No.768296

真・恋姫†無双 異伝「空と命と夢の狭間に」第七十一話


 お待たせしました!

 今回の拠点は少々趣向を変えている関係で

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2015-04-01 21:46:56 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:4743   閲覧ユーザー数:3478

 ~???~

 

「はぁっ、ほぉっ、ふんっ!」

 

 とある山中にて一人の老人が早朝より素振りを繰り返していた。その者は老人とは

 

 いうものの、その身体は年齢を感じさせない程に引き締まっており、その動きから

 

 もその身から発せられる覇気からも達人と呼ぶにふさわしい風格を漂わせていた。

 

 老人はしばらく一心不乱に素振りを続けていたが、突然その動きを止めると自身の

 

 背後に向かって声をかける。

 

「そこにいるのは分かっておるぞ、儂に用があるというのならこそこそ隠れておらん

 

 で出て来い」

 

「うぬぅ…儂の存在に気付くとはな」

 

「お主の奇門遁甲もなかなかのものじゃが、その程度では儂には通じんよ…ふむ、お

 

 主の顔には見覚えがあるな。もしかして卑弥呼か?」

 

 老人に言われ出て来た卑弥呼はその老人から名前を呼ばれて狼狽する。

 

「何と!儂の事を知っておるのか!?」

 

「ああ、そうか。儂もこの通りすっかり老いさらばえたからのぉ、気付かぬのも致し

 

 方の無い話か」

 

 老人にそう言われ、卑弥呼は何かに気付いたかのように老人の顔をまじまじと見つ

 

 めるとその顔は驚きに包まれる。

 

「そんな…まさか、お主…難升米(なしめ)か!?」

 

 その老人は管理者でありながら遥か昔に姿を消した難升米であったからだ。

 

「ようやく気付いたか。こうして会うのは何年ぶりになるのかのぉ…もはや年数すら

 

 も忘れたわい」

 

「何故じゃ、お主が我ら管理者の前から姿を消してから確かに多くの時が流れた…し

 

 かし我らにとって老いというのは無縁の話のはず。しかし今のお主の姿は老人にし

 

 か見えぬ。何があった、何故管理者をやめたのだ!?」

 

 卑弥呼は難升米に次々と質問をぶつける。

 

「ふっ、色々と質問の多い奴じゃな。その質問に答える前に…そもそもお主は此処に

 

 何しに来たのじゃ?儂に用があって来たという風には見えぬが?」

 

「そうじゃった…儂は此処に『北郷 天刀(ほんごう たかと)』という男に会いに

 

 来たのだった」

 

「何じゃ、結局儂に用があるのか」

 

「何と…それではお主が北郷一刀の祖父なのか!?」

 

 それを聞いた卑弥呼の顔はさらなる驚きに包まれ、それを見た難升米こと北郷天刀

 

 は唇の端をわずかに上げていたのであった。

 

 

 

「そうか、最近一刀が姿を見せないと思ったらまさか外史にのぉ…まさか儂の血があ

 

 いつを外史に送る素因にでもなったわけでもないのだろうが」

 

 卑弥呼を家に招き入れ、一刀に起きた一部始終を聞いた天刀はそう自嘲気味に呟く。

 

「貂蝉は手負いだったとはいえ左慈を圧倒してみせた北郷一刀の力の大元は祖父にあ

 

 ると言っておったが、やはりお主なのか?」

 

「さあ、儂はあいつに儂がこれまで培ってきた業の全てを叩きこんだだけ…それを如

 

 何に扱うかは一刀の心と技量が成す事よ。そもそもあいつはまだまだ未熟者、手負

 

 いでもなければ左慈に勝つ事などまだまだ及ばぬはずじゃ…しかし、そう考えると

 

 左慈に手傷を負わせた者が外史の人間にいるというのはなかなかに面白い」

 

「難升米…いや、此処は天刀を呼ばせてもらおう。お主は何故管理者をやめた?そし

 

 て何故この世界にいる?お主が管理者のままでおれば、否定派の連中に此処まで良

 

 いようにはされなかったはずじゃ」

 

 卑弥呼にそう問われ、天刀はジッと眼を瞑ったまましばらくの間沈黙する。そして

 

 静かに眼を開けて天井を見つめたまま少しずつ語り始める。

 

「儂がそもそもお主達の前から姿を消したのも、否定派の奴らのせいになるのじゃよ」

 

「何と!?」

 

