No.739044

真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第二章『三爸爸†無双』 其の六十二

雷起さん

得票数28 月②&詠②のお話です。
おまけ壱 『北郷二刃奮闘記』其の二十七 リクエスト:二刃の妊娠騒動     5票
おまけ弐 『聖刀くんの日常』其の二十六 リクエスト:新入生と       11票
おまけ参 リクエスト:騎乗訓練その後                   16票
となります。

続きを表示

2014-11-23 19:22:18 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:2940   閲覧ユーザー数:2315

 

第二章  『三爸爸†無双』 其の六十二

 

 

本城 蜀館 月&詠私室              (時報:桂花八人目 妊娠一ヶ月)

赤壁出発三日前

【月turn】

 

「とん♪とん♪とん♪お豆腐切って♪お鍋に入れて♪」

 

 いつもは一緒に歌ってお手伝いをしてくれる春姫ちゃんが、今朝は黙って私のスカートを握ってます。

 

「どうしたの、春姫(るな)ちゃん?昨日は爸爸に朝ごはんを作るんだって張り切ってたのに……」

 

 私がしゃがんで問いかけるとそのまま抱きついて来たけど、やっぱり訳を話してくれません。

 

「怖い夢でも見たの?」

「ちがう………」

 

 泣きそうな顔で呟き私を離そうとしないので、何か有ったのは間違いないです。

 こんな時は無理に聞き出さず、一緒に居てあげるのが一番なのだけど………作りかけの朝ごはんが………。

 いつもなら詠ちゃんにお料理の続きを任せるのだけど、その詠ちゃんも(くん)ちゃんに抱きつかれて困っています。

 

「ちょっと、訓。どうしちゃったの?せっかく緑爸爸がお泊りしてくれたんでしょ。」

 

 言い聞かせようと頑張ってるけど………二人共どうしちゃったんだろう?

 

「そうだわ、訓!春姫と一緒に緑爸爸を起こしに…………行かせられる訳無いか……もう!あいつも早く起きてきて子供の相手をしてくれればいいのにっ!」

 

 朝ごはんの用意が終わってないのに、ご主人さまが起きてきちゃうのは困るよぅ。

 あと少しで蒸しあがる鰻を、これからタレを付けて焼かなきゃなのに。

 

「おはよ~~………ふあぁ~…俺がどうしたって…………?」

 

 ああっ!ご主人さまが起きてきちゃった!

 寝巻きのままで、髪も寝癖が!早く直して差し上げなくちゃ!

 いえ!それよりももう少しお休みいただいた方が………。

 

「ご、ご主人さま!朝ごはんまでは時間がありますから、まだお休みになられていても大丈夫ですよ!」

 

「ん~~………折角だから朝の炊事風景を眺めていようかな♪」

 

 そんな、ご主人さま……あれ?ご主人さま、動きが止まって………。

 ご主人さまの視線の先は春姫ちゃんと訓ちゃん。

 私も春姫ちゃんに視線を戻すと………春姫ちゃんがご主人さまを睨んでます……。

 そして、訓ちゃんも………。

 

「る、春姫…訓?媽媽達がご飯仕度出来ないから、爸爸と…」

 

 

「「媽媽をイジメる爸爸なんて大っキライッ!!」」

 

 

「る、春姫ちゃん!?訓ちゃん!?」

「ど、どうしたのっ!?二人共っ!?」

 

 

 私と詠ちゃんは慌てて子供達の顔を見ると二人共………すごく不安そう………。

 

「「だって……媽媽たち…よるに爸爸にイジメられてて…しんじゃうって………」」

 

「「え…………………」」

 

 こ、これは……ふたりが……………目を覚まして見られちゃったという事なのではっ!!??

 私は助けを求めようと詠ちゃんに振り向くと………詠ちゃんは顔を真っ赤にしてました。

 

「え、詠ちゃん………」

 

 詠ちゃんが何かを言おうと口は動かしているけど、言葉に出来ないみたい…………。

 これはご主人さまの気転に縋るしか…………。

 

 

「きゃあああああああああああああっ!!ご主人さまっ!!」

 

 

 ご主人さまは血を吐いて床に倒れていました…………。

 

 

 

 

【詠turn】

 

 それからはもう城内大騒ぎになってしまった。

 月の悲鳴を聞きつけて最初にやって来たのが阿猫だったのが最悪………血を吐いて倒れてる一刀を見て刺客の仕業と勘違いして………ボクが混乱してて説明出来なかったのも悪かったんだけど……阿猫が城内に非常警戒警報を発令したから警備兵が総動員で走り回るし、桔梗と焔耶と蒲公英も事情を聞かずに一緒になって飛び出して居もしない刺客を鬼みたいな形相で探し始めちゃうし、朱里と雛里は気絶するし、桃香と白蓮は倒れてる一刀に縋って大声で泣き喚くし…………。

 曹魏と孫呉の人達が来る前に駕医が来てくれたのが唯一の救いだったわ。

 そうじゃなけりゃ、今頃はこの目の前に居る華琳と蓮華が刺客探しにどんな命令を出してた事か………。

 

「はあぁぁ…………まったく、迂闊よ貴女達。」

「子供に覗かれたなんて………」

 

「へうぅ…………ごめんなさい………」

「面目ない…………」

 

 何を言われても言い返せない………冷静に自分を振り返れば確かに浮かれて注意を怠った………。

 

「今回は冰蓮の時みたいに、儀式で誤魔化せないわね………」

「でも、華琳…………私達だって他人事ではないわよ。」

「あら、蓮華は子供の気配に気が付かない程鈍ってしまったの?……それとも、それ程夢中になってしまうのかしら♪」

「ちょ、ちょっと華琳!それは一刀の攻めが激しいからで!貴女だってそうなった事があるでしょう!!」

 

「はいはい、(からか)ってるのか惚気(のろけ)てるのか判らない言い合いは後にして、春姫ちゃんと訓ちゃんの誤解を解くのが先なのですよ。」

 

 華琳と蓮華の間に割り込んだのは、ボクの師匠でもある音々さん(こう呼ばないとネチネチと嫌がらせをされる)だった。

 音々さん、もうすっかり宮廷での地位を確立してるわねぇ。魏王と呉王の言い合いに割り込んでも誰も何も言わないんだから…………。

 

「音々には妙案が有るのかしら?」

「華琳さま、亀の甲より年の功ですぞ♪わたくしは音々音だけでは無く、恋ちゃん、阿猫ちゃんにこの月ちゃんと詠ちゃんにも性教育を施したのです。」

 

「音々さん!春姫と訓はまだ五歳なのよ!?いくら何でも早すぎるわよ!」

 

 思わず叫んでしまった。

 だってこの人に任せたら本当にやりかねないんだもの!

 

「詠の言う通りだわ。私の蓮紅にだってそこまではしてないもの。何か違う方法は無いの?」

「いやいや、蓮華さま。春姫ちゃんと訓ちゃんの話を聞く限り、どうも最終局面を迎える所を見てしまった様です。ここは下手な嘘を吐くのは愚策ですぞ。」

「そ、そうなの?」

「ああ、それから蓮紅ちゃんですが、薄々感付いている様ですな。因みに眞琳ちゃんも。」

「ええっ!?そうなのっ!?」

「私は眞琳の事、気付いてたわよ。」

 

 それは華琳が眞琳の見てる所で桂花や春蘭をイジるからでしょうが!

 

「あのぅ~、音々さん。うちの香斗ちゃんはどうでしょう?」

「あら、桃香。落ち着いたの?」

「大丈夫?桃香?」

 

 緑一刀が息を吹き返しても暫くは泣き続けてたけど、今はもう大丈夫そうだわ。

 

「香斗さまにはその様子は微塵も見られません。」

「ほ………良かった♪」

「但し、無邪気で天真爛漫な方ですので今回と同じ事が起こる可能性が一番高いですな。」

「う…………やっぱり何かしらの対策は講じてた方が良いんですね………」

 

 桃香はボク達と同じで武芸を鍛えて無いから、子供の気配には気付け無いでしょうねぇ。

 

「ですから性教育をするのですよ。別に一から十まで教える必要は有りません。子供達それぞれに合った教え方をすれば良いのです。」

「成程………詠ちゃんと月ちゃんは音々さんからどんな風に教わったの?」

 

「えっ!?ボク達?」

「ええと………男性と女性の身体の違いからでした。」

 

 そうだわ。音々さんが教えてくれたのは………。

 

「愛し合う男女がお互いを『より近く居たい』『より深く知りたい』と思う心が相手を抱き寄せる。その結果として子供が生まれる………でしたよね?」

 

「ちゃんと覚えていましたね♪」

 

「確かに具体的な事は何も教えてくれなかったわ。」

「やっぱり音々さんも恥ずかしかったんですか?」

 

「そこは男性の愉しみですから、奪ってしまうのは野暮という物なのです♪」

 

「でも、月もボクも本を読んで勉強したわよ。」

「へう………詠ちゃん、恥ずかしいよぅ………」

「どうせここに居る人はもう全員が知ってる事よ。今更恥ずかしがる事無いわ。」

 

「人というのは『自分の為に努力をしてくれる人』により好意を持つものなのです。実際、緑一刀さまはその事を知った時に愛しさが込み上げたと仰言ってましたよ♪」

 

 ちょっと待って!それってボクと月が初めてあいつと………。

 

「ふっふっふ♪閨での寝物語で聞き出したのです♪他にも色々と知ってますよ♪」

 

「へうぅぅ~~……………」

 月は耳まで真っ赤にしてるけど、ボクは逆に青ざめた。

 自分の師匠の恐ろしさを改めて思い知ったわ………。

 

「そうそう、わたくしはもうひとつ一緒に教えた事が有りますね。そちらも必ず教える様に。」

「『男は愛が無くても快楽だけを求めて、獣の様に襲ってくる者も居る』でしょう。肝に銘じてますって。」

 

 この教えを聞いてから、月を守るって気持ちが強くなったんだもの。

 

「さて、皆様。取り敢えず我々も朝食を摂り、この問題を早々に解決してしまいましょう。緑一刀様にも早く復活して頂かないと後々の順番に支障が出ますので。」

 

 ………………………獣の様に襲うのは男だけじゃ無いわね…………。

 

 

 

 

【月turn】

 

 子供達を学園に送り出し、私と詠ちゃん、そしてマオ、恋さん、霞さん、ねねちゃんが私の部屋に集まって、春姫ちゃんと訓ちゃんにどうやって教えるかの話し合いを始めました。

 音々さんは丞相室の皆さんと三王女に教える算段と、今後の子供達の教育方針を検討しに行ってます。

 

「みんな音々ちゃんからそないな事教わっとったんやな♪」

 

 霞さんは隴西郡に来た頃にはその手の知識を持っていてもおかしくない年齢でした。

 

