No.737053

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第361話

2014-11-14 14:06:48 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2038   閲覧ユーザー数:1833

~ローエングリン城~

 

「……………………」

「な、何なの今の!?」

「凄まじい”風”があの女性自身や槍に纏っていたが……」

「―――その名の通り”神技”と呼ぶべき、凄まじい絶技でしたわね。」

「……今ので最後だったようね……この城の”気配”はなくなったわ。」

女性の圧倒的な強さを見たリィンは口をパクパクさせ、アリサは驚き、ガイウスは呆け、シャロンは冷静な様子で目を細めているセリーヌと共に女性を見つめた。

 

「と、とにかく二人が無事でよかった。―――二人とも、久しぶりだな。」

「うん……」

「本当に……リィンさんなんですね。」

リィンに声をかけられたエマはラウラと共に嬉しそうな表情でリィンを見つめた後仲間達を見回した。

 

「皆さん……セリーヌまで……」

「フン、当たり前でしょ。」

「……ふふ、まったく。唐突すぎてどう振舞えばいいかわからぬくらいだ。リィン、そなたが無事でいてくれるとはな。……ふふ、なんというか。柄にも合わず、目頭が熱くなってきてしまっている。」

「フフ、はぐれた仲間の方達と再会できて本当によかったですね……」

リィンをジッと見つめるラウラの様子を女性は微笑ましそうに見つめ

(うんうん!勝手に自分からいなくなったどこかの誰かさんの時でさえ、みんな喜ぶんだから当たり前よ!)

(…………ま、まだ根に持っていたんだ…………)

嬉しそうな表情で頷いた後小声で呟いてジト目で自分を見つめるエステルに対し、ヨシュアは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

「……すまない、心配をかけて。みんなには何度礼を言っても足りないくらいだ。」

「ふふ、水臭い事を言うな。私は”Ⅶ組”の一員としてこの剣を振るうと誓った。こうして再び会える日まで、決して折れることはないと。そして今―――ようやくそれは果たされた。ただ、それだけのことなんだ。」

自らの喜びを伝えるかのようにラウラは笑顔を浮かべてリィンを見つめた。

 

「……ありがとう、ラウラ。本当に無事でよかった。委員長も………ようやく会えたな。」

「……はい。またこうして皆さんに会える日が来るなんて……リィンさんに、再び”委員長”と呼んでもらえる日が来るなんて……ふふ、なんだか夢の中の出来事みたいです。」

「はは……俺も同じ気持ちさ。でも、これは夢なんかじゃない。大変な状況だけど……こうしてまた会うことができた。諦めずにここまで来て、本当に良かったと思うよ。」

「はい……本当に……きっと、リィンさんのおかげです。」

「え……?」

エマの言葉の意味が分からなかったリィンは首を傾げた。

 

「リィンさんが、こんな私を受けいれてくれたから―――だからこそ心の底から勇気が湧いて、ここまでやって来られたんだと思います。あらためて、お礼を言わせてください。」

「……委員長……」

「……ふふっ……」

リィンと微笑み合ったエマはセリーヌを抱き上げた。

 

「ちょっ、エマ!?」

「……ありがとう、セリーヌ。リィンさんたちのこと、ここまでサポートしてくれて……一緒にここまで来てくれて―――本当にありがとう。」

「………………フ、フン。大した事じゃないでしょ。アンタこそ……まあ、無事でよかったわね。野良猫にならずに済みそうでひと安心ってところかしら。」

エマに微笑まれたセリーヌは居心地悪そうに答えた。

(セリーヌちゃんだっけ?何かアガットに似ているわよね~。)

(ハハ……確かにそうだね。)

その様子を見守っていたエステルの小声を聞いたヨシュアは苦笑した。

 

「ぐすっ、もう……憎まれ口ばかり叩くんだから。」

「ふふっ……」

「これも何かの導きだろう。」

「……ああ、そうだな。」

「ふふ、これでラウラ様、エマ様と無事に再会できましたわね。それとヨシュア様とこんな形で再会する事になるとは思いませんでしたわ。」

「…………………」

「へ?ヨシュア、そのメイドさんと知り合いなの?」

「というかヨシュアさん、そちらの方を何だか警戒していらっしゃるように見えるのですが……」

警戒の表情のヨシュアに微笑んでいるシャロンの言葉を聞いたエステルは首を傾げ、女性は戸惑いの表情になった。

 

