No.762718

ハイスクール•DM 決闘01

龍牙さん

「あいつを傷付ける奴は、悪だ!」

これは無法の力を手にした少年とその仲間達の物語である。

この作品はハイスクールD×Dとデュエルマスターズのクロスです。カードゲームはしません。

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2015-03-07 01:29:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1422   閲覧ユーザー数:1398

 かつて、カツキングは言った『仲間を傷つけるものは、オレにとっての悪だ』と。四季にとっての悪でも有るが、彼の場合少し違う『仲間と詩乃を傷つけるものは、全て悪だ』と。

 

 ……過去に二度、彼女を助けられなかった時、同時に叩き斬るべき悪を失い、振り上げた拳を何処にも下せずに居る。

 ……ならば、彼女が傷付いた二つ目の事実の原因は上級悪魔と神器(セイクリッド・ギア)。それを作り出した神が、無理矢理人間を転生させた者を裁こうともしない、無理矢理悪魔にされた者の事を考えない無能な魔王であるサーゼクスが、悪魔の駒なんて物を作り出してそのままにしている現魔王の一人が……叩ききるべき悪だ。

 

 彼女の危機に発現した力と、母親に化け物扱いされて苦しんでいる彼女を見てそう思わずには居られなかった。……そう呼ばれるべきなのは、己だけで十分なのに。

 だから、四季は憎しみをぶつけずには居られない。手の届くところに居る相手に理不尽な感情をぶつけないためにも、其処で思考を止めずにはいられない。『聖書の神と現魔王の二人が叩ききるべき悪だ』と。

 

 手が届かないところに居るのならば、怒りをぶつけずに済む。……こうして駒王学園に入学するまでは、だ。

 幸か不幸か、ぶつけるべき怒りの矛先が向きそうな相手がこの学園には居る。しかも、何を考えているのか、四季の持っているアウトレイジの力に目を付けて、自分の眷属に加えようとしている。

 

 知らなかったのだろうが、結果的にリアスは四季に喧嘩を売ったようなものである。

 

 

 

 

 

 ……さて、ボロボロになった生徒会室……。其処でこの部屋の主である『支取 蒼那(ソーナ・シトリー)』は頭に#マークを貼り付けながら、友人である『リアス・グレモリー』と対峙していた。

 

「今後、貴女が彼と関わる時は、“絶対”に生徒会の名前は出さないように!!!」

 

「ご、ごめんなさい」

 

 ソーナの剣幕と部屋の惨状に頭を下げるリアスだった。……結論から言おう、生徒会室をボロボロにした張本人は四季であり、四季がそれを実行する原因を作ったのはリアスである。はっきり言って殆ど無関係なソーナはリアスのとばっちりを受けた結果だ。

 

 まあ、ソーナとしては飽く迄『この学園の生徒の為に』と言う善意での話し合いの結果を、切れた四季による生徒会襲撃と言う笑えない結果に直結させたリアスに対して物凄く怒っている。

 

 当然、その巻き添えを受けたシトリー眷族の女王である『真羅 椿姫』も表情こそ変えていないが、目は完全に怒っている。グレモリー眷属の女王である『姫島 朱乃』に向けている視線に込められた意思は『お前が止めろよ』と言ったところだろう……。

 

 まあ、誤解が解けた時には四季はちゃんと謝ったが……言い分を聞くと『この学園の生徒全員が入学した当初から卒業までの間、悪魔……この学園を傘下にするグレモリー家の傘下に入る』と言うのは、本来は神器持ちの生徒がそれを危険視する勢力に殺されない為に決めた物で、『神器に目覚めた者はその安全と監視の為にオカルト研に入部させる』と言うものである。

 元々アウトレイジの力に目覚めていた四季を最低でも監視のためにオカルト研へ入部させようとしたが……アウトレイジの性質として『自由を奪われる事』『束縛を嫌う』が有る。……はっきり言おう、タダでさえ理不尽ではあるが嫌っているサーゼクスの妹の上級悪魔であるリアスがそんな何時かの悪魔に近いマネをしたのだから……半ば宣戦布告に近いだろう。

