No.763610

ハイスクール•DM 決闘03

龍牙さん

「あいつを傷付ける奴は、悪だ!」

これは無法の力を手にした少年とその仲間達の物語である。

この作品はハイスクールD×Dとデュエルマスターズのクロスです。カードゲームはしません。

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2015-03-11 00:57:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1502   閲覧ユーザー数:1446

「お前ら、覚悟は良いか?」

 

 紅き血(ザ・ヒート)を展開している四季と、必死に首を振っているオカルト研の面々と……

 

 具体的に言おう……この世界の中での詩乃には一つトラウマが増えていた。だが、今まで『悪魔』と呼ばれる存在が自分達から率先して正体を明かすわけも無く、条件が狭かったのか発作を起こす事もなかったので気付かなかった。

 

「……この期に及んでオレ達に此処に所属しろなんて寝言を吐くなら……本気で潰すぞ」

 

 

 さて、一度数分前まで一度物語を遡ろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほれ」

 

 四季に殺気交じりで睨まれた一誠の襟首を掴んで引きずりながら木場へと渡すと、

 

「色男、詩乃はオレが呼びに行くから変態を持って先に行ってくれ」

 

「ちょっと待て、何で行き成りオレの呼び方が変態になってるんだよ!?」

 

 勿論詩乃の事を『人殺し』等と言う余計な一言のためである。

 

「黙れ、口を開くな」

 

「ぐへぇ!」

 

 問答無用で腹を蹴り付けて一誠を黙らせる四季。……乱暴な事この上ないが、大好きな詩乃を侮辱した相手に掛ける情けも加減も四季の中には無かったりする。

 

「何も知らないくせに詩乃の事を悪く言ってんじゃねぇよ」

 

「ええと、ぼくが行っても良いんだけど」

 

「オレが行く。逃げないか心配なら、教室の前に待ってれば良いだろ?」

 

 四季が守ってはいるが、あまり彼女の風当たりが強くなる事は避けたい……。この学園での木場の女子からの人気を考えると……

 

(自覚ねぇだろ、こいつ……それに)

 

 どうも、金髪の男との接触を嫌がっている節のある詩乃に近づけたく無いと言うのもある。理由は分からない……小学校の頃の一件が原因で負ってしまった銃に対してのトラウマとは違う物だとは思っているが、どうも四季としても極力彼女を接触させたくないと思う。

 

「おーい、詩乃、居るか?」

 

「ちょっと、四季!」

 

 そう言ってドアを開けると一瞬で教室中の注目が四季と詩乃へと向く。四季へと向けられる視線の大半は脅えと言った所だ。

 ……元々不良として見られている上に人間態のアウトレイジの皆さんと親しくしている時点で避けられる理由は察する事も出来るだろう。

 一部の女子からはアウトローな空気を纏っている四季の事を『格好良い』とか言う意見もあるが、親しい人間は少ない。……その反面、親しい人間で四季の事を悪く言う人間はいなかったりする。彼のアウトレイジの気質による物ではあるが……

 

「待ち合わせは校門だったでしょ」

 

「ああ。ちょっと、オレ達に用が有る奴が居るらしいからな」

 

 はっきり言って詩乃と一緒に居られる時間が多いのは嬉しいが、無能魔王(サーゼクス)の妹に呼び出されると言うのは気に喰わない……複雑な心境である。

 

 そう呟いて後ろを睨むと其処には冷や汗を流しながらも何時もの爽やかな笑顔を浮べていた木場の姿が有った。……取り合えず、何か言いたそうだが『黙れ』と命令しているのを守って黙っている一誠は無視しつつ、

 

「まあ、断ってもしつこいだろうから、さっさと行って用件を聞いた方が良いと思ったんだ。……悪いな」

 

「……う、うん」

 

 勝手に決めた事を誤りつつ手を繋いで教室から出て行く。……その現状に顔が赤くなる二人だったが、四季は改めて正面に居る木場へと視線を向け、

 

