No.709518

真・恋姫無双 ~今度こそ君と共に~

いつも真・恋姫無双~新外史伝~でお世話になっています。

今回、気分転換と言いますか、新たな作品を作りました。

2014-08-17 23:55:29 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:9725   閲覧ユーザー数:6821

「暗いわね……」

 

女性が目を覚ますと見渡す限りの闇がそこにあり、思わずそう呟いた。

 

全くの暗闇で光が無い、正に無の世界。

 

再び眠れば、暗闇に全て呑み込まれそうな感覚

 

そして漸く思い出す、死ぬ間際の自分の事を……

 

 

 

我が魂の咆哮を聞け!

 

誇り高き孫呉の全将兵よ!

 

そして卑劣な魏の将兵よ!

 

我ら父祖より伝わるこの大地を袁術より取戻し平和を築かんとした!

 

しかし!無法にも大軍を率いて、我らの大地を今、蹂躙しようとしている者がいる!

 

敵は卑劣卑怯にも刺客を放ち、我が身はその毒矢に侵され、既にこの身は死を待つのみとなった!

 

しかしこの孫伯符、ただでは死なん!

 

我が身は死すとも魂魄になりて敵を討ち滅ぼす矛となり呉の大地を守る盾となろう!

 

命を燃やし孫伯符 孫呉の大号令を発す!

 

 

 

 

そう、ここにいる女性こそ孫伯符と言われていた雪蓮であった。

 

そして死ぬ間際に蓮華たちに見送られたが……そこで雪蓮は皆の悲しむ顔を思い出し、漸くある事実に気付いた。

 

「そうか……私、死んだのね…」

「ハァ…これでお母様のところにいくのね……」

自分の死に気付くと溜め息を吐きながら、呟くと雪蓮の瞳から一筋の涙が流れ始めた。

「あ、あれ……な、なんで私、泣いているの?」

突然な事に雪蓮は暗闇の中で涙を拭うが、涙を止まらず

「やだ……どうして涙が止まらないのよ!?」

雪蓮は今まで無い感情に襲われた。だが、その感情の理由は分かっていた。分かっているが、それを素直に認めたくなかった。しかしその我慢も限界を超えて

「皆と会いたい、でも一番会いたいのは……か……一刀……うぅ……」

雪蓮は泣きながら、唯一愛した男の名前を呼んだ。

北郷一刀……初めは天の御遣いとして、呉に天の血を入れ繁栄させる目的で、孫呉で受け入れられたが、次第に一刀と触れ合っていくうちに彼の優しさ、周りを笑顔にする明るさを見て、雪蓮は次第に王という立場では無く、一人の女性として一刀に惹かれて行った。

そして一刀も雪蓮を王としてではなく、一人の女性として見てくれたたった一人の男でもあった。

 

だが自分が死んだ事により、二度と一刀と会えない事を思い出し、そして悲しみが募ると

「うぅ……会いたいよ、かずと……会いたいよ」

その場に座り込み涙を流す雪蓮。

しばらく雪蓮が泣いていると、

 

「うっ………こ、ここは…」

 

別の方向から弱弱しい女性の声が聞こえた。だが雪蓮にはその声に聞き覚えがあった。否、聞き覚えというよりは、一刀、蓮華以外で今、一番聞きたかった声だった。

 

「い、今の声…、め、冥琳!冥琳なの!」

 

雪蓮は涙を拭い去り、声がした方向に手探りしながら向かう。

 

~冥琳side~

 

紅蓮の炎に燃え上っている赤壁の魏の船団を見て、死が近い冥琳は戦場から姿を消して息絶え絶えになりながら、雪蓮の墓に向う。

 

そして雪蓮の墓に凭れながら、

 

「私の役目がこれで終わった…これで漸く雪蓮お前の所に行くから…ハァハァ」

 

「…戦に勝って軍師として心残りは無いが…唯一心残りなのが、傍に雪蓮、お前が居ないことと…北郷、お前の子供を産んでみたかったが…それも詮無きことか…」

 

そう言いながら、意識を無くした……。

 

冥琳が意識を失ってから、しばらくして何処からともなく、

 

「……か……一刀……うぅ……」

 

女性の啜り泣きする声がするが、声が遠くで聞こえるような感覚であったが、すると段々声が近づき

 

「うぅ……会いたいよ、かずと……会いたいよ」

 

(「か、一刀だと!それにその声はもしかして!」)

 

冥琳は眠りの中で一刀の名前とそして忘れもしない声を聞いて目覚めようとした。

 

 

 