 

 結果、本気で切れた四季は『終末の時計(ラグナロク)クロック』の力を借りて一時逃走。共犯者と認識された生徒会室への襲撃へと至ったわけだ。

 『百万超邪(ミリオネア)クロスファイア』の神器(セイクリッド・ギア)モード『百万超邪の右籠手(ディストラクション・クロスファイア)』による一撃でドアを粉々に粉砕して入って来た時には本気で唖然とした程だった。

 

 クロスファイアの神器モードの能力は己の攻撃を最大で100万倍に強化すると言う点がある。また、同時に右手の籠手になった際にはその破壊力にも耐えられる。

 そして、欠点として一度最大出力で使った後は約一時間のチャージ時間が必要であるが、36秒毎に一万単位で使用することも可能と意外と扱い易いのだ。だが、パワーに耐えられるのが腕だけで、一万から百万倍のパワーになど、所有者の負担も有る為に長時間が使えないが、短時間の戦闘に限定すれば、一度しか使えないカツキングの神器モードよりも扱い易い。

 

 まあ、その後オカ研襲撃を行ないそうだった四季に、今回の被害の弁償と引き換えに今回のリアス達の行動を許して貰うように頼んだわけだ。そして、現在に至る。

 

 本気で勘弁して欲しいと思うソーナだった。……序でに今後リアス達に悪魔関連の勧誘を受けた際には、先ず自分達に相談するようにとも言っておいた。……どうも物理的な破壊による拒絶に直結する傾向にある四季に釘を刺す事には成功したのは、喜ばしい事だったが……その被害が甚大すぎた。

 

 まあ、リアスが傲慢なわけでも、悪い主と言うわけでもない。……彼女の中の焦りが強力な力を持った四季を酷く魅力的に見せているせいである。

 

「リアス、焦っているのは分かりますけど、あまり彼を刺激しないで下さい」

 

「何も焦ってないわ」

 

 そう言い切る彼女の心境は推測できる。……間違いなく焦っている、と。

 婚約破棄のために彼女とその眷属達は強くなる必要が有るのだ。騎士(ナイト)『木場 祐斗』、戦車(ルーク)『搭城 小猫』、女王(クィーン)『姫島 朱乃』と彼女自身も今のメンバーは最高の眷属だと思っている。

 今の眷属が弱いとは思わず、まだ期限までまだ時間は有るので、残りの眷族もゆっくり探せば良いとも思っているが、そんな中で見た四季の力は間違い無く眷属に加えられれば間違いなく自分達グレモリー眷属は強くなれると思わせた。

 四季さえ眷属に出来れば……それも容易いが、肝心の四季は交渉のテーブルに着く事は愚か、リアス・グレモリーと言う個人では無く、兄の名や上級悪魔、貴族であると言う彼女の背景だけを見て毛嫌いしている。

 せめて、個人を見た上で嫌われているのならば納得できるだろうが、彼女個人では無く背景だけで嫌っている四季にも問題は有る。……まあ、『サーゼクスが憎い』と言うほど毛嫌いしている以上、彼の身内になる上に上位者として頭を下げる必要が有るグレモリーの眷属になる事は絶対にないだろうが。

 

 まあ、これが四季と生徒会ことシトリー眷属の……物騒かつバイオレンスなファーストコンタクトのその後の出来事である。……それなりに仲良くなっているが、ソーナは四季が妙に自分の姉と意気投合していたのが頭を抱える所だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?」

 

「デートで何処に行けば良いのか教えてくれ!!!」

 

 何故か四季の目の前で頭を下げている一誠を一瞥する。……そんな事を聞かれても詩乃を一度もデートに誘えた事が無い四季にとっては……。

 

(パルサー。何か参考にならないか?)