「ねねも昔に教わった事は月殿と同じ内容なのです…………………母上がここに来てから、無理矢理様々な事を教えて来ましたが…………」

「?…………お母さんのお陰でご主人さま、喜んでくれたよ。ねねに音音ができたのもお母さんのおかげ。それに恋々恋(れみ)(いん)もできた♪」

 

 恋々恋ちゃんと韵ちゃんとは、恋さんとねねちゃんのお腹に居る赤ちゃんの真名です。

 因みに音々さんのお腹の子の真名は唯音(いおん)ちゃんです。

 

「私が貞操を守り続け、树莓(しゅうめい)を身篭れたのも音々さんのお陰だ。音々音ももっと感謝すべきだな。」

「そんな事より早く春姫殿と訓にどこまでどうやって教えるか考えるのです!さっき一刀たちを見てきたら、紫と赤も一緒に落ち込んでたですよ。感情が同調しやすいのも考え物ですな。」

「私だって春姫様や树莓に『大嫌い』と言われたら生きる気力を失うぞ!」

「阿猫は子煩悩過ぎやで。でもまあ、あの頑丈な一刀たちが一言で死にかけるんやから、ここで教育を間違うたら、国が滅ぶで。」

 

「責任重大ですね…………でも、どうやって教えたらいいかな、詠ちゃん………」

「ここで本に頼るのは何か違う気がするしねぇ………」

 

「……難しく考えなくていい。月と詠がご主人さまを好きな気持ちをそのまま伝えるだけ。」

 

 私達は全員が目を剥いて恋さんを見ました。

 そうか………春姫ちゃんと訓ちゃんはご主人さまが私と詠ちゃんを虐めてると勘違いしてた。

 あの子達にとって、『虐める』と『嫌う』が同じ事なんだわ!

 

「ありがとうございます、恋さん♪」

「みんな、ありがとうね♪これから学園に行って、春姫と訓に伝えて来るわ♪」

 

 私と詠ちゃんは急ぎ足で学園に向かいました。

 

 

 

 

【詠turn】

 

 ボク達は麗羽に訳を話して春姫と訓を教室から他の部屋に連れ出した。

 他人に聞かれるのは恥ずかしいので駕医と二刃が出払ってる医務室を借りる。

 

「春姫と訓は、昨夜(ゆうべ)寝室の中を見たのね?」

 

 寝台に二人を並んで座らせ、二人を挟む様に私と詠ちゃんも寝台に座り、優しく体を寄せて語りかけた。

 

「「………うん…」」

 

「爸爸はね、媽媽達を虐めてた訳じゃないのよ。爸爸も媽媽達もお互いが大好きなんだから。」

 

 昔のボクじゃこんな言葉を絶対に言えなかったな♪

 

「人は愛し合うとお互い『より近く居たい』『より深く知りたい』と思う心が相手を抱き寄せるの。」

 

 ボクは訓を、月が春姫を抱きしめた。

 

「ほら、こうしてると媽媽達はとっても幸せなのよ♪訓と春姫はどう?」

 

「うん♪しあわせ♪」

「春姫もよ、媽媽♪あったかい♪」

 

「心臓の音が聞こえる?」

 

「うん………とくん、とくんっていってる。」

 

 月は春姫を更に抱きしめた。

 

「この音はね、生きているから聞こえるの。媽媽はね、この音を聞くとその人が一番近い所に居るんだって思えるの。」

 

 訓がボクの胸に耳を当てて、ボクの心音を聴いている。

 

「媽媽達はみんな、こうして爸爸と抱き合いたいって思ってるけど、爸爸が毎日は来られないから………」

 

 っと、危ない。思わず具体的な話をしそうになったわ。

 

「媽媽たちがしんじゃうっていってたのは?」

 

「そ、それは幸せすぎて死んじゃいそうって意味よ。」

 

「「???」」

 

 やっぱり無理が有るわよねぇ……………どう納得させよう………。

 

「春姫ちゃん、訓ちゃん。二人が見たのは赤ちゃんを授かる儀式のひとつなの!」

 

 ゆ、月!?

 

「ほら、冰蓮お姉ちゃんが前にお手伝いしたって言ってたでしょ。ゆうべのは大人だけでしか出来ない儀式だったの。二人が大人になったら教えてあげるから、今はこれで我慢してね。」

 

「赤ちゃん………」

「訓たちにも妹ができるの!?」

 

「神様次第だよ♪でも、爸爸に『大キライ』なんて言う子には妹を授けてくださらないなぁ。」

「「ええーー!?」」

 

 月ったら、話をそっちに持って行くのね♪

 

「それじゃあ、二人共。爸爸にごめんなさいって言いに行きましょう♪」

 

「「うん!」」

 

 ふう…………今のところはこれで大丈夫でしょ。

 後はもう少し大きくなってからよね。

 

 

 

 

数日後 漢水 襄陽近辺

【緑一刀turn】

 

 赤壁で模擬戦、長江の河口付近で海水浴、そして荊州南部の桂林で不正領主を捕えて、今は房陵の都へ向かい漢水を上って襄陽近くの港で停泊中。

 今日の夕方には帰還出来るだろう。

 出航前に朝食を済ませ、現在は各部署からの出港準備完了の報告待ちだ。

 先に準備を終えた奥さんは、駕医と二刃に胎児恵光をしてもらっていた。

 この船旅の間、妊娠している奥さん達は胎児に悪影響が出ていないか毎日診察してもらっている。

 幸い経過は良好……と云うか、むしろ胎児の氣がいつもより充実していると駕医と二刃が報告して来た。

 奥さん達にドヤ顔されるけど、心配するのが俺たちの役目だと思っているので、今後も俺たちは態度を変えるつもりは無いぞ。

 そして、懐妊を心待ちにしている奥さん達も当然毎日胎児恵光をしてもらっていた。

 

「爸爸ぁ♪春姫の媽媽と訓ちゃんの媽媽に赤ちゃんできたって♪」

「訓と春姫ちゃんが爸爸に『ごめんなさい』したから神さまがゆるしてくれたんだよね♪」

 

 階段を駆け上がり、甲板を走って来る春姫と訓を俺たちは両手を広げて迎えた。

 

「「「ああ、そうだぞ♪春姫と訓が良いお姉ちゃんになれるって、神様が認めてくれたんだ♪」」」

 

 赤と紫が二人を抱え上げ、俺は間に入って愛娘二人の頬にキスをした。

 二人はくすぐったそうに笑うと俺たちにもキスを返してくれた♪

 

「「「春姫、訓。これだけは覚えておいてくれ。爸爸たちは媽媽達を誰ひとり嫌いだなんて思った事は一度も無いし、これからもずっと嫌いになる事は絶対に無い。」」」

 

「「うん♪」」

 

「「「春姫と訓、それにお姉ちゃん達と妹達、そして聖刀は全員が愛の結晶なんだ。お前達は爸爸たちが媽媽達を愛している証拠だ。」」」

 

「「うん!爸爸たちだ~いすき♪」」

 

「「「後ね………この前みたいに爸爸たちを嫌わないでね…………本当に死んじゃうから………」」」

 

「は~い♪春姫ぜったいにいわないよ♪」

「訓も♪…………あれ?このまえ媽媽がしあわせすぎてしんじゃうっていってたよ?」

 

 詠………お前は子供に何を言ってるんだ?

 しかもこの流れだと、俺たちがドMで感極まって死ぬみたいじゃないか………。

 

「「「いや、この場合は爸爸たち悲しくてだからね。」」」

 

 

「ちょっとあんたたち!途中まで良い事言ってたのに、急に情けなくなったわね。」

 

 

 突然聞こえた詠の声に振り返ると、詠と月が下の階から上がって来ていた。

 詠は呆れ顔で、月は苦笑していたが、二人共頬が赤い所を見るとどうやら恥ずかしくて出るタイミングを計っていた様だ。

 

「うふふ♪私も詠ちゃんも、ご主人さまを嫌いになる事は絶対に有りませんよ♪」

 

 月の女神の様な微笑みに、心の底から幸福感が込み上げてくる。

 

「ボクはどうかなあ。初めて会った頃はむしろ嫌いだったしねえ♪あんな情けない事を言ってる様じゃ見捨てちゃうんだから♪」

 

 詠の場合はやっぱりこういうツンが無いと調子が狂うよな♪

 

「ダメェ!そんなこといったら爸爸たちしんじゃうのっ!」

 

 あはは♪訓が本気で怒ってる♪

 これには詠も苦笑で応えるしか無いようだった。

 

「「「爸爸たちがお仕事頑張って、媽媽に嫌われない様にしなくちゃな♪」」」

 

「爸爸たちがおしごとがんばるなら、春姫は媽媽のおてつだい、たっくさんするよ♪」

「訓もおてつだいするもん!ねえ、爸爸。訓と春姫ちゃんのめいどふくはいつできるの?」

 

「「「お家に帰ったら出来上がってる筈だぞ♪爸爸たちも訓と春姫がメイド服を着た所を早く見たいな♪」」」

 

 奥さんと娘がメイド服で癒してくれる。

 アキバのメイド喫茶に通っていた頃の夢が叶う時が遂に来たか!

 

「「ふたりでおトーフのおみそしる作るからたべてね、爸爸♪」」

 

 

 

 俺たち家族の笑顔を乗せて、ゆっくりと楼船が動き出した。

 順風満帆で進む船。

 俺たちの『家族』が船だったら、帆に受ける風の名は『幸福』に違いない。

 

 

 

 

 

おまけ壱

『北郷二刃奮闘記』其の二十七

リクエスト:二刃の妊娠騒動    5票

 

本城 後宮談話室                 (時報:桂花八人目 妊娠一ヶ月)

【二刃turn】

 

 房都に帰ってきた次の日の朝。

 あたしと駕医さんは後宮でお義姉さん達や子供達と一緒に食卓を囲んでいた。

 今、後宮で暮らしているのは桂花さん、華琳さん、愛紗さん、鈴々さん、星さん、翠さん、紫苑さん、璃々、雪蓮さん、小蓮さん、思春さん、恋さん、音々音さん、音々さん、吉祥さん、美以ちゃん、トラちゃん、ミケちゃん、シャムちゃん。

 そして秋蘭さん、月さん、詠さんが朝から引越しを始めてます。

 今日の仕事は朝食の後、お義姉さん達と子供達、全員の診断。

 旅行の疲れとか、風土病に感染してないかをチェックする。

 ウィルスとかだと潜伏期間が有るから数日は気を抜けないわね。

 

「秋蘭。明日は一刀たちとのデートだけど、今日中に引越しは終わりそう?」

「はい、華琳さま。先ずは必要な物だけ移動して、後は追々片付けるつもりです。」

「月ちゃんと詠ちゃんはどうですか?何ならわたくしがやっておきますから、董雅殿と日ちゃんに早く手紙を書いた方が良いのですよ。」

「音々さん。そうやってボク達の部屋を家探しする気でしょ。」

「へう!ひ、引越しも手紙も大丈夫です!音々さんには音肆ちゃんのお世話も有りますし。」

 

 秋蘭さんと月さんと詠さんは引越し作業を一時中断して、お義姉さん達が作った朝食を食べてます。

 実はあたしもなんだけど…………。

 初めての船旅で自分が思ってた以上に体が疲れてて、昨日の夜に駕医さんに鍼を打ってもらったら…………グッスリ眠りすぎて寝坊しました………。

 

「二刃お姉ちゃん。これ食べてみて♪」

 

「え?あ、だし巻き卵ね。ありがとう、愛羅ちゃん♪」

 

 愛羅ちゃんが勧めてくれただし巻き卵は細かく刻んだ具が入っていて、見た目もきれいで美味しそう。

 

「どれどれ……モグモグ…うん、美味しいよ♪柔らかくて、甘くて、しっかり出汁が効いてて、噛むほどに塩味とほのかな苦味と辛味と酸味……………………」

 

 噛むたびに味が変わるんですけど…………これってもしかして………。

 

「これ、母上が作ったんです♪こんなに美味しいのに誰も食べてくれなくて。」

 

 うっ!期待に満ちた目が眩しい!

