No.720431

【デジナミ】赤と青と戦うということ【夏祭り】

こちらの(http://www.tinami.com/view/717907 )続きです
何も進歩してません(汗)
こっちサイドってところですかね…
前編なので後編続きます! 話が少し重いというか…なんかデジナミチックじゃなくなっていくと思いますが(汗)

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2014-09-21 23:59:27 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:758   閲覧ユーザー数:725

 

 デジタルワールドで生き延びる為に必要なこと。

 デジタルワールドと自然界は似ていて、同じでだ。

 つまりデジモンがそこで生き延びるために必要なものも、必然と同じだ。

 弱肉強食、つまりは、圧倒的な強さ。他者に負けないくらいの強さ。彼には強さがなかった。しかし、そこで生き延びるための「運」があった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 人間の手によって管理され、アップデートされる現デジナミワールド。

 誰もが「創られたもの」と錯覚しがちな世界の中にも、喰う喰われるが成り立つ競争が繰り返されている。それは人工的ではなく、デジモン同士で彼らの意思で。自分たちは知らないだけで、彼らは日々成長を遂げているのだ。

 

 人間とデジモン。パートナーを見つけたデジモン達は0の地点、デジタマから人間と出会う。デジタマの前はどうだったかなど、そのデジモンにしか分からないし、はたまた記憶があるのかすら分からない。人間と同じで、一度0に戻ってしまえば前世の記憶などないようなものだ。前世うんぬん、人工的に創られたのであれば、元々0からのデジタマと出会う可能性が大いにあるが。

 

「nightmare、ジャージに浴衣はダサい。離れて歩け」

 オーシャンゾーンの特設会場にて着替えた途端、nightは真顔でそう言った。

「いや、それってお前が離れたらいいだろ」

 よくよく見るとジャージに浴衣、それだけでも十分どうかと思う着こなし方だが、何よりも彼の足元――スリッパのままだ。季節を問わずまくり上げられたジャージのズボンは下ろされることなく、その上から浴衣が羽織られている。チラリと見える下腿は引き締まり、いかにもスポーツマンですと主張していた。

 nightmareが皮肉を言い、それを適当に流す、それが彼らのいつもの日常だった。

「取り敢えずお前、進化しろよ。部活帰り直行できたから色々面倒くせー」

「ほふく前進部な。背中に乗るのはいいが、提灯集めるのはお前だぞ。俺、走るだけ」

「結構な超スピードで走る馬の背中に乗ったまま提灯を集めるなんて技術、俺にあると思うのか。馬鹿か」

「そう思うなら、ほふく前進部で技でも磨いてこい」

 だから、ほふく前進部ってなんだよ、と呆れるnight。取り敢えずは歩いて提灯を集めに周り、怠くなってきたら進化でもしてもらおうと進み出した途端、前方から人影が近づいてきた。

「nightmare!下がってろ!」

 いち早く気づいたnightがnightmareの身体を押す。

 何が起こったのか分からない。が、戦い慣れしている二人は体勢を崩すことなどなかった。

 

(戦い慣れしている。この人)

 仕掛けた方のパートナー、ひいはそう思った。進化した我が相棒の攻撃を難なくかわし、その眼鏡の下から自分とは違う赤毛の目を見ると、どうにも驚きすらしていないようだった。しっかりと見るべき方向は見定め、ひいを見つめている。

 

「night、進化だ」

 感情の昂ぶりも、焦りも何も見えない只淡々とした声だった。

「勿論、コモン進化――コシュタモン!」

 青い炎に包まれ、首なし馬が出現した。

「突然にも程があるけど、明らか……フェアではないわな。でも此処ではよくあることだから、もうなんとも思わないけど」

 カツン、と一度地を蹴ったコシュタモンはnightmareの隣に並ぶ。こちらも戦闘態勢に入った、という感じだ。

 

「ひい、よけられた!」

「そうですね……相手さんも進化したようですし、バンバン行きましょうか」

 先程までとは違う。ひいの目にも、ほんの少し「戦う」という意思が宿った。迷いがあるかないかと言えば――分からない。只今は、「戦える」証拠。

 ノワールヒモンは楽しそうだった。赤い炎は気の抑揚を表すかのように高く、赤く、燃え上がる。

 

「データが……でないな。見たところDMか」

 nightmareがデジヴァイスを見ても完全なデータが表示されない。

「問題ねぇだろ」

 どこから聞こえるのか未だに分からない声が暗闇に響く。彼の炎は青く、少しだけ昂っていた。

「ま、そうだな。見えるものだけが信用出来る」

 彼もパートナーも少し、昂っていた。「戦う」という意味では、常に競争している彼は場慣れしている。

 

「なぁお前」

「なんだ!」

「中々燃えてるじゃねぇの」

「!! あったりまえだろ!」

「そんだけ赤いとな思い出すじゃねぇか」

「!?」

 

 文頭に戻るが、青い彼は前世を覚えている。「前の」ではなく、パートナーに「出会う前」の記憶を。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「バチバチバチバチ、花火が上がる前に派手にやってるね。赤と青の炎が火事にならなければいいけど」

 見回り中の三谷は特設会場の人目の少ない所を歩いた。運良く(彼にとっては悪く)花火が上がる前に光が飛び散っているのでボチボチ向かってみれば、どうやらバトルが始まっているらしい。遠目からだが、三谷の頭の中に検索された人間とデジモンたち。多方察しがついた犯人達に苦笑する。

「セイヤ、イソガナクテ、イイノカ」

 悠長に歩く三谷の横にルシーが合わせて羽ばたいている。

「構わないさ。でもそろそろ……お痛がすぎる輩はケツを叩いたほうがいいかもしれないな」

「ケツ、ケツ?」

「そ、今回は見過ごさないよ。お尻くらいは叩かせてもらう」

 パソコンを耳元に上げるとルシーがそれを足で受け取り、三谷はデジヴァイスを手に取った。

「仕方なくリセットされてしまったデジモンと前世の記憶があるデジモン……どっちも興味深い。不思議な生き物だね、君たちは」

 デジヴァイスには進化の文字と、暗闇に光るいくつもの目。ルシーの完全体の姿は背を曲げ、重そうに長い手を下げていた。

「さぁぼちぼち見に行こうか、ルシー」

「了……解……」

 三谷とネオデビモンは夜の海を見ながら、ゆっくりと現場へ向かった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

○月×日 nightmare

イベントを始めようと会場入りして早々にバトルだってよ

しかも相手さんも情報のないニューデジモンってやつ?

ちょっとワクワクするな

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

○月×日 セイヤ

イベントってほんとやること多くて疲れるよね

今日も見守りしかしないよ? なんて思ってたら問題児

そろそろケツでも叩きに行こうか(笑)

 

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