No.741378

ごちゆり4~ココアvチノ2~チノ誕生日SS2014

初音軍さん

チノの誕生日に向けて色々動きに出るココア。隠しきれてない動きを見て不安になるチノ。だけどこういうイベントがあるとラブも一気に深まるよね(*´-ω・)vというお話w

ところで手編みのマフラーって良さそうなものですよね(*´﹃`*)

2014-12-04 00:10:03 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:692   閲覧ユーザー数:690

ごちゆり4~ココvチノⅡ~チノ誕生日SS2014

 

【チノ】

 

 学校行く前のコーヒーの仕込みで香りが立って私の鼻をくすぐる。

うん、今日も良い感じの出来です。

 

 いつものようにティッピーを頭に乗せながらコーヒーの出来に微笑みを

浮かべて時計を見ると、そろそろ起きて慌てふためくココアさんが見れる時間帯です。

と思ってリビングへ入って二階のココアさんの部屋まで行こうとしたら

キッチンの奥の方からパンのいい匂いがしてきた。

 

「おはよー、チノちゃん」

 

 この匂いを嗅ぐとつい私のお腹が大きな音を立てて鳴ってしまう。

何だか幸せな匂いの中で私とココアさんは楽しく朝食を取りながら私はココアさんに

何気ない質問を投げかけた。

 

「今日は何か予定はありますか?」

 

 その瞬間、ココアさんは明らかに固まった後。すごく無理のある引きつり笑顔を

私に向けていた。どう見ても何かを隠しているようにしか見えなかったのだけど。

 

「何か隠し事でもあるんです?」

「な、そんなこと全くこれっぽっちもないよ!!」

 

 すごく怪しい反応をしつつもこれ以上追求できる時間もなかったから私はココアさんと

一緒に家を出てからちょっと気まずい思いをしながら歩いていって途中の道で別れた。

 

 いつも素っ気無い態度を取ったから嫌われてしまったのだろうか。

ふとそんなことが過ぎってしまったらもうどうしようもない気持ちになっていた。

 

 

**

 

「チノどうした!この世の終わりみたいな顔をしてるぞ!」

「どんな顔ですか…それは…」

 

 学校について席につくとマヤさんが心配してるのかしてないのかよくわからない

聞き方をしてくるものだからちょっと冷たげに返事をすると横からメグさんがフォロー

するように言い換えてくれた。

 

「あのね、いつもより元気ないからどうしてんだろうって思ってたんだ」

「それは…ごめんなさい」

 

「謝らないでよ。それより悩みがあるなら聞くけど?」

「ええとですね。ここ数日ココアさんの様子がおかしくて…」

 

 しばらく3人でその話をしている内に本日の授業を全てこなし終えて下校の時間と

なってしまった。ちなみに話したところで3人で首を傾げて解決するどころじゃなかった。

 

 

「まぁなんだ。気持ちが落ち込んでるときはどこか寄り道して気を紛らわすと

いいと思うよ!」

 

 なんだか真っ直ぐ帰ろうとしても帰りにくい気持ちがあって悩んでいるとマヤさんが

そんな私の思考を遮ろうとしてか大きな声でそう言って私の前に仁王立ちしていた。

あまりにも必死に私のことを励まそうとしている姿に思わず吹きそうになった。

 

「ふふっ、良いですよ。付き合います」

「やったー、今日はチノちゃん達とお散歩よりみち~」

 

 のんびりした口調でハイタッチのポーズをするメグさんの手に私は軽くタッチをした。

最近はお店のことですぐ帰ることが多かったから久しぶりのことで少しドキドキしていた。

 お店が並ぶ途中にある屋台でなけなしのお小遣いでクレープを買って楽しく話しながら

食べたりしていると、途中からココアさんの話に。

 

「前にチノちゃんが全然笑わない~ってココアちゃんが悩んでたよね。今こうして

楽しそうに笑ってるのに」

「ごふっ、いきなりココアさんの話をしないでください…!」

 

