No.773278

ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY 35 紡がれるもの

やぎすけさん

大変長らくお待たせしました!

2015-04-25 04:05:35 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:887   閲覧ユーザー数:829

前回のあらすじ

新たな地“グローレスト”に降り立ったキリトたち3人は主街区を目指して歩く。

すると、その途中で幼い少女セリアと彼女を襲う謎の亀男グートと遭遇した。

キリトとアスナは連携攻撃でグートを少女から引き離し、そこにデュオがブラストを放って追い払う。

3人はセリアを村へ送り届けるため森を進むことになった。

一方で退散させられたグートは逃げた先で仲間のギラスに遭遇、追跡に気が付かなかったことを指摘され、渋々と帰還する。

グートが去った後、彼を追跡していたSAO生還者(サバイバー)の1人アルゴはギラスによる攻撃で瀕死寸前まで追いやられてしまう。

しかしアルゴは、偶然そこに現れたベリルによって救出された。

楽しみを邪魔されたギラスは、乱入者であるベリルの言葉を鼻で笑い、そのまま殺そうと襲いかかる。

対するベリルはアルゴを抱えたままでそれを迎撃、ギラスを焼失させる。

だがギラスは死んではおらず、グローレストの神殿で待つことを伝えて去っていった。

 

 

 

 

 

 

STORY ⅩⅩⅩⅤ 紡がれるもの

 

 

 

 

 

アルゴ視点

パチパチと火の粉が舞う音で私は目を覚ました。

目を開けた時、眼前に広がっていたのは静寂に包まれた木々とその葉の隙間から覗く星の輝きだった。

とりあえず状況を理解しようと思考を巡らせながら、ゆっくりと上体を起こす。

その時、自分の体から何かが滑り落ちた。

それは青いロングコートだった。

同時に自分が今何も着ていない状態、つまりは裸であることに気付く。

 

アルゴ「っ!?」

 

慌ててコートを持ち上げて体を隠し、キョロキョロと周りを見回す。

すると、すぐ近くの木に寄りかかっている男を見つけた。

幸いまだこちらに背を向けているが、状況から察するにこのコートの持ち主で間違いない。

 

アルゴ〈そもそも、なんで私は裸なんだ?〉

 

記憶を辿っていき、そしてようやく思い出した。

キー坊たちと戦って逃げた怪しげな男を追って、その先にいた奴の仲間に殺されかけたのだ。

確か、装備は攻撃を受けた時に全て焼失してしまっていた。

HPが戻っているということは、あの男が回復してくれたようだ。

などと考えていると、

 

?「さっさと何か着たらどうだ?」

 

不意に男がそんなことを言った。

突然のことにわたしはビクッとする。

 

アルゴ「気付いてたのカ?」

 

?「お嬢ちゃんが目覚めた時からな。それよりさっさと俺のコートを返してくれないか?」

 

穏やかな口調で言う男に従い、わたしはストレージから予備の服とフード付きのマントを選んで身に纏った。

 

?「も~いいかい?」

 

かくれんぼのような口調で男が問い掛けてくる。

つい面白くて、わたしものってみた。

 

アルゴ「も~いいヨ」

 

そう言いながら、わたしはコートを放り投げる。

すると男はそのままの姿勢で右手を伸ばしてコートを掴み、引き寄せるのと並行して袖を通す。

次いで横に置かれていた大剣を蹴り上げ、それを背負ってからこちらへ向き直った。

青年とも少年ともとれる顔立ちの男は、どことなくキー坊やデュー君と似た雰囲気を持つが、どちらとも明らかに何かが違っている。

 

アルゴ「アンタがオレっちを助けてくれたのカ?」

 

?「半分は成り行きだったがな」

 

アルゴ「一応礼は言っとくヨ」

 

?「別に気にすんな。言っただろ?成り行きだって」

 

男はそう言うと立ち上がり、踵を返して立ち去ろうとする。

 

アルゴ「なんだ?もう行くのカ?」

 

私が呼び止めると男は立ち止まって振り返る。

 

?「俺は苛められてる奴を見捨てるほど薄情じゃないが、子供の世話をするほど親切でもないんでね」

 

アルゴ「初対面のオネーサンに対して子供とは失礼じゃないカ?」

 

?「悪いなお嬢ちゃん。俺みたいな大人は、十代の女子学生に手を出すとロリコン扱いされかねないんだ。あと5年したらデートぐらいしてやるぜ」

 

アルゴ「にゃハハハ、それはこっちからお断りするヨ。オレっちは年下が好みなんでネ」

 

?「そりゃ結構」

 

アルゴ「それよりアンタ、名前教えてくれないカ?あっ、ちなみにオレっちはアルゴ。よろしくナ」

 

?「こっちこそ、俺はベリルだ」

 

ベリルと名乗った男は再び向きを変える。

 

ベリル「ところで、嬢ちゃんこれからどうするんだ?」

 

アルゴ「ん?そうだナ・・・」

 

