No.742411

宝条透 短編小説【はじまりの日のこと】2

桜学園☆初等部の短編小説です。

・公式サイト
http://www.sakutyuu.com/

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2014-12-08 18:55:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:780   閲覧ユーザー数:780

 まず、最初に向かったのは茶道部。

 僕のおばあ様がお茶が好きで、僕も、おばあ様から茶道の作法などを少しだけ習っていたこともある。それで、とっきやすいかなと思い、茶道部を見学することにした。

 

 行くと他にも見学者が居て、一緒に部活動の説明や作法、お茶の立て方を部長さんに軽く教えてもらう。

 そして、最後に見学者みんなで部員さん達に立ててもらったお茶を頂くことになった。

「あ、あの、ど、どうぞ……」

 なぜだか頬を少しだけ赤らめた部長さんに、おずおずとお茶を差し出される。

「ありがとうございます」

 そのお茶を受け取り、一口。

「美味しいお茶ですね」

 と、感想を言ったのだけれど。

 ……なんだか、無言?

 部長さんは僕と目が合ったまま、固まっている。

「どうかしたんですか?」

「え、い、いや、えっと、なんでもありません!!」

 部長さんの顔が、さっきよりもまた赤くなってる。どうしてだろう?

 そうして、その日は他にも華道部や写真部。

 その次の日には陸上部、テニス部、バスケ部などなど……。

 友達とも一緒に色々と回ってはみたけど、どれも今ひとつピンとは来なかった。

「透ちゃん、すごいね!家庭科部に入りなよ、さっきの授業で作ったクッキー、美味しかったなあ……。卵を割る姿も、格好良かったよ!」

「そんな、大袈裟だよ。お菓子作りは、姉さんたちともよくやってたしね。キミの作ったクッキーだって美味しかったよ」

 友達が、えへへ、と笑う。

「あ、こないだ見学したテニス部のときも上手だったよ!透ちゃんが球を打つの、女子達みんな見惚れてたよ」

「そうだった?」

「そうだったよ~、部長さんも、ぜひ宝条さんに入って欲しい!!って意気込んでたし」

 そういえばそんなことも言っていたような気もするけれど、部長さんにはその時、あはは、と笑って誤魔化しておいた。

 

 体を動かすのも好きだけれど、やはりもう少し考える時間が欲しかったのだ。そんな僕の気持ちがバレたのか、

「ほんとのところ、透ちゃん、もう入る部活は決まった?」

「いいや、それが、全然。どれも悪くはないんだけど、やっぱり悩むね」

「透ちゃんは何でも出来るもんね。まだ時間はあるし、もうちょっと見学してみるといいところ見つかるかも!」

「うん、そうだね。ありがとう」

 さあ、次はどこに見学に行こうか?


 
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