「……何処に行くか知ってるけど、さっさと案内して貰えるか?」

 

「そうだね、それじゃあ行こうか。……オカルト研究部へ」

 

 

 

 

 

 旧校舎……

 

「ここだよ」

 

 旧校舎の中に着いた四季達は一つの部屋の前に案内される。中へと通されると其処には至る所に魔法陣の様な幾何学模様が書かれた部屋だった。……まあ、彼女達が本物の悪魔だと知っている者にすれば、それらの魔法陣の中には幾つか“本物”も混ざっているのだろう。

 

 『オカルト研究部』、そう書かれた部屋の中に通されると、

 

「おおっ! あれは学園のマスコット、一年の搭城小猫ちゃんじゃないか!」

 

「……一回……喋ったな」

 

「あっ」

 

「二回目だ……今日は精々余生を楽しむんだな」

 

 低い声音で告げられる言葉に顔を真っ青にする一誠だが、それらを無視して軽く小猫へと会釈する。

 ……一応、グレモリーの眷属と言う点以外では思うところも無い相手なので敵意はない相手だ。

 ……まあ、現状でグレモリー眷属で思う所が有るのはリアスだけだが……。

 

(変態もグレモリーの眷属になったんだろうな……)

 

 はっきり言おう……グレモリーの所(オカルト研究部)に所属したくない理由が増えた四季だった。そもそも、四季にとって一度でも詩乃を侮辱した人間は例外なく“敵”だ。……そう言う意味では一誠は仲間にはなりたくない。

 

(何時からなんだろうな……)

 

 そう思うが既に答えは出ている。……あの事件の時からだ。そんな事を思考しながら隣に居る……手を握っている詩乃の横顔を見る。……変態そのものと言う表情を浮べている一誠を呆れた目で見ている。

 

(うん、可愛い)

 

 彼女を見ているだけで僅かに湧いていた幾つもの負の感情が消えていくのを感じる。思えば、アウトレイジの書とも神器とも違う紅き血(ザ・ヒート)の力を何処か恐怖していた。……他の相手なら……家族であっても拒絶された所で気にする心算は無い。だが……

 

(詩乃に拒絶されるのだけは嫌だった……)

 

 だからこそ、力に目覚めて以来……何度も告白したいと思っていたが、一度も告白できずに終っていた。誰かに邪魔されたのではなく、怖がっていただけだ……拒絶されるかもしれないと思うのが。

 

 だが、あの日……自分の事を受容れてくれた時は心から嬉しかった。詩乃が幸せなら、その時に側に居るのが自分じゃなくても良いとは思っていた。たとえ、其処に自分の居場所が無くても……彼女の笑顔が有れば、それだけで戦う理由になると思っていた。

 

 だが、その反面……自分の元から何処かへ行ってしまうのは怖かった。イヤだった……。

 

 正式なカツキングの次の所有者に選ばれた筈の《アウトレイジクリスタル》が一度も四季に応えてくれなかったのは、四季の中にある矛盾、迷いゆえだったのだろうと考え付いたのはつい最近……アウトレイジクリスタルの力の一部……カツキングの神器モードの第二形態……カツキングMAXの力を使える様になった時からだ。

 

(力を振るう理由……再確認できたな)

 

 詩乃を守る事。掌から伝わる温もりを、彼女の笑顔を……四季としても、アウトレイジとしても守りたい……。

 久し振りに彼女を侮辱する言葉を聞いた時に思わず一誠を殴ってしまった時の事を思い出しながら、そんな事に気付けた。

 

 

『…………っと……るの!?』

 

 

「へ?」

 

 突然聞こえた声に気が付くと何時の間にかリアスの姿があった。

 

「ちょっと、聞いてるの!?」

 

「いや、全然」

 

 そうはっきり応えると怒りを露にして怒鳴ってくるリアスをスルーしつつソファーに座る詩乃と共に四季だった。

 

 

 

 