 

 こうしてアウトレイジ『禍々しき取引(トランスサクション)パルサー』指導によるデートプランのアドバイスが行なわれるのだった。

 四季は今まで一度も誘えずに実践していないが。取り合えず、先ずは一緒に帰る事からはじめよう等と考えているあたり、未だに彼女との関係は未だに友達以上恋人未満が良い所な気がする。

 

 感謝の言葉を聞きながら機嫌よく立ち去って行く一誠を見送りつつ、一誠に彼女が出来た事に悔しさのあまり男泣きしている残り二人の変態に呆れた視線を送る。

 

(それにしても、あいつに彼女か……。まあ、他校の生徒なら普段を知らないだけに騙されるか。……それにしても)

 

 一度キングから聞いた言葉、アウトレイジの書と遂になるもう一つの書『オラクルの書』の話。四季がアウトレイジの書の所持者ならば、何処かにオラクルの書の所持者も居る筈だ。

 ……一応、アウトレイジの書が神器(セイクリッド・ギア)に近い性質を持っているなら、オラクルの書も同様の可能性も高い。

 

(何れ、オレが戦わなきゃならない宿命の相手、か)

 

 聞けばキングに負けた二天龍を封印した神器も所有者同士が常に敵対して殺しあう定めにあるそうだ。オラクルの書を持つ者が何者かは知らないが、二天龍の因縁などと言うどうでも良いレベルの話ではない。

 オラクルの勝利は、同時にオラクルによる全世界の支配と管理……感情など否定された管理された機械的な平和な世界が待っている。

 アウトレイジ側の敗北はオラクルによる『感情』と言う物を完全に否定された世界が待っているのだ。彼女をそんな世界の一部になどしたくは無い、そのためにも絶対に負けたくは無い。

 

 それは既に人……いや、感情を持った生物としての有り方の全否定だろう。そんな物は絶対に認めるわけにはいかないのだ。

 

(……何を考えてキングがオレを、次の“こいつ”の所有者に選んだのか分からないけどな)

 

 己の中にある力へと呼びかけるが、未だに答えてはくれない。……答えられるほどの強い思いも、そもそもの力も足りていないとブルースが言っていたが、強い思いと言う意味については何も分かっていない。

 少なくとも、何れ起こるであろうオラクルとの戦いでは必要になってくるだろう。

 

(……取り合えず、今日こそ絶対に詩乃と一緒に帰る)

 

 オラクルとの戦いが始まる前に、幼馴染との関係を少しでも前に進めておきたいと思う。……良くも悪くも、こんな風に何時までも悩んで居たくは無い。そう思いつつ、一誠へと視線を向ける。

 

(あいつにだって念願かなったんだからな)

 

 改めて決意を決めるのだが……四季の決意は失敗フラグであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女は必死に“それ”から逃げていた。……帰り道、コートを着た男とすれ違った瞬間聞こえた言葉、それが始まりだった。

 

「珍しい神器(セイクリッド・ギア)を宿していると言う女か」

 

 その言葉だった。……最初の発現の際に彼女に宿っている正体不明の神器(セイクリッド・ギア)の事は悪魔だけ出なく他の勢力に知られてしまっている。

 いや、正体不明と言うには語弊があるだろう。彼女に宿る神器(セイクリッド・ギア)の名は『ドラグハート・ウェポン』。アウトレイジの書と起源を同じくする別世界の武器であり、二天龍にも匹敵……場合によっては超える武具だ。その正体に気がついたのは今の所四季だけで有るが。

 

 クリーチャー世界……アウトレイジやドラグハートが存在した世界にて名を馳せた英雄達が神器と言う形に眠りながら、幾つもこの世界に再誕し続けている事実……それに今の所気付いているのは、この世界で二人……アウトレイジの継者である四季と『黄金世代(ゴールデンエイジ)』の力を継ぐ者だけだろう。

 

 その男……堕天使『ドーナシーク』は内心で笑みを浮かべる。本来の目的の物とは違うが、手に入れれば……いや、所有者を捕えるだけでも、堕天使の中で自分の地位は約束されるだろう。

 ……相手は所詮は人間、狩りでも楽しみながらゆっくりと追い詰めて捕えれば良いと考えていた。

 

