No.710396

ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY22 VS教皇

やぎすけさん

外道で小物な教皇戦

2014-08-21 23:54:59 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:991   閲覧ユーザー数:971

STORY XXII VS教皇

 

 

 

デュオ視点

キリト「なあ、デュオ?」

 

ベリルとの戦闘後、廊下の突き当たりから上へ向かう階段を上がっていたところで、不意にキリトに話し掛けられる

 

デュオ「なんだ?」

 

キリト「ベリルって、以前ALOで会った“スカイ”って奴に似てると思わないか?」

 

キリトが口にした名前に、思わず溢れかけた殺気を抑えてどうにか平常心を保つと、俺はキリトの問いを否定した。

 

デュオ「それはないな」

 

キリト「どうして、そう言い切れる?」

 

デュオ「奴は自分の存在を偽るなんてややこしい真似はしない。むしろ自分から正体を教えるような奴だ」

 

キリト「・・・やけに詳しいな」

 

デュオ「・・・一応は血が繋がってるからな」

 

半ば独り言のような俺の言葉に、キリトはそれ以上追究してくることはなかった。

 

キリト視点

俺がデュオへの質問を止めてから程無くして、俺たちは建物の最深部と思わしき場所にたどり着いた。

部屋と呼んで良いのかも分からないこの場所には天井が無く、一見すると塔のような円柱型の造りをしている。

中央部分には床が無く、ぽっかり空いた空洞を埋めるように何やら巨大な青い物体が鎮座し、それを取り囲むように螺旋階段が上部に伸びる。

俺たちは呆然としつつ、その部屋に足を踏み入れた。

進んでみると、中央に置かれているものが何か結晶であることがわかった。

深い青色をしたそれは、半透明であるにも関わらず向こう側は見えない。

さらに、それは青い結晶であるのに、真紅のエネルギーを放射していていた。

そのエネルギーは、俺たちが近付くにつれて拒絶に似た強い威圧感を与えてくる。

気圧されそうになる身体を気力で突き動かし、俺たちは最上層を目指す。

数分間歩き続け、ついに俺たちは建物の頂上に辿り着いた。

 

キリト「これは・・・」

 

そこで待っていたのは、

 

デュオ「クリスタルだな。全長100mってトコか?」

 

深い青色をした六方晶系の巨大なクリスタルはとても美しいはずなのに、俺には不吉な印象しか浮かんでこない。

その時、クリスタルの中に何かがあるのに気が付く。

眼を凝らしてみると、それは俺にとって最も大切な人、アスナの姿だった。

 

キリト「アスナッ!!」

 

俺は彼女の名前を叫ぶが、アスナは微動だにせず、ただクリスタルの中で深い眠りについていて起きる気配はない。

眠るように眼を閉じたその姿は、アスナがまだSAOから帰還する前、ALOに囚われて覚醒しなかった時の彼女の姿を彷彿とさせる。

 

?「美しいものだろう?」

 

突然、どこから声が聞こえた。

俺たちは即座に剣に手を掛けて、辺りを見渡す。

すると、アスナを封じるクリスタルの上に何者かが乗っていることに気付いて視線を向ける。

そこに立っていたのはあの教皇だった。

ベリルに頭を撃ち抜かれて死んだはずの老人は、あたかも最初からそこにいたかのようにその場に立っている。

 

キリト「彼女に何をした!?」

 

怒りと殺気を込めた怒声が響く。

 

教皇「眠ってもらっているだけだ」

 

教皇は演説していた時と同じ穏やかな話し方をしているが、その眼は人を見る者のそれとは明らかに違っていた。

冷たい眼で俺たちを見下す教皇は、唐突に語り始める。

 

教皇「彼女と1つになりたくはないのか?」

 

キリト「何・・・!?」

 

デュオ「どういうことだ・・・!?」

 

意味がわからない俺たちが訝しげに眼を細めると、教皇は続けた。

 

教皇「このクリスタルの中で溶け合えば、お前と彼女は真の意味でひとつとなる。それは素晴らしいことだ。それによってお前は永遠の愛を証明することが出来るのだ」

 