 

 

<<page>>

 

 朝田詩乃と言う少女は五峰四季にとってどう言う存在であるか、と改めて考えてみると、四季は告白が成功した後、内心で人間って嬉しくても泣きそうになるんだな、と思ってしまった事を思い出した。

 

 だが、堕天使に襲われたときと先程の一誠の暴言で答えは出た。『全て』だ。戦う理由で、守るべき存在で、絶対に手放したくないモノであり、誰よりも幸せであって欲しい相手だ。……まあ、簡単に言葉で表現したが……そんな物では説明できない。

 

「こうなったのは、悲しむべきなのか……喜ぶべきなのか……複雑だな」

 

 詩乃が裏に関わらせる事になってしまった事は悲しむべきであり、逆に恋人と言う関係になれた事は喜ぶべきであると言うのは理解しているが、その二つが同時に起こってしまった為に素直にリアクション出来ずにいる。まあ、そんな風に割りと悩んでしまっていたのだが……。

 

 まあ、根本的に四季にとって一番叩き切りたい物は詩乃の不幸で有るのだが、実際に形の無い物等斬る事などできない。どうも今後も彼女は何かの危険に晒されそうな気がするのだが……。

 

「……神を斬るのが一番か……」

 

 八つ当たりの対象を無理矢理神様へと軌道修正する四季だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……改めて、これで全員揃ったわね。兵藤一誠君、五峰四季君、朝田詩乃さん。いえ、イッセーと四季、詩乃と呼ばせてもらって良いかしら?」

 

「は、はい」

 

 取り合えず……次ぎ喋ったら明日を待たずに一誠を黙らせようと思いつつ、リアスの言葉を肯定も否定もしない態度を見せる四季。

 

「私達、オカルト研究部はあなた達を歓迎するわ」

 

「え? あ、はい」

 

「悪魔としてね」

 

 心底歓迎されたくは無いとも思うが、話が進まないので黙っている事にする。一応、先日の堕天使の事を説明する為に詩乃には本来の姿のアウトレイジ達を見せた上で天使、悪魔、堕天使の存在は説明済みなので、戸惑っているのは一誠一人だけだ。

 

 実際、生徒会の方に説明した上で詩乃は自分達アウトレイジの関係者だと言っておこうと思った矢先での呼び出しは流石に、

 

(満更無能でもないか……。いや、この場合は行動が早い……って言うべきか)

 

 そう思ってしまう。流石に一日程度は放置するのではと思っていたが、そうでもなかった様子だ。その間に詩乃の所属は自分達アウトレイジだと言う事にしておきたかったが……。

 

「粗茶ですか」

 

「どうも」

 

 オカルト研究部の副部長『姫島 朱乃』の淹れてくれたお茶を一瞥しつつ、一度手に取った後テーブルの上に置きなおす。……変な物は入ってないだろうが、警戒していると言うのは相手にも分かり易い方がいいだろう。

 

「飲まないんですか?」

 

「喉渇いてないんで」

 

「私は……」

 

「あ」

 

 詩乃にそう言われて初めて気が付いたが、あまりにも自然だったから手を繋いだままなのを忘れていた。……確かに片手じゃ飲み難いだろう。

 

「あらあら、仲がよろしいんですね」

 

「ま、まあ、恋人ですから」

 

 うふふと笑っている朱乃に言われて、照れながらもそう応える四季と、顔を真っ赤にして俯いている詩乃。

 

 そして始まるのはリアスによる三大勢力講座。その辺は既に知っている四季と四季から説明済みの詩乃は悪魔側の視点に立った上での三大勢力の説明を確認している。

 

 悪魔側からすれば、堕天使は侵略者で、天使は殺人鬼と言う事になる。

 

「いやいや、先輩。幾らなんでもそれは普通の男子生徒であるオレにはちょっと、難易度の高いお話ですよ」

 

「オカルト研究部は仮の姿よ。私の趣味。本当は私達は悪魔なの」

 

