咎を受けし御使いの最後の旅～二人の御使いと二人の劉備～

新参の加入２～回想～

　キリトとアスナを連れて早速転移人を用いて一騎は一刀の元に駆けつけた。・・・のだが、再会するや否やキリトは正座させられていた。

　キリト「あ、あのさスグ？俺は何でこんな事になってるんでしょう？」

　直葉「SAOに閉じ込められたお兄ちゃんはゲームの中でこんな可愛い彼女を作った挙げ句、リズベットさんやシリカちゃんなんて言う可愛い子と知りあっていた事を問いただしたい妹心だよ！」

　アスナ「か、可愛いだなんて・・・」

　一騎「い、いや、それよりどうしてその二人を知ってるかが問題な気が・・・」

　一刀「で？どう言う知り合い？？」

　一騎「あ、ああ。聞いて驚け。フルダイブ型ゲームが実現した外史の住人だ。」

　桃香「古大武？」

　一刀「何その漢字超かっこいいんだけど。」

　一騎「古武術の一種なのかな？」

　アスナ（どうしよう・・・ゲーム内容的にハズレって訳でも無いかも・・・）

　一騎「ひとまず一刀。直葉ちゃんとの出会いを回想ヨロ」

　一刀「ｋ」

　アスナ「wktk」

　桃香&月「？？」

　一刀「晋との国境付近の警戒をしてた俺達劉北隊は晋の方角から来る軍勢を発見したんだ・・・」

　キリトの説教の裏で直葉と一刀達の出会いが語られ始めた。

　一刀「この辺りも異常無し・・・かな？」

　月「へぅ、油断は禁物ですよ一刀さん。」

　桃香「そう言う事言うと本当に何かあるよ？月ちゃん。」

　月「へぅ！？そ、そう言われると・・・心配になってきます。」

　一刀「ははは、月は心配性だなぁ。」

　？？？『グオオオオオオオオ！！！』

　三人「「「・・・・・・本当に来たぁぁぁぁぁぁ！！！！！」」」

　周囲の兵はこの人達本当に大丈夫だろうか？と心配になってきていた。

　一刀「って・・・あの正面に居る人って斗詩？」

　桃香「え？あ、斗詩ちゃん・・・？」

　月「え？だって斗詩さんは建業で詰めてる筈ですよ？」

　一刀「だってあの黒髪ぱっつんは・・・」

　桃香「だよねぇ？」

　月「・・・と、とにかく迎撃準備です！各隊対人戦闘準備！魔物は私達将で相手をします！！」

　そう言って月は腰に巻いた布を一つ解き、それをフォンフォンと音を鳴らして構えなおした。

　一騎特製月専用武器、常夜の帯。一騎の魔力と一刀の氣を織り交ぜて作った合作だ。一騎曰く、俺でも切れない布とかすごい物作っちゃったなぁ・・・とのことである。

　一刀「まずは俺が一撃ぶちかます！抜刀術・・・『月刀(げっとう)』！！」

　一刀が鞘から金政を抜き放つと三日月状の斬撃が敵集団に着弾し、敵を切り倒して行った。

　桃香「左右は私がやるよ。『封陣縛風』！！」

　桃香は左右に分かれる風を発生させ敵の動きを封じるとそのまま風圧で相手の足を潰して動けなくしてしまう。

　月「近づいた敵兵は出来るだけ生かして捕らえてください。危険な場合は仕方ないので・・・破！！・・・殺してしまってかまいません。」

　冥兵「「「「「おおおおおお！！！！」」」」」

　敵はそれほど多くは無かったが、敵将である少女が一刀の前に対峙していた。

　一刀「君は？」

　？？？「・・・・・・」

　一刀「答えない・・・か。学生服を着てる所を見るとこの時代の人じゃないみたいだね。于吉から聞いた事があるけど、どうやら操られているようだ。」

　うつろな瞳を見て一刀はかつて于吉に聞いた操られた者の特徴と一致するようだった。

　？？？「・・・（ス）」

　少女は腰にまるで剣の柄に手を掛けるような構えを見せるとその手に鞘に収まった剣が現れた。

　？？？「リンクスタート。」

　そう呟いた少女の体は光に包まれ緑色を基調とした服と金色の髪の背に羽らしきものを生やした少女に姿を変えたのだった。

　一刀「変身した！？」

　一刀は突然のことで動揺したが、直に戦闘態勢を取る。理由は目の前の少女が手をかざして何やら呟き始めたからだ。

　一刀「なんかいやな感じだ・・・桃香、月、注意を・・・」

　一刀が注意を促そうとした刹那、少女の方から風の斬撃が無数に飛んできて兵の密集地帯に着弾してしまった。

　一刀「な！？だ、大丈夫か！！」

　冥兵「だ、大丈夫です。各員、被害報告。けが人を後方に下がらせろ！一騎様の魔法に比べればこの程度なんてことありません！！」

　一刀「ここにきて一騎の魔法耐久訓練の成果か。」

　桃香「一刀さん、あの子を止めないと兵の被害が広がるよ。古参の兵はともかく建業に居た兵は動揺してる。」