「あれはお主が貂蝉に漢女道とやらを継承させていた頃の事じゃった…儂は違う外史

 

 に降りていた」

 

「違う外史とな?」

 

「ああ、その国の名は邪馬台国『まさか…』…そう、本来ならお主が統治するはずだ

 

 った国じゃ。本来の統治者となるはずのお主が管理者となってその地を去ってしま

 

 った事でその力は大きく削がれてしまい、一地方を統治する小国にまで落ち果てて

 

 いた。そのままでは邪馬台国は滅びる…そう思った儂は一人の人間としてその国に

 

 降り、その国を必死に守ろうとする女王の力になる道を選んだのだ。その女王の名

 

 は壱与(いよ)、本来ならお主の後継者として多くの国を従える女王となるはずじ

 

 ゃった者の名じゃ。忘れたとは言わせぬぞ?」

 

 

 

 それを聞いていた卑弥呼の眼は驚きに見開かれていた。

 

「ならば天刀…お主は管理者の身でありながら一つの外史の一人の人間の為に戦った

 

 というのか?」

 

「ああ、否定派の連中もあのままあのまま邪馬台国が滅べば国をまとめる者も無くな

 

 って血で血を洗う戦乱の中で遠からずあの外史は滅ぶと思っておったから儂が入り

 

 込んだ事にすら気付かなんだわ。そして、儂は一家臣として邪馬台国の為、そして

 

 壱与の為に敵対する国々を打ち破り、邪馬台国を再び大国へと導いていったのじゃ。

 

 これで一つの世界として独立する、そこまでは良かったのじゃが…」

 

 天刀はそこまで言って悔しげに唇を歪める。

 

「そこに否定派の連中が入って来たという事だな?」

 

「ああ、奴らは最初は壱与を直接手にかけようとしたのじゃが、儂がそれを悉く退け

 

 た事で初めて儂がいる事に気付いたようでな…隣国にとんでもない奴を送り込んで

 

 きおったのじゃ」

 

「もしかしてそれは…」

 

「ああ、卑弥弓呼(ひみくこ)の奴じゃ」

 

「奴を送り込むとは否定派の連中も、その外史を壊すのにもはや手段も考えなんだと

 

 いう事か…」

 

 卑弥弓呼の名を聞いた卑弥呼の顔も渋い物となる。その卑弥弓呼という男は否定派

 

 の中でも最も力が強くそして最も残虐な男であり、外史を壊す時にはまずそこに住

 

 む人間の全てを自分の力によって恐怖に陥れるのを常にしていた為、他の否定派の

 

 者達からも距離を置かれていたという男でもあったからなのだが。

 

 

 

「そして予想通りに奴は抵抗する力も無い民人を次から次へと殺戮し始めた。儂は奴

 

 を倒す為に単身その隣国へと向かい、何とか奴を仕留めたのじゃが…否定派の連中

 

 にとってはそれが狙いであったのじゃ」

 

「まさか…それでは?」

 

「ああ、儂が邪馬台国に戻った時には白装束の傀儡共に全て灰にされておった…儂が

 

 あれだけ苦労して築き上げた物全てをな」

 

 そう語る天刀の顔はその時の悔しさを思い出すかのように歪んでいた。

 

「ならば壱与も…『いや、それがな…そこに一つだけ奇跡のような出来事があったの

 

 じゃ』…もしかして?」

 

「ああ、焼け落ちた神殿の下から声が聞こえてきたのでそこをかき分けると、穴が開

 

 いておってその中に壱与がおったのだ。しかもほぼ無傷の状態でな。どうやら邪馬

 

 台国の皆が自分たちの命を犠牲にして壱与一人を守り抜いたようなのだ。じゃがそ

 

 れを喜んでいる間も無く、既にその外史は崩壊を起こし始めておった。儂は壱与を

 

 救いたい一心で管理者の力を使い、壱与を連れて世界を跳躍したのじゃ」

 

 それを聞いていた卑弥呼は唸り声を上げる。

 

「うぅむ…もはや如何とも出来ぬ話ながら悔しいのぉ。何故その外史に否定派の連中

 

 が行っていた事を誰も気付かなんだのか…」

 

「それはそもそもあの外史は滅びかけだったからだ。あれを一時とはいえ復活出来た

 

 のも今思えば奇跡に近い話ではあった。無数にある外史の中でそこまで気が回らな

 

 んだとしてもそれは誰も責められん。儂も責めるつもりも無いしな」

 

