No.753373

真・恋姫†無双 裏√SG 第23話

桐生キラさん

こんにちは!
Second Generations張雄伝其二
平和だった日常は壊される

2015-01-24 13:32:08 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:957   閲覧ユーザー数:860

 

 

 

 

 

氷華ちゃんのお願いから数日後、お祖父ちゃんの護衛会社は快く仕事を受け持ってくれた。

なんでも、報酬をたんまり貰える事と…

 

大河「孫の頼みとあっちゃあ、断れねぇよな!」

 

との事だ。

氷華ちゃんやお父さんが頼まなかったのは、きっとこれを見越しての事だったのだろう

 

許昌の街は大きく分けて5つに地区整理されている

 

市場など、商業貿易が盛んに行われている西区

 

日用雑貨や工芸品、鍛冶屋などの職人が多く集う東区

 

料理店や甘味どころを多く取り扱っている南区(ちなみに【晋】の家があるのもここ)

 

学校と幼稚園、その他衣服などを販売している北区

 

そして許昌の城がある中央区

 

それぞれに特色、役割があり、活気付いている。

どの地区も必要とされ、畑は違うも他の地区とも連携を取りながら上手く生活している。

それが許昌だ

 

今回お祖父ちゃんの部隊が守るのは北区。

もともとこの地区はお祖父ちゃんの部隊が時々見回っているが、今回は正式な仕事として付くとの事だった

 

街は何事も無く平和だった。

五胡も攻めてくる様子はまだない。

このまま何も起こらず、日常を過ごせたら…

 

だが、その願いは叶いそうになかった

 

それは、なんてことない毎日の中でやって来た

 

 

 

 

 

張雄伝其二

 

 

 

 

 

 

 

咲希「……?なんだこれ…」

 

夕方頃、夕食用の料理を仕込んでいると、咲希姉が小さく呟いていた

 

悠香「どうかしたの?」

 

あたしが聞くと、咲希姉は困ったようにあたしを見てきた

 

咲希「あぁいや、妙なんだ。街の、人の気配が…」

 

妙?

咲希姉は確か、この街全ての住人が何を思っているのかを色として知覚できるはずだ。

赤なら怒り、青なら悲しみ、灰色なら空腹を。

それらが解る咲希姉が妙だと思う事ってなんだろう?

 

咲夜「それは、どんな風に妙なんだ?」

 

咲希姉の母親、咲夜さんが問いかける。咲希姉も咲夜さんの声に気付き、口を開いた

 

咲希「いや、その、急に街の外から、知らない人間が大量に入って来たというか。

しかもその色が白…無欲で。その白が、街の住人にも感染するみたいに移って…」

 

どういう事だろう?無欲?何も考えていないということ?

 

そんな事を考えていると、店の扉が開かれる。

男性客が1人。身なりはしっかりしていて、若そうな顔立ち。

 

「………」

 

だけど、彼の雰囲気は異質だった。

目は虚で焦点が合っておらず、また時々、ブツブツと聞こえない声で何かを呟いていた

 

悠香「あの、お客様?」

 

気味が悪いながらも、あたしは話しかける。

すると男性はこちらを見てきた。虚ろな瞳で、ただ真っ直ぐと

 

咲希「!?悠香下がれ!」

 

悠香「え!…きゃあっ!」

 

咲希姉が叫ぶと同時に、男性があたしの首を絞めてきた。

あたしは咄嗟の事とは言え、なんとか振り払おうとするが…

 

「グアァァァァオオオ」

 

悠香「あっ…ぐっ…」

 

凄い力だ!解けない……

 

咲希「おい、私の可愛い妹に何してる」

 

咲希姉の声が聞こえたと思うと、首に掛かっていた圧力が瞬時になくなり、呼吸ができるようになる。

 

あたしは咳き込みながらも、何が起こったのかを確認すると、咲希姉が先ほどの男性の首を片手で掴み、掴んだまま頭から地面に叩きつけた。

ドシンという衝撃がここまで伝わる。きっと、あの男性の頭蓋は割れたに違いない

 

咲夜「無事か?」

 

咲夜さんに助け起こされる。あたしは咳き込み、落ち着いてから大丈夫だと答えた

 

悠香「いったい、何がどうなって…」

 

 

キャーーー!!?