 メグさんは空気が読めないのかわざとやってるのかわからないけどあまりにも

いきなりすぎてびっくりした私は口にしていたクレープの残りが喉に詰まりそうになって

思い切りむせてしまった。

 

「なんだチノ、顔真っ赤じゃないか」

 

 これは面白そうとばかりにからかうマヤさんを見て私は二人に思い切り怒ってしまった。

二人は気にしてはいないようだったけれど。いや、むしろあれは楽しんでいたのだろう…。

 

 そんなやりとりをしている内に二人と別れる道まで来てしまった。楽しい時間とは

あっという間に過ぎ去ってしまうのだろう。

 

 いつもよりも多く時間が経っているにも関わらずいつもより早く感じてしまうのだから。

ちょっとまだ気まずい感じ。ふとココアさんの私を避けそうにする様子を思い出して

足の動きが止まる。あんな姿今までみたことないから…、普段から冷たくしているから

嫌われていたらどうしようっていう気持ちがあった。

 

 そんな私の肩にメグさんが手を置いて触れて私に笑顔を向けてきた。

 

「私まだチノちゃんと遊び足りないな。おうちとお店まで一緒に行っていい?」

「あー、メグずるいぞ。私もいくー」

「来るのはいいですけど、邪魔はしないでくださいね。特にマヤさん」

 

「な、何で私だけ!?」

 

 ガーンッと口にしながらムンクの【叫び】みたいに手を頬に当ててショックを

受けた風な動きをしていた。

 

 二人のおかげで余計なことを考えないで帰宅して、着替えてからお店に出た直後、

いきなり耳に破裂音のようなものが聞こえてびっくりした。

 

 きょとんとしているとすぐに頭に何か紙のひらひらしたものが被さって軽く火薬の

匂いがしてこれがクラッカーであるものだとわかった。

 

 紙をどけて周りを見ると見知った顔が並んでみんな一様に笑顔で私を迎えている。

中央にはココアさんが同じような笑顔で私を見ててくれていた。

 

「チノちゃん、お誕生日おめでとう!」

 

 ココアさんの言葉の後にみんなが声を合わせて同じ言葉を高らかに唱えた。

そこにはお客さんの姿はなくて営業時に店内にかけてある札が今はなかった。

そうか・・・このためにココアさんはお店を閉めていたんだ・・・。

多分父と話をして許可をもらいにいったに違いない。

そんな風に物思いに耽っていると隣にいた二人が同時に。

 

「サプライズせいこう~♪」

 

 といってびっくりして隣にいた二人に目を移して私は驚いたあまり思っていた

言葉が口から漏れていた。

 

「お二人は知っていたんですか」

「うん、途中から。チノちゃんがボーっとクレープ食べてる時にメールでね」

「うん、見事に引っかかったな」

 

 次に何か言おうとした直後、後ろからココアさんに呼ばれてすぐさま振り返った。

視線が過ぎった際に見えたのはお店に綺麗に飾りつけがされていてその中心に私と

ココアさんが立っている。

 

 ココアさんはとても優しい笑顔でちょっと不細工にラッピングされた袋を

私に渡してくれた。明らかに手作り感がある袋から出てきたのは同じように不器用な人が

作ったであろうマフラーが出てきた。

 

 それに顔をつけると毛糸の毛がちょっとけばっていてちくちく痛かった。

だけどすごく落ち着く、暖かい匂いがした。

 

 それはまるで母のような温もりが私の心にじわじわと沁みこんでいく。

思わず涙が出そうになって、その顔をみんなに見られたくなくて。

私はココアさんに抱きつくようにくっついて頭を体に押し付けた。

 

 そして涙篭った擦れた声でこういった。

 

「ありがとう・・・ございます・・・」

「うん。おめでとう。これからもよろしくね、チノちゃん」

 