「うぅむ…それについては致し方の無き事、そこまでの骨折りについては礼を言わせ

 

 てもらう。ところで、壱与を連れて世界を跳躍したと言ったが…それでこの世界に

 

 来たのか?」

 

 

 

「そう簡単な話でも無い…跳躍の力を使う事自体が何年かぶりだったせいか、うまく

 

 跳ぶ事が出来ずに何故か行く所行く所全てが安住の地と程遠いような外史ばかりで

 

 な…壱与の身に危険が迫る度に儂は跳躍の力を使って逃げておった。壱与には最初

 

 の跳躍の時に全てを打ち明けていたからなのかは分からぬが、黙って付いて来てく

 

 れてはいた…しかし、この世界に来た時に倒れてしまったのじゃ。そもそも巫女と

 

 して、そして女王としての激務で身体は弱り切っておった所に儂が世界跳躍に巻き

 

 込んでしまったせいなのじゃが…」

 

 天刀はその時の事を思い出していたのか、うっすらと眼に涙を浮かべていた。

 

「しかしこの世界ならば安心出来たのではないのか?」

 

「今でこそ此処も平和じゃが…儂が此処に来た時は戦争の末期じゃった時ぞ?歴史を

 

 知る我らならばそれがどれだけ危険な場所かは分かるじゃろう?」

 

「確かにそれは迂闊であったな、すまぬ。しかしそうであるならばまた跳躍してしま

 

 えば…まさか?」

 

「ああ、もはや壱与の身体は跳躍に耐えられる状態では無かった。壱与は自分を置い

 

 て一人で行けと言うてくれたが、儂にとってもはや壱与は半身と言っても良い程の

 

 存在、置いて行くなどという選択肢は元より無かった。しかも壱与の身体はそのま

 

 までは長くは持たなかった。それ故、儂は自分の力を壱与の生命力に転化させたの

 

 じゃ。その結果、壱与は一命を取り止めたが儂は管理者の力を完全に失ってしまっ

 

 た…それで儂はその時から人間と同じように老いが始まったのじゃ」

 

 話を聞き終わった卑弥呼は感慨深げに一つため息をついていた。

 

 

 

「そういう事であったのか…ならば壱与は?」

 

「三年前に死んだ。『色々不思議な人生ではあったけど、ずっと一緒にいてくれてあ

 

 りがとう』というのが最期の言葉じゃったよ。本当に感謝してくれていたのかは分

 

 からぬがな」

 

 天刀はそう自嘲気味に呟く。

 

「そのような事は無い、壱与は嘘をつかぬ女子であった。その壱与がそう言ったので

 

 あればそれが真実であろう」

 

「そうか…そう言ってくれるのは有難い話じゃがな」

 

 卑弥呼の言葉に天刀はそう言って微笑む。

 

「ところで『北郷 天刀』という名はどうやって手に入れたのだ?この世界には戸籍

 

 があったはず…勝手に潜り込めるものでもあるまい?」

 

「ああ、それについてはそんなに難しい事では無かった。儂らがこの世界に定住して

 

 すぐ戦争は終わった。そしてあの戦争では多くの人間が死に、一家どころか一族全

 

 てが死んでしまった者達もおった。そしてそういう者達の戸籍を売る事を生業にす

 

 る者もおってな…戦争が終わった直後という混乱期であったからこそなのじゃろう

 

 が。儂はそこから『北郷 天刀』という男の戸籍とその遠縁の『北郷 壱与』とい

 

 う女の戸籍を手に入れたのじゃ…手に入れた女の戸籍の名前が壱与というのには驚

 

 いたがな」

 

 天刀はそう言って苦笑していた。

 

「さて、儂の話はこれで終わりじゃ。卑弥呼よ、一刀のいる世界は大丈夫なのじゃろ

 

 うな?左慈達もとりあえずは退いたのじゃろうが、このままで終わるとは思えぬ」

 

「それについては貂蝉も眼を光らせておるし、お主の孫とてまだまだこれから成長が

 

 あるじゃろうて」

 

「ならば良い…ところで一刀の行ったという外史は何処の外史じゃ?」

 

「本当ならば管理者以外に見せてはならぬのじゃが…お主にだけは特別だぞ?」

 

 卑弥呼はそう言って水晶球を出す。それを覗き込んだ天刀は驚きの表情を見せる。

 

「どうした?この外史に何かあるのか?」

 