 しかも愛羅ちゃんはこれを美味しいと………これが愛羅ちゃんの『おふくろの味』なのね……これは覚悟を決めて飲み込むしかない!

 

ゴクリ!

 

「お、美味しかったわよ〒」

 

 微笑んだつもりだけど、正直どんな顔になったか自信がない………。

 素早くテーブルの上を見渡して、同じ物が無い事を確認………よかった…あれが最後のひと切れだったのね。

 

「そうですよね♪それなのに姉上達は勧めると食べもせずに避けるんですよ!」

 

 そう言えば気が付くと上の子達は食べ終えて食卓から退散していた。

 美以ちゃん達南蛮のみんなは最初から居ないし………。

 恋々ちゃんだけはまだ食べてるけど。

 

「おや?私が作っただし巻き卵が無くなっているが………」

「愛紗!嘘を申すな!あれは『だし巻き卵モドキ』か若しくは『だし巻き卵型猫いらず』だ!!」

「何だと、星!私だって日々研鑽しているのだっ!」

「その結果、見た目と一口目の味が通常の料理の様に完全な擬態をしているではないか!余計に質が悪いわっ!!」

 

「ん?どうした、二刃。すごい汗かいてるぞ?」

 翠さんが食器を下げる途中であたしに声を掛けてきた。

「………い、いやぁ………なんと言いますか………」

「あ!そうか!二刃、一緒に来い!」

「え?」

 翠さんはあたしの手を引いて立たせるとそのまま出入り口の扉に向かった。

「直ぐに戻るから食器はそのままにしてくれ!」

「す、翠さん!?どこに…」

「(し~!大丈夫まかせとけって♪あたしも経験有るんだよなあ。こういう時に限って邪魔が入るから、あたしが真っ直ぐ厠に連れて行ってやるよ♪)」

 

 なんか………勘違いされてるみたいだけど、吐くには都合がいいかも………。

 

 

 

 

本城 廊下

【二刃turn】

 

「大丈夫か、二刃?」

 

 駕医さんが心配してあたしの顔を見てる。

 かい摘んで事情を話したら、駕医さんが深刻な顔で唸り出してしまった。

 

「『愛紗の料理』に対する解毒薬は作るのが困難なんだ。本人が使ったと言う材料からはどんな作用の毒を調合したのか、いや、そもそも何故毒になるのか皆目見当が付かなくてな………やはり二刃のカタルシス・ウェイヴが一番効果を望める。」

「散々吐いたからもう大丈夫♪それよりも早く仕事に掛かろうよ。お義姉さん達も待ってるからさ。」

 

 あたしと駕医さんは先ず丞相室にやって来た。

 ノックをして中に入ると、朱里さん、雛里さん、風さん、稟さん、冥琳さん、穏さん、亞莎さんが忙しそうに書簡の山と格闘していた。

 そして相国執務室に居るはずの桃香さんと蓮華さんも一緒になって書簡に目を通していた。

 出直した方がいいかな?鬼気迫る物を感じるんだけど………。

 

「あ!二刃、駕医!来てくれたのね♪」

 

 蓮華さんがあたし達に気付いて声を掛けてくれた。

 

「それでは打ち合わせ通りに、キリのいい者から順次診断を受けて!」

「私と雛里ちゃんが大丈夫です。」

「わたしはあと少し………早く終わらせて胎児恵光してもらわなきゃ……」

「桃香ったら、慌てて判断を誤らないでよ……」

「そう言う蓮華様も内心は焦っておいでの用ですが♪」

「蓮華様は雪蓮様と小蓮様が懐妊なさってますし~、桃香様は愛紗さんと鈴々ちゃんがですもんねぇ~♪」

「め、冥琳様も穏様も煽らないで下さい!」

「まあまあ、亞莎ちゃん。同じ王であり、似た境遇のお二人。風はきっとこれまで以上に深い友情で結ばれたと思っていますよ~♪」

「うちの大将はとっくに二人目産んだけどな。」

「これこれ、宝譿。そこでそんな事を言っては華琳様が仲間外れみたいじゃないですか~。」

「風。宝譿と漫才をする余裕が有るのなら、貴女も診察を受けてください。」

 

 といった会話が書簡の処理をしながら続けられてる。

 今更ながら、頭脳派集団の恐ろしさを垣間見た気がするわ………。

 

 

 

 診察自体は順調に進み、残すは桃香さんだけ……………初めに、あと少しって言ってたのに………。

「いやぁ、ちょっと感情移入しちゃう案件だったからのめり込んじゃって♪待たせてゴメンね。」

「いえ、あたしも駕医さんも丁度良い所でしたよ♪それじゃあ早速…………」

 

 うっ!突然吐き気が戻って来た!?

 

「すまない!直ぐに戻る!」

 

 あたしの状態に気付いてくれた駕医さんが部屋から連れ出してくれた………。

 

 

 

【桃香turn】

 

「え?…………二刃ちゃん?」

 

 二刃ちゃん……口を押さえて…………もしかして!

 

「どうしたの?あの二人突然飛び出して………」

「れ、蓮華さん!二刃ちゃん、おめでたかもっ♪」

 

「「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」」

 

「二刃ちゃんが吐き気を抑えて、駕医さんが支えて行ったんだよ♪きっとつわりだよ♪」

「ちょっと待ちなさい、桃香!あの二人がつわりの来るまで気が付かない訳無いじゃない!」

「あの、蓮華様。二刃さんの性格を考えると、私達に遠慮したのと恥ずかしさから言い出せなかったのではないでしょうか?」

「そ、そうなのかしら、亞莎……でも、駕医はそんな気配りをするかしら………」

「蓮華様、駕医は昔に比べかなり気配りをする様になりましたよ。二人は結婚して三月ですから時期もおかしくはないですね。」

「冥琳もそう思うの?」

 

「これは戻ってきたらお祝いを言わなきゃ♪」

 

「ま、待って下さい、桃香様!まだ本当に懐妊したと決まった訳ではないんですよ!」

「ここはちゃんと確認してからの方が良いと思います。」

 

 う~ん、朱里ちゃんと雛里ちゃんの言う通りかも………。

 

「ねえ、直接聞き出さないで二人の様子から判断しよう♪それでおめでたと判断できたら、今夜二刃ちゃんが自分から言い出せる様な場を設けようよ♪」

 

「そうですね♪やはり、こういう事は直接本人の口から伝えて貰いたいです♪」

 

 稟さんを皮切りに全員が頷いてくれた。

 ここで丁度良く二刃ちゃんと駕医さんが戻って来た♪

 

「無理をしないで横になっていてもいいんだぞ。」

「大丈夫だって♪吐いたら楽になったから♪」

 

 二刃ちゃん、やっぱりもどしてたんだ。

 少し青い顔をした二刃ちゃんを駕医さんが肩を抱いて気遣ってる。

 

「病気では無いからな…………俺には支える事しか出来ない………」

 

 病気じゃない!それはつまりそういう事だよね♪

 

 

 

 

本城 倉庫区画

【二刃turn】

 

「これは二刃様♪この様な所まで御足労頂きありがとうございます。」

 

「いえいえ!皆さんのお忙しい所を邪魔するみたいで恐縮ですよ!」

 

 桔梗さんの挨拶にあたしも頭を下げる。あんまり謙ると桔梗さんの態度がどんどん丁寧になるから加減しないと。

 ここには桔梗さんの他に、焔耶さん、蒲公英さん、祭さん、明命さん、春蘭さん、季衣さん、流琉さん、霞さん、真桜さん、沙和さん、そして凪さんが今回の旅に使った物を片付ける指揮を執っていた。

 

「駕医師匠。二刃。始めるのなら私も手伝います♪」

「それじゃあ凪には胎児恵光を頼む。俺は病魔を診るから、二刃はその補佐をしてくれ。」

「「はい!」」

 

 あたし達が準備をしている間に桔梗さんが他のお義姉さん達を集めてくれました。

「あれ?二刃は胎児恵光してくれないの?」

「たんぽぽちゃん。凪ちゃんの胎児恵光だって最近更に磨きがかかって来てるの♪」

「ちゃうやろ、沙和。たんぽぽは凪ひとりより、二刃ちゃんもやった方が早よ終わるって言いたいんよ。」

 

「すいません、ちょっと氣の扱いが突然乱れるかも知れないので、少し用心しようかと………」

 

 胎児恵光の最中に吐き気で集中力が乱れるなんて絶対にしちゃいけないミスだもんね!