 背中から堕天使の証である漆黒の翼を広げ、上空から地を這うしかない人間を追い詰めれば良い。不安材料は此処を縄張りとする悪魔だが、最悪は敵勢力に着かれないように始末すれば良いと、その程度に軽く考えていた。

 

 そして、光の槍を投げながら上空から逃げ回る彼女を行き止まりに誘導する。数センチの近さで顔の真横に突き刺さる光の槍、

 

「悪いが貴様には死んで貰う。恨むならその身に神器を宿した自分を恨むと良い」

 

 目的は捕える事だが、結局神器を抜き取れば所有者は死んでしまうのだ、其処に間違いは無いだろう。

 

(殺される……なんなの、神器って?)「いや……いやよ……そんなの……」

 

 彼女、朝田詩乃は目の前の……人生で二度目の出会いと成る異形の存在に脅えていた。ドーナシークには強者が弱者を甚振る愉悦が浮かんでいた。……堕天使である己が人間よりも高貴な存在であると、そんな愉悦を感じていた。

 

「安心しろ、貴様が「テメェ……なにふざけたことしてくれてんだ」なっ?」

 

 先ずは気絶させて神器を抜き取る為の儀式の場所まで連れて行こうとした時、ドーナシークの視界に拳が迫り、同時に鼻がつぶれ、歯が折れる感覚を味遭うこととなる。

 

「『超龍の潮流(ヴァルキリー・アース) コンコルド』神器モード」

 

 背中からジェット機を思わせる翼を持った四季が怒りに満ちた視線をドーナシークへと向ける。

 

(出来る事なら、ずっと力に気付かないで貰いたかったけど……流石に教える必用が有るか)

 

 彼女には平和に生きて欲しかった。裏からは自分が守ればそれで良いと思っていた。……だが、こんな状況ではそれも無理だろう。

 

「取り合えず……詩乃を怖がらせた罪……たっぷり味わってから消えろ。オレの……アウトレイジの熱き血が、テメェを裁く地獄の業火だ、烏野郎!!!」

 

 炎と共に腕に現れる武具、『紅き血(ザ・ヒート)』。怒りを込めながら四季はドーナシークへと宣告する。

 

 

 

 

 

 

 さて、一度物語は少し前まで遡る。

 

「また、か」

 

 肩を落として帰り道を歩く四季。昨日は木場に邪魔されたので、今日こそは詩乃を誘おうと思っていたが……帰る前に一度生徒会に呼ばれた為、今日も運悪く詩乃は先に帰っていたりする。

 

「あら、こんな所で遭うなんて奇遇ね。ちょっと話でもしない?」

 

 そんな中、女生徒……リアス・グレモリーが話しかけてくる。駒王学園の三年で二大お姉さまと呼ばれている、彼女が通り過ぎれば男女問わず大多数が振り返るであろう容姿なのだが、四季は一切視界にさえ入れずに通り過ぎようとする。

 

「…………。ちょっと、無視しないで!!!」

 

「……何の用だ、赤髪」

 

 心底嫌そうにリアスを一瞥する。……本人曰く、詩乃一筋なためにリアスの美貌も通用しない上に、根本的に彼女の事を嫌っているだけでなく、何度も詩乃との関係を進めようとする度に邪魔されたりと、心底迷惑だった。そもそも、それ以前に四季には彼女を嫌う理由も有る。

 

「あら、そんなに嫌わなくたって良いじゃない」

 

「いや、心底嫌いなんだが、あんたの事は」

 

 きっぱりと『嫌いだ』と言い切る四季の言葉に顔を引き攣らせるリアス。

 

「私は貴方に特別何かしたわけじゃないんだけど」

 

「……そう思うならせめて、そのあの無能魔王(サーゼクス)と同じ紅い髪を染めて来い。あいつを思い出して不愉快だ」

 

 四季の兄に対する言い草に怒りを覚えるが、そこは耐えている。……何度も木場を使いに出しても、撃退されているのでこうして自ら出向いたわけだが……此処まで徹底的に嫌われている以上は交渉など無理だろう。

 

