

貴女の娘は、皆立派になられた

 

この儂の目を持ってしてでも、測ることが出来ないほどに

 

なので、儂がそちらに逝くのは、もう少し先になりそうです

 

貴女へ捧げる土産話を、より多く持っていく為に

 

それまで、もう暫し、お待ちください

 

 

 

 

 

七乃視点

 

 

 

小蓮「行くわよ美羽!援護お願い!」

 

美羽「わかっておる!七乃!妾は小蓮について行く!後方は任せたぞ!」

 

七乃「はーい、わかりましたー!」

 

美羽様は小蓮ちゃんに引っ張られる形で戦場へと行っちゃいました。

 

一昔前なら、美羽様が誰かの為に戦う、ましてや、誰かを支えるなんて、絶対になかったでしょうね。

美羽様は欲に忠実な、愛すべきバカでしたから。

私も、そんな美羽様が、愛らしくて好きだった

 

でも、今の美羽様は、自ら前に立ち、兵を率いて戦っている。

その姿が、とても凛々しくて、格好良くて、素敵だった

 

美羽様が、いつの間にか大人になられた

 

以前は、美羽様はどうせ、私に頼り切りな自堕落でどうしようもない人であり続けるだろうと思っていた

 

でも、それは違った

 

小蓮ちゃんと過ごすうちに、美羽様は目に見えて成長していった

 

きっと、歳が近い事もあり、お互い負けたくない、好敵手の様に感じていたのだろう

 

負けたくないから、努力する

 

努力した分だけ、力になる

 

力をつければつけるほど、立派になった

 

その立派な姿が、とても素敵だった

 

七乃「ま、ちょっと立派になり過ぎて、私としては寂しいですけどねー」

 

私は美羽様が大好きだ。だから、いつまでも頼りにして欲しい。美羽様の為ならなんだってしたい。

だけど、それはもう、叶わないのかもしれない。

今の美羽様には、お互いを支え合える良き相棒がいるのだから

 

まぁでも…

 

七乃「美羽様の一番の家臣は、この私ですけどねー」

 

今回だけは、小蓮ちゃんに美羽様の隣をお譲りします。

でも、それは今回だけです。

今後は、今まで通り私が美羽様の面倒を、誰よりも近い所で見るんだから!

 

七乃「その為にも、私も張り切らないとですねー。さぁ、南蛮兵のみなさん!出番ですよー!」

 

美羽様が気持ち良く戦って勝つ為に、私もコソコソやりますよー!

 

美以「任せるにゃー!ミケ!トラ!シャム!」

 

ミケ「はいにゃー!」

 

トラ「トラが一番にゃー!」

 

シャム「にゃー」

 

美以ちゃんが呼び掛けると、同じ顔をした量産型のみなさんがゾロゾロと行ってしまった

 

七乃「ところで、美以さん達、姿形が18年前から全然変わってないんですけど、何ででしょう?」

 

今となっては、もう誰もツッコミませんけど、やっぱり人間じゃないんですかねー?

 

 

 

 

 

許昌 霰視点

 

 

 

霰「はぁ…はぁ…だるっ」

 

咲希達が出てった2日目の夕刻時、凪紗の予測通り、賊どもの襲撃があった。

一度の数は大したことはなく、また事前準備や心構えも済ませていたお陰で、被害は軽微なものやった。

 

ただ、誤算があったとすれば、襲撃は一度だけやなかったこと。

賊どもは、部隊を数個に分けて、波状攻撃を仕掛けてきた。

攻撃は数回、それも深夜にまで渡り、今現在もなおそれは続いている。

ウチらは絶え間なく来る波状攻撃を捌いていく内に、休みなしで朝を迎えてしまった

 

石苞「敵、第9波目!数は約1000!来るよ!」

 

石苞の報告に、全員の士気が落ちる。

いい加減、ゲンナリしてきた

 

胡奮「おいおい、もう次で二桁突入してしまうぞ!」

 

成済「あぁクソッ!終わりが見えねぇ!」

 

諸葛諸「愚痴る暇があったら、兵装の準備手伝って!効率悪くなってきてるよ!」

 

許昌内は慌ただしく動くも、どこか疲れが見え隠れし始めてる。

 

このままやと、そろそろ崩れてまう…

 

霰「なぁ甄姫!この状況を打開する策はないんか!?」

 

甄姫「考え中ですわ!少し黙ってなさい!私だって寝てないのですから!」

 

チッ!みんなイラついてきてんな。賊かヤク中のクセして、頭まで使ってくんなや!

