No.757398

公式SS改造で蜂須賀さん小説。

noraさん

公式SSが不評なのと、個人的にイメージが蜂須賀さんのSSのように感じられたので、登場人物入れ替えで改造SSにしました。
サニワはケクイイ放蕩家っていうとサンジェルマンしか思いつかなかったのでそれです。ジンすまん。
いわゆるコピぺ話なんですが不評だし同人だしいいかなって
あ、元ネタはこれです>http://togetter.com/li/778750

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2015-02-09 22:50:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:774   閲覧ユーザー数:770

「本物となど、言わないでほしい」

 

爪、突き刺さり。

肌、引き裂かれ。

流れる赤い血、ひとすじ。

傷、刻む。

傷を、つける。

傷物にする。

主殿が、見つめている。

貼りついた厭らしい笑み。

嬲るように睨め回す視線。

それでいて清んだ瞳は、こちらを見透かすようで。

 

――不愉快だな

 

それがあいつに対する最初の、

そして今も変わらない印象だ。

 

サンジェルマン伯爵というらしい。

俺たち刀剣と想いを通わせ、心を目覚めさせ、肉の器を与える者。

 

彼は俺たちに云う。

斬れ、と。

 

斬れ。斬れ。斬れ。

敵を斬れ。斬って、殺せ。

 

それはそれは、嬉しそうにいう。

大義名分は、すべておれにあるのだと。

闘争の限りを尽くして血に酔うのも。

綺麗どころを集めて淫に耽るのも。

 

こいつは人間の屑だ。

 

こいつは純粋に蹂躙することを愛している。

傷つけ、穢すことを愛している。

もしかしたら、その逆も。

 

犯して、踏みにじる。

心も、肉も。

人の心を持つならば。

肉の器を持つならば。

焦がれ、欲し、妬み、狂う。

それなくして何がひとのかたちか、とあいつは嗤う。

 

――だが、その逝き着く果ては、鬼、だろう。

精一杯の悪意を込めて、俺はいう。

言の葉を刃として、歯を立てる。

するとあいつは、きょとんと、あどけない顔で惚けて。

やがて、やはり、ひどく嬉しそうな笑顔で、こう告げるのだ。

――その時は、お前が鬼(おれ)を斬ってくれるのだろう?

……俺は。

怒るよりも、ただ呆れてしまい。

だから、ただ、こう言い返すだけなのだ。

 

「……贋作こそ高名を成した俺達虎徹が近藤刀そのものならともかく。

 本物に霊力を期待してどうするんだい」

 

廻り廻りて 輪廻を離れぬ

   妄執の雲の 塵積もつて

     虎徹となれる 血に飢えた有様

 

 


 
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