 

「おい!蒲公英!!お前、部隊への指示が途中だぞ!」

「沙和!真桜!自分らもやでっ!せめて区切りのええとこまで仕事せんかいっ!!」

「焔耶と霞の言う通りだぞ、お前達。それにいつもなら手早く片付けるのに、何故怠ける?」

「春蘭さまぁ、駕医と二刃ちゃんがなんでここに来てるか分かってます?」

「病人やけが人が居ないか見回りに来たのだろう?季衣。」

「あの……春蘭さま、駕医さんと二刃ちゃんがわたし達の健診に来てくれるって朝食の時にお伝えしたんですけど………」

「そうだったか?流琉?」

「春蘭………お主は相変わらず華琳殿の言葉しか覚えんのぅ。今は子が出来る確率が上がっとるんじゃ。早く確認したいと思うのは仕方なかろう♪大目に見てやれ♪」

「祭の言う通りだ。焔耶も霞も本当は早く確認したいのだろう?」

「流石姐さん方♪」

「みんなの気持ちをお見通しなの~♪」

「「お主等が仕事に集中出来ずヘマをされても適わんしな♪」」

「たんぽぽはそこまで緩んで無いよぅ………」

「それでは凪さん!お願いします!」

 

「「「「「「「「「明命っ!抜け駆けするなっ!!」」」」」」」」」

 

 と、いう感じで始まった診断。

 結果は全員健康に問題無し。懐妊の方も残念ながら全員まだでした。

 

「姐さん方お二人が父ちゃんから絞り過ぎんのが原因ちゃいますの?」

「順番が祭さんと桔梗さんの後だといつもより薄い気がするのぉ~!」

「「そ、そんな事は無いぞっ!」」

「でも、二人共次の日の肌の艶と張りが全然違うし!」

「桔梗様………やっぱりお館から生気まで吸い取ってるんじゃ………」

「人を妖怪みたいに言うでないっ!!」

 

 あたしからすると全員大差ないと思うんだけど……………う!またきた!

 

「どうした、二刃っ!顔色が悪いぞ!!」

「だ、だいじょうぶです、春蘭さん………つぎは学園にいくので失礼しますね…」

 

 愛羅ちゃんの為にも愛紗さんの料理を食べたからとは言いたくない………。

 駕医さんの腕に掴まってこの場を後にする。

 お義姉さん達から見えない所に行ったら吐こう………。

 

 

 

【春蘭turn】

 

 どうも二刃がフラフラしてるな。

 

「凪!お前は駕医と二刃の手伝いをしに行け。こっちは我々が片付けておく。」

「了解しました!」

 

 ふむ。では仕事を再開するか…………ん?

 

「おい、お前達。何を話し込んでいる?さっさと片付けをせんか。」

「春蘭、お主は気付いたから凪を二人の手伝いに行かせたのじゃろ?」

「顔色が悪ければ誰でも気付くだろ。何か悪い物でも食ったのかも知れんな。」

「お主じゃあるまいしそんな訳なかろう。いや、お主ならそもそも腹を壊さんじゃろうな。」

「祭………貴様何が言いたい。」

「春蘭様、二刃ちゃんが妊娠してるのかもって話ですよ。」

「何だと、季衣!?そんな訳あるか!二刃が妊娠したなら我々に言うだろう!」

「そこはあれなの!沙和達が懐妊懐妊って騒いでるのに、自分が先に懐妊しちゃって引け目を感じてると思うの!」

「そうかあ?う~~~ん………」

 

 私と秋蘭で駕医の真名を呼べる様にしてからは、すっかり打ち解けて何でも話してくれていたのに。結婚してからは特に駕医の事をよく聞かせてくれて、とても微笑ましかったのだがなぁ。

 

「皆さん!仕事中すみませんが………雑談の最中ですか?なら丁度いいですね。」

 

「うん?稟ではないか。雑談では無いぞ。二刃に関する重大な事だ。」

「春蘭様………それはもしかして『二刃さんが懐妊しているかも』という話ではないですか?」

「何故分かった!?」

「二刃さんがここに来る前に、丞相室でつわりの様な症状を見せたものですから。」

「お前達はその場で訊かなかったのか?」

「本当に懐妊しているのなら、二刃さんと駕医殿から話して貰いたいではないですか。それとなく話を振ってみたのですが、結局聞き出せなくて………」

「それはやはり懐妊してないんじゃないのか?」

「いつもの二刃さんと駕医殿なら笑って否定するでしょう。所が先程は曖昧な返事で何か隠し事をしていると直ぐに解りました。」

「それは丞相室の他の者も同じ意見なのか?」

「はい。我々以外にも蓮華様と桃香様も同意見です。」

 

 風と冥琳もそう感じているのか……………どうも納得がいかん!

 

「華琳さまに訊いてくる!」

 

「春蘭様!?」

「春蘭!仕事がまだ途中じゃぞっ!!」

 

 背後から祭が何か言ったみたいだが、私は無視して華琳さまの下へ走った。

 

 

 

 

本城 曹魏館 北郷学園教室

【二刃turn】

 

 一緒に来てくれた凪さんには事情を説明した。

 

「なんと言っていいか…………その、災難だったな………」

 

「この事は出来るだけ内緒にして下さいね。愛羅ちゃんを悲しませたくないので………」

「その気持ちは分かるが、華琳さまには相談した方がいいぞ。多分周りが空気を読んで対処してるのだと思うが、愛紗様の料理がその域に達していると分かった以上他の子供達に被害が及ぶ危険性もある。」

「そ、そうですね…………ここが終わったら華琳さんに相談します。」

 

 凪さんの激辛も同じ状態になってるのは黙っておこう………。

 

「それじゃあ教室に入るぞ、二刃、凪。」

 

 ノックをしてから駕医さんを先頭に教室へと入っていく。

 中では白蓮さんと麗羽さん、斗詩さん、猪々子さん、大喬さん、小喬さん、美羽さん、七乃さん、炙叉さん、天和さん、地和さん、人和さんが子供達に勉強を教えたり遊び相手をしたりしていた。

 

「あっ♪ふたばおねえちゃんだー♪」

 

 ひとりが声を上げると他の子達も一斉にこっちへ集まって来て大騒ぎに。

 

「ほらほら!みなさん!二刃さんはお仕事で来たんですのよ!」

 

 麗羽さんが手を叩くと子供達は静かになった。

 子供に対する統率力が半端無い………。

 

「お仕事が終わったら一緒に遊んでもらいましょう♪」

『わあ~~~~~い♪』

 

 なるほど………アメとムチを使い分けるのがコツなのね。

 

「すまんの、二刃。麗羽姉さまが勝手な約束をしてしまって。」

「いいんですよ、美羽さん。ここの後は後宮ですし、華琳さんも異常が無ければ急がなくてもいいって言ってくれてますから♪」

「二刃ちゃん、優羽さまがまだこの部屋に慣れていらっしゃらないのでお相手をお願いできますか?ついでに八倻の相手もしていただけると嬉しいのですけど♪」

「七乃!ちゃっかり二刃を独占しないの!それで二刃、愛喬と華喬の相手はお願いね♪」

「小喬ちゃんの方がちゃっかりしてるよ………二刃ちゃん、お仕事のお手伝いするから何でも言ってね♪」

「大喬ちゃん。先ずは私達が順番に診てもらった方が良いんじゃないかな?その方が落ち着いてお守りもできるし♪」

「やんちゃ組はあたいに任せてくれていいぜ、斗詩♪」

 

 子供達の相手で苦労すると覚悟してたけど、お義姉さん達のおかげで助かったわ♪

 

「二刃お姉さま♪私達もお手伝いします♪」

 

 眞琳ちゃんを筆頭に年長組が申し出てくれた♪

 

「ありがとう♪それじゃ、お願いするね♪」

「はい♪」

 

 返事の後で眞琳ちゃんがあたしにこっそり耳打ちしてきた。

 

「(あの…………お腹は大丈夫ですか?)」

「(あはは………実はあれから突然気分が悪くなって戻しちゃったんだよね……)」

「(愛羅ちゃんを悲しませたくないのは分かりますけど、無理はしないで下さいね。)」

「(頼りにしてるから、何かあったらお願いね♪)」

「(はい♪)」

 

 眞琳ちゃんが居てくれて助かるわ♪

 やっぱり長女だけあって頼りになるし♪

 

 さて、そんな訳で胎児恵光と健康診断を開始して、しばらくした所で天和さんの順番になった。

 

「ねえねえ、二刃ちゃん。今日は誰か懐妊した人居なかったの?」

「ええ、今のところは………」

「天和、子供達から離れてるとは言え同じ部屋に居るんだから声を落とせよ。聞こえるだろ。」

「白蓮は心配しすぎじゃない?聞こえたからって子供じゃ理解できないわよ。」

「そうでもないわよ、ちぃ姉さん。眞琳ちゃんとか蓮紅ちゃんはその手の知識が既に有るらしいし。」

「「「ええ!?」」」

 

 天和さん、地和さんと一緒にあたしも驚いた。

 これはもしかして赤壁に行く前の春姫ちゃんと訓ちゃんの事件みたいに………。

 

「その話、ちょっと補足しとくね。」

「炙叉さん!?」

「吉祥から聞いたんだけど、眞琳ちゃんと蓮紅ちゃんは書庫に調べ物をしに行った時に医学書を見て知ったらしいわ。」

「あ~~………二人の勉強熱心さが原因なんだ………これはしょうがないか………」

 

 あの二人がそれを知ってもあたしを含めた大人に対する態度が変わらないのが救いだわ。

 あたしなんか初めて知った時はお父さんとお母さんの顔をまともに見れなかったもんね。

 

「それよりも問題は烈夏ちゃんの方よ。」

「烈夏ちゃんが?」

「思春が直接教えてるのよ。」

「「「ちょ、直接っ!?」」」

「そ、そそ、それって……」

「ま、まさか自分の…」

「な、なに言ってるの!ちぃ姉さん!」

「なあ、炙叉。それって思春が本を使って教えてるんだろ。この間、思春にいい本無いか相談されたぞ。」

「「「「ほっ…………」」」」

「問題はそこじゃ無くて、思春が烈夏ちゃんに隠密修行の行動範囲と時間帯を広げる為の準備だって事なの!」

「「「「…………それってまさか………」」」」

 

「下手したら烈夏ちゃんに覗かれるわよ…………」

 

 し、思春さん………何て事を………あたしも気を付けないと………。

 

 

 

【大喬turn】

 

 胎児恵光と健康診断を終えて子供達の所に行こうとした所で、教室の入口に風さんが来てるのが見えました。

 

「風さん、嵐ちゃんの様子を見に来られたんですか?」

「おお!これは大喬ちゃん。風の隠行術を見破るとは腕を上げましたね。」

「隠行術って………全然隠れてなかったですよ…………」

「爸爸さんの親衛隊の技をまねっこしてみたのですが、やはり風は修行が足りない様です。まあ、そんな事はどうでもいいんですが、二刃ちゃんの様子はどうでしょう?」

「はあ……………えっ!?二刃ちゃんですか?…………ええと……駕医さんと仲睦まじくて、見ていて幸せそうですけど………」

「ふむふむ………では、旦那さんの方はどうでしょう?いつも以上に二刃ちゃんを気にかけていませんか?」

「………そう言われてみればそんな気もしますね。凪さんも二刃ちゃんを時々振り返ってました。」

「成程、凪ちゃんには打ち明けたという事ですか。」

「ええと…………何をでしょう?」

「(実は二刃ちゃんがおめでたなのかも知れないのです。)」

 

「……………………は?」

 