 

 

突如、外から女性の悲鳴が聞こえる。あたしも咲夜さんもその声に反応し、外へ出ると…

 

悠香「なに…これ…」

 

燃える家屋、襲われている人々、止まない悲鳴。

日常は壊され、あたしの良く知る許昌の街並みはそこにはなかった

 

咲希「母様!こいつら急に白から黒に…破壊衝動に染まりやがった!」

 

咲希姉が慌ててこちらに駆け足でやって来る。

咲希姉に言われなくても、見ればわかる。街は一変して地獄のようになっていた

 

「ガァァァァ」

 

先ほどの男性と同じ様に、虚ろな瞳をした人間が奇声を上げてこちらに近付いてきた

 

 

ダァン

 

 

だが、そいつが接近する事はなかった。そいつは銃声と共に地面に吹き飛ばされたのだ

 

零士「みんな無事か!?」

 

ショットガンを構えたお父さんが尋ねてきた。

その後ろには月姉さん、詠姉さん、恋姉さん、流琉さん、雪蓮さん、鏡姉、華雄さん、華佗さんが居た。みんな武装している

 

咲夜「あぁ、こっちは問題ない。おい、街は一体どうなってやがる?」

 

咲夜さんはこんな状況でも冷静だった。

あたしは、何が何やら、付いていけない状態だ

 

詠「僕たちが聞きたいわ。よくわからない。突然悲鳴が聞こえたと思ったら、凶暴化した人間が建物燃やしたり、襲って来たりするんだもの」

 

雪蓮「身なりを見るに、賊とは思えない。それどころか、この街の住人も一緒になって暴れてる。まぁ、正気であるようには見えなかったけどね」

 

正気じゃない…確かに、あたしを襲った人も正気ではなかったと思う。

ただ純粋に、あたしを殺そうとしていただけ

 

華佗「あの症状は恐らく、薬による作用だろう。徐福が流していた麻薬は興奮作用もあり、それで凶暴化していた」

 

月「じゃあ、これはみんな、その薬のせいという事ですか?こんな大人数を、一度に?」

 

月姉さんの言うことはもっともだ。

いくら薬のせいでも、こんな大規模な人間を一気に凶暴化させるなんて、あり得ない

 

咲夜「月の言いたい事もわかるが、今は原因の究明より、事態の収集が先だろう。

今後は店を本拠地兼避難所に設定。恋と華雄はこの辺一帯で暴れている奴らの無力化」

 

恋「了解。許昌を襲う奴は許さない」

 

華雄「任された。久々に腕が鳴りそうだ」

 

恋姉さんと華雄さんは左右に分かれ、暴れている人達を倒し始めた

 

咲夜「雪蓮と蓮鏡で西区の様子を見てきてくれ。恐らく秋蘭達も動いてるだろうから、そこと上手く連携してくれ」

 

雪蓮「西区ね。わかったわ。行くわよ、蓮鏡!」

 

蓮鏡「はい、母様!」

 

雪蓮さんと鏡姉は西区に向かって駆け出した

 

咲夜「私と流琉で東区へ向かう。流琉、付いてきてくれるか?」

 

流琉「もちろんです!」

 

流琉さんは何処からか出した巨大ヨーヨーを片手に答えた

 

咲夜「月、お前は飛んで城の奴らに伝令を頼む。【晋】も動いていると。その後はお前の判断で動け。街は燃えているから、お前の力が活きるぞ」

 

月「わかりました!」

 

月姉さんはライフル片手に飛び上がり、凄い速さで城に向かって行った

 

咲夜「咲希と悠香で北区に行け。咲希は学校、悠香は幼稚園で悠里と合流して事に当たれ。ここから北区は他より遠いが、お前達の脚力なら行けるな?」

 

咲希「了解、悠香も大丈夫だな?」

 

悠香「のーぷろぶれむ!」

 

あたしはトントンと軽くジャンプしてアピールする。

咲希姉も咲夜さんも、少し笑ってくれた

 

咲夜「よし。零士、詠、華佗はここで待機。怪我人の手当てと護衛を頼むぞ」

 

華佗「任せろ!必ず救ってみせる!」

 

詠「了解。無理するんじゃないわよ」

 

零士「そっちも気をつけてね」

 

華佗さん、詠姉さん、お父さんの順番でそれぞれ答えた。

お父さんは既に店の屋根に登り、防衛地点を築いているようだった

 