ベリルの問いに私は戸惑った。

追っていた連中がどうなったかわからない以上、追跡は難しいだろうし、かと言ってそのままにしておくのも危険だろう。

どうしようか考えていると、再びベリルが口を開いた。

 

ベリル「やることがねえなら、一緒に来るか?」

 

いきなりの言葉に驚いて大きく目を見開く私を他所に、ベリルは続ける。

 

ベリル「って言っても命の保証は出来ねえからな。嬢ちゃんの好きにするといいさ」

 

それだけ言い終えると、あとは何も言わずにベリルは歩き出す。

遠ざかる彼の背中を見ながら、私は考える。

だが、答えはすぐに決まった。

すぐに駆け出した私はベリルの隣に並ぶと、そこから歩調を合わせて告げる。

 

アルゴ「どうせ行く宛もなかったし、アンタにくっついて行くとするヨ」

 

ベリル「好きにしな。あと、キャラ作りなのか知らねえが、無理せず“私”って言った方がお似合いだぜ?お嬢ちゃん」

 

アルゴ「!?」

 

これには本気で驚いた。

まさか話して5分と経たない相手に、ここまで見透かされるとは思っていなかった私は立ち止まりそうになりながらも、どうにか取り繕う。

 

アルゴ「いや、オイラはネズミの通り名で通ってるからナ。今さら私って言うのも恥ずかしいって言うか、言い辛いって言うカ・・・」

 

ベリル「まあそれは嬢ちゃんの自由だ。ただ、その方が可愛げがあるっていうだけさ」

 

アルゴ「そりゃどうも・・・」

 

これ以上はもう何も言えなかった。

完全に主導権を握られていて、これ以上話すとどう返してもこの男には勝てなくなりそうだったからである。

 

アルゴ〈う~ん、キー坊やアーちゃんにしてことを返された気分だ・・・〉

 

などと思いながら、2人を弄っていたことを少し反省する私だった。

 

デュオ視点

俺たち3人はセリアの後に続いて森を進む。

倒れた木を橋代わりに小川を渡り、巨木の間を縫うような獣道を進んで行く

セリアはすっかりアスナに懐いたようで、笑顔でアスナと話している。

そんな2人の様子を、隣の相棒は微笑ましそうに見ていた。

 

デュオ「嬉しそうだな」

 

キリト「ん?あぁ、まあな」

 

柔らかい表情をした相棒は2人の方に視線を戻し、優しい眼で2人を見る。

 

キリト「なんだかユイの時と似てるような気がしてさ」

 

そう言ったキリトの表情が少し曇った。

おそらくは残してきてしまったユイのことを考えているのだろう。

 

デュオ「他人の子を盗るのは誘拐です」

 

キリト「そ、そういうことじゃないよ・・・」

 

慌てて取り繕おうとするキリト。

どうやら気は逸らせたようだ。

やれやれと内心思いながらも、俺はあたふたする相棒を見て笑った。

その時、

 

デュオ「・・・っ!?」

 

何か視線のようなものを感じた俺は立ち止まり、いつでも剣に手を掛けられるよう身構え辺りに視線を走らせる。

 

キリト「デュオ?どうした?」

 

デュオ「気のせいかもしれないが、誰かに見られている気がする」

 

キリト「さっきの奴か?」

 

剣を掴んで警戒するキリトの問いに、俺は首を横に振った。

 

デュオ「いや敵意とかじゃない。なんていうか・・・」

 

どこかで感じたことがあるような気はするのだが、上手く表現出来ない。

俺が思考している間に、違和感は完全に消えてしまった。

 

デュオ「いや、気のせいだったみたいだ」

 

キリト「大丈夫か?」

 

デュオ「ああ、戦い続きで神経が張り詰めているのかもしれないな」

 

 

下手に心配させても仕方ないので、とりあえずそう告げてから、少し離れてしまったアスナたちを追いかけるべく歩き出した。

それから少し行き、俺たちはようやくセリアの村に辿り着いた。

セリアの村“グローレスト”は自然と調和するログハウス風の家が建ち並ぶファンタジーならではの村で、普通の家の他に大樹を利用したツリーハウスが多くある。

これで暮らしているのが妖精とかエルフとかならもう言うことなしだろう。

セリアを親の許に帰した―――その際、セリアはなかなかアスナから離れようとしなくて困ったが―――俺たちは、セリアの両親の計らいでかなりいい宿屋にタダで泊まる事ができた。

あてがわれたのは、最低でも30畳以上の広さを持つツリーハウスだった。

部屋は4つあり、中央に15畳程のリビングダイニング、そこから左手側にある2つの扉の先はそれぞれ寝室となり、右手側は浴室になっている。

 

キリト「ふう、とりあえずひと段落かな?」

 

部屋に入るなり、ドサッとソファに沈み込むキリト。

その様子に俺は苦笑する。

 

デュオ「相変わらずだな」

 

半ば呆れ気味な俺の言葉に、隣で微笑むアスナが同意する。

 

アスナ「ふふっ、そうだね」

 

