No.76295

真・恋姫†無双 ~私とあの人の愛した世界~ 第二章

セインさん

第二話。

さてさて一夜の運命やいかに。

2009-05-30 01:05:31 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:6285   閲覧ユーザー数:4748

落ちる落ちる落ちていく・・・。

 

逆さまに落ちていく・・・。

 

暗い闇を落ちていく・・・。

 

もはや、上下の間隔はなく、落ちているのか、それとも浮上しているのか・・・。

 

それすらも解らない・・・。

 

闇の中に二人・・・。

 

その胸にたった一つ、それぞれの大切な人を思い浮かべながら。

 

(華琳・・・)

 

(兄さん・・・)

 

どれだけの時がたっただろうか・・・。

 

闇は深く、永遠に続くかと思われた・・・。

 

しかし、彼らの先に一筋の光が見えた。

 

その光の眩しさは、まるで黎明の時を連想させた・・・。

 

 

とある満月の夜・・・。

 

魏の首都『洛陽』。

 

その郊外の森の中に、金髪のクルクルおさげが印象的な一人の少女がいた・・・。

 

『覇王』曹孟徳、真名を華琳と言う。

 

おそらく、この国でこの名を(真名以外は)知らない人間はいないだろう。

 

魏の王として天下統一を目指し、最終的には三国の平和を築いた英雄だからだ。

 

その英雄が護衛も付けず、一人でぼんやりと月を見上げていた。

 

華琳(・・・綺麗な月・・・。)

 

あの時も、今宵の様に月が奇麗な夜だった・・・。

 

『天の御使い』にして『魏の種馬』、北郷一刀が消えていったあの時・・・。

 

あれから既に4年が経過していた・・・。

 

華琳(あれから色々あったわね・・・。)

 

華琳はそっと目を閉じ、これまでに起こったことを思い返した・・・。

 

 

一刀が消えた後、様々な事が起こった。

 

まず、一刀が消えたと知った魏の将たちである。

 

一刀に思いを寄せていた彼女たちにとって、これほど辛い物は無いだろう。

 

ある者は泣き叫び、ある者は暴れ、ある者は悲しみを堪えながら他の者を慰め、ある者は悪態を吐き、またある者は悲しみを抑えて気丈に振る舞っていた。

 

魏の国の民たちも深い悲しみに包まれていた。

 

子供から老人まで、多くの民が一刀が消えた事に涙した。

 

いまでは落ち着いたが、それまではいつ魏が崩壊してもおかしくはなかった。

 

ここまで立て直せたのは、呉と蜀が支援してくれたおかげと言っても過言では無い。

 

次に五胡の侵攻である。

 

三国の戦いが終わったのと同時に、五胡が攻め込んで来たのだ。

 

最初はちょっとした小競り合い程度でしかなかったが、段々と戦火が大きくなりつつある。

 

今は大人しくしているが、その沈黙はある意味不気味なものである。

 

 

華琳「・・・ふぅ。」

 

そこまで思い返し、ため息を一つ。

 

華琳「・・・これではまだまだね。」

 

一刀にした最後の約束『素晴らしい国を作る』

 

華琳(叶うのはいつになることやら・・・。)

 

そう考え、華琳はゆっくりと眼を開けた。

 

そして月を見上げた瞬間、彼女は信じられない光景を目の当たりにした。

 

月にポッカリと大きな穴が開いていたのだ。

 

華琳(あれは・・・何!?)

 

これまで生きてきて、月に穴が開くなど見た事も聞いた事も無かった。

 

それだけでも驚いたのに、更に信じられない事が起きる。

 

月に開いた穴から一筋の流星が出てきたのだ。

 

その流星はとても眩しく、まともに目を開けていられないほどだった。

 

だが、華琳はその流星に何故か懐かしさを感じていた。

 

その懐かしさを感じていた為か、『ある事』に気付かなかった。

 

華琳(・・・こっちに来る!?)

 

そう、流星は真っ直ぐ華琳目がけて飛来してきているのだ。

 

華琳(すぐに避難しないと!)

 

しかし、流星は速い速度で飛来しており、彼女の足では逃げる事は叶わなかった。

 

 

 

華琳(間に合わない!?)

 

華琳がそう悟った瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月に開いた穴から『もう一つの流星』が出現し、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物凄く速い速度で『先に出てきた流星』を弾き飛ばし、華琳の近くの森の中へ墜落した。

(ちなみに『先に出てきた流星』は遥か彼方の方向へ飛んで行ってしまった。)

 

 

華琳(・・・何だったのかしら、あの流星は?)

 

華琳は恐る恐る、『後から出てきた流星』の落ちた場所へ向かった。

 

そこは、凄まじい速度で墜落したにも関わらず、木の一本も倒れておらず、ただ一人の見知らぬ少女が倒れているだけだった。

 

少女は命に別状はないようで、「くーくー」と寝息を立てていた。

 

しかし、華琳には気になる事があった。

 

華琳(この子の顔立ち・・・、一刀に似ている・・・。)

 

月(もう既に穴は塞がっていた)の光に照らされた少女の顔は、かつて自分の最も愛した男にそっくりだったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが、華琳(嫁)と一夜(小姑)の出会いだった。

 

 

~成都郊外の森~

 

桃香「さっきの流れ星、凄い眩しかったね。」

 

愛紗「ええ・・・、ですが桃香様まで来る事は無かったのでは?」

 

桃香「え~?だって気になるでしょ?」

 

愛紗「しかし!桃香様にもしもの事があれば・・・!」

 

二人は森の中を探索していた。

 

目的は、この森に飛来した『流星』。

 

物見の話では、流星はこの森に落下したという。

 

本来なら、しっかりした捜査隊を編成して探索に向かうのだが、流星に興味を持った桃香が(半ば無理矢理に)愛紗と鈴々の二人だけを引き連れ、探索に来たのだ。

 

鈴々は先行して、流星の落ちたであろう場所へ向かっている。

 

愛紗「大体、桃香様は・・・!」

 

愛紗が桃香に小言を言おうとした瞬間、先行していた鈴々の声が響く。

 

鈴々「おねぇちゃ~ん!愛紗~~!こっちに誰か倒れているのだ!」

 

その声に、慌てて鈴々のいる方へと走る桃香と愛紗。

 

そこには鈴々と倒れている青年の姿があった。

 

青年は命に別状はないようで、「ぐーぐー」と寝息を立てている。

 

桃香は倒れている青年の顔に見覚えがあった。

 

桃香「あれ?この人って確か、天の御使いの・・・北郷さんじゃない!?」

 

愛紗「なぜこの方が、ここに倒れているのでしょう?」

 

桃香「とりあえず、お城に運ぼう!」

 

愛紗「はっ!」

 

愛紗は一刀を背負うと、桃香と鈴々と共に城へと戻っていった。

 

 

あとがき

 

セインで~す。

『愛した世界』更新で~す。

 

 

 

 

一夜ちゃん、魏に来ちゃいました。

おまけで一刀君が、蜀に行っちゃいました(飛ばされたとも言う)。

 

 

 

 

本当なら、一夜が目を覚ますとこまで書きたかったんですが、とりあえずここまで。

 

そろそろ眠いです。最後なんか少し投げやりです。

 

今後は、こうならない様に頑張りたいので、(生)温かい目で見守ってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魏に舞い降りた一夜と、蜀に保護された一刀。

 

果たして二人の運命やいかに!?

 

次回は『一夜の目覚め 嫁と小姑の出会い』編(という感じ)です!

 

 

 

では、またお会いしましょう!


 
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