雪蓮は声がした方向に向かうと女性が横たわっており、雪蓮は暗闇の中のまだ意識が無い女性の上半身を起こしたが、その女性を抱いた感覚は忘れもしなかった。

 

一刀以上に肌を重ね、お互い愛し合い、断金の誓いを立てた者の事を…

 

「め、冥琳!冥琳なのね!!しっかりしなさい!!」

 

雪蓮は倒れている人物が冥琳だと感じ取ると、目覚めさせようと必死に声を上げる。

 

「うっ…ここは?」

 

冥琳は、起こした人物が暗闇の為見えておらず、まだ意識が朦朧としているため雪蓮の声にも気付いていなかったのであった。

 

「本当に冥琳なのね……」

 

「そ、その声は雪蓮!雪蓮なのか!!」

 

雪蓮は冥琳の声を聞いて安堵の声を上げたが、事態をまだ把握していない冥琳は雪蓮の声を聞いて驚きの声あげながら身体を起こす。

 

すると二人は何も言わず、お互いに抱き合った。すると冥琳が

 

「……すいぶん乱暴な起こし方だな、雪蓮。私が居なくて寂しかったみたいだな。だけどこうして死んでから、再びお前とこうして出会えるとは思わなかったぞ…」

 

「それは私も冥琳と再び会えるとは思っても見なかったわ…。でも冥琳、何故こっちに来てしまったのよ……」

 

冥琳は雪蓮の死後の事を話し始め、自分の病気の事を説明した後、赤壁の戦いの結果、そして一刀が蓮華たちと結ばれたなど色々語った。

 

「そっか…皆一刀と結ばれたのね。良かったわ…」

 

そう言うと雪蓮は黙り込んでしまった。いつものと様子が違う雪蓮を見て冥琳が声を掛ける。

 

「雪蓮、間違っていたら申し訳ないが、さっきお前北郷の名前を出して泣いていなかったか?」

 

「や、やだ冥琳。そんな私が泣く訳ないじゃない!意識が朦朧として夢と現実が入り雑じっているじゃないの!」

 

冥琳の指摘に否定する雪蓮であったが、長年の付き合いである冥琳には通じなかった。

 

「雪蓮…ここには私しかいないのだ。正直に話してくれ」

 

「…やっぱり冥琳には通じないか……無くしてから気付くというものもあるのね」

 

「北郷の事か?」

 

「ええ、何時でも会えるから安心していたけど、一刀会えなくなるとこれだけ辛いとは思っても見なかったわ……」

 

「では、北郷を皆の物にした事を後悔しているのか?」

 

「そうじゃないわ…皆はこれから一刀と色々と思い出とかできるけど、私たちはこれからが無いの。それが寂しいだけよ…」

 

「そうか…それは私も同じ意見だな…」

 

お互い沈黙していたが、冥琳が気を取り直し

 

「雪蓮、それでここは何処なのだ?」

 

「私もここが何処か分からないのよ。一つ言える事はあの世の何処かという事かしら」

 

すると二人の目の前に光が射し始めた。

 

「何、これ!」

 

「目が…」

 

二人は眩い光に思わず声を上げ、両手で目を庇う。しばらくすると眩い光は収まり、周りは普通に光が照らされている状態になっていた。

「お待ちしていました。孫伯符殿、周公瑾殿」

 

二人の背後から声が聞こえると、二人は声がした方向に向くとそこには二人の人物が立っていた。

 

一人は筋肉隆々の厳つい男、もう一人は全身フードで覆われている為、男女の区別が付かなかった。

 

「お初にお目にかかる、儂の名は卑弥呼」

 

「その卑弥呼が私たちに何の用なの」

 

「ふむ、中々の負けん気の強い娘だな。」

 

卑弥呼は雪蓮の強い気を与えられても平然としていた。

 

「そうじゃな…どこから説明しようかのう…お主たち『外史』という言葉は分かるか?」

 

「何それ?」

 

「確か…以前北郷が知っている歴史では私たちが男であったという話を聞いたが、それと関連しているのか?」

 

雪蓮はもう一つ訳の分からない表情を浮かべていたが、冥琳が何とか答える。

 

「関連はしておる。分かりやすく言えば、男性の方を『正史』、お主たちの方を『外史』という。『外史』とは『正史』に住む人たちの想念によって作り出されるのじゃ」

 

「だが『正史』はひとつしかないが『外史』は無限大にあるのじゃ」

 

「儂らはその『外史を監視する者』、今までお主たちが居た外史、そして、違う外史も我々が管理しているのじゃ」

 

「そんな話が信じられる訳がないじゃない!」

 

雪蓮のそんな話が信じられないとばかりに声を上げ、冥琳も声こそは出さないものの同意の表情を示していた。

 