「はい・・・」

 

 後からすれば他のみんなが見ている前でこんなことをして後に顔から火が出そうなほど

恥ずかしいことだけど、今はそんなことを気にしている余裕はなかった。

 

 ただ、目の前にいる人を離したくない気持ちでいっぱいだった。

感謝で・・・いっぱいだった・・・。

 

 

**

 

 父や青山さん夜組も一緒になってパーティーをして楽しい時間を過ごした。

これまで悩んでいたのがバカらしいくらい、楽しくて幸せな時間だった。

そんな時間も終わりを告げてみんなそれぞれ帰宅をしていった後。

 

 私がお風呂に入ろうとすると、慌ててココアさんが駆け寄ってきた。

 

「私も入る!一緒にはいろ?」

「しょうがないですね・・・」

 

 少し大きめの浴槽で何とか二人で入ると、何となく話し辛い雰囲気で静かな時が

流れると天井からぴちょんと冷たい雫が落ちてきて上手いことココアさんの首筋に

ヒットしてへんてこな叫び声が聞こえてきた。

 

「ひゃうん!」

「ビューティフォー・・・」

 

「な、何ソレ・・・」

「はて、何でしょうね。何となくそう言いたくなりました」

 

「なあに~、それ。あはは」

 

 ココアさんがツボに入ったのか大笑いしてからそのままの空気で流れるように

話が進んだ。サプライズを考えたときからここまで運ぶ手順までのネタばらし。

その節々に私に対しての気持ちがひしひしと感じられた。

 

「こういうパーティーしたりチノちゃんと触れ合うのとかしたかったから嬉しかったよ」

「ココアさん・・・」

 

「あっでもマフラー間に合わなくて失敗ちゃった。もし気に入らなかったら新しいの

買うから一緒に買い物に行く?」

「行きません」

 

「はうっ、チノちゃんつれない」

「せっかくのマフラー。捨てるのは勿体ないです。すごく!使い辛いけれど

しょうがなく使うんですからねっ」

 

「そんなに すごく! を強調しなくても・・・。でも、ありがとう」

 

 恥ずかしげもなく言うココアさんに私も返したかったけれどさすがに面と向かって

言うのは照れて言えなかった。それからお風呂から上がるまでまた静かになったけど。

今度はお互いが感じられて寂しい思いはしなかった。

 

「あっ、でも私抜きで勝手なことを色々してくれたので今日は一緒に寝ないですからね」

「そ、そんな! いつも一緒に寝てくれるのに。チノちゃんを抱きしめないと

眠れなくなるよぉ」

 

 しょんぼりした表情で軽く落ち込んで見せるココアさん。

だけど私としては珍しく割と本気で今夜一緒に寝るのは嫌だった。

だって・・・ただでさえ今日のことでドキドキしているのにこれ以上ココアさんを

意識してドキドキしたら心臓が止まってしまいそうな勢いだったから。

 

「知りません」

「あーん、チノちゃーん」

 

 私はココアさんに背を向けて歩き出す。

泣きそうな声で追いかけてくるココアさんをココアさんの部屋に押し込んでから

私はプレゼントを持って自分の部屋に入る。

 

 そしてマフラーを深く巻いてちくちくする感触を味わいながらココアさんの笑顔を

思い浮かべてベッドに倒れこむようにして横になった。

 

「暖かい・・・」

 

 疲れていてうとうとしてマフラーしたまま布団を被るとすぐにでも寝落ちして

しまいそうになる。

 

 色々考えて悩んだせいだろうか。だけどこのマフラーのおかげで今日はとても

良い夢が見れそう。

 

 そう考えているうちにいつしか意識がなくなるように眠りに就いて

母とココアさんと私が一緒に過ごしているようなそんな夢を見たような気がした。

この日のことはずっと忘れられないであろう。

 

私にとっては宝物のような一日だった。

 

お終い

 


 
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