「この外史…此処に来る前にしばし居た事がある。多分、一刀が今いる時間からだと

 

 二十数年前といった辺りになるのかのぉ…そういえば、その時に出会った娘に少し

 

 武術の手ほどきをしたな」

 

「何と!?その者の名は?」

 

「名は聞かなかったが…礼にと真名を預かった。確か…『空』と言っていたはずだ」

 

 

 

 此処で時と場所は変わって、一刀のいる外史の五胡との戦いが終わってしばらく経

 

 った頃の益州の山奥にて。

 

「これで良し…すまぬが墓に名は刻まぬ。誰の墓か分かっては死者に鞭打つ輩も出か

 

 ねないからな」

 

 そう言って簡素な墓の前にたたずむのは空であった。彼女は五胡との戦場で劉焉を

 

 討ち取った後、その遺骸を此処まで運び埋葬したのであった。本来ならば戦乱の首

 

 謀者たる劉焉ならば首をさらすのが普通なのであろうが、彼女はせめてもの情けで

 

 遺骸を密かに此処に埋葬したのであった。

 

(当然、それは本来許される話では無い事は重々承知していたので空は誰にも何も言

 

 わずに姿をくらませたのであったが)

 

「さて、これで目的は達成したわけだが…今洛陽に戻るのも憚られるだろうし、何処

 

 へ行こうかな?南方の方へはあまり行った事も無いし、交州とか南蛮の方へ行って

 

 みるのも面白いか…うん?」

 

 空がそう一人ごちていた時、彼女の眼に奇妙な光景が入ってくる。それは山奥にも

 

 関わらず妙な白い装束に身を包んだ集団が何処かへ移動するものであった。

 

「何だあれは…どう見てもこんな山奥を歩くような格好には見えんな。何か新しい宗

 

 教か…黄巾みたいな事になったら色々面倒だな。一応確認しておくか」

 

 空はそう呟くと白装束の集団が向かった方へと歩みを進めていたのであった。

 

 

 

「このような人が住むには適さない場所など…ますます怪しい話だな」

 

 白装束を追って空が足を踏み入れたのは、およそ人が住むには程遠い山奥であった。

 

 しかし白装束達は何一つ迷う事も無くその奥に足を踏み入れていく。空がそれを追

 

 おうとしたその時。

 

「此処までやってきたのはご苦労な事だ。しかし何者かは知らんが此処を見られた以

 

 上生かしては帰さん」

 

 そこに現れたのは少年のような姿の男であった。

 

「ほぅ…ならばお前があの白装束共の親玉か。ならば丁度良い、この場でお前を片付

 

 ける」

 

「ふん、外史の傀儡の分際で俺に勝てると思うなよ!」

 

 そう叫ぶと同時に男は一気に距離を詰めて攻撃を繰り出す。しかし空がその全ての

 

 攻撃をあっさりとかわすと男の顔に驚愕が走る。

 

「何だと…俺の攻撃がこんなにも簡単に」

 

「ふん、随分と粋がっていたからどれだけやるのかと思ったけど、そんな攻撃じゃ私

 

 は殺せないな。それとも今のは本気じゃなかったとかいうつまらない台詞が出て来

 

 るのか?」

 

 空がそう挑発気味に言うと男の額に青筋が走る。

 

「くそっ、傀儡の分際で生意気な事を…そのへらず口を黙らせてやる!」

 

 男はさらに速さを増した攻撃を繰り出すが、空はそれ以上の速さでその全てをかわ

 

 してしまう。

 

 

 

「そんなバカな…こんな事が、こんな事があってたまるか!」

 

「いい加減現実を直視しろ小僧。何時までも自分の力に過信ばかりしていると成長な

 

 ど夢のまた夢だ」

 

「こ、小僧だと…俺は小僧なんかじゃない!訂正しろ!!」

 

「そう人の言葉に感情的に反応するのはまさしく小僧である証拠だ。お前が実際どれ

 

 だけ生きているのかは知らないが、精神構造は小僧と大して変わらんな」

 

 左慈は空の言葉にますますいきり立った表情を見せる。

 

「黙れ黙れ黙れ!外史の傀儡の分際でこの俺を愚弄するな!」

 

「その『外史』とか『傀儡』とかいう言葉の意味は良く分からないが、少なくともお

 

 前が上から目線で言ってきているのだけは理解出来る…正直、少しばかり腹が立つ

 