「(大喬ちゃんの疑問は判るのです。二刃ちゃんがそんな大事な事を話してくれない訳が無いと思っているのでしょう?)」

「(は、はい。ですけど、風さんがそう言うって事は根拠が有るんですよね。)」

「(先ず二刃ちゃんがつわりによく似た吐き気に襲われているのを先程丞相室で見ました。)」

「(はい。)」

「(第二に我々が気分の悪い原因を聞いても誤魔化そうとする。そして、旦那さんが『病気ではない』とハッキリ言っていたのです。)」

「(はい。)」

「(そしてこの教室に来る前に蔵の所でも似た様な事が有ったのを稟ちゃんが確認しています。)」

「(う~ん………隠す理由は義姉であるわたし達に遠慮しているから。と、丞相室では予測した訳ですね。)」

「(さすが大喬ちゃんは理解が早いですね♪)」

「(でも、そうなら華琳さまとか後宮で暮らしている方々には隠し通せないのでは………そう言えば眞琳さまが二刃ちゃんと内緒話をされていました!)」

「(やはり華琳さまを始めとする後宮で暮らす方達は二刃ちゃんの気遣いに協力しているという事なのでしょう。しかし、こうしてつわりが来てしまった以上隠し通す事は困難な筈。そこで我々は二刃ちゃんや華琳さま方に意趣返しとして、こっそりお祝いを用意して驚かそうと計画しているのですよ♪)」

「(それは楽しそう♪………ですけど、念には念を入れて確認した方が良いですよね。)」

「(どの様な方法で確認するのです?)」

「(今、後宮で暮らしている子に聞いてみましょう。標的は隠し事の苦手な子ですね。)」

「(眞琳ちゃんは華琳さまのご息女だけあってその辺りの腹芸は見事ですからねえ♪)」

「(では行って来ますから、風さんも見ててください。)」

 

 わたしは教室を見渡すと目標の子を見つけました。

 それは愛羅ちゃんと恋々ちゃんと疾ちゃんです。

 丁度三人で一緒に居たので、歩み寄って声を掛けました。

 

「愛羅ちゃん、恋々ちゃん、疾ちゃん、ちょっと教えて欲しい事が有るんだけどなぁ♪」

「はい♪大喬媽媽♪」

「…………うん。」

「なになに♪お手伝いならなんでもするよ!」

 

 三人とも素直ないい子だからちょっと心が痛むけど、ここは心を鬼にして情報を聞き出さなきゃ。

 

「二刃ちゃんの事なんだけど…」

 

 そう言った瞬間に恋々ちゃんと疾ちゃんがビクリと反応した。

 

「何か変わった事が有ったとか聞いてないかな?」

「変わった事ですか?愛羅は特に聞いてません。今朝もいつも通りで優しかったですし♪」

 

 あれ?わたしの見込み違いだったかな?愛羅ちゃんは本当に何も知らないみたい………恋々ちゃんと疾ちゃんが愛羅ちゃんをジト目で見てる…………?

 

「恋々ちゃんは…」

ブン!ブン!ブン!ブン!

 

 スゴイ勢いで首を横に振られた……………。

 

「じゃあ、疾ちゃんは?」

「え!?えっと………疾もしらないよ♪あさに二刃おねえちゃんがいーーーーっ!!」

 

 突然疾ちゃんが悲鳴を上げたのは恋々ちゃんがお尻をつねったからみたいです。

 

「どうした、疾?」

「な、なんでもない…………」

コクコク

 

 涙目になってる疾ちゃんを愛羅ちゃんは不思議そうに見ていて、恋々ちゃんは完全に無表情に………どうやら恋々ちゃんと疾ちゃんは知っていて、愛羅ちゃんには隠しているのね。

 多分華琳さまの指示だわ。愛羅ちゃんは隠し事が苦手なのを見越して、最初から知らなければ隠し事をしなくて済むと思われた。疾ちゃんは何かの偶然か翠さんが口を滑らせて知ってしまった。わたしの読み間違いは、恋々ちゃんがこんなに口が硬かった事。

 流石華琳さまだわ♪子供達の事をしっかりと把握していらっしゃいます♪

 

「ありがとう、三人とも♪どうやらわたしが心配しすぎてたみたいだね♪」

 

 わたしは三人に手を振って、風さんの所に戻りました。

 

「お帰りなさい。聞こえてましたよ♪」

「確かに恋々ちゃんと疾ちゃんは二刃ちゃんの事で隠し事をしていますね。」

「決定ですね~♪風は丞相室に戻って計画を進めるのですよ。大喬ちゃんはこの話を凪ちゃんと麗羽さん以外に伝えておいて下さいね~♪」

「はい♪お任せください♪」

 

 凪さんは二刃ちゃん側だから当然ですし、麗羽さんは不安要素が有りすぎるので直前まで教えられません。

 先ずは小喬ちゃんに伝えよう。小喬ちゃんはこういうの好きだから張り切るだろうな♪

 

 

 

 

本城 後宮談話室

【二刃turn】

 

 朝はバタバタしてて後宮に居るお義姉さん達と赤ちゃん達の診断が出来なかったけど、それもようやく終わって一息ついた。

 

「ご苦労様、二刃、駕医。凪も二人の手伝いをしてくれてありがとうね♪」

「いえ、華琳さま。状況が状況ですから………」

「それもこれも愛紗が妙な物を食卓に上げるからこんな事になるのだ。」

「星の言う通りだぜ。あたしなんか二刃の様子見て勘違いしちゃうし………」

「それは翠だからなのだ。あの状況で普通はオシッコを我慢してるなんて思わないのだ。」

「でも二刃の異変に最初に気付いたのは翠なんだし、わたしは流石『失禁馬超』だと感心したわよ♪」

「雪蓮!子供達の前で絶対にそれ言うなよっ!!」

 

 愛紗さん、恐縮して小さくなっちゃってる………。

 

「あ、あの、愛紗さん。大丈夫ですよ!努力を続ければ必ず料理の腕は上がりますって♪」

「二刃………わたし達の方が毒に対して慣れるのが先だと思う………愛羅ちゃんみたいに。」

「ちょっと、璃々!」

「取り敢えず愛紗の料理は恋どのに一度見てもらってから食卓に上げるべきですな。恋どのならひと目で毒を見分けられるのです♪」

「音々音、それでは策として不十分ですよ。毒と認定された物は厨房の四隅に配置して、鼠や害虫の駆除に使うのです。」

「あら、何だか魔除けの御札か盛り塩みたいね♪」

「魔を払うどころか神まで逃げ出しそうだがな。」

「音々音さん!音々さん!紫苑さん!思春さん!」

 

 愛紗さんが可哀想じゃないですか!

 

「(二刃ちゃん、ちょっと。)」

「(なんですか、吉祥さん?)」

「(今、愛紗ちゃんの料理の腕が上がるかタロットで占ったんだけどね………)」

 

 そう言って見せてくれたカードは………………DEATHの正位置…………。

 

 

「ちょっと、やめなさいよあんた達!」

 

 

 桂花さん♪

 

「美以達が拾って食べたらどうするのよ!」

 

 ……………………そっちですか。

 

 

「「「お、みんな揃ってるな♪」」」

 

 

「兄さんたち…………あ、ごめん。兄さんたちの健康診断忘れてたわ。」

「「「忘れてたのかよ……………まあ、いいや。それよりも、今日は誰も懐妊が判ったのは居ないんだよな?」」」

「ああ、懐妊した人は居なかったが、病魔の影も見えなかったぞ♪」

「「「おめでたが無かったのは残念だけど、病気が無いのは良かった♪駕医、二刃、おつかれさん。凪も手伝ってくれたんだってな♪」

「は、はい♪」

「「「それじゃあ全員が健康だったのを肴にするのかな?他のみんなが玉座の間で宴会の用意をしてるんだけど………」」」

 

「はあ?そんな報告受けてないわよ?…………………そう言えば春蘭が………」

 

 

「華琳さま♪輝琳ちゃまがお腹を空かせたみたいですよ♪」

 

 

 隣の部屋から春蘭さんが聖刀ちゃんを抱いて現れた。

 聖刀ちゃんが春蘭さんの指を吸ってる。ふふ♪カワイイなあ♪

 

「ねえ、春蘭。貴女、一度戻ってちゃんと伝えたのでしょうね。」

「は?………………何をでしょう?」

 

 

「二刃の懐妊が誤解だって事をよっ!!」

 

 

 ………………………………………………………………………はい?

 なんであたしが懐妊したなんて話になってるの?

 

「華琳さまっ!何事ですかっ!?」

「二刃ちゃん懐妊したのっ♪」

「月!だからそれは誤解だって!」

 

 引越しの片付けをしていた秋蘭さん、月さん、詠さんが談話室に走り込んできた。

 

「「「なあ…………事の成り行きを頭から説明してくれないか?」」」

 

 

 

 あの後、みんなで玉座の間に行って誤解を解きました。

 宴の用意はかなり進んでしまっていたので、今回は赤壁からの無事帰還を祝うという名目でそのまま開かれる事になりました。

 

「はぁ…………こんな事になるなら、丞相室でちゃんと言っておけば良かったよ………」

 

 始まった宴会ではお義姉さん達も愛羅ちゃんの事を気遣って、愛紗さんを大っぴらにはイジって無い。

 

「二刃お姉ちゃん、どうしたの?」

「あ、香斗ちゃん。何でも無いよ♪ちゃんと好き嫌いしないで食べてるかな?」

「うん♪ねえ、二刃お姉ちゃん。これ食べて♪」

「持って来てくれたんだ。ありがとう♪」

 

 あたしは香斗ちゃんがニコニコと差し出す八宝菜の乗った取り皿を受け取った。

 

「これね、媽媽が作ったの♪おいしいんだよ♪」

 

 …………………………つまりこれは桃香さんが作った物………。

 好き嫌いの話をするんじゃ無かった……………。

 

「ねえねえ♪早く食べてみて♪」

 

 香斗ちゃんの笑顔が眩しくて、あたしは覚悟を決めて取り皿の上の八宝菜を箸でつまんで口に運んだ……………。

 

 

 

 

 

おまけ弐

『聖刀くんの日常』其の二十六

リクエスト:新入生と       11票

 

61)北郷聖刀 真名:輝琳  七歳

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん) 十四歳

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと) 十四歳

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん) 十四歳

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか) 十四歳

5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら) 十三歳

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん) 十三歳

7)桂花の長女 荀惲(じゅんうん)金桂(きんけい) 十三歳

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん) 十三歳

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん) 十三歳

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん) 十三歳

11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん) 十三歳

 