「んなバカな……」

 

 既に理解できないと言った様子の一誠だが、話の話題は『天野夕麻』の事に移った。……はっきり言って四季も詩乃も夕麻と言う少女の事は何も知らないので会話には加われない。

 

「天野夕麻。アレが堕天使よ」

 

 デートの最後、一誠を襲った彼女の背中には確かに烏を思わせる漆黒の翼が有った事を思い出す。烏を思わせる黒い翼……それが白い翼を持つ天使が堕ちた存在である堕天使の証だ。

 

「そして、彼女を襲った相手も同じ存在よ」

 

「ああ、それならオレから説明済み」

 

 其処で話を振られ四季が空いている手を挙げてそう告げる。

 

「そう。それで、彼女を襲った堕天使を……」

 

「ああ、オレが灰にした奴か。羽も残さず灰にしましたけど? それが何か?」

 

「それが何か? ……じゃないわ! 今三大勢力は冷戦状態にあるのよ! 貴方の勝手な行動で三竦みに罅が入ったら「知ったこっちゃない」」

 

 リアスの言葉を遮って四季の言葉が響く。堕天使と悪魔の関係を考えて複雑な心境なリアスなのだが、

 

「悪いが、詩乃を傷つけようと……いや、あいつの場合は殺そうとしてたな。……だから叩ききったそれだけだ。大体オレは悪魔じゃねぇんだ。関係にゃ罅も入り様もねぇだろ」

 

 四季にしてみれば詩乃を殺そうとした奴をタダで済ます気はなかった。それで三竦みに罅が入ろうが、知った事では無い。まあ、サーゼクスがどう苦労しようが知った事では無いが、親しい関係にある会長とその姉に迷惑が掛かるようならば、責任を持って堕天使の幹部達の首を取る心算では有ったが。当然ながら、キング達にも相談済みで協力も取り付けてある。

 

「と、兎に角……彼女はある目的から貴方に接触し、目的を果たしたから貴方を殺して、周囲から自身の記憶と記録を消したのよ」

 

「目的……ですか?」

 

「そう、貴方を殺す事」

 

 其処で原因となるのが、神器(セイクリッド・ギア)なので、そちらの説明へとつながる。

 

「ドラゴン波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

「「プ!」」

 

 本気でドラゴン波を撃とうとしている姿に噴出してしまう四季と詩乃。木場と朱乃の二人も苦笑を浮べて……小猫だけは黙々と羊羹を食べていた。

 

「一誠、目を開けてよく見てごらんなさい」

 

「へ? って、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ! 何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 リアスに促されて一誠が目を開けると左腕に装着されている籠手……籠手の本体は請った装飾が施され、手の甲には緑色の宝玉が埋め込まれていた。

 

 

『ん? なんか、懐かしい気配がするじゃねぇか……あの時の二匹の駄龍の赤い方か?』

 

 

 妙に怒気の孕んだカツキングの声が聞こえるのだが、それは四季だけに聞こえたのではなく……

 

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!? 奴が、奴が近くに!』

 

 

 カツキングの怒気によって無理矢理覚醒させられた哀れな『赤龍帝ドライグ』の絶叫によってリアス達は混乱にさらされるのだった。……うん、カレーパンの恨みは恐ろしい。……まあ、カツキングの存在に怖がっているドライグは神器の中に早々に引き篭もってしまったが。

 

 二天龍のプライドもカレーパンの恨みでズタズタにされたのだから、怖がるのも無理は無いだろう。

 

「それで、次は彼女の番だけど」

 

 そう言って視線を詩乃へと向けるリアスだが、その視線から庇うように四季が詩乃の前に出る。

 

「残念ながら、彼女は既に神器の発動を終えている」

 

「どう言うことかしら?」

 

「……あんたの無能な兄のお蔭でな。まあ、本人が拒絶している事もあるから、オレが会長さんたちの立会いで引き上げようと考えていたんだけどな……」

 