どこまでも下らない妄言だ。

 

デュオ「ほざいてろクソじじい、これ以上てめえの戯言には付き合ってられねぇ」

 

唾を吐き捨てて毒を吐くデュオ。

その様子に教皇は僅かに顔を歪ませ、こちらを忌まわしげに睨んで右手を掲げた。

アスナがゆっくりとクリスタルの奥に飲み込まれていく。

 

キリト「すぐに助ける。待っててくれ」

 

クリスタルの中で眠るアスナに向かって囁くと、彼女の姿は完全に見えなくなった。

視線をクリスタルから教皇に変え、デュオと同じように教皇を睨みつける。

 

デュオ「てめぇは殺す!!」

 

キリト「アスナは返してもらう!!」

 

俺たちはゆっくりと剣を抜き、互い背中を合わせた状態で剣の切っ先を教皇に向け、

 

キリト&デュオ『それだけだ!!』

 

と言い放った。

 

教皇「良かろう。ならば少々手荒にいかせてもらうことにしよう」

 

腰を落として姿勢を低くし、ぐっと足に力を込める。

 

キリト&デュオ『斬り殺す!!』

 

直後、ブーツの底から軽く火花が散る程の力で床を蹴り、俺たちは弾かれたかのように駆け出す。

 

教皇「身の程を知れ!!」

 

突進する俺たちにそう言うと、教皇はわざわざ俺たちの目前に下りてきた。

疾走の勢いを使ってレイジスパイクの体勢に入る。

すると、青白い光が刀身を包み込み、俺の動きを加速させ始めた。

 

キリト〈まただ・・・!?〉

 

SAOと同じソードスキルの感覚に若干戸惑いつつも、俺はシステムアシストに合わせた動作で技をさらに加速させて突きを放つ。

だが、俺の放った高速の突きは教皇の喉元に突き刺さる直前で何か阻まれた。

見ると、教皇の周りは陽炎のように揺らいでいて半透明な球体状のバリアが張られている。

 

教皇「無駄だ。お前たちでは、私に触れることすら出来ぬ!」

 

邪悪さを隠し切れない高笑いする教皇は、右腕に光を収束させて剣を生成してそれを振るう。

俺は右手の剣でそれを弾いて後退、入れ替わりに斬りかかったデュオが教皇と鍔迫り合いになる。

 

デュオ「だったら全部防いでみろ妄想野郎・・・!!」

 

光の失せた瞳で凶暴な笑みを浮かべたデュオが、剣を強引に押し込んだ。

次の瞬間、接触点をスパークさせていた教皇の剣に亀裂が疾り、折れたと同時に粉々に砕け散る。

 

教皇「何ッ・・・!?」

 

砕けた剣を見て驚く教皇に、デュオは恐ろしいまでの速さで剣を叩き付けていく。

一撃ぶつかる度に大気が震え、金属音とガラスの破砕音が混じったような澄んだ音が響いた。

数秒間で数十回以上も滅多切りにされていたバリアが、ガラスに似た破砕音を響かせて砕け散る。

 

教皇「ッ・・・!?」

 

息を詰まらせ、声にならない悲鳴を上げる教皇。

 

デュオ「覚悟しやがれ!!」

 

そこにデュオの怒声を乗せた一閃が襲い掛かる。

 

教皇「図に乗るな!!小僧共が!!」

 

教皇が叫んだ途端、教皇目掛けてレモンイエローの落雷が降り注いだ。

 

デュオ「ちっ・・・!!」

 

すぐさま回避しようと後ろ跳ぶデュオ、だが距離が近過ぎた。

教皇に降り注いだ雷撃はデュオを飲み込み、その凄まじいエネルギーを流し込む。

 

デュオ「ぐわあぁぁぁぁ・・・!!」

 

悲鳴が上がった直後に消え去った落雷の中から、バリアを再展開した教皇と、その下に転がるデュオが現れた。

 

キリト「デュオッ!!」

 