「それはそうじゃの。ではこれを見るがよい」

 

言葉では納得できないと判断したのか、卑弥呼は水晶の球を差し出す。

 

「な、何よ、これ!曹操に劉備……それに関羽まで、なぜみんな一刀と居るの!?」

 

「信じられん……」

 

そこに映し出された光景に雪蓮と冥琳は驚きの声を上げる。

 

「ある外史では、曹孟徳と供に覇王の道、天下統一に手助けを行い、またある外史では時には劉玄徳の心の支えとなり三国平定を目指し、更にある外史では劉玄徳の変わりに関雲長や張翼徳の主として国を治めていたのじゃ」

 

「信じられないわ……」

 

「………」

 

「二人がどう言おうとも、これは事実じゃ。それでここから本題だが…」

 

「待って卑弥呼。ここから私が説明するわ」

 

「貴女は?」

 

「申し遅れました。私の名前は孫宜。訳があって顔をお見せする訳にはいきませんが、貴女たちの味方のつもりよ」

 

今まで黙っていたフードを被っていた人物が声を出したが、声は女性と判断できたものの、表情が見えないため何とも言えなかった。だが雰囲気から敵ではないと雪蓮や冥琳は判断したが、まだ警戒を解いていなかった。

「単刀直入に聞くわ。孫伯符、周公瑾、貴女たちの願いを教えて頂戴」

 

「……私の願いは、呉の繁栄と平和よ。それ以外に無いわ」

 

「伯符の夢は私の夢、それ以上も以下もない」

 

二人の回答を聞いて、孫宜は溜め息を吐きながら

 

「聞き方が悪かったわ…二人が言っているのは、王や家臣としての立場でしょう。私が聞いているのは、そう…貴女たちがそれぞれ一人の女性としての願いを聞いているの、それを正直に答えて欲しいのよ」

 

孫宜が諭す様に説明すると

 

(そんなの決まってるわよ。私は一刀と……『北郷一刀といつまでも一緒にいたい』)

 

(それは私が唯一愛した男、北郷一刀の子供を産みたい)

 

『一人の女としての願い』それは、雪蓮や冥琳にとってはもう叶えたくても叶えられなかった願い。だが答えずにはいられなかった。

 

「どうやら結論が出たようね」

 

「ええ」

 

「ああ」

 

「では、二人の答えを聞かせて貰いますか」

 

「私の願いは一刀といつまでも一緒にいたい、ただそれだけ」

 

「私の願いは好きな男、北郷一刀の子供を産みたい」

 

二人は胸を張って答える。

 

「その答えの理由は?」

 

「好きに理由がいるの?ただこの人を離したくないだけよ」

 

「私が愛したたった一人の男性だからだ」

 

「そうですか…分かりました。そこまで言うのであれば北郷一刀と再び会う事ができるわ」

 

「えっ!?本当?」

 

「そんな事が可能なのか?」

 

「ただ…幾つか条件があるんだけど…」

 

孫宜の声が変わったので、雪蓮はそれに気付き

 

「何かあるのね…教えてちょうだい」

 

「儂が答えよう。まず二人が死んでしまったので、元の世界では北郷一刀と会えない。だからお主たちには別の外史に行って貰うことになるのだが、お主たちは孫呉の孫伯符と周公瑾では無く、ただの孫伯符と周公瑾として生きて貰う」

 

「何ですって!?」

 

「何!?」

 

「当たり前じゃ。お主たちが居た外史ではないのじゃ。それに外史に行く時には、二人の記憶を無くして貰うぞ」

 

「それじゃどうして一刀と会えばいいのよ!」

 

自分たちの記憶が消されてしまっては堪らないとばかり雪蓮の声を上げる。

 

「それだけじゃない。この外史に来る北郷一刀もお主たちと過ごした記憶はない」

 

「そんな……」

 

お互いが記憶を無くしている状態で再び出会う事など、途方も無い事で砂漠の中で硬貨を見つけ出す様な物で雪蓮に返す言葉が無かった。

 

「もし…この話断ったらどうなる?」

 

「断れば、このまま魂が消滅するだけじゃ」

 

冥琳の問い掛けに卑弥呼は非常な宣告を告げる。

 

それを聞いた二人の表情に絶望感が漂う。

「い、いやよ!そんなの!絶対にいやっ!記憶が消されるなんて!」

 

「雪蓮……」

 

雪蓮は一刀と過ごした日々がこのまま消えてしまうのでは無いかと動揺して叫び、冥琳はここまで動揺した事がない雪蓮を支えるように抱きしめていた。

 