 そう呟く四季の手の中に出現するアウトレイジの書。アウトレイジの戦いよりも未来の時間軸に位置するドラグハートだが、同じ世界出身の力同士……干渉する事が出来るだろうと言う考えだ。

 

「詩乃、何も考えずに心を落ち着かせて居てくれ」

 

「え、ええ」

 

 手を握ったままアウトレイジの書を通じて彼女の中に眠るドラグハート・ウェポン達へと干渉する。

 

(武器……しかも、これが無意識に発動が出来ない原因か……)

 

 恐らく彼女が最初に発動させてしまったであろう水のドラグハート・ウェポンを見てそんな感想を持つ。大砲の様な武器だが、銃を連想させるそれは母親からの言葉と合わせて無意識の内に使うことを恐れるのには十分な理由だろう。

 

 まあ、今は発動させる事が目的だ。

 

(他には……鎌に、槍に、槌……剣もある)

 

 持ち易さから剣の中の一つを意識の中で拾い上げそれを引き抜く。同時に水以外のドラグハート・ウェポンも一緒に引き上げた。

 

「『将龍剣 ガイアール』!」

 

 その剣を引き抜くと同時に鎌、槍、槌、剣が部屋の中にあらわれる。……聖と魔でも無い荒々しいオーラ、今にも動き出しそうな四種の武器。それこそが、ドラグハート・ウェポン。

 

 木場はその中の一振りの剣に手を触れようとするが、虚しく弾かれてしまう。

 

「それが彼女の神器(セイクリッド・ギア)なのね。それにしても、まさか一誠の神器が赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だったなんて」

 

 偶然にも新しく眷族にした一誠の神器が、僅か13しか存在して居ない最高位の神器、滅神具(ロンギヌス)の一つ赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だったと言う幸運に驚きの声を上げる。

 

(……彼の持っている剣も、この剣も凄い力を感じる)

 

 そう思いながら四季の持つ将龍剣ガイアールとは別の剣『銀河大剣ガイハート』へと手を伸ばす。剣士として純粋に目の前にある強力な力を秘めた剣への興味……いや、本人も自覚が無い所で別の意思が存在していた。『この剣があれば己の復讐も果たせる』と言う。

 聖でも魔でも無い荒々しい力……聖剣や魔剣と言うカテゴリーに当てはまらない物でありながら、その剣の持ちうる力は……聖剣も魔剣も超える。

 槍からは聖の、鎌からは魔の力を感じることが出来るが、四つの武器の持つ荒々しい力はそれ以上に感じられる。神器と考えるならば何かが封印されているはずだが、僅かなキッカケさえあれば今すぐにでも封印を解いて暴れだしそうなほどだ。

 

「っ!?」

 

 だが、木場の手がガイハートに触れようとした瞬間、彼の手が弾かれる。『お前などにオレを持つ資格は無い』、そう言われている様で悔しさを覚えるが、もう一振りの剣ガイアールを持つ四季へと視線を向ける。

 

「あっ」

 

 詩乃と繋いでいた手を離すと彼の手の中に在ったガイアールは消える。

 

(もしかして、これは)

 

 再度詩乃の手に触れてガイアールを呼び出そうとすると……再度彼の手の中にガイアールが現れる。

 

(……ドラグナーじゃないオレがガイアールを扱うには詩乃の力を借りるしかないか)

 

 四季はアウトレイジであってドラグナーではない。だが、詩乃はドラグナーなのだ。彼女の力を借りる事によって四季はドラグナーのみにしか扱えないドラグハート・ウェポンを扱えるようになったと言う事だろう。

 

「それが貴方達の|神器(セイクリッド・ギア)よ。一度でも発動できれば、後は自分の意思でいつでも発言可能なはず」

 

「これが……」

 

 自分の武器の凄さがよく分かっていないながらも、一誠は自分の腕の籠手をマジマジと見ている。まあ、四季と詩乃の二人は、

 