楊豹 真名:和了(ほうら) 七歳

張休 真名:珊瑚(さんご) 七歳

申儀 真名:朔(さく) 七歳

徐蓋 真名:朱雀(すざく) 七歳

張雄 真名:白虎(びゃっこ)七歳

黄乱 真名:明兎(みんと) 九歳

馬良 真名:鷲羽(わしゅう) 十二歳

馬謖 真名:耶麻(やま) 七歳

荀攸 真名:素英(そえい) 十五歳

匈奴:呼廚泉(こちゅうせん) 九歳

鮮卑:軻比能(がびのう) 九歳

氐:千万(せんまん) 九歳

羯:石周(せきしゅう) 九歳

烏丸:阿羅槃(あらばん) 九歳

 

呉領 荊州 襄陽

【聖刀turn】

 

 ぼくは今、旅の空に居る。

 この前、貂蝉と卑弥呼が父上たちに話をしてくれたお陰で、こうして房陵の都を離れる事が出来た。

 但し、今回は学園の宿泊研修という形だけど。

 父上たちは前からぼくに旅をさせたいと考えておられたと教えてくれた。

 母上達に反対されて今まで実現できなかったとも聞かされた。

 

「いいか、聖刀。今回の旅が無事に終われたら、次はもっと護衛を減らせる。いつか身分を隠してこっそり旅が出来る様になろうな♪」

「はい、父上♪」

 

 今回は赤の父上も同行してくれた。

 帝が三人とも都を離れるのは赤壁での演習の時だけだ。

 これもかなり母上達を説得するのに大変だったみたいで、了承をもらった父上たちはかなりやつれて肌がカサカサだった。

 

 他に同行してくれたのは雪蓮媽媽、冥琳媽媽、思春媽媽、明命媽媽、祭媽媽の孫呉の媽媽達と二刃叔母さんと貂蝉と卑弥呼。

 そして朱里媽媽、雛里媽媽。

 旅の目的地の襄陽は朱里媽媽と雛里媽媽が一緒に勉強をして育った街だと教えてもらった。

 学園の生徒はぼく以外に姉上と中等部のお姉ちゃん達、そして新入生全員だ。

 

「聖刀様、あれが襄陽の街です♪」

「街の中は耶麻と姉さまで案内しますです♪」

 

 そう言って隣で指差してくれたのは馬良さん(真名は鷲羽さん)と、妹の馬謖ちゃん(真名は耶麻ちゃん)。

 

「二人も襄陽出身で、朱里媽媽と雛里媽媽が教わった先生の私塾に通ってたんだよね。」

「はい♪水鏡先生といって、とても凄い先生です♪」

「美人で優しくて耶麻は大好きなのです♪」

「襄陽の水鏡塾は許都でも有名でしたよ♪何しろ臥竜鳳雛を世に送り出した名門ですから♪」

 

 素英さんも話に加わって教えてくれた。

 

「朱里様と雛里様を今では赤龍鳳凰と呼ぶ人の方が多いですけどね♪」

「はわわっ!赤龍は言い過ぎですよ!」

「あわわっ!恥ずかしいです……」

「そんな事有りませんよ♪漢の高祖劉邦も赤龍の化身と言われたのですから♪」

「赤龍も鳳凰も火の神なのです。朱里様と雛里様は普段お優しいですが、戦となれば炎の様に激しい戦術を用いるのです!耶麻はこの前の象棋を見ていて背筋が震えたですよ♪」

 

 媽媽達の象棋は凄いもんなぁ。ぼくなんかまるで予想できない展開で駒が動くんだもん。

 

「聖刀、話の邪魔をして悪いけど、出迎えの人が見えてきたぞ♪」

 

 父上たちに言われてぼくは馬上で姿勢を正した。

 襄陽の正門の前にたくさんの兵士の人とその前に三人の女の人が立っているのが見えた。

 お互いが一言も発しないまま静かに近付き、三人の前で父上が馬を降りる。

 ぼく達の後ろから驚く声が聞こえたけど、この声は明兎ちゃんや呼廚泉ちゃん達だ。

 母上に教えてもらったけど、昔は皇帝が馬から降りて挨拶をするなんて無かったらしい。

 父上たちはそんな習慣が嫌いなので戦場でもない限り絶対に馬から降りる。

 ぼくはそんな父上たちの考え方が大好きだった。

 

「遥々ようこそお出で下さいました。赤帝にはご機嫌麗しく、何よりでございます。」

「今日の俺は北郷学園の学園長です♪子供達の社会見学と宿泊研修、よろしくお願いします。」

 

 互の挨拶に合わせて全員が同時に礼をした。

 

「聖刀、こちらが司馬徽徳操(しばきとくそう)さん。水鏡先生だ。」

 

 右にいた人が微笑んだ。耶麻ちゃんが言う通り綺麗で優しそうな人だな♪雰囲気が吉祥媽媽に近い気がする。お年は紫苑媽媽と同じ位かな?

 

「初めまして、北郷聖刀王子♪」

「初めまして、水鏡先生♪」

「朱里と雛里の手紙で大層将来を嘱望されていましたよ♪お父上とお母上、両方の面影が有って将来は素敵な男性になられそう♪鷲羽と耶麻の手紙に書いてあった通りすね♪」

 

 鷲羽さんと耶麻ちゃんはどんな手紙を書いたのかな?

 

「こちらが徐庶元直さん。朱里と雛里の先輩だ。」

 

 左にいた人がニカッと笑った。朱里媽媽と雛里媽媽がお菓子作りを教わったって言ってた人だ。でも、雰囲気は雪蓮媽媽に近い気がする。

 

「初めまして、聖刀ちゃん♪あたしの事は真名の康福(こうふく)で呼んでね♪」

「え?あ、初めまして……いいんですか?」

「子供が細かい事を気にしないの♪」

「は、はい♪では、ぼくの真名は輝琳です。よろしくお願いします、康福さん♪」

「うん♪よろしくね、輝琳くん♪」

 

 なんか後ろからザワめきが聞こえるけど、何か有ったのかな?

 雪蓮媽媽と祭媽媽が何か言ったら静かになった。

 

「晋の国は豪勢だよね♪麒麟の王子様が居て、白虎ちゃんと朱雀ちゃんも居るんだよね♪赤龍と鳳凰も居るんだから、その内五獣五龍四霊が集うんじゃないの?」

「はわわ、その噂流したの元直ちゃんですね!」

「あわわ、非道いですぅ…」

「別にいいじゃない。国を動かしてる人間が未だに臥竜鳳雛な訳無いでしょ!」

「「そのあだ名自体が重いんですっ!」」

「霊亀と玄武は一刀様が居るから………」

「「元直ちゃん!話を聞いてっ!!」」

 

 仲が良くて羨ましいな………って、ぼくはこれから明兎ちゃんや鷲羽さん達みんなともっと仲良くなるんだ!羨ましがってる場合じゃないんだ!

 

「ええと……こちらが黄月英さん。襄陽の刺史をしてもらってる。」

 

 真ん中に立つ一番若くて一番背の低い人。フワフワした髪でとても可愛い感じの人だ。

 

「お久しぶり。って、言っても聖刀さまは覚えて無いですよね♪最後に会ったのは一歳になる前だから♪ここは改めて、初めましてですね、北郷聖刀さま♪」

「は、はい!初めまして、黄月英さん!」

 

 そんな頃に会ってたんだ。

 

「大きくなりましたねぇ♪曹沖さまと同じ位利発な目をしていらっしゃいます♪」

 

「私の事はちゃんと真名で呼んでくださいね、雛菊(ひなぎく)さん♪」

 

「はい♪眞琳さま♪」

 

 いつの間にかぼくの隣に姉上が来ていた。

 

「聖刀さまにも私の真名、雛菊をお預けしますので、気軽にお呼び下さい♪」

「はい♪ぼくの真名、輝琳もお預けします。輝琳でも聖刀でも好きな方で呼んで下さい♪」

「ありがとうございます♪あら、眞琳さま、どうしましたか?ご機嫌斜めの様ですけど♪」

「何でもありません!」

 

 姉上どうしたのかな?

 

「それでは荷を城内に運んでおきますので、ゆっくり襄陽の街を見学なさって下さい。鷲羽ちゃん、耶麻ちゃん、しっかりご案内するのですよ♪」

「「はい、雛菊さま♪」」

 

 

 

 襄陽の街に入り父上と媽媽達は水鏡先生達と一緒にお城に向かい、ぼく達だけで街の散策を始めた。

 最初に分かったのは襄陽が房都に引けを取らない位活気のある街だという事だ。

 雛菊さんがどんな政をしているのか知りたいなあ♪

 そういえばさっきの……。

 

「ねえ、鷲羽さんと耶麻ちゃんは雛菊さんと知り合いみたいだけど、どんな関係なの?」

「はい、雛菊さまは水鏡塾の先輩なんです。成都に行く時にも色々と便宜を計って下さいました♪」

「雛菊さまは元々この辺りの大豪族なのです!昔の戦で太守の劉表様が亡くなってから、雛菊さまの母上の黄承彦様が仮の太守として襄陽をまとめて来られました。今は黄承彦様が隠居なされて、雛菊さまが朱里様から正式に襄陽刺史として任命されているのです♪」

「へえ、そうだったんだ。」

 

 朱里媽媽が事前に何も教えてくれなかったのは自分の目で見て学びなさいって事なんだろうな。雛菊さんに直接会って、こうして襄陽の街を見ていると、教室で勉強しているよりも想像力が膨らむし。

 

「まさとー♪あそこで肉まん売ってるぞ!都のとどっちがうまいか食べくらべよう♪」

「阿羅槃ちゃん?もうお腹が空いたの?」

 

 阿羅槃ちゃんがぼくに飛びついて肉まんを売ってるお店を指さして………って、恋々お姉ちゃんが既に買ってる………。

 

「こらあああっ!阿羅槃!き、貴様、聖刀さまに抱きつくなど羨ま、いや、けしからんぞ!」

「べつにいいじゃん、徐蓋。減るもんじゃないし。」

「減る!確実に『聖刀様分』が減って行く!」

「張雄までそんなイジワル言うー!まさとー、あいつらなんとかして!」

「阿羅槃ちゃん、朱雀ちゃん、白虎ちゃん、みんな仲良くしようよ!」

「まさとがそう言うならそうする……」

「「聖刀さまのご命令とあらば……」」

「いや、命令とかじゃなくてさ………とにかく、そこのお店でおやつにしよう♪」

 

 旅先で一緒に食べるのも仲良くなる方法だって父上も言ってたっけ。

 あれ?明兎ちゃんが怖い顔してこっちに来るけど、どうしたのかな?

