No.731250

魔導師シャ・ノワール 消えない傷偏 第三十七話 歓迎と餞別

ertiさん

神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。

2014-10-19 21:18:30 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2377   閲覧ユーザー数:2230

 

 

 

 

 

 

やわらかい....?

 

後頭部が妙に心地よくいい匂いが漂う。

 

こんないい枕があったのだろうか?そして、辺りが騒がしいことに気づき。

瞳をゆっくりと開け始めた....

 

「ノワールくん?」

「あっ、起きる?」

「え、あたしも膝枕したかったのに~」

 

「なにしてるんだお前らは」

 

目を開けるとそこには、上面になのは、右手にすずか、左手にアリサの姿が見える。

ベットの上で寝ている俺を囲んで座り込んでいる。どうやらなのはの膝枕で寝ていたらしい。

 

寝ぼけた頭で更なる違和感に気づいて上半身を起こしながら疑問の声を上げた。

 

「お前ら、学校は?」

 

「もう何時だと思ってんのよ、ねぼすけさん」

 

そういうアリサが指を差した先に見える窓は赤く染まっていた。

 

三人の服装も制服なので....

 

「朝ってことはないな。方角が可笑しい。夕方?」

 

「そうよ。いったいどれだけ眠れば気が済むのやら」

 

呆れたようにアリサが呟くが右に居るすずかが徐に両手を伸ばしてきて。

やさしく抱きしめられてしまう。

 

「すずか?」

 

「あたしにも辛かったら甘えてもいいだよ?」

 

 

あのおしゃべり使い魔が話したのだろう。遅かれ早かれ気づかれたことだ。アリスを責める気にはならないな。

 

「ありがとう。すずか」

 

「むーっ!」

 

なのはが不満げに声を上げるがすずかは嬉しそうに顔を赤くしていた。

アリサは一人呆れていた。

 

「ところで...みんな、なんでここに?」

 

遊びにでも来たのだろうか?それにしては雰囲気が違う。

 

 

「とりあえず着替えなさい。それから出かけるわよ」

 

「出かけるってどこに?」

 

「どこでもいいでしょ!さっさと着替えなさいッ!」

 

この場を仕切るアリサ・バニングスの言葉に負け。重い体を動かして衣服を着替え始めるが...

 

「フフ~♪」「あわわわ///」「・・・(チラッ)」

 

一人はなれた者。もう一人は顔を手で隠して覗き見る者。もう一人は背を向けて腕を組み、盗み見る者

 

「とりあえず、出てってくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒地に鮮やかな赤色のラインが入った上下のジャージに着替えた俺はセバスチャン基、鮫島の運転する

リムジンに乗せられて町を走る。無論、3人も一緒に。

 

そして、到着した先は駅前にある商店街の一角に聳え立つ喫茶店。というか翠屋だった。

 

既に表のプレートは『Closed』となっており。日も既に落ちていて。店内も暗く店は閉まっているように見えた。士郎達を迎えに来たのなら入れ違いになったと思われる。

 

 

「もう閉まってるぞ。士郎達なら家に「いいか、いいからレッツごーなの♪」お、おい」

「さあさあ!いこいこ!」「進まないと蹴り飛ばすわよ!」

 

 

なのは達三人に押されるまま扉まで押され。翠屋の扉に触れると不思議と鍵は掛かっておらず。

ゆっくりと扉を押し込んで中へと入る。

 

後ろの三人も中に入ったところで薄暗かった店内が突如、明かるくなり。

 

同時に乾いた破裂音が複数鳴り響いた。

 

「くっ!」

 

反射的に手を前に翳して魔力を込める。

 

そして、飛来してきた弾丸ではなく。鮮やかな紙ふぶきとリボンを体に巻きつかないよう

魔力を使って張られた半透明の灰色のシールドはその機能を遺憾なく発揮した。

 

『おめでとーっ!』

 

そんな動向もあちらさんは予想済みらしく。祝いの言葉を一斉に投げかけられた。

 

祝いの言葉を放ったのは高町家一同に月村家の方々。さらにはユーノ・スクライアや管理局のリンディ提督やクロノ・ハラオウン執務官までに至る。

 

「えっと?」

 

よく分からない状況にシールドも解除して自然落下してきた紙ふぶきを手で払いながら疑問の声を口に出す。

 

それに答えたのは高町士郎だった。

 

「いや~前は急だったからね。ちゃんとしたノワールの歓迎会をしてやれなかったからってさ。どうせなら家族以外も呼んで、みんなでやろうと思ってね」

 

「歓迎会?なんのだ?」

 

「決まってるだろ?新しい家族の歓迎会だよ」

 

 

家族....