(取り合えず速めに仲間の堕天使潰しに行こう……。護衛の為に詩乃に泊まって貰ったけど、あんまり続くと眠れない)

 

 好きな子(詩乃)と一つ屋根の部屋と言う状況で緊張しすぎで眠れない四季だった(その他アウトレイジ達も一緒だが)。まあ、その分授業中に寝ているが。……それでも成績が良いのが四季クォリティ。

 

「貴方はその神器を危険視されて、天野夕麻と名乗っていた堕天使に殺されたの」

 

 その後、リアスは殺されたはずの一誠が生きているのは彼女が、堕天使の光の槍に貫かれ瀕死の重症を負った一誠を自らの眷属悪魔として生き永らえさせたからであると説明した。

 

 何でも瀕死の一誠はその朦朧とした意識の中でリアスを召喚したらしい。彼女を召喚できた理由は、繁華街で一誠が受け取った『あなたの願い叶えます!』とうたい文句の書かれたチラシで、チラシに書かれていた魔法陣は部室の物と同じ物であり、それを使ってリアス達を呼び出すそうだ。

 

 一誠の死に際での一念が本来なら朱乃達眷属を呼び出す所、リアス本人を喚んだらしい。

 

 其処まで説明するとリアスは背中から蝙蝠の如き翼を出す。それに伴うように木場、朱乃、小猫の三人も一斉にリアスと同じ漆黒の翼を展開させた。

 

 そして、それに触発されるように一誠の背中からも羽が展開される。だが、この瞬間何よりも詩乃の事を大切に思っている筈の四季がガイアールやリアス達の説明に気を取られていた事で気付けなかった。

 

「改めて紹介するわね」

 

 リアスが改めて紹介しようとした時、

 

「……あ、ああぁ……」

 

「っ!? 嘘だろ……なんで」

 

「嫌あああああああああああああああああああああああああぁぁぁァァァ!!!」

 

「詩乃!!!」

 

 四季さえも気付いていなかった……四季がサーゼクスを憎む理由が植えつけたもう一つの爆弾。不幸にも彼女の自衛の為のドラグハート・ウェポンの覚醒が齎せてしまったのは、彼女の中に新たに生まれた爆弾。

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「え? ちょっと、その子どうしたの?」

 

「それはオレの台詞だ!」

 

 突然の詩乃の発作に戸惑っているリアスに四季がそう叫ぶ。四季に支えられている彼女の様子には覚えが有る。……覚えが有るのだが、

 

(なんでこうなってる!? 此処には銃なんてないはずなのに!?)

 

 そう思わずには居られない。考えられるのは彼女の中にある最後の水のドラグハート・ウェポンの『真理銃エビデンス』だが……将龍剣ガイアールを含めた最初に確認できた他のドラグハート・ウェポンと違い残してきたはずだ。

 

(……いや、まさか……。でも、状況から考えるとそう……)

 

 思い浮かんだ可能性を取り合えず可能性としてあげておく。原因を放置しておいてまた同じ事が起こっては堪らない。……と言うよりも詩乃の負担を考えると放置など出来るはずもない。

 

「おい、無能妹」

 

「って、何よ、その呼び名は!?」

 

「……無能な魔王(サーゼクス)の妹だからだが。流石に赤髪じゃ色々と失礼だと思ったんでな。同じ髪の色の人に」

 

「私に対して一番失礼でしょ、それは!?」

 

「知・る・か! そんな事より、切り落とされたくなきゃさっさとその蝙蝠みたいな翼を仕舞え!」

 

 態々紅き血(ザ・ヒート)では無くクロスファイアの神器モードを展開するあたり、本気の度合いが高い。

 

「わ、分かったから、少し落ち着いて!」

 

 場は完全に大混乱。……考えられる原因を目の前から排除しつつ、詩乃が落ち着くのを待って自分が考えた可能性が正しいか否かを判断する為に問う。

 

「一つ聞きたい無能妹」

 