 冷静に勤めながら改めて考えるのは、四季が己を嫌っている最大の理由……『サーゼクスの妹』と言う点。同じ貴族である上級悪魔で魔王を姉に持つソーナとは比較的穏やかに対応しているのだ。そして、こうして兄への悪意を遠慮無くぶつけてくる所からも明らかだ。

 

「序でに義姉の事も嫌いだがな」

 

「っ!?」

 

 考えを読んだ様にそう補足する。アウトレイジとしてどうしても彼女の義姉の事は好きにはなれない。……どんな理由があったにしても仲間を裏切り、自分だけが幸せに過ごしているのは、仲間を大切にするアウトレイジとして許せない。……まあ、サーゼクスについて調べる序でに調べた事なので詳しい事は知らないので好きにはなれない相手でしかないが……。

 

「此処を管理する悪魔として、貴方の事は無視できないわ」

 

「無視できないならなんだって言うんだ? ああ、その無能魔王(サーゼクス)と同じ紅い髪をオレに見せないなら考えてやっても良いがな、赤髪」

 

 考えてはやるが考えるだけだ。四季にとって嫌っているサーゼクスに頭を下げるなど絶対にしたくない行為で、更に自由を奪われると言うのもゴメンなのだ。何よりも、四季にとって己の力は詩乃の為に使うと既に決めている。

 そんな訳で四季が悪魔に転生するなど一瞬の思考だけで『NO』だ。

 

「せめて部員になってくれるだけでも良いのよ」

 

「い・や・だ・ね」

 

 四季の返答に内心怒り心頭だが、リアスは必死にそれを押し殺す。……以前返り討ちにされた事は今でも忘れたわけではない……眷属全員で、だ。あの時以来全員で打倒四季を目指して訓練しているが、未だに勝てると言う確信は得られない。結果、以前よりも強くなっていると言う手ごたえだけはあるが。

 

 上級悪魔になれば下僕が持てるやら、悪魔は長寿だと言われているが……どっちも四季には興味の無い事だ。下僕よりも『仲間』であり、『長寿』よりも『大事な相手と同じ時間を過ごす事』である。

 

(そう言えば、今日は詩乃が夕飯を作りに来てくれるって言ってたな)

 

 ふと、そんな事を思い出す。家は近くなのでよく有る事なのだが……。

 

(良い機会だ、確実に会える時に告白する!)

 

 既にリアスの事を思考から追い出してデートをすっ飛ばして告白までしてしまおうと心に誓う。

 

「用件がそれだけなら帰らせてもらうぞ。悪魔にもアンタにも興味は無いからな、こっちは」

 

「っ!? 待ちなさい、話はまだ終ってないわよ!」

 

(面倒だな……)

 

 面倒になってきて本気でまたぶっ飛ばしてやろうかとも思うが、ソーナからは向こうから手を出さない限り手を出さない様に頼まれている。

 ……取り合えず、嫌っていない相手に頼まれると断れない……と言う訳ではないが、ソーナ会長、あれで薄幸属性が有れば好みのタイプのストレートな相手なので、頼まれたら断りにくい。……言うまでも無く、四季の好みのタイプは詩乃である。

 

「何が気に入らないのよ?」

 

「そんなモン、アンタの兄に頭を下げたくないのと、オレが力を使う理由は既に決めてる」

 

 そう言った後リアスを一瞥し、

 

「少なくとも、アンタの為に使う力なんて一つも無い、と言う事だ」

 

 それだけ言って帰ろうとすると、木場が前に回りこむ。

 

「待ってくれないかな?」

 

「……待つ気は……っ!?」

 

 町の中から感じる気配は堕天使の物が二つ。しかも、一つは……

 

(二箇所……一つは家の方向? ちょっと待て、近場じゃ詩乃の神器、ドラグハート・ウェポンの存在に気付かれ……っ!? 拙い!)