　一刀「分かってる。月、兵の統率を頼む。桃香、一人で魔物を相手してもらっていいか？」

　月「分かりました。」

　桃香「うん、頑張ってね一刀さん。」

　一刀はそのまま少女に向き合い、拳を握り構えた。

　一刀「君は必ず解放する。剣は正気の状態の君と交えてみたいからね。往くぞ！！」

　一刀は瞬動で一気に少女に肉薄するとそのまま拳を突き出し、剣を弾いた。

　？？？「！？」

　一刀「いい反応をする！だがこれでぇぇ！！」

　ガイン、ガイン、バキィン！！

　一刀の連打を受けながらすぐに剣を引きもどす少女だったが、一刀の一撃一撃は相当重く、遂に剣を弾き飛ばされてしまった。

　？？？「ぁ・・・」

　一刀「貰った！魔力充填、氣力解放！強制解呪！！」

　一刀の右手が少女の額を鷲掴みすると、一気に光が広がり、少女の声にならない悲鳴がその場に広がった。

　一刀「・・・解呪、完了。」

　光が収束し、変身前の姿で地面に倒れる少女とその傍で立つ一刀の姿が現れたと同時に晋兵は逃走し、魔物達は制御を失ったかのようにあちらこちらで問答無用で暴れ始めた。

　一刀「よっと・・・じゃ、後はあいつらを片づけるだけだなっと。」

　一刀は少女を少し離れた場所に寝かせるとそのまま金政を抜刀し、魔物が暴れている場所めがけて突撃して行った。

　一刀「・・・とまあ、殲滅した後に桃香と月が目を覚ました直葉といろいろ話をしているうちに打ち解けて仲良くなったんだけど・・・名前のニュアンスからやっぱり日本人だなって思って一騎に連絡したってわけ。」

　一騎「なるほど・・・」

　アスナ「・・・えっと、彼女はこうして・・・剣が・・・出て来た！？」

　一騎「詰まる所直葉ちゃんとアスナは同じ力を有しているってことか？」

　アスナ「・・・リンクスタート。」

　アスナがそう言葉を発すると、アスナの体が光に包まれ白と赤を基調とした騎士服に姿を変えた。

　桃香「す、すごい。」

　一刀「うお・・・すげえ。」

　桃香と一刀は驚き、一騎は何やら考え込んでいた。

　アスナ「えっと・・・メニュー画面が開けないみたい。だったら・・・リンクアウト？」

　今度はアスナが別の言葉を発するとまた光り、私服姿に戻っていた。

　一刀「なあ一騎、何を考えているんだ？」

　一騎「あ、ああ。なあアスナ。アスナってなんか持ってるか？その・・・力を感じるんだ。意思の力かな？そう言った物、意思を持った力を感じる。」

　アスナ「意思？・・・あ！ま、まさか！！」

　そう言ってアスナは首に掛けられたペンダントを一騎に見せた。

　一騎「ああ、これだこれ。これ何なんだ？」

　アスナ「ユイちゃんの・・・心です。」

　一騎「ユイ？」

　アスナはそのままユイについて語りだした。

　一刀「ＡＩって・・・すごいな・・・」

　一騎「なるほどな・・・本当の知性は魂と変わらない。生きてると言っても過言じゃない。アスナ、キリトも同じのを持ってるのか？あいつからも感じるんだが・・・」

　アスナ「え？これは一つだけだけど・・・キリト君！」

　キリト「はい・・・はい・・・すみません・・・すみません・・・は！？な、何だアスナ？」

　直葉の説教の最中にアスナはキリトを呼び、事情を説明した。

　キリト「意思の力がこもった物・・・えっと・・・」

　カラン。

　キリトがポケットを探っていると不意に一つの石みたいなものが転げ落ちた。

　キリト「な、何でこれが此処に・・・サチのボイスレコーダーが此処にあるんだ。」

　驚くキリト、そしてその後ろには・・・まるで獲物を見つけた獣のように目を赤く光らせた直葉がキリトの肩を後ろから鷲掴みしていた。

　直葉「また新しい女の人かなぁ？？？＃＃＃」

　キリト「ひぃ！？」

　そのままキリトは直葉に引き摺られて離れていってまた正座させられていた。

　一騎「・・・話が進まない。一刀はこれから建業に帰還。俺はキリト達を本邸に連れてって色々する事があるから・・・」

　一刀「分かった。」

　こうして一刀は桃香達と建業に戻り、一騎は説教を受けるキリトと説教する直葉をそのままの状態で本邸に転移させ、アスナと一騎もそのまま本邸に転移した。

　あとがき

　直葉の変身は剣を具現化させ、リンクスタートと唱えると姿を変えると言う物でした。そして、出て来たのはユイの心。そして・・・

　はてさてどうなる事やら？そしてキリトへの説教はいつまで続くのか？

　次回『新参の加入３』

　直葉の正式参入はもうちょっと後・・・って言うかキリトの説教を終わらせてからですね。

　じゃ、また次回。