「……何かしら。それよりその呼び名止めて貰いたいんだけど……」

 

 内心、他の眷属達は何て呼ばれているんだろうと思ってしまうリアスだった。

 

「え? 変態と色男……それから……搭城と先輩」

 

 空いている手で一誠と木場を指差しながら、他の眷属達の呼び名を言っていく。残る女性陣二人だけ片や名前で片や普通に先輩と……随分自分の扱いが杜撰だと思ってしまうリアスだった。

 

「まあ、それよりも無能妹……」

 

「せめて、何でその呼び名なのか教えてもらえないかしら?」

 

「無能魔王の妹だからと言っただろが」

 

 即答だった。現在の魔王の半分を嫌っていて、セラフォルー・レヴィアタンとは普通に友達感覚なのだから……特別サーゼクスが嫌いなのだろうとリアスは思う。

 

「そんな事より……今から言う年月に死んだか行方不明になった上級悪魔……そいつの特徴を知ってたら教えろ」

 

 明らかに居ると言う確信を持って告げられる日付。忘れもしない……四季にとって二度目の……彼女を守れなかった日の事。彼女のドラグハート・ウェポンを狙う上級悪魔に襲われた時だ。

 

「た、確かに居るって聞いたけど……」

 

 死んだ奴の事など同でも良いと思っていたが、リアスの答えで歯車が嵌ってしまった。間違いない、詩乃のドラグハート・ウェポンの力に目を付けた貴族と、それに伴うドラグハート・ウェポンの覚醒と、それを目撃してしまった彼女の母親からの完全な拒絶。

 

(そうなると……原因はあいつか)

 

 殺気全開で不機嫌な目で木場を睨む。髪の色だけだが外見的な特徴が重なるのが、悪魔の証である翼を広げた木場だ。

 

 表面化させずに意図的に画していた彼女の中の水のドラグハートだが、間違いなく彼女の資質に最も適応できるのもそれだ。恐らく、ドラグハート自身の意思で彼女を守る為にその力を使ったのだろう。……ガイアールを手にした時に知った『龍解』の力を。

 

 そう推測した瞬間に四季の脳裏に現れる蒼い巨体ドラゴンがそれを肯定する様に頷く。結果的に新たなトラウマを刻んでしまったわけだが、助けてくれた『龍素王Q.E.D』に対しては感謝するしかない。

 

「取り合えず、色男。今後詩乃の前でその羽を見せるな。もし見せたら……どんな理由があっても……叩き切る」

 

 殺意全開の一言が響くのだった。

 

「で、だ。……リアス・グレモリー。これでまだ此処に所属しろだの、眷属に慣れなどと妄言を吐く気だ?」

 

 必死に首を横に振る一同……彼女が完全に落ち着くまで本気の殺気に曝される事になるグレモリー眷属一同でした。なお、その殺気で本気で怖がっていたのは当然ながら転生悪魔になったばかりの一誠でした。

 

「と、兎も角……改めて自己紹介させてもらって良いかしら」

 

「速く済ましてくれ」

 

 はっきり言って早く帰って詩乃を休ませたいのだが、間違いなくまた出向いて来るだろう……。また何かの不注意で同じ事が起こっても困るから、今は一刻も早く話を終らせて此処から立ち去りたい。内心、『余計なトラウマまで増やしやがって』と貴族を抑えられていない内政担当の魔王(サーゼクス)への怒りを増やす四季だった。

 『悪魔の滅びを防ぐのに貴族の協力が必要』等と考えているのなら、オレ達の手で致命傷与えてやろうか? とも思うが、流石に友好関係になっているセラフォルーやソーナと敵対したくないので、考えるだけで実行には移してないが……。

 

「流石に物騒すぎるだろうが」

 

 突然響いた四季もよく知る第三者の声と、頭を小突かれた感覚で意識が現実へと戻る。

 

「キング……すみません」

 

「おう」

 