 

 

「どうもノワールは僕達を困らせないように手伝いとか率先してしてくれてたけど。それは間違いなんだ。いや、別に迷惑とか思ってないよ。実際、売り上げも上がってるしね。君のお蔭で」

 

「べ、べつに」

 

「でも、私達の子供ならもっと我侭を言ってもいいんだよ?もちろん、なのはもね」

 

俺の後ろに居たなのはの体がビクッと揺れた。こいつも基本いい子ちゃんだからなぁ...

 

「まあ、それに悩みや抱えていることがあるならゆっくりでいいから伝えてほしい。僕たちじゃ力不足かもしれないけど。一緒に悩んであげることくらいは出来るからね」

 

士郎は寂しそうにそう語りかけてくる。

士郎達はアリスの話から、気遣ってやれなかった自分たちを責めているかのような表情が滲み出ていた。

 

「さ、暗い話はこれくらいで主役の登場だ!みんな!グラスは持ったかーっ!」

 

気分を切り替えるように大きな声で士郎が飲み物の入ったグラスを掲げるとそれに伴ってみんながグラスを掲げる。

 

って待て、俺はなにももらっていないぞ!振り返るといつの間にか、なのは達三人はオレンジジュースの入ったグラスを鮫島から受け取っていた。

 

「はい、これ」

 

「おっと」

 

声を掛けられて振り向くと少々乱暴にジュースの入ったグラスを手渡される。

渡してきたのは驚くことにユーノ・スクライアだった。

 

「あ、ありがとう」

 

「べつにいいさ」

 

そういうとそっけなく返したユーノ・スクライアは管理局組みが座っているテーブルに戻り。

 

それと同じくして士郎の音頭が始まる

 

『よしっ!それでは我が家の新しい家族である高町・S・ノワールの歓迎を祝しまして「え?」カンパーイ!』

 

『かんぱーいッ!』

 

 

ノワール・S・高町....なにそれ?

 

俺が疑問で固まっていると高町桃子が耳打ちで聞いてくる。

 

「前にもらった手紙でシャ・ノワールって愛称で呼ばれてるみたいだったから、Sを途中に入れてみたの♪あの手紙にもそう書いてあったし。でもここは日本だから正式には高町・ノワールなんだけどね~」

 

「・・・・」

 

団長が前に高町家へと出した手紙に記されていたと....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんにゃろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

『おうおう、賑やかにやってんな』

 

俺の叫びと共に店のドアが開かれ入ってきた人物の第一声に思わず振り返った。

 

「な、なんで」

 

ぼざぼさの髪に無精ひげ。やさぐれた顔立ちと目つき。

その姿はエングレイブを束ねる長。団長その人だった.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんまり日も経った分けじゃないが。ずいぶんと気に入られたようじゃねぇか」

 

「なんの用だ?」

 

俺と団長は店から出たテラスで二人でテーブルを向かい合って今にも殺し合いが始まらんとばかりの視線をぶつけ合っていた。他の皆には店に入ってもらっている。

 

「リンリンがここに来てたのも来た理由だが。お前に渡しておく物があってな」

 

そうして取り出したのはどこにでも転がっていそうな紺色のスポーツバッグだった。

そのバッグをテーブルに乗せてファスナーを開けてこちらへと向ける。

 

「デバイスの簡易整備機材に調整機器。その他消耗部品にカートリッジを200発。他に宝石やミッドチルダ紙幣とか入れてある」

 

「なぜ、そんな物を持ってきた?」

 

「退職金だ「いらん」ノワール....」

 

やれやれとばかりに首を振るう団長。

 

「お前はこの世界でも魔法は捨てないのだろう?なら、受け取って置け」

 

「使えるものは使う主義は変わってないが。お前なんかの施し「ずいぶんと腑抜けたな」あ?」

 