穏やかな声音でそう言ったアスナは、引き寄せられるかのようにキリトの隣まで歩き、そしてキリトの座るソファに自分も腰を下した。

大きめだが一応は1人用のソファに2人で密着して座り、やや照れたように頬を染めるアスナ。

2人は見つめ合うと、お互いに頬を緩めて微笑んだ。

 

デュオ〈やれやれ・・・夫が夫なら嫁も嫁だな・・・〉

 

俺がいるにも関わらずいちゃつき始めるバカ夫婦に苦笑してから、邪魔する気もないのでそっと部屋を出て扉を閉める。

やることがなくなった俺は、とりあえず買い物でもしてこようかと店が並ぶ方へ歩き出した。

キリト視点

いつの間にかデュオが出て行ってしまった後、俺とアスナはしばらく何もせずにいた。

1人で座るにはやや大きいソファだが、座るのが2人だとすれば多少は窮屈に感じる。

だが、俺もアスナも互いに離れようとはしない。

理由は単純、アスナと一緒にいることが嬉しいからである。

今はこうしていられるが、つい3日前までは2度とこうすることは出来ないかもしれないという状況だったのだ。

突然始まった2度目のデスゲームで右も左もわからないまま突き進み、死ぬかもしれない状況に陥りながらもやっとの思いでアスナと再会を果たすことが出来た。

未だ見つかっていないみんなのことは気がかりではあるが、だが今だけはこうしていたかった。

そう思うと、俺は無意識の内にアスナの身体に両腕を回して強く抱きしめていた。

 

アスナ「キリトくん・・・?」

 

不意に呼びかけられて意識を戻すと、アスナが心配そうな表情で俺を見つめていた。

そこでようやく、自分の状態に気付く。

 

キリト「あぁ、悪い!」

 

アスナ「あっ、待って!」

 

慌てて手を離そうとすると、アスナがそれを拒んだ。

そして俺の胸元に顔を押し当てながら、さらに密着してくる。

そうすると必然的にアスナの決して小さくない膨らみが俺の身体に押し当てられるわけで、それによって俺はあたふたしてしまう。

心臓が早鐘を打ち、身体が硬直する。

確かにお互いに体を重ねたこともあるほどの関係だが、それとこれとではまた話が違う。

俺が対応に困っていると、アスナが消え入りそうな程小さな声で囁くように言った。

 

 

アスナ「もう少し、こうしていて・・・」

 

その声音には、どこか不安の色が見え隠れしている。

俺は恥ずかしさを堪え、どうせ誰も見てないと腹を括って再びアスナの華奢な身体に両腕を回す。

互いに隙間なく密着した状態になると、またも小さな声でアスナが囁く。

 

アスナ「わたしね、こうやってキリトくんに抱きしめてもらうと、凄く安心できるんだ」

 

キリト「アスナ・・・」

 

視線を落とすと、ちょうど顔を上げたアスナと眼が合った。

頬を赤く染めた彼女はとても魅力的で、どこまでも愛おしい。

 

キリト「俺も同じだよ、アスナ・・・アスナがそばにいるだけで安心できるし心地いい・・・」

 

アスナ「ふふっ・・・一緒だね・・・」

 

くすくすと笑うと、アスナも俺に強く抱きついてくる。

俺はそっと右腕を持ち上げ、ゆっくりと彼女のサラサラとした栗色の髪を撫でる。

 

キリト「甘えん坊だな、アスナは・・・」

 

アスナ「うん、そうかもしれない・・・でもそれはキリトくんだからだよ・・・」

 

安心したせいか、アスナの瞳がトロンとし始め、それを見ている俺自身にも睡魔が襲ってくる。

 

キリト「なんだか眠くなってきたな」

 

アスナ「そうだね・・・ふ、ふわぁぁぁ・・・」

 

目を擦りながらあくびをするアスナ。

目が何度か閉じていることからほんとに眠いんだろう。

 

アスナ「ねえ、このまま寝ちゃおうか?」

 

キリト「いいけど、ちゃんとベッドで寝ろよ」

 

アスナ「じゃあ、久しぶりに一緒に寝ない?」

 

そう言って抱きつく力を強めるアスナは、どうやら逃がす気はないらしい。

やむを得ず俺はアスナを抱きかかえて寝室へと移動し、そのまま大きなベッドに2人同時に横たわる。

ふかふかの敷布団の上に寝転んだ俺たちは、横になったままウインドウ操作で装備を外して寝間着に着替えた。

 

アスナ「キリトくん・・・」

 

キリト「ん?」

 

名前を呼ばれて顔を向けて見ると、眼はトロンとしたままのアスナが微笑んでいた。

 

アスナ「大好きだよ・・・」

 

キリト「俺もアスナが大好きだよ・・・」

 

お互いの思いを確かめ合った俺たちは、どちらからともない口づけを交わし、安らかな眠りについた。

あとがき

 

アルゴの一人称が「私」なのは、本作のオリジナル設定です。


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