慌てて駆け寄ると、デュオは剣を杖にして立ち上がる。

 

デュオ「はぁ、はぁ・・・大丈夫・・・だ・・・」

 

呼吸を荒くしているデュオのHPはすでに4割近く削られ、麻痺のアイコンが表示されていた。

 

キリト「早く回復を!」

 

デュオ「ああ・・・」

 

ポーチから回復用のハイポーションを取り出し、ピンを弾いてデュオの口に突っ込む

瞬時に飲み干したデュオは空のビンを吐き捨て、次に麻痺回復用のポーションを口に含む。

HPの回復が始まり、同時に麻痺も消えた。

 

教皇「おのれ小僧共が!!」

 

忌まわしげにこちらを睨む教皇だが、俺たちからはかなり距離を取り、近寄ってくる気配はない。

 

デュオ「随分とビビッてやがるな臆病者(チキンじじい)

 

教皇「小僧・・・!」

 

明らかな嫌悪感と敵意を滲ませる教皇は、こちらに視線を向けたまま浮き上がる。

逃げるのかと思いきや、奴は再びクリスタルの上に立ち、こちらを挑発してきた。

 

教皇「いい気になるなよ、悪魔共めが・・・」

 

その言葉はもはや強がりとしか思えない。

よほど自信があったのか知らないが、破れないと思っていた防御を破られ、怯えているようにしか見えない奴の言葉には、もう何も感じない。

教皇の言葉は、ただの負け惜しみ以外の何ものでもないとしか思えなかった。

 

キリト〈こんな奴のためにアスナは・・・!!〉

 

怒りを抑えきれなくなった俺は、あの“悪魔”にとどめを刺すべく、床を蹴って跳上がり教皇に斬りかかる。

その瞬間、教皇はニヤリと下卑た笑みを浮かべた。

しかし、気付いた時にはもう遅かった。

教皇はクリスタルの中に消え、代わりにアスナが出てくる。

 

キリト「何・・・!?」

 

困惑した俺にほんの一瞬、しかし不意討ちするには十分な隙ができる。

突如、横から迫ってきた何かによって、俺は拘束された。

俺を拘束したものは、それは巨大な腕だった。

指1本で50cm以上はあるそれは、なんとクリスタルから突き出している。

 

キリト「ぐっ・・・!」

 

逃れようと身を捩るが、凄まじい力で全身を圧迫されていて動けない。

 

教皇「愛のために敗れるか。哀れな」

 

つい先程まで怖気付いていた教皇が、急に強気な態度に戻った。

 

デュオ「キリトッ!」

 

教皇「お前も来るが良い」

 

外道特有の醜悪な笑みを浮かべて、邪悪な光を湛えた眼をデュオに向ける。

そして教皇が再び手を掲げると、クリスタルからさらにもう1本の腕が突き出してデュオに迫ってくる。

 

デュオ「ちっ・・・!」

 

咄嗟に剣を拾い上げ、後方に跳躍して大木のような腕を回避する。

だが、

 

デュオ「ぐっ・・・!?」

 

先程のダメージが完全に回復していなかったデュオは、着地の際にバランスを崩し、そのまま床に倒れた。

そこへ、振り上げられたクリスタルの腕が叩き付けられる。

 

デュオ「しまっ・・・!?」

 

回避する間もなく、重い音を立てて巨大な掌がデュオの上に打ち付けられた。

 

デュオ「がはッ・・・!」

 

デュオの短い悲鳴が聞こえた直後、腕が少しだけ持ち上がる。

そこには頭や口から血を流し、目を閉じたまま倒れ伏しているデュオの姿があった。

すぐにクリスタルの腕がデュオを掴み上げるが、ぐったりとしたままの彼はピクリとも動かない。

 

キリト「デュオッ!!おい!しっかりしろ!!」

 

必死に叫ぶが、デュオが目覚める気配はなく、されるがままの状態になっている。

 

教皇「正直、肝を冷やしたぞ・・・さすがは“アインクラッドの剣士”ということか・・・」

 