「…………今更ですが何故貴女が彼らと共にいるんですか。――――”身喰らう蛇(ウロボロス)”の”執行者”No.Ⅸ――――”死線”のクルーガー。」

「あ、あんですって~!?」

「”身喰らう蛇(ウロボロス)”というのはエステルさん達の話にあった……」

ヨシュアの説明を聞いたエステルは驚いてシャロンを見つめ、女性は目を丸くした。

「?二人は知り合いなのか?」

「…………二人とも”結社”の”執行者”だった者同士だ。互いの顔を知っていてもおかしくはないだろう。」

ガイウスの疑問をリィンは静かな表情で答えた。

 

「うふふ、今の私の”愛”と”献身”はお嬢様と会長―――”ラインフォルト家”に捧げられています。それ以上でも、以下でもありません。私は大切な人々を守る為にここにいる………それが”今の私(わたくし)”ですわ。」

「シャロン……」

「……………………………」

「えっと……話はよくわかんないけど、リィン君達と一緒にいるって事は”敵”じゃないのよね??」

シャロンの説明を聞いたアリサは嬉しそうな表情をし、ヨシュアは目を伏せて黙り込み、エステルは戸惑いの表情で尋ねた。

 

「はい。―――お初にお目にかかりますわ。かの”剣聖”のご息女にして”ブレイサーロード”のエステル・ファラ・サウリン・ブライト様。、”ラインフォルト家”の使用人として仕えさせていただいておりますシャロン・クルーガーと申します。以後お見知り置きをお願いします。」

「あ、どうも。エステル・ファラ・サウリン・ブライトよ。よろしくね、シャロンさん!」

シャロンと互いの名を教え合ったエステルは握手を求めるかのように笑顔で片手を差し出し

「…………………うふふ、なるほど。さすがはヨシュア様を”光の世界”へと導いたエステル様ですわね♪」

差し出された手を呆けた様子で見ていたシャロンは微笑みながらエステルと握手をした。

 

「へ?え~と……褒められているのよね??」

「うん、褒められているよ。―――改めてよろしくお願いします、クルーガーさん。」

「はい、私も改めてよろしくお願いしますわ。」

エステルの疑問に答えたヨシュアはシャロンに対する警戒を解いた。

 

「それで……そこにいる女がギルドの受付の話にあった”正体不明の謎の協力員”にしてあの”空の女神”と同じ名前の女ね。」

「あ………………」

「貴女が…………」

「え、えっと……」

セリーヌの指摘を聞いたリィン達は一斉に女性を見つめ

「フフ…………―――初めまして。私の名はエイドス。エイドス・クリスティン。一身上の都合でエステルさん達のお仕事のお手伝いをさせてもらっている今年24歳になったばかりの”ただの新妻”です♪」

女性―――エイドスは微笑みを浮かべて自己紹介をし、エイドスの自己紹介にリィン達は冷や汗をかいて脱力した。

 

「え、えっと……」

「わ、私達が聞きたいのはそういう事じゃなくて……」

「フフ、相変わらずユーモアのある自己紹介だな。」

「ラ、ラウラさん……まさか本当にあの自己紹介を信じているのですか?」

リィンとアリサは言い辛そうな表情をし、ラウラの言葉を聞いたエマは冷や汗をかいて疲れた表情をし

(あの自己紹介を聞いていていつも思うけど24歳って図々し過ぎよ。サバを読むにも程があるでしょうに。)

(本人に聞こえるかもしれないからそういう事はせめて本人のいない所で言おうよ、エステル……)

エイドスをジト目で見つめるエステルの小声を聞いたヨシュアは疲れた表情で指摘し

「…………貴女は”本物”の”空の女神”なのだろうか?」

ガイウスがリィン達を代表してエイドスに尋ねた。

 