 

「(おい、輝琳。お金はどうするんだ?私もそんなに持ち合わせは無いし、石周なんかお金を持ってるかも怪しいぞ。)」

「ああ、心配いらないよ♪恋々お姉ちゃんが居る段階でこうなるのは予想済みでさ。父上から予算も預かってる。みんなで食べても恋々お姉ちゃんの半分くらいだから、気にしないで好きなの頼んで♪」

「そうか?………そういう事なら遠慮はしないぞ♪」

「うん♪でも、今お腹いっぱいに食べたら晩ご飯が入らなくなるから気を付けてね。」

「大丈夫だって♪で、輝琳は何食べるんだ?」

「そうだなぁ………阿羅槃ちゃんが言った通り、肉まんにしようかな?」

「それじゃあ私も同じのにしよう♪」

 

 ぼくは後ろに集まってるお姉ちゃん達と新入生のみんなに振り返った。

 

「みんなは何にするの?」

 

『肉まん!』

 

 みんな肉まんなの!?

 

 

 

「ううぅ…………美味しいですぅ………この御恩は一生忘れません、どこまでも聖刀様について行きますぅ………モグモグ………」

「石周ちゃん、大袈裟だよ………でも、石周ちゃん、以前に比べて健康的になったよね♪」

「はい………それもこれも寮のご飯と給食のお陰です………所で聖刀様は痩せている子と太めの子とどちらがお好きですか?」

 

 ん?みんなの食べる音が聞こえなくなったぞ。

 

「う~ん、考えた事ないなぁ………健康でいてくれたらどっちでも嬉しいかな♪」

「そうですか♪では、私はたくさん食べてたくさん運動して、もっと健康になります!」

「うん♪頑張ってね♪」

「聖刀さま!耶麻も頑張りますので今度一緒に武術の鍛錬してくださいなのです!」

「え?いいけど……」

「武術の鍛錬ならこの関平がしてやろう。思う存分鍛えてやるぞ♪」

「え?あ、あの……」

「烈夏も付き合ってあげる。」

「………恋々もいいよ。」

「わたしもやるわよ♪冥龍はどうする?」

「私は遠慮する。手加減するのを忘れるなよ、冰蓮。」

「冥龍姉の分もこの宴が鍛えてやりますよ♪」

「この徐蓋も一緒に鍛えていただけますかっ!?」

「この張雄にも是非!」

「「「私達もお願いします!」」」

 

 ええ!?和了ちゃんと珊瑚ちゃんと朔ちゃんも!?

 

「「「これから先、聖刀さまをお守りするのに武力は必要になりますのでっ!!」」」

 

 三人とも文官タイプだと思うんだけど、大丈夫かな?

 

「「「我々にもお願いします!」」」

 

 呼廚泉さんと軻比能さんと千万さんも?

 

「阿羅槃、お前はどうする!?」

「ん~~~、なんか面白そうだから一緒にやる~~♪」

 

「みなさん熱心ですね~♪」

「そう言う素英はやらないの?」

「わたしは武術に向いてませんから♪金桂さんはどうなんですか?」

「私も同じよ。」

「嵐もですね~。その時間はお昼寝させてもらいます~♪」

「え~?嵐ちゃん、せめて走るくらいはしようよ。香斗と一緒にね♪」

「そうそう。香斗はしっかり走った方が良いわよ。最近また胸が大きくなったみたいだから、走って脂肪を燃やしなさい。」

「そういう事なら私が協力するわ。その胸が平になるまで付き合ってあげる♪」

「蓮紅ちゃんも眞琳ちゃんもヒドイよ~~!」

 

 

 ええと………そろそろ街の見学を再開したいんだけど…………。

 

 

 

 

 

おまけ参

リクエスト:騎乗訓練その後                16票

 

14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり) 八歳

15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ) 八歳

23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)七歳

24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん) 七歳

33)雛里の長女 龐宏(ほうこう)藍里(あいり) 七歳

44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん) 五歳

 

房都 近郊                   (時報:桂花 十人目 妊娠四ヶ月)

【向日葵turn】

 

 今日の稽古は爸爸たちが三人とも見に来てくれてるんだから、カッコイイとこ見せなきゃ♪

 ほめてもらえたらご褒美にぃ~、アレと、アレとぉ、ついでにアレも~♪

 

「向日葵っ!何やってんのっ!速度が落ちてるよっ!!」

「うひゃあっ!」

 

 うえぇ~、ご褒美どころか媽媽にゲンコツもらっちゃうよぅ~~!

 一番じゃなくても直ちゃんに引き離されないようにしなくっちゃ!

 前を走る直ちゃんと藍里ちゃんは………よし!二人の競り合いに夢中でこっちに気が向いてない!

 勝負は折り返しの木の所!

 

「しっちゃん!白煌ちゃん!後ろに着いて!」

「了解っ♪」

「うんっ!」

 

 ひまわりが先頭になって二人を追いかける!頑張って、紫鷹(しよう)

 彗星と大雪の速度が落としきれてない!

 予想通りあれだと大きく膨らんで回り込む!

 紫鷹を二頭の内側に入り込ませて小さい半径で折り返す!

 

「しっちゃん!白煌ちゃん!いっけええええええええっ!!」

 

 ひまわりと紫鷹を風よけにして脚を残したしっちゃんの青鵬(せいほう)と白煌ちゃんの白亜が、立ち上がりで一気に加速した。

 後ろから彗星と大雪が迫ってくる気配を感じる。

 二頭は紫鷹を避けて走らないといけないから余計にって!ええっ!?

 

「彗星!前の二人に追いつけーーーっ!!」

「大雪!もっと!もっと頑張れ!」

 

 ひまわりと紫鷹を風のように追い抜いて前の二頭にどんどん近付いて行く!

 ゴールまであと少し………逃げ切れ!

 ああっ!並ばれたっ!?

 

ゴール!

 

 後ろから見ていたひまわりには四頭が同時にゴールしたように見えたけど………。

 数秒遅れでゴールすると、ひまわりを爸爸たちと媽媽達が待っていた。

 

「「「ひまわり♪よくやった!偉いぞ♪」」」

「やるやんか、ひまわり♪」

「あの状況で咄嗟にあんな策を思いつくなんて、見直したぜ、ひまわり♪」

「途中で気を抜いたのが無ければ完璧だったんだけど………まあ、今回は褒めてあげる。」

「お陰で一矢報いる事が出来たぞ♪ひまわり♪」

 

「…………ということは、もしかして………」

 

「やられたわよ、ひまわりちゃん♪直と藍里ちゃんは首ひとつ間に合わなかったわ。西涼馬家の面目躍如ね♪」

 

 炙叉媽媽にほめられた!

 羌の大王である炙叉媽媽に………うれしい♪

 

「あ~あ、負けちゃった♪」

「向日葵お姉ちゃん!凄い策でした!藍里はお馬さんに乗ると頭に血が上っちゃって考え事ができなくなっちゃうのを突いた素晴らしい策です!」

 

 馬から降りた直ちゃんと藍里ちゃんがやって来た。

 藍里ちゃんの………なんか微妙な感心のされ方だなぁ………。

 二人の後ろにしっちゃんと白煌ちゃんも来ている。

 

「ひーちゃん!ナイスアシスト♪」

 

 しっちゃんが親指を立ててウィンク♪

 

「向日葵お姉ちゃん♪ありがとう♪次は白煌がアシストするね♪」

 

 白煌ちゃんも笑顔で親指を立てて見せた♪

 

「任せたよ♪次も頑張ろうね♪」

 

 ひまわりも馬から降りて二人の拳に自分の拳を当てた♪

 

「ええなぁ~!雰のはよう馬ほしいで、お母ん!」

「春までの辛抱や♪仔馬の時から付き合うた方が仲良ぅなれるし、仔馬可愛いでぇ♪」

 

 ひまわりも次の春にもう二頭もらえる事になってる。

 今から名前も考えてるんだあ♪

 

「ほら、ひまわり。紫鷹を綺麗にしてあげてきなさい♪」

「うん、媽媽♪」

 

 ありがとうね、紫鷹♪今日は念入りにキレイにしてあげる♪

 おいしいご飯ももらってきてあげるね♪

 

 

 

 

【緑一刀turn】

 

「「「俺たちも馬に乗りたくなってきたな♪」」」

 

 子供達にあんなの見せられたら、なんか熱くなるぜ!

 

「爸爸、大雪は龍里ちゃんのお馬の稽古をしに行っちゃったよ。それに富士と桜島もみんなのお稽古をしてるよ。」

「「「そうなの?藍里?」」」

 

 藍里が指差す方を見ると、愛紗と秋蘭と雪蓮が龍里、銀桂、訓を馬に乗せて稽古していた。

 馬は藍里が言った通り俺たちの大雪、富士、桜島。

 あの三頭、本当に鞍無しで乗せてる…………しかも、馬の方が乗り手を気遣ってるじゃないか!前はあそこまでじゃ無かったぞ!

 

「ご主人さまたち~、馬ならわたし達の馬に乗ってみる?」

「御主人様たちならば、黒王と風雲再起も快くその背を任せるであろう♪」

 

 貂蝉と卑弥呼が突然現れた。

 まあ、いつもの事なので気にもしないが………あの二頭か………。

 黒王も風雲再起も俺たちにやたらと擦り寄って来るんだよなぁ…………。

 

「「「でも、一頭足りないよな。桃香の的廬か華琳の絶影でも借りるか。」」」

 

「あらん、それなら心配いらないわよ♪」

「「「ん?もう一頭用意してるのか?」」」

 

「わたしが馬になってご主人さまを乗せて、あ・げ・るぅ~~~~♪」

 

「何い!?貂蝉!貴様また抜け駆けかっ!!御主人様、乗るなら私にするが良い!一日で千里どころか一刻で万里を駆けて見せようぞ♪」

 

 一刻で万里って時速2000kmかよ!

 音速がおよそ時速1230kmだから…………マッハ1.6!?

 こいつらなら本当にやりそうだな…………。

 

「「「そうだ、お前達二人で競走して勝った方に頼むよ。距離はお前たちが決めてくれ。」」」

 

 貂蝉と卑弥呼の目が激しく光った。

 

「真剣勝負よ、卑弥呼!」

「ふ、まだまだ弟子に負ける私ではないわっ!」

 

 

「「漢女ファイト!レディ~~~~ゴーーーーッ!!」」

 

 

 あっと言う間に地平線の彼方に消えた二人を無視して、俺たちは厩に向かった。

 

「俺が的廬、紫が絶影、赤が南海疾風を借りれば問題ないな。」

「「そうだな♪」」

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

今回は意図して一度に多勢出しました。

本来の恋姫である母親達でセリフが無いのはニャン蛮族だけの筈です…………たぶん。

 

『本編』

ここしばらく『黒外史』の董卓ばかり書いていたので、月が書けてとても嬉しかったです。

詠のデレ深度が前の懐妊時よりも深くなってて、9:1の黄金比が完全に崩壊しましたw

 

『北郷二刃奮闘記』

この外史では愛紗の料理の腕はもう改善される事が無いでしょう。

炒飯マスターとして一品のみを極めて行くと思いますw

 

『聖刀くんの日常』

徐庶の真名:康福ですが、演義に登場する架空の弟徐康の『康』

それと、徐庶というのは晩年に改名した名前で若い頃は徐福という名前だったとの事なので、そこから『福』を持って来て決めました。

徐福と名乗らせると別の人みたいなので、徐庶のままで登場させました。

黄月英のイメージはマンガ『孔明のヨメ』からです。

このマンガ大好きなんですよおおおおおおお!