咲夜「よし、じゃあ各員散開。私達の街を守るぞ!」

 

『応!!』

 

 

 

 

声を発した瞬間、あたしと咲希姉は北区へと駆け出した…いや、飛び出した。

あたし達は空高く飛び、街を見下ろしながら北へ向かう。

下は、暴力がひしめき合い、徐々に火の海となりつつあった

 

悠香「酷い…」

 

思わず、そんな声が漏れる。あたし達の大好きな街が崩れて行く

 

咲希「!?へぇ…悠香、先に行ってろ」

 

悠香「え!?ちょっと!?」

 

咲希姉は何かを察知したのか、急に下へ降りていった。

 

こんな時に、一体どこに?

 

そう思ったが、あたしは咲希姉を追いかけず、真っ直ぐ幼稚園に向かった。

気にはなるが、それよりもまず幼稚園の、子ども達とお母さんの無事を確認したい

 

程なくして幼稚園は見えてきた。幸い、他の建物のように燃えてはいない。だが…

 

悠里「やぁぁぁ!」

 

椎名「はぁっ!」

 

幼稚園の門付近で、大量の暴徒相手に大立ち回りを繰り広げるお母さんとおばあちゃんの姿があった。その後ろでは、子ども達と弓を構える璃々先生の姿。璃々先生は空にいるあたしに気付き、少し微笑んだ

 

悠香「あたし流、落隕石!」

 

あたしは暴徒が密集している中心地に向け、足を突き出しながら急降下する。

凄まじい速度で落下し、落下地点にいた暴徒の1人を踏んづけると、その周囲に衝撃波が発生し、周りにいた暴徒を吹き飛ばした

 

悠香「あたし流、烈風殺!」

 

地面に足を着けると同時にあたしは再び飛び、逆立ちの状態を取って回し蹴りをする。

氣と魔力を帯びた脚から風が発生し、それに触れた者はことごとく吹き飛ばされていった

 

悠香「ふぅ、お掃除完了!」

 

周辺一帯の敵の掃討を確認。頑張りましたよ!

 

悠里「悠香!良かった、そっちは無事みたいだね」

 

お母さんがこちらに駆け寄り、抱き締めて来ました。

その後ろから、おばあちゃんと璃々先生もやって来ます

 

椎名「助かりました、悠香。ところで、これは一体何の騒ぎなのかしら?」

 

とても重そうな巨大な斧を担いで言うおばあちゃんに、若干戦慄を覚えながらも、あたしは先ほどの【晋】での会話を話しました

 

璃々「じゃあ、これは徐福が?」

 

悠香「薬を使ってるから、そうじゃないかな?今は【晋】のみんなで事態の収集に当たってます。お祖父ちゃん達は?」

 

悠里「お父さん…お祖父ちゃんなら学校に向かったよ。部隊の人達もそれぞれ動いてくれてる。あたし達はここの防衛をしてる所だったんだ」

 

そっか。とりあえず、幼稚園とお母さん達が無事だった事は確認出来たし、あたしは一回【晋】に…

 

悠香「行きたい所だけど、ちょっと無理かなぁ?」

 

あたし達の周りを囲うようにゾロゾロと集まる暴徒達。

虚ろな目と、返り血がとても不気味だ

 

悠香「お母さん達、まだ行ける?」

 

悠里「とーぜん!あ、でもお母さん…おばあちゃんは子ども達をお願い!気付いてないかもだけど、肩で息してるよ」

 

椎名「あらあら、私も衰えましたね。では、ここは悠里と悠香に任せます。子ども達は私と璃々先生で守って見せます」

 

璃々「可能な限り、こちらでも援護します。無茶はしないでください」

 

璃々先生は弓を構え、矢を引き、そして射る。

矢は真っ直ぐ暴徒の1人に突き刺さると、その暴徒は倒れ、動かなくなった。

なんと頼もしい援護射撃なのだろう

 

悠里「りょーかい!なら我が愛娘!どっちが多く倒せるか、競争だ!」

 

悠香「へへー!受けて立つ!」

 

お母さんは鉄棍を握り、一瞬で暴徒に接敵すると、何人かをなぎ倒した

 

あたしも負けてられないな!張り切っちゃうよー!

 

 

 


 
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