 話だな。己の力量と相手の力量の差も認識せずに吐く大言壮語は改めた方が身の為

 

 だと言っておいてやろう」

 

「ふん、俺はお前のような傀儡とは違う…『そうか、ならばもはや問答無用だな』…

 

 なっ、ごはぁっ!?」

 

 男がさらにそう言ってくるのを見て、空は一気に距離を詰めると男の腹に回し蹴り

 

 を叩きこむ。その余りにもの速さに対応が遅れた男は吹っ飛ばされて近くの木に叩

 

 きつけられる。

 

「ごぼっ、まさか…この俺が『まだまだ終わらんぞ』…なっ!?」

 

 男が態勢を立て直そうと起き上がる瞬間を狙って空は斬馬刀を一気に振り下ろす。

 

 男は何とかその一撃をかわすものの、それを追うかのように空は横薙ぎに斬馬刀を

 

 振りぬく。男はその攻撃を転がるようにして何とか避けて距離を取る。

 

 

 

「くそっ…この俺がこうも一方的に」

 

「さすがに言うだけの事はあるか…これだけの攻撃をかわすとはな」

 

「ふん、そんな重量のある武器ならば振り下ろすか薙ぎ払うしか無いのは明白。分か

 

 り切った攻撃など…『そうか、ならばこれはかわせるか?』…ちっ!?」

 

 男の言葉を聞いた空はさらに速度を上げた攻撃を繰り出すが、男はその全てをかわ

 

 していく。

 

「何度も言わせるな!幾ら速度を上げようともそのような分かり切った攻撃…『まだ

 

 これからだ、小僧!』…なっ!?」

 

 薙ぎ払いと振り下ろしの連続攻撃を男がかわし切ったその瞬間、振り下ろしたはず

 

 の斬馬刀が途中で止まり、そこから突きへと変化する。その変化に男が対応出来る

 

 はずもなく、その切っ先は男の左肩を捕え一気にその骨を砕く。

 

「ぐわあぁぁぁぁぁぁ!」

 

「まだだ!」

 

 そしてそのまま空は一気に距離を詰めて男の腹に蹴りを入れる。その連続攻撃に男

 

 の身体はまるでピン○ールの球のように木に当たりながら吹っ飛んでいく。しかも

 

 その先には谷があり、男はそこに落ちて行ってしまったのであった。

 

「ふむ…これだけの谷に落ちたからにはもはや生きてはいまい。あやつが何者なのか

 

 はもはや分からんが、ああいう危ない輩が一人減ったのは命達にとっても良い事だ

 

 な…まあ、とりあえずは白装束の行った方の確認が先決だ」

 

 空はそう一人ごちながら白装束の行った方へと向かって行ったのだが、そっちには

 

 何故か何も無く(于吉が術で存在を消したからだが)、不思議に思いながらも空は

 

 その場を後にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに…。

 

「ごはっ、ごふっ…く、くそっ、この俺が…管理者たるこの左慈が外史の傀儡如きに

 

 此処までやられるとは…見ていろよ、あの斬馬刀女め!次会った時はこの屈辱を倍

 

 にして返してやるからな!」

 

 空にやられた男…左慈は谷底に落ちながらも何とか生きており、怒りに燃えながら

 

 まるでやられ役の捨て台詞のような言葉を吐いていたのであった。

 

 ちなみにこの時の空との戦いによる負傷が完全に癒えない状態で一刀と戦い、一刀

 

 にもやられたのだが、それを空が知るのは大分先の話である。

 

 

                                    続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 今回は…卑弥呼が一刀のじいちゃんに会いに行った

 

 らじいちゃんが凄ぇ奴だったという話と空様が左慈

 

 と戦った時のお話をお送りしました。

 

 実は空様が強かったのは管理者の力を持っていた時

 

 のじいちゃんに色々教わったからだったというお話

 

 です。細かい事はその内に…書けるといいなぁ(オイ。

 

 当然の事ながら、左慈達の再登場の時には空様も登

 

 場しますので。

 

 とりあえず次回は普通に拠点をお送りします。誰に

 

 するかはまだ未定ですが。

 

 

 それでは次回、第七十二話にてお会いいたしましょう。

 

 

 

 追伸 今回の話の中での卑弥呼が別の外史の人間から

 

    管理者になったとか管理者として登場した卑弥

 

    弓呼とかは此処だけの設定ですので。

 

 

 

 


 
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