教皇が俺を指差すと、俺の手にあった黒い剣が無理矢理引き剥がされ、ゆっくりと浮遊しながら教皇の手に収まった。

 

教皇「しかしせめてもの慈悲だ。二度と離れぬよう、共に神の中に封じてやろう。仲良く眠るが良い。永遠にな・・・」

 

必死でもがくこちらを嘲笑うかのようにそう言った教皇は、手を掲げてアスナを再びクリスタルに吸収させる。

俺はただもがきながら、それを見ていることしか出来なかった。

アスナをクリスタルに封じた教皇は、今度はゆっくりと黒い剣をかざし、それを見つめる。

 

教皇「ついに揃った。これでようやく我らが理想郷を創ることが出来る」

 

陶酔したように教皇が目を細めたその時、上空から白い何かが凄まじい速度で教皇の眼前に降り立った。

思わず息を呑む。

突然乱入してきたのはシュヴァルだったのだ。

教団が天使と呼ぶ姿のシュヴァルは一瞬で教皇を斬り払う。

驚きで目を見開いた教皇の身体が、あっという間に斬り裂かれ、奴は鮮血を撒き散らして吹き飛ばされる。

すると、俺を拘束している手が僅かに緩んだ。

 

シュヴァル「逃げろ!!2人とも!!」

 

シュヴァルが振り向き様に叫ぶが、その直後

 

シュヴァル「があ・・・ッ!!」

 

立ち上がった教皇が、俺から奪った黒い剣をシュヴァルの腹に深々と突き刺した。

 

キリト「シュヴァルッ!!」

 

シュヴァルのHPが一気にレッドゾーンに達し、変身が解ける。

分断されたはずの体はいつの間にか元に戻っており、教皇は見下すようにシュヴァルを見ると言った。

 

教皇「お前が裏切るとは、どうしてだ?」

 

そう言って剣を引き抜こうとした教皇の手首を、シュヴァルががっしりと掴む。

 

シュヴァル「貴様の望む理想郷のために、私は何でもやってきた・・・それによって人々が救われると信じて・・・」

 

血を吐き、荒い呼吸を繰り返しながらも、シュヴァルは鋭い眼で教皇を睨んで続けた。

 

シュヴァル「だが、貴様はアスナを利用した・・・何の罪もない純粋な少女の命まで危険にさらした・・・救われるべき魂を犠牲にして得た楽園に何の意味が・・・ッ!!」

 

言葉の途中で、剣がさらに深々と押し込まれシュヴァルの身体が仰け反る。

もうほとんど限界に近いシュヴァルは、力は無くがっくりと項垂れてしまった。

 

教皇「つまりは愛ゆえか?それも偽りの家族への・・・愚かな」

 

教皇はシュヴァルを鼻で笑い、剣を一気に引き抜く。

支えを失ったシュヴァルがクリスタルから転落し、重力に従って落下し始める。

 

教皇「正義とは絶対的な力のことだ」

 

キリト「貴様!!」

 

教皇は叫ぶ俺には目もくれず、落下していくシュヴァルをまるでゴミを見るような目で見下していた。

このままでは彼は、無残に床に叩き付けられてしまう。

そう思って眼を背けようとしたその時、突然現れた何者かが跳び上がり、落下するシュヴァルを受け止めた。

シュヴァルを抱え、藍色のコートをはためかせて着地したのは、先程俺たちを見送った仮面の男ベリルだった。

ベリルはシュヴァルを近くの柱の前に横たえ、振り向き様に余裕の笑みを浮かべる。

 

ベリル「ようジイさん、やっぱりまだ生きてやがったか」

 

教皇「残念だったなベリル。私を止められなくて」

 

ベリルを見下ろした教皇は、勝ち誇ったような笑いを浮かべて返した。

だがベリルも教皇の言葉を鼻で笑い、人を小馬鹿にした言い方で言い返す。

 

ベリル「そうでもないさ。それに小物ってのはやたらとしつこいって相場が決まってるんだ。ジイさんは俺の人生でも稀に見るほどの超小物だからな、鉛弾一発でくたばるとは思ってねえよ」