 当然ながら、突然現れたカツキングの姿にリアス達は……一誠の神器の中に居るドライグも含めて一誠以外の全員が驚いている。

 ドラゴンの中に置いて二天龍と先代の四大魔王に聖書の神を相手に勝利して見せた『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)グレードレッド』、『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス』に次ぐと目されているドラゴン……

 

「ア、無法龍(アウトレイジ・ドラゴン)カツキング!!!」

 

 アウトレイジと名乗った事が原因で無法龍(アウトレイジ・ドラゴン)等と呼ばれているカツキングの姿を見れば驚くのも当然だろう。

 

「ほう、アウトレイジ・ドラゴンか。悪くねぇな」

 

「気にいらねぇな」

 

 当然ながら、カツキングがその名を背負うのは気に入らないクロスファイアまで出てくる始末。

 

(ふ、増えたぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?)

 

 カツキングとクロスファイア……アウトレイジの中でもトップの実力者二人の睨み合いが始まっている。序でにケンカの勝敗はキングの50勝45敗でクロスが負け越している。まあ、睨み合いだけで結界が破裂しそうな二人であるが、何故か目の前で始まった二人の睨み合いに流石に涙目なリアス。『どうしよう』と言う目で朱乃に助けを求めるが、『私に聞かないで』と言う態度で目を逸らされてしまう。

 

『…………なあ、相棒…………。天龍って称号はあいつ等の方が相応しくないか?』

 

「と、突然言われても何のことかわからねぇよ!!!」

 

 二人の睨み合いを真横で直視する破目になっている一誠とドライグは……自分より強いキングとそれと普通ににらみ合いが出来るクロスに天龍の称号が本当に自分に相応しいのか悩んでいたりする。

 

 

―ガンッ!!!―

 

 

 そんな時、突然響く衝撃音に二人の視線が其方へと向かう。

 

「キング、クロス……悪いけど、後にしてくれ。話が先に進まない」

 

「そうだったな」

 

「ああ、悪かった」

 

 拳をテーブルに叩きつけた四季の言葉に、先程までの険悪な様子もなく大人しく矛を収める二人。

 

「オレは早く話を終わらせて詩乃を休ませたいんだ」

 

 そう言ってリアスへと視線を向けて、

 

「さ、自己紹介を早くしてくれ」

 

「え、ええ」

 

「僕は木場祐斗。一誠君や四季君と同じく、二年生。えーと、僕も悪魔です。宜しく」

 

 二人のケンカを納めて見せた四季に引き攣ったスマイルを浮べながらあいさつする木場。

 

「……一年生……搭城小猫と言います。宜しくお願いします。……悪魔です」

 

 先程のにらみ合いを気にせずにマイペースに羊羹を食べていた小猫が小さく頭を下げる。

 

「私は三年生、姫島朱乃ですわ。一応、研究部の副部長も兼任しておりますの。今後とも宜しくお願いしますね。こう見えても悪魔ですわ。うふふ」

 

 礼儀正しく深々と頭を下げて挨拶する朱乃。……取り合えず、グレモリー眷属では小猫と同じく四季から負の感情を向ける理由のない相手だ。

 

「そして、私が彼等の主であり悪魔でもある、グレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵……。四季は今更だけど、宜しくね、イッセー、詩乃」

 

 最後に髪を揺らしながら赤い髪を揺らしながら堂々と名乗るリアス。

 

「オレ達からも自己紹介しておこう。オレの恩人で兄貴分の……そっちではアウトレイジ・ドラゴンって呼ばれている『武闘将軍 カツキング』と、そのケンカ友達の『百万超邪(ミリオネア)クロスファイア』」

 

 四季の紹介でリアス達を一瞥するキングとクロス。

 

「そして、オレ五峰四季と朝田詩乃。オレ達がアウトレイジだ」

 

 そう言うとさっさと詩乃を支えながら立ち上がり、

 

「で、帰って良いか? そろそろ詩乃を休ませたいんだ」

 


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