まだ読んだ事の無い方はオススメですので是非!

真名:雛菊はマンガのイメージからです。

 

『おまけ参:騎乗訓練その後』

おまけ壱で向日葵の出番が無かったので、ここでメインに持ってきました。

これを書いてる最中、またバイクに乗りたくなりましたw

 

貂蝉と卑弥呼はどこまで走って行くでしょうね。

あの二人なら地球を一周してきそうですけどw

 

 

《次回のお話》

 

次回は

☆蓮華②     29票

 

【北郷二刃奮闘記】

ファッション・トーク 7票

【聖刀くんの日常】

聖刀と祉狼の昆虫採集  9票

【おまけ参】

眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」 15票

を、お送りいたします。

 

《現在の得票数》

季衣②&流琉② 28票

桃香②     24票

璃々③     22票

冥琳②     18票

桂花③     18票

二喬②     17票

鈴々③     15票

紫苑③     14票

真桜②&凪②&沙和②(三羽烏)

        14票

華琳④      8票

麗羽②&斗詩②&猪々子②(三バカ)+白蓮

         8票

炙叉②      6票

風②       5票

音々音③     5票

音々③      5票

華雄②      4票

小蓮③      4票

ニャン蛮族③   3票

思春③      1票

祭②       1票

桔梗②      1票

張三姉妹     1票

 

【北郷二刃奮闘記】

華蝶連者       4票

真桜のからくり話③  3票

ニャン蛮族      1票

三羽烏②       1票

三バカ        1票

白蓮         1票

 

【聖刀くんの日常】

炙叉          8票

四胡とオマケ      8票

聖刀・祉狼・昴の探検隊 6票

聖刀くんの性教育~漢女にならないために~

 3票

黄乱②         2票

聖刀さま♥親衛隊②    1票

聖刀くんの騎乗訓練   1票

 

【おまけ参】

親子鍛錬(五虎将編)(三王編)(脳筋編)    14票

恋姫麻雀大会                 14票

いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 10票

恋姫†酒場放浪記                8票

「女装喫茶」へようこそ             7票

眞琳の金桂達いじり               7票

操船訓練                    1票

一刀の執事喫茶                 1票

魔法少女華琳                  1票

歳の差姉妹誕生~娘夫婦に中てられて~(月両親・華琳両親)

     1票

娘からの質問~爸爸をどうして好きになったの?~三国王編

                        1票

 

リクエスト参戦順番→冥琳② 風② 凪② 沙和② 桃香② 蓮華② 季衣② 炙叉② 桂花③ 真桜② 二喬② 紫苑③ 鈴々③ 璃々③ 華琳④ 思春③ 音々音③ 音々③ 三バカ② 華雄② 祭② 小蓮③ ニャン蛮族③ 桔梗② 張三姉妹②

 

おまけ壱リクエスト参戦順番→華蝶連者 ニャン蛮族 ファッション・トーク 真桜のからくり話③ 三羽烏② 三バカ 白蓮 

 

 

おまけ弐リクエスト参戦順番→炙叉 聖刀と祉狼の昆虫採集 黄乱② 聖刀・祉狼・昴の探検隊 四胡とオマケ 聖刀さま♥親衛隊② 聖刀くんの性教育~漢女にならないために~ 聖刀くんの騎乗訓練 

 

おまけ参リクエスト参戦順番→親子鍛錬(五虎将編)(三王編)(脳筋編) いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」「女装喫茶」へようこそ 恋姫麻雀大会 眞琳の金桂達いじり 恋姫†酒場放浪記 操船訓練 一刀の執事喫茶 魔法少女華琳 歳の差姉妹誕生~娘夫婦に中てられて~(月両親・華琳両親) 娘からの質問~爸爸をどうして好きになったの?~三国王編

 

 

【子供達一覧】

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)

5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)

7)桂花の長女 荀惲(じゅんうん)金桂(きんけい)

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)

11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)

12)紫苑の次女 黃仁(こうじん) 露柴(ろぜ)

13)紫苑の三女 黃信(こうしん) 崔莉(ちぇり)

14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)

15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)

16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)

17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)

18)凪の長女 楽綝(がくりん) 濤(なみ)

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八倻(やや)

20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)

21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)

22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)

23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)

24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)

25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)

26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)

27)美以の長女 孟節(もうせつ) 花鬘(かまん)

28)トラの長女 ベンガル

29)ミケの長女 マンクス

30)シャムの長女 ペルシャ

31)桂花の次女 荀俁(じゅんぐ) 銀桂(ぎんけい)

32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)

33)雛里の長女 龐宏(ほうこう)藍里(あいり)

34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん) 

35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)

36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)

37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)

38)大喬の長女 喬櫂(きょうかい) 愛(あい)

39)小喬の長女 喬順(きょうじゅん) 華(か)

40)亞莎の長女 呂琮(りょそう) 茜(ちぇん)

41)明命の長女 周邵(しゅうしょう) 藍華(らんふぁ)

42)華雄(阿猫)の長女 華剛(かごう) 树莓(しゅうめい)

43)桂花の三女 荀詵(じゅんしん) 丹桂(たんけい)

44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん)

45)沙和の長女 于圭(うけい) 紗那(さな)

46)斗詩の長女 顔教(がんきょう) 升謌(しょうか)

47)真桜の長女 李禎(りてい) 真梫(ましん)

48)桂花の四女 荀顗(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)

49)猪々子の長女 文獬(ぶんかい) 虎々(ふーふー)

50)稟の長女  郭奕(かくえき) 貞(てい)

51)穏の長女  陸延(りくえん) 毬(ちう)

52)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)

53)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)

54)桂花の五女 荀粲(じゅんさん) 黄梅(おうめい)

55)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)

56)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)

57)季衣の長女 許儀(きょぎ) 華衣(かい)

58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)

59)桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)

60)音々の次女 陳修(ちんしゅう) 音肆(おとよ)

61)華琳の長男 北郷聖刀(まさと) 輝琳(きりん)

62)桂花の七女 荀倹(じゅんけん) 柊(しゅう)

63)璃々の長女 黄慮(こうりょ) 牡丹(ぼたん)

64)思春の次女 甘瓌(かんかい) 燃秋(ぜんしゅう)

65)紫苑の四女 黄薛(こうせつ) 紅葉(もみじ)

66)管輅の長女 管辰(かんしん) 辯天(べんてん)

67)鈴々の次女 張紹(ちょうしょう) 龍々(ろんろん)

68)美以の次女

69)トラの次女

70)ミケの次女

71)シャムの次女

72)星の次女  趙広(ちょうこう) 迦具夜(かぐや)

73)愛紗の次女 関興(かんこう) 愛絽(あいろ)

74)雪蓮の次女 孫静(そんせい) 水蓮(しゅいれん)

75)翠の次女  馬承(ばしょう)

76)恋の次女  呂空(りょくう) 恋々恋(れみ)

77)音々音の次女 陳蕃(ちんはん) 韵(いん)

78)音々の三女 陳嶺(ちんれい) 唯音(いおん)

79)小蓮の次女

80)桂花の八女 荀靖(じゅんせい) 茉莉花(まりふぁ)

81)秋蘭の次女 夏侯覇(かこうは)

82)月の次女

83)詠の次女

B)桂花の九女 荀燾(じゅんとう) 寿丹(じゅたん)

C)桂花の十女 荀爽(じゅんそう) 秦翹(しんぎょう)

D)桂花の十一女 荀粛(じゅんしゅく) 金鐘(きんしょう)

E)桂花の十二女 荀旉(じゅんふ) 橄欖(かんらん)

 

【その他のオリジナル設定】

華佗 真名:駕医(がい) 息子⇒華旉(かふ) 真名:祉狼(しろう)

陳越(音々音の母) 真名:音々

インテリ⇒寇封(劉封) 嫁⇒孟達 真名:太白(たいはく)息子⇒孟興 真名:昴(こう) 

追っかけ⇒波才 嫁⇒楊阜 真名:門風(メンフォン)娘⇒楊豹 真名:和了(ほうら)

尻好き⇒宋謙 嫁⇒張承 真名:真珠(しんじゅ)娘⇒張休 真名:珊瑚(さんご) 

董の兄ぃ⇒牛輔 嫁⇒申耽 真名:菫花(きんふぁ) 娘⇒申儀 真名:朔(さく) 

兄者⇒呂曠 嫁⇒徐晃 真名:雲雀(ひばり)娘⇒徐蓋 真名:朱雀(すざく) 

弟者⇒呂翔 嫁⇒張郃 真名:豹牙(ひょうが)娘⇒張雄 真名:白虎(びゃっこ)

黄乱 真名:明兎(みんと)

馬良 真名:鷲羽(わしゅう)

馬謖 真名:耶麻(やま)

荀攸 真名:素英(そえい)

魯粛 真名:命佐(めいさ)

董雅(月の父) 董陽(月の母) 真名:日(りい)

曹嵩(華琳の父) 曹静(華琳の母) 真名:蝶琳(ちょうりん)

喬玄(大喬と小喬の母)

劉玄(桃香の母)

 

匈奴:呼廚泉(こちゅうせん)

鮮卑:軻比能(がびのう)

氐:千万(せんまん)

羯:石周(せきしゅう)

烏丸:阿羅槃(あらばん)

 

華雄 真名:阿猫(あまお)

高順 真名:杉(すぎ)

徐庶 真名:康福(こうふく)

黄月英 真名:雛菊(ひなぎく)

 

引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。

1・メインヒロインとなるキャラをご応募下さい。

2・『北郷二刃奮闘記』で二刃と絡むキャラを募集しています。

 例:「二刃視点で貧乳党」  という感じでお願いします。

3・『聖刀くんの日常』で聖刀と絡むキャラを募集しています。

 例:「聖刀視点で三羽烏」  という感じでお願いします。

4・おまけ参でのメインとなる子供達を募集しています。

 シチュエーションのリクエストも大歓迎です。

以上の四点にリクエストの集計(TINAMI、Pixiv双方の合計)を振り分けますので、

よろしくお願いいたします。

今まで通り、リクエストに制限は決めてありません。

何回でも、一度に何人でもご応募いただいて大丈夫です。

 

ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。

誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒しますw

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
10
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択