 

その言葉に教皇は顔を歪ませた。

そんな様子が面白かったのか、ベリルはニヤリと口元を歪めて続ける。

 

ベリル「それに、もう打つ手なしってわけでもないぜ。頭の沸いたクソジジイと発狂したゴキブリ学者ブチのめすぐらい、こっちにとっちゃ朝飯前さ」

 

ベリルの話を、顔を歪めたまま聞いてた教皇が再び勝ち誇った声を響かせた。

 

教皇「馬鹿め!“材料”は既に揃った。もはや“神”の完成は止められぬわ!!」

 

そう言うと教皇は高笑いしながら、溶け込むようにクリスタルに入っていた。

 

ベリル「“完成は”な」

 

意味深に呟いたベリルは次に、ぐったりとしたままの俺たちに視線を向ける。

すでに身体の一部―――掌で包まれている部分―――が結晶に呑まれ始めていた。

 

ベリル「おいおい坊やたち、もうギブアップか?もう少しガッツあると思ってたんだがな」

 

笑いながら残念そうに訊ねてくるベリル。

こんな状況でも笑っていられるあの男の余裕さには、正直感心させられる。

 

キリト「残念ながら・・・もう打つ手無しでね・・・」

 

ベリル「ほう、そりゃ大変だ。まぁ死ぬのは勝手だけど剣は貰うぞ」

 

死に掛けている相手に「剣は貰う」とは、勝手というかマイペースというか、どこまでも常識外れな男だ。

身体が溶かされていく嫌な感覚を味わいながら、俺は言い返した。

 

キリト「それこそ勝手にしろよ・・・」

 

俺は言い終えた直後、身体がゆっくりと呑み込まれていく。

 

ベリル「やれやれ。手の掛かる坊やたちだ」

 

ベリルがそう言って苦笑している間に、俺の身体はクリスタルの中に溶けていった。

クリスタルの中に溶けた後、俺は何もない真っ暗な空間に浮かんでいた。

夢なのか、現実なのかはわからない。

ただ、俺の目の前にはアスナいた。

それだけで、俺は目頭が熱くなり、眼には大粒の涙が溜まっていく。

 

キリト「ごめん・・・俺はまた・・・君を・・・守れなかった・・・」

 

目を伏せ、嗚咽交じりに謝罪する。

SAOの時と同じだ。

「君は何があっても守る」なんて偉そうに言っておいて、実際はこのザマ。

結局、俺はまたアスナを守れなかった。

今ほど自分を無力で情けなく思ったことはない。

俺は自分の不甲斐なさを呪い、恥じた。

 

アスナ「キリトくん・・・」

 

拳を握り締め、歯を食いしばって嗚咽堪える俺に、アスナがゆっくりと手を差し出してくる。

差し出された手を見て逡巡する俺に、アスナは優しく微笑む。

俺は躊躇いながらも、その手を取ろうとした。

だが彼女に触れる寸前で、アスナの身体は末端から淡い金色の粒子となって消えていく。

 

キリト「・・・アスナ!」

 

アスナ「ごめんねキリトくん。また、わたしのせいで辛い思いをさせて・・・」

 

消え行く中で、アスナは悲しげに笑っていた。

 

キリト「アスナのせいなんかじゃない!俺が、俺が無力だったんだ・・・だから、そんな顔はしないでくれ!」

 

溢れる涙を振り払い、今にも消えてしまいそうなアスナに叫び続ける。

 

キリト「約束する!俺は・・・俺たちは絶対に君を連れてここから抜け出す!今度こそ絶対に君を守ってみせる!だから・・・!」

 

俺が言い切るより先に、アスナの姿は霧消して闇に溶けてしまった。

そして俺自身もまた闇に呑まれ、徐々に意識が朦朧としてくる

 

キリト「待っていてくれ、アスナ・・・!」

 

絶対にアスナを救うと決心し、俺は伝えられなかった言葉を呟く。

そこで俺の視界がブラックアウトし、意識は完全に途絶えた。

 


 
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