No.767992

わたしは刀剣。

noraさん

審神者♂の延長線上にあるSSです。
DL販売開始しました!!> http://www.dlsite.com/girls/work/=/product_id/RJ158758.html
前更新と落差が激しくてすみません。
先代審神者、刀剣化などのもはやパラレル状態の設定ですがいいんですBLSSだし。三次創作だし。 一応小狐丸視点のSSなのですが、あにさま好き好きすぎて女大嫌い過激派ホモになっているので、主様好き好きキャラが好きな方はすみません。元々自分を受けだと思ってる攻めが段々攻めになっていく過程を書きたかったのでこんなキャラに・・・・ 長編BLSSのBL部分をぶった切って一部のみ載せています。 あと一応3ヶ月くらい調べた結論みたいなのも書いておきました小説です。九郎狐の方です。 でもこれですら暫定なんだよな~

2015-03-31 14:41:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:844   閲覧ユーザー数:841

 今日は、審神者と会合の日でした。

 そして元服の日でもあります。

 元服といっても、審神者に適合するかどうか見たり、氏神の社前で加冠して、褌祝いをして、言祝ぎを得たりします。

 私は元服前に三日月と祝言をあげていましたので、適合調整と曲げ結いだけの予定です。

 氏神の立派な神殿に入り、審神者の入室を一人で待ちます。

 保護者や付き添いの同行は禁じられていましたので、本当に元服といった感じです。

 一人前にならねば審神者の顔はおろか名前すら聞かせて貰うことが適いません。

 実は、私は私の審神者と会うのはこれが初めてでした。

 三日月は年季前から会っているそうなのですが、割と苛烈な方だそうです。

 レア刀剣の蒐集に血路を挙げて全てを捧げており、何と大太刀を2本も既に手の内に入れているのだそうです。

 我々刀剣男士の上位刀剣をほぼ全て手中に入れているなんて凄い方です。

 私と三日月を入手した後は、大太刀の蛍丸も入手する予定だそうです。

 そんなに蒐集してどうするのか不思議でしたが、上位刀剣を全て蒐集するのが目的なのだそうです。

 上位刀剣はほぼ全員夫婦となる事が義務付けられておりますので、三日月を入手していた審神者から特に相手の決まっていなかった上位刀剣の私に白羽の矢が立ったのです。

 刀剣男士は6歳くらいから相手が決まっていたりするものですが、私は適合者と解かるのが10歳を過ぎてからと少し遅かったので数年相手が決まっていない期間が出来たのでした。

 刀剣男士としての覚醒は大体10歳位までで終了しますが、10歳で初めて覚醒するのはほとんどまれで通常は3~6歳の間に覚醒するのです。

 三日月は施設育ちですから、入所前から兄弟で刀剣として育成されましたが、兄弟が亡くなられたので相手の居ない刀剣となったのです。

 さて、どうして私の刀剣としての覚醒が遅かったのかと言いますと、これは単に田舎で選定審査基準が適当すぎた事と、両親が刀剣であるという事を隠したがった事、これが原因でしょう。

 刀剣男子になると、合戦や危険な任務に就く事もよくある事です。

 それが嫌でなかなか審査に行こうとは両親もしなかったのです。

 実際私は6歳の時点では下級刀剣で、刀剣男子の招集からは免れていましたが、今考えると両親が下級であるようになんらかの口添えをしていたのかとも考えられます。

 しかし私は上位刀剣ですので、いくら親でも庶民では隠し続ける事は出来なかったのでしょう。

 そこで、三日月の条件が出て、両親は漸く審神者の勧誘に承諾した具合なのだそうです。

 そんな審神者はどんな方なのでしょう?

 奥の部屋から審神者が入室して来ました。

 私はもっと歳のいった老人かと思っておりましたが、30代そこそこの青年でした。

 私達にとってはおじさんみたいな年齢に見えます。

 両親よりも歳若いようなおじさんで、無論美男子です。刀剣男子のような柔和な美しさではなく、生真面目な好青年といった方でした。

 こんな方がレア刀剣蒐集に人生を捧げ、血道を挙げているなんて、人は見かけによらぬものです。

 私は、三日月の審神者がよく噂に聞く化け物のような外見の醜い者で、沢山の美童を侍らす事を目的にした審神者などでは嫌だなあとは思っていましたが、こんな審神者ならそういったことに困る事など無いでしょうし、わざわざ刀剣男子に性行為を頼む必要も無いでしょう。

 外見だけなら、一般の女性から引く手数多のように見受けられました。

 流石三日月と私の審神者です。

 さて、私と審神者は向かい合わせで座り、適合調整をします。

「お初にお目にかかる、私は君の審神者上野統だ。」

「は、初めまして私は荷田義憲小狐丸、です。」

 私は私の苗字と姓を言いました。滅多に言うことの無い本当の名前です。

「ふむ、元服おめでとう。私が急いだせいで君は既に祝言を挙げて三日月と夫婦だったね。本来ならそれと同時に元服をするのだが、手続きがなかなか進まず今日が君の元服の儀式となった。あい済まぬな。」

 ペコリ、とお辞儀をされました。

 私はちょっとビックリしました。

 苛烈な方だというのに気遣いが細やかで、想像したより穏やかに見えます。

 そして、審神者は手元から長い布に包まれた棒を取り出しました。

 刀剣です。

「君の刀剣を持ってきた。」

 そう言って覆っている布を解いて、鞘を見せてくれました。

 綺麗な拵えで金色と黄色い色をしております。

「これが君の刀剣。小狐丸義憲だ。特別に奉納された神社から取り寄せてある。この鞘や柄は急拵えだが儀式には相応しいかな」

「は、はい・・・」

「実はこれは本物じゃない。刀工につくられたレプリカだ。本物は箱の中に布と札に包まれ大祭の時にしか出されない。だが、当時と同じ刀工、同じ技術で出来ている。君のために造られた君のための刀だ。手に取りなさい」

「は、はい!」

 ズシリとした刀剣を手に取り、私の刀剣であるという実感が徐々に湧いてきました。

 何だか刀剣から呼吸や鼓動が聞こえるような?