「ごめんなさい…孫策さん、周瑜さん。ただ、望みが無い訳じゃないの」

 

「えっ…」

 

「それは…」

 

孫宜の言葉を聞いて、雪蓮に僅かながら生気が蘇る。

 

「二人とも、今から私の話を聞いて下さいね」

 

孫宜は優しく二人の肩に手をやる。二人はそれを払わずに素直に受ける。

 

「先ほども言ったように、孫策さんと周瑜さんの記憶が消えることは決定事項になってしまっています。しかし、それは正確には消えるのではなく封印されるのです。」

 

「それは二人の記憶をそのまま外史に持ち込もうとした場合、二人の身体に異常をきたす恐れが高いから、一度封印という形を取らせて貰うの」

 

「封印を解くにはある事を行えば、簡単に解ける様になっているわ。ただ解ける人物は北郷一刀唯一人で、封印が解ければ北郷一刀の封印も同様に解け、貴女たちと居た記憶が蘇るわ」

 

孫宜は話を終え、雪蓮と冥琳の顔を見ると二人は先程と違い力強い瞳をしていた事に安心した。

 

「ありがとう、二人とも…まったく希望が無い訳じゃないのね」

 

「ありがたい。何と礼を言えば良いのか」

 

雪蓮と冥琳は孫宜と卑弥呼に礼を言う。

 

「いいえ、これくらいしか我々には出来ません」

 

孫宜は謙遜するが

 

「そんな事ないわ、孫宜、貴女に感謝してる……きっと思い出してみせるから」

 

雪蓮は決意を新たに述べる。

 

「それでどうやって行く予定なのだ」

 

冥琳の質問に孫宜が

 

「孫策さんと周瑜さんには一度眠っていただきます。今度起きた時には今までの記憶は忘れており、向こうの世界での生活を行うことになります」

「わかったわ」

 

「了解した」

「では孫策さん、周瑜さん向こうで準備をして貰うけどいいかしら」

「ええ、いつでもいいわよ」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

二人は覚悟を決め、眠りに入る。

(待っててね一刀……絶対に見つけるから……)

 

(待っていろよ、北郷。必ず探し出すからな……)

そして二人は魔法の様に眠りに入ったのであった。

二人が眠りに入ると卑弥呼が孫宜に声を掛ける。

 

「なあ、孫宜よ。良かったのか?これで」

 

「……そうね。あの子にはもっと幸せになって欲しかったのよ。私が不慮の戦死を遂げてしまって、私の理想を叶えるためだけに生き、これからというところで死んでしまった。だから今度は孫呉という縛りを解いて、もって二人には自由に生きて欲しいの」

 

「そうじゃない。自分の正体を二人に告げなくて良かったか?」

 

「……ええ。私と会えば決心が鈍ってしまうでしょう。ここは黙って行かすというのも優しさの一つと言うものよ」

 

「そうか、お主がそう言うなら儂から何も言うことはない」

 

実は孫宜と呼ばれた人物は、雪蓮の母である孫堅文台であった。

 

なぜ孫堅が管理者になったのかと言えば、死後、偶然不良管理者に鉄拳制裁を加え退治したことにより卑弥呼に認められ、管理者になることを勧められたところ

 

「おもしろそうね」

 

の一言で承諾して修行を積んで管理者となり、名を孫宜と変えた。

 

そして自分の死後、雪蓮たちの様子を見ていたのだが、結果的に雪蓮は不慮の死を遂げ、冥琳も後を追う様に亡くなってしまった。

 

雪蓮が死んで、自分は母として雪蓮に何かして上げただろうかと考え、そして蓮華や小蓮が一刀と一緒になって幸せなそうな姿を見て、何とか雪蓮にも幸せになって貰いたいと考えついたのが今回の事であった。

 

それを卑弥呼に頼むと承諾し、実行されたのであった。

 

そして作業を終えると孫宜は

 

「今度こそ幸せを掴みなさい、雪蓮、冥琳…」

 

そう言って二人を新たな外史に送り出したのであった。

 

 

今回の作品は、基本『新外史伝』を優先の為、不定期更新となります。

 

今回の作品を作った経緯は、呉ルートで死を遂げてしまう雪蓮と冥琳に幸せになって貰うために考えました。

 

ただ他の二次作品で、既に雪蓮や冥琳が幸せになっている作品を見受けられるので、こちらは敢えて孫呉の呪縛(血)を切り離して、より雪蓮をフリーに動ける様にしました。

 

ただ、今後のルートは決まっていませんし、ハーレム化するかどうかも未定ですが、応援して貰えれば幸いです。

 

今後とも『新外史伝』と共に応援よろしくお願いします。

 

 

 

 


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