「”ただの新妻”です♪」

しかしエイドスは笑顔で同じ答えを繰り返し、リィン達は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「”ただの新妻”が最上位アーツを戦術オーブメント無しで撃ったり、とんでもない霊力(マナ)が込められた”槍”を異空間から取りだせる訳がないでしょう。それに何より”七耀脈”自身がアンタに力を与え続けているって事は――――」

その時セリーヌが呆れた表情で指摘した後目を細めてエイドスを見つめて自分が推測しているエイドスの”正体”を言いかけたが――――

「た・だ・の・に・い・づ・ま・だ・と・言・っ・て・い・る・で・しょう~~~~~?」

「……………っ!?」

周囲の空気を震わせ、城全体をも震わせて小規模な地震を起こす程の膨大な威圧や魔力、闘気、神気を纏うエイドスに微笑まれ、エイドスの威圧に圧されたセリーヌは身体を震わせて黙り込み

(……ああいう所とかを見るとエステルの先祖である事がつくづく思い知らされるね。)

(どーいう意味よ!?)

疲れた表情をしたヨシュアの小声の言葉を聞いたエステルはヨシュアを睨んだ。

 

「皆さんもこれ以上同じ質問をしないで下さいね?あまりにもしつこいようですと、全員”ロストオブエデン”の刑……じゃなくて”空の女神”による”天罰”が下るかもしれませんよ♪」

そしてエイドスがリィン達を見回して微笑むとリィン達は冷や汗を滝のように流して表情を引き攣らせ

(そういう事を言っている時点で既に正体を自分でバラしているんだが……というか、”空の女神”が俺達の目の前にいるって本当に一体どうなっているんだ!?)

(”本物”が言ったら、洒落にならないじゃない……というか今さりげなく私達が全然知らない名前のアーツの名前が出たわよね!?しかも何なのあの性格!?わ、私達がずっと抱いてきた”空の女神”のイメージが粉々に崩れていくわ……)

(……あれ程必死になってまで”女神”である事を隠すには何か理由があるのかもしれないな。)

(フム、”ロストオブエデンの刑”とやらはよくわからぬが、決してエイドス殿を怒らせてはならぬな。)

(うふふ、七耀教会の方々が”空の女神”がこのような性格をしている事を知れば、どのような反応をするでしょうね♪)

リィンとアリサは疲れた表情をし、ガイウスとラウラは静かな表情で考え込み、シャロンはからかいの表情になり

(というか”ロストオブエデン”って確か”ロストアーツ”の一つのはずよ。)

(ロ、”ロストアーツ”!?今は失われていると伝えられている古代の魔法(アーツ)!?―――あ。で、でもエイドスさんなら習得していてもおかしくない……というか、習得していて当然よね。ア、アハハ……)

呆れた表情のセリーヌの小声を聞いたエマは表情を引き攣らせた後大量の冷や汗をかきながらエイドスを見つめ

(うふふ、あの女神、案外貴女と気が合うのじゃないかしら♪)

(ふふふ、しかも名前までも似ていますしね。)

(ア、アハハ……私もちょっとだけ思いました。)

(そうかしら?私はあんな変わった性格じゃないと自分では思っているけど。)

ベルフェゴール達の念話を聞いたアイドスは首を傾げて不思議そうな表情でエイドスを見つめた。

 

その後リィン達はボートに乗り、返りすがらそれぞれのこれまでの経緯を話し始めた…………

 

 

 

 

 

あ、あれ、おかしいな?仲間達との感動の再会のはずなのに、エイドスが雰囲気を全部ぶち壊している気がする(汗)そしてサラッと口にしたエイドスの天罰……考えただけでも恐ろしいですね。原作でも下手すりゃSクラフトを余裕で超えるとんでもない威力も叩き出すというのにこの小説でのパラメーターではとんでもないATS持ちのエイドスが使ったら一体どれほどのダメージを叩き出せるのやら(ガタガタブルブル)ちなみに今のエイドスをVERITAみたいに称号で現したら”お茶目な女神”か”ただの新妻?”か”シリアスブレイカー”かもしれませんね(オイッ!?)まあ、他にも相応しい称号があるかもしれませんがww


 
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