 こんな事は初めてです。

「刀剣の鼓動が聞こえるかい?それなら合格だ。太郎太刀、三日月も刀剣の鼓動を感じていたよ」

 三日月も?

 こんな不思議な感覚は刀剣男子だけのものでしょうか?

「中には宵闇にあっても周りが光って見えるようになる刀剣男子も居るそうだよ。君はどうかな?」

「いや、そこまでは・・」

 そんな怖い現象にはあまりあいたくない気がします。

 そもそも辺りが光って見えるから何だというのでしょう?

 刀剣の鼓動を感じられるほうが凄いと思いますが・・・

「ああー、君はまだまだ若いからねえ、それがどれだけ素晴らしいか解かんないよねえ」

 素晴らしいのでしょうか・・・

 私にはよくわかりません

 審神者はパン、と手を打つと

「それでは君の元服を始めよう。刀剣と一般の元服とはここが違うんだ。」

 審神者は、私に刀剣を両手で持っているように言い、合わせた手の平を擦り合わせると手から煙のようなものが出てきました。

 うわ、すごい

 もくもくと煙が手から出てくるのです。

 それが刀剣に繋がり刀剣を絡めるように纏わりつき、そして私の体も覆うようになりました。

 手から刀剣が離せません。まるで私の手と刀剣が一体化したような気持ちです。

 これは何なのでしょう?

 目を開けているのに目の前が真っ暗になり、薄い光の粒のようなものが見え始めました。

 キラキラした光がはじけて、刀剣を持つ私の手の上で弾けました。

 これは・・・・

 これが一体化した感覚でしょうか?わたしには上も前も後ろも何もわからない状態に成りました。

 宙に浮く!!

 ああ、落ちる!

 という感覚になり目を開けているのに目を開けようとして瞬きをすると

「トリップはどうだったかな?これで君の元服の儀は終了だ。これからは立派な刀剣として活躍してくれよ」

 そう審神者が言ってその場から去ってしまいました。

 残された私はただ一人ポツンとしばらく立ち尽くしていました。

 すると、巫が私が儀式がまだあるのに移動して無い事をいぶかしみ迎えに来てくださいました。

 加冠の儀式の間に私は移動する事になりましたが、私は自分の手を二度みします。

 手にもった私の刀剣、これからはこれと一緒に過ごす私の分身です。

 ですが、今はその刀剣の影も形もありません。どこに行ってしまったのでしょう?

 社務所に戻ると、付き添いで来ていた両親と三日月が心配そうに駆け寄って来ました。

 両親は私の姿を見た途端、驚嘆していました。

「お前、なんだあその髪!」

「え、どういう事なの?小狐、ちょっと、何これ?」

 髪?どうした事でしょうか?

 私の髪が?

 私の髪を一房取って見て見ます。

 あれ?

 真っ白・・・・

「うわー!私の髪が?!何じゃこれは!!」

 どうした事でしょうか?私の髪は元々色素の薄い狐のような黄茶色い髪でした。

 ですが、今の髪は完全に銀髪です。茶色そのものが無い!

「おお、刀剣になったのだなあ」

 一人三日月だけがニコニコとして私を見ています。

 両親は変わり果てた私の姿に戦々恐々としているのに。

 刀剣になった?とはどういう事でしょう?

「俺も刀剣になった時に目がちょっと変わったのだ。見てみるがよい」

 そう言うと三日月は、私に目を近づけて眼球を見せます。

 ああ、美しい

 なんて美しい三日月

 目に浮かぶ半月に心奪われそうになりましたが、正気に戻りました。

 確かに普通の人間には無い刀剣の証明です。

「落ち着いたか?刀剣になるとこうやって体のどこかに証明書みたいなものが出来るのだ。とと様、かか様、落ち着いて下され、これは刀剣になったという証明ですよ」

 まあそうなの?ああ、そういった事が、と両親は口々に言って落ち着きを取り戻しました。

 加冠には、とと様に直接冠を頂く慣わしです。

 正気でいてもらわねば困ります。

「ああ、俺達は単なる親なだけだからねえ、刀剣なんて一族には出た事ないし、さっぱり都合がわからなくて…三日月が居てくれて助かるよ」

 と、とと様が三日月をお褒めなさると、三日月はとても嬉しそうです。

 そして準備が整ったので、曲げを結い、加冠の儀を終えました。

 昔の公家のような格好です。

 それにしても、銀髪になってしまった私を見て友人は何を思うのでしょうか

 いえ、きっと単にバンドに目覚めたのかとか、恋人の趣味なのかとか、好きな芸能人の真似か、とか

 そういった話にしかならなそうです。

 きっとこういった現象が起きるから刀剣男子は専用の学園があるのだな、とも思いました。

 あの消えた刀剣

 あれはどこに行ったのでしょう?

 まさか私の内に?

 刀剣のせいで私の体に異変が起きたのは間違いありませんが・・・・・・

 詳しいことは三日月に聞いていけば良い様な気もします。

 何しろ三日月は刀剣男子の頂点に立つ男ですから、刀剣についての知識は膨大です。

 とにもかくにも、こうして私は刀剣となったのでした。

 


 
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