 

璃々「見立てが甘かったね。最初の襲撃の時に、追撃するべきだったかもしれない」

 

第1波目の襲撃の際、ウチらは敵の規模が分からず、斥候が戻って来るまで許昌を離れる事が出来へんだ。

離れたその瞬間、別の所から許昌を襲撃される可能性もあったから。

せやけど、結果的にそれが仇になった。

斥候も戻らず、波状攻撃は絶え間なく続く。ウチらはまんまと貼り付けにされた

 

石苞「ッ!?敵!第10波目も近付いて来ています!その数………約3000!あ、待ってください!……そ、そんな…敵部隊、更に増加…数、5000…」

 

見張りの石苞から更に報告が入り、全員の表情が曇った。

第9、10、11波目の部隊が一気に攻めて来た。合計、9000…

 

現在の許昌の兵数は1万弱。

悠香んとこのじいちゃんの部隊を借りても200人くらいしか戦えへん。

数では負けてへんけど、この調子で、この士気で、今ぶつかんのは余りにも危険過ぎる

 

甄姫「クッ…畳み掛けて来ましたわね…」

 

甄姫の言う通り、敵は勝負に出た。

ウチらがヘロヘロになるのを見計らってた。

そして、その時が来てしまった

 

成済「はぁ…はは…俺、この戦いが終わったら、彼女と結婚する予定だったんだけどなぁ…」

 

石苞「……知ってる?それ、隊長の言葉を借りるなら、死亡フラグってやつよ…」

 

諸葛諸「あーあ、またまだやりたい事、いっぱいあったんだけどなぁ…」

 

胡奮「だが、悪くない人生だったな…」

 

王基「いやいや、まだ終わってないよー」

 

皆が皆、何かをポツリポツリと言っていく。

それと同時に武器を取り、許昌の外へと出て行った

 

甄姫「あぁもう!もし生き残ったら、あの男に奢って貰わないといけませんわね!」

 

璃々「ふふ!そうだね。あと一踏ん張り、頑張ってみようか」

 

甄姫と璃々さんもそれぞれ武器を取る。

その後ろでも、ぞろぞろと見慣れた連中が外へ出た。

全員、元司馬昭隊の人間やった

 

霰「すー…はー…」

 

ウチは大きく深呼吸し、息を整える。

そして二振りの戟を取り、皆と同じように外へ出た

 

霰「全軍に通達!!」

 

ウチは声を張り上げた。

賊はもうすぐそこまで迫ってきている

 

霰「これより先、我々司馬昭隊が敵を打ち返す!我々の故郷を護りたい者!愛する者を護りたい者!友を護りたい者は、我々の後に続けー!!」

 

檄を飛ばす。

ウチの言葉が、どれ程の奴に届いたかはわからん。

それを確かめる時間ももうない。

ウチらは振り返らず、前に行くための一歩を踏み出した

 

霰「行くで司馬昭隊!!意地でもここは抜かせんな!!!」

 

『応!!』

 

ウチを含めた司馬昭隊、総勢27人で、約9000にもなる人の波へと突撃した。

 

「彼らに続けー!我らの故郷を護るぞ!」

 

背後から地鳴りが聞こえる。

どうやら、ウチの声はある程度届いたらしい

 

ウチらは敵の部隊とぶつかり、そのまま混戦状態になる。

戟を振るえば振るう度、敵の血が雨の様に降り注ぎ、体が深紅へと染まっていく

 

霰「ラァァァァァァ!!!」

 

腹の底から叫んだ。

一瞬でも気ぃ抜いたら、一気にやられそうな気がした

 

この混戦、あの時を思い出すなぁ

 

賈充がやられてしまったあの戦闘

 

あの時も、ウチらは今みたいに必死になって戦ってた

 

違う事があるとすれば、今この場に、士希と、友紀と、賈充がおらんこと

 

ずいぶん、寂しいもんやな

 

璃々「ッ!?霰ちゃん!」

 

ふと、璃々さんがウチの名を叫んだ

 

どうやら、死角に敵がおったらしい

 

ウチは敵が来てる所までは視認出来たが、体は反応出来やんだ

 

避ける事も、防御する事も間に合いそうにない

 

敵の剣が、ウチの背中を斬りつけようと迫ってきている

 

こんなところで、終わりなんやろか

 

残念やなぁ…

 

また、平和な世の中で、一緒に遊びたかったなぁ

 

士希…友紀…

 

 

ピシャーン!!

 

 

霰「ッ!?フッ!」

 

「グハッ!」

 

突然この場に響き渡った、耳を劈く程の轟音。それと同時に、恐らく敵部隊のど真ん中に落ちたであろう雷。

ウチはそれが何なのかを確認する前に、先程まで迫ってきていた脅威を薙ぎ払った。

どうやら、ウチを斬りつけようとしていた奴は、突然の雷に怯んでいたようやった

 

戦場であるにも関わらず、静寂がこの場を支配した。

皆、突然の出来事に、硬直してしまった様や

 

甄姫「いったい何が…」

 

成済「わからねぇが…!?上を見ろ!」

 

成済の言葉に、ウチらは揃って天を仰いだ。

そこには、銀髪で、黒い服を着て、背中に白い羽根を生やし、大きな白い大剣を担いだ、1人の青年の姿があった

 

璃々「あれってまさか…」

 

璃々さんの呟きに、皆がハッとして、その青年が誰なのかに気付いた。

 

胡奮「あれは、間違いない!」

 

諸葛諸「うん!やっぱり来てくれたんだ!」

 

石苞「これでもう、負けないね!」

 

王基「もう疲れたー!後は任せよっか!なーんてね!」

 

その瞬間、ウチらは勝ちを確信したかの様に、歓喜した

 

霰「あのアホ、遅いねん」

 

そんなウチの呟きが聞こえたのか、あいつはウチをチラッと見て、微笑んで見せた

 

『隊長!!!』

 

司馬昭隊全員が叫び、皆が待ち望んでいた奴が帰ってきた

 

 

 

「行くぞ、レーゲン」

 

 

 

 


 
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