「ずいぶんと甘ちゃんになったって言ったんだ....」

 

そう団長が言葉にした瞬間....空気が張り詰める。

 

目つきがさらに鋭くなり今にも襲い掛かってくるかのような暁光で俺のことを見つめる。

 

「もし、仮にだぜ?ここを団員全員で襲撃したとしよう。お前は守れるか?」

 

意地悪な質問だ。団員の戦闘能力の1、2は団長と姐さんだ。

 

他の団員も弱いというわけではなく十二分に強い。団員を総動員した戦力では武装局員一個旅団に匹敵する。

 

「難しいが手はある」

 

「だろうな。そうできるように考えるように育てたからな。だったら」

 

『ガンッ』

 

団長が椅子に座ったままテーブルを膝で軽く蹴り。

テーブルが傾いたことによってバックがこちらにすべり落ちてくる。

思わずそれを受け止めた。

 

「使えるものは使え。拾える物は拾え。生きるためなら肉親の血肉でも泥水でも啜って生き残れ。

 俺が教えた、お前が生きて来て守ってきたものを感情だけで切り捨てるな。

 この世界では魔法は異端だ。それを分かっていて尚、お前は魔法を捨てられない。

 お前はそれの怖さと同時に頼もしさも知っている。そのバックを捨てるなら捨てろ

 ただし、その時はお前の魔法も捨てることと同義だ。クローシュは特別優秀なデバイスだがな

 日ごろのメンテが出来なければただのゴミだ。撃ちたいときに守りたいときに戦いたい時にジャムを起 こす銃と同じだ」

 

 

団長の言っていることは正しい。正しいからこそ腹が立つ。

 

 

「わかった」

 

これ以上相手にしていると話が長続きするだけだ。

 

それならばさっさと話を切り上げよう。

 

「じゃあな」

 

そう言ってバックを持って立ち上がる。

 

「ノワール」

 

店の扉へと手を掛けたところで団長が声を掛ける。

 

「幸せか?」

 

「幸せ?まあ・・・」

 

《ガチャ!ドドドッ!》

 

「きゃ!」「いたた...」「ぉぉぉお?」

 

扉を開いたら、なのはとすずかそれにアリサが雪崩れて来た。

 

聞き耳を立てていたのだろう。足元に倒れている三人を見てため息を吐く。

 

「悪くは...ないな」

 

そう言って俺も団長も小さく笑い。俺はこの三人に手を貸して中へと戻る。

 

 

そして、団長は一人その姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、コーヒーおかわり頂戴♪」

 

「・・・」

 

「こっちもだノワール」

 

「てめぇら...なんでここに居るんだよッ!!?」

 

あの歓迎会から数日が立ったある日、喫茶翠屋のテーブルに二人の姿があった。

 

団長に加えてクレアつまり姐さんも同じく訪れていた。

 

「私は前は用事で来れなかったし。なにより」

 

「なにより?」

 

「シャ・ノワールちゃんに会いたかったし♪(ガバッ!)」

 

伸びてきた腕に捕らえられ。遭えなく俺は姐さんに頬ずりされるのだった....

 

 

 

 

 

補足説明として。騒がしくしてノワールの悪夢を吹き飛ばそうとアリスと士郎達が考えた結果。翠屋での歓迎会パーティーと相成りました。

 

ちなみにノワールの悪夢の元となった夢は、某パンプキンで対戦車歩兵の伍長(ヒロイン(男))の悪夢がモデルです。

 

ある意味、戦い方も似てるかも....。

 

 

 

 

さて、次はお待たせしました!あの方の登場です!

 

将来は歩く戦術級戦略級兵器!腹黒ラクーン(たぬき)です!!

 

え?彼女が嫌いかって?いいえ!大好きですッ!黒いのも含めて《ピンポーン♪》おっと誰か来たようだ....

 

 

 

 

 

 

※読んでくれてありがとうございます!感想などなどはお気軽に!

 

 

 

 

 

 

 

※誤字脱字などの指摘もどんどんお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

※また誤字脱字や妙な言い回しなど見つけ次第修正しますが特に物語りに大きな影響が無い限り報告等は致しませんのであしからず。

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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