 

 堕天使の気配が二つ……。目の前のリアス達はそれを知っていて放置しているのか、知らないのかは定かでは無いが、その内の一つの位置が拙い。別に“シノのんセンサー”等と言う特種能力を持っているわけでは無く、単純な位置関係での危険性の察知だ。

 

 態々実力上位のアウトレイジ達を自分の戦力の低下もあると言うのに、アウトレイジの書から一時的に開放して(人間に変装する事を条件に)自由に行動してもらっているのには訳が有る。

 多数の強力なアウトレイジ達の力で詩乃の持つドラグハート・ウェポンの存在を隠すためだ。副作用としてこの町に居る他の神器持ちの一般市民の事も隠せているが、それは別にどうでも良い。

 

 結果、天使、堕天使、悪魔の三勢力にとって駒王町と言う場所は直接赴かなければ神器持ちの存在を察する事の出来ない場所となった訳である。……当然ながら直接近付いて何か使用とすれば、即座に『悪・即・斬』と対応し易い。

 

 そんな訳で位置的に堕天使が詩乃と遭遇するかもしれない。何かをせずに立ち去るかもしれないが、そんな希望的観測などする気は無い。常に最悪の可能性を潰していくのが最善だと言うのは理解している。

 

「ごめん、少しで良いんだ……」

 

「悪いな、色男。呑気にオマラと遊んでる暇は無さそうだ」

 

 伸ばしてきた木場の手を逆に掴んでそのまま校庭へと叩き付ける。突然の行動に対して抗議の声を上げようとするが、睨みつけられて黙らされる。

 

 生徒会長には悪いが、堕天使が詩乃に近付く危険が有る以上、一刻も早く安全確保して置きたい。……要するに、非常事態に長々と結論の変わらない議論を続ける気は無いと言う訳だ。

 

「待ちなさ……っ!?」

 

「超龍の潮流(ヴァルキリー・アース)コンコルド、神器(セイクリッド・ギア)モード」

 

 四季の手の中に現れるアウトレイジの書が開き、一体のアウトレイジクリーチャーが出現する。四季が力を借りたのはアウトレイジの兄貴分の一人……のちょっと慕われてないほう。クリーチャーの姿が粒子となって消えると同時に四季の背中にジェット機を思わせる翼が現れる。

 

 コンコルドの神器モードの能力は別にあるが、それ以上に与えてくるスピードと飛行能力が今は重要なのだ。背中に現れる翼を翻しながら地面を蹴って飛翔する。

 

 一定の高さまで一気に飛翔すると家の方角へと視線を向ける。堕天使らしき影は無いが、何の気配も感じられない不自然な空間が存在していた。

 目撃者を出さない為の一種の結界による隔離……ターゲットを閉じ込めたと言う事だろう。

 

(ごめん、手が空いてる人は今から言う場所まで急いでくれ!)

 

 アウトレイジの書を通じて街中で自由行動していたアウトレイジ達へとそれを頼む。現れた目的等を聞き出す為にも逃さずに捕える必要が有る。……詩乃の持つドラグハート・ウェポンを狙っての活動ならば、最悪命令を下した者も確実に仕留める必要が有る。

 

「アリス!」

 

『ええ』

 

 『進入する電脳者(コードブレイカー)アリス』。彼女の能力ならば機械などの科学的な物だけでなく、人間や神魔の区別無く魔術にさえ干渉する事が可能となる。……自然の法則以外の術の法則へと進入する。それによって内部へと入り込む。

 

 その瞬間、なるべく冷静に行動しようとしていた思考が一瞬で吹っ飛んだ。……愉悦に歪んだ表情で光の槍を投げようとする堕天使ドーナシークと、迫る死に脅える詩乃の姿に一気に頭に血が上る。……相手の目的なんてもうどうでも良い、目の前の相手は……

 

「テメェ……なにふざけた事してくれてんだ」

 

 翼のスピードの推力の最大出力で相手の正面に回りこみ、加速によって破壊力を増したパンチを顔面に叩き込む。

 

「お前の目的なんて同でも良い……。取り合えず……詩乃を怖がらせた罪……たっぷり味わってから消えろ。オレの……アウトレイジの熱き血が、テメェを裁く地獄の業火だ